概要・あらすじ
パロス第四王朝末期。パロス王国の王女・エルミニアは、リーラ河で貧しい少女フィオナと出会う。長い髪をたなびかせて馬を颯爽と乗りこなすエルミニアの騎士のような凛々しい姿に、フィオナは運命を感じずにはいられなかった。同じくフィオナに惹かれ始めていたエルミニアは、自由に生きたいと願うあまり、父王からの縁談に難色を示す。
その相手とは、エルミニアの幼なじみであるユリアスだった。
登場人物・キャラクター
エルミニア
パロスの国王・アルディウス二世の18歳の娘。王女の身でありながら男まさりに剣を操り、男装の麗人として暮らしている。自分よりも強い相手でなければ結婚しないと断言し、次代の国王を選ぶべく武芸大会を開かせた。リーラ河で運命的に出会ったフィオナを愛するようになるが、天と地ほどの身分差から周囲の理解を得られず、さらにエルミニアの寵愛がかえってフィオナを苦しめてしまうことになる。 王族としてよりも、地位に縛られることなく、自分の意のままに人生を送りたいと思っている。
フィオナ
洗濯の仕事をしている16歳の女性。見た目の美しさから、同じ洗濯女たちから何かと疎ましがられている。貧しさに耐え忍ぶ辛い日々を送りながらも、いつか自分のもとに白馬の王子様が現れると信じていた矢先、エルミニアと出会う。しかし、運命の相手だと思ったエルミニアが王女であることを知り、想いの行き場を失くして苦しむ。
ユリアス
ダール伯爵の20歳の息子。エルミニアとは幼なじみで、彼女の護衛を務める。乳兄妹として幼少期よりエルミニアと共に育ち、男性として生きる道を選ぶエルミニアを優しく見守っている。パロス王国の存亡をエルミニア以上に気にかけ、時には苦言を呈するが、エルミニアにはいつも届かない。
アルディウス二世
パロスの国王で、エルミニアの父親。パロスの弱体化を避けるため、しかるべき相手との縁談をエルミニアに言い渡すが、ことごとく拒絶されている。我が娘でありながら、男として生きることを望むエルミニアのことが理解できず、また王族の自覚がないエルミニアに手を焼いている。
アルフォンス
アルディウス二世とは腹違いの王弟。母親がカウロスの貴族の姫であることから、エルミニアとカウロスの王子との婚儀を進めようとしている。ユリアス同様にパロスの存亡を危惧し、自国の行く末を顧みないエルミニアに対して苛立ちを募らせる。しかしそれは表面上の顔であり、真意は謎に包まれている。
ファオン
カウロスの第三王子。圧倒的な剣術の腕前を誇り、その強さの前ではエルミニアさえも思わずうろたえたほど。パロスとカウロスの併合を目論み、王座を狙ってエルミニアの婚約者になる。頑なに自分を受け入れないエルミニアを力ずくでひざまずかせようとするが、心までは手に入れることができずにいる。
クレジット
- 原作
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栗本薫