あらすじ
第一巻
三苫彩葉は他人に迷惑をかけないように生きるため、友人も作らず目立たないように過ごしていた。そんなある日、彩葉は突然、学校中の注目の的である草摩睦生と草摩はじめに生徒会役員に誘われる。これをきっかけに彩葉は、同じ学校に通う草摩家の人々と知り合う事になった。彩葉は草摩家の人々を通じて心に秘めていた苦しみを解放し、少しだけ前向きに考えられるようになる。
第二巻
三苫彩葉は友人を少しずつ増やし始め、学生生活を楽しく過ごせるようになっていた。草摩睦生の紹介で草摩志岐と知り合った彩葉は、志岐の不思議な魅力に惹かれていく。しかし彩葉の心の中では彩葉の母親の存在が大きく、幼少の頃から現在まで続く、母親の病的なまでの叱責に耐えかねていた。そんな中、草摩はじめに聞かれるままに母親の事を話した彩葉は、彩葉と母親は無関係だとはじめや睦生たちに受け入れられ、変わらない友情を約束される。
第三巻
三苫彩葉は草摩睦生に誘われ、草摩家の別荘へ招待された。別荘では草摩家の友人たちと過ごし、草摩志岐とは水族館へ行って、彩葉は彼らとより親交を深める。別荘から帰ったあと、彩葉は幼少の頃に友人に絶交されたのが彩葉の母親の影響である事を聞かされ、さらに母親が過去に草摩家といさかいを起こしていたという事実を知る。ショックを受けた彩葉は呆然としながらも、事実を確かめるべく草摩睦生と草摩はじめの家へ向かう。
登場人物・キャラクター
三苫 彩葉 (みとま さわ)
海原高校に通う1年生の女子。黒髪のセミロングヘアで背が低い。子供の頃に仲のよかった友人から突然絶交された事がきっかけで消極的な性格となり、他人に迷惑をかけないように過ごしていた。ある日、学生証を落とした事で草摩睦生と草摩はじめと知り合ったあと、突然生徒会役員に任命されてしまい、ほかの生徒から注目を浴びる事になった。他人と会話する際は、目を合わせず下を向いて身動きができなくなる癖やパニックになる事があったが、睦生やはじめたちと行動を共にするようになってからは解消されつつある。クラスメートと話す事も避けていたが、同じクラスの草摩陸から彩葉と友達になりたがっている女子がいると聞かされ、自分から声を掛けて友達を作る事ができた。草摩志岐と知り合いになってからは志岐に不思議な魅力を感じており、ひそかに好意を抱いている。父親は離婚していてそばにおらず、彩葉の母親との関係は劣悪で、幼少期から掛けられ続けた彩葉の人格を否定する言葉がトラウマとなり、暗い性格になった。睦生やはじめと知り合ってからは、素直に他人との交流を楽しむ事ができるようになったが、母親の前では以前の性格に戻ってしまうほど、心に深い傷を負っている。幼い頃、母親に放置された際に階段から落ちたところを志岐に助けられたが、母親が因縁をつけて草摩家を訴えると言い出して大事になった事がある。しかし幼かった彩葉は、その事を忘れていた。この時の出来事が原因で、草摩家の人々には母親の異常さを知られているが、彼らからは母親と三苫彩葉の人間性は無関係だと快く受け入れてもらっている。草摩昊からは「彩葉っち」と呼ばれている。
草摩 睦生 (そうま むつき)
海原高校に通う2年生の男子。灰色の短髪で整った顔立ちをしており、学校ではアイドルのような扱いを受けている。また生徒会副会長を務めており、草摩はじめのサポート役を行っている。はじめや真鍋理とは兄弟同然に育っており、気心の知れた仲であるために誰よりも信頼して会話している。基本的には草摩家の人たちか三苫彩葉と行動する事が多い。人当たりがよく優しい性格。打算的な一面も見られるが、これは悪意からではなく、自分の好きな人たちを助けたいという気持ちから。片付けや掃除が苦手で自分の身の回りをすぐに散らかす癖があるが、草摩睦生自身は両親の遺伝であると喜んでいる。また、はじめから何度か「重度の親好き」という指摘をされているが、その言葉も喜んで受け取っているほど両親を愛している。現在は睦生の父親が学生の頃に住んでいた家が空き家になっていたため、はじめと草摩帛との三人で下宿している。父親が住んでいた頃に、作っていた畑を引き継いで野菜の栽培を趣味にしている。彩葉の事を突然生徒会役員に任命した理由を「運命」と語ったが、実際は草摩志岐と彩葉を引き合わせ、それをきっかけに志岐が草摩家の一員として参加できるようにするためだった。草摩昊からは「むぅくん」と呼ばれている。
草摩 はじめ (そうま はじめ)
海原高校に通う3年生の男子。オレンジ色の短髪で無愛想ながら、整った顔立ちのために学校では草摩睦生と共に人気が高い。海原高校の生徒会長を務めており、睦生と学校内の行事を指揮している。実家から高校が遠いため、睦生と草摩帛の三人で同じ家に下宿している。睦生とは兄弟同然で育っているために比較的親密に接しているが、三苫彩葉やほかの草摩家の人たちに対しては、ぶっきらぼうに接する事が多い。しかし傷ついた彩葉を、なぐさめたり元気づけたりする優しい一面もある。兄弟がいるため、年下の人物には世話を焼く事も多い。料理や家事ができるので睦生や帛の世話役にもなっている。草摩昊からは「はぁくん」と呼ばれている。
草摩 志岐 (そうま しき)
中学1年生の男子。黒髪の短髪で、表情があまり変わらない。小柄な体形で、三苫彩葉とほぼ身長が同じ。病弱なために日差しが強い中で、長時間歩いたりすると気分を悪くしてしまう。ある日、気分が悪くなって道に座り込んでいたところで彩葉と出会い、知り合った。それをきっかけに親交が増え、彩葉を意識し始める。草摩家の当主の一人息子であり、時期当主になる事が確定している。そのため、小さい頃から一部の人間から嫌がらせを受けていた事で、草摩睦生をはじめとする草摩家の若い世代にもわだかまりを抱えており、行事などでかかわる事に引け目を感じていた。しかし、草摩家の人たちの若い世代のほとんどは志岐を迎え入れる意向を示しており、それを知った志岐も草摩家の集まりに参加してわだかまりをなくしたいと考えている。幼少の頃に階段から落ちた彩葉を助けており、その際に草摩家に因縁をつけた彩葉の母親が彩葉を虐げている事を察して、疎遠になったあとも彩葉を心配していた。その後、彩葉と再会できた事を睦生に感謝し、草摩家の一員となるきっかけを作ってくれた彩葉にも礼を言っている。学校では囲碁部に所属しており、リオ・モスカと仲がいい。
草摩 昊 (そうま そら)
海原高校に通う1年生の女子。長い黒髪を二つ結びにしている。草摩陸は二卵性の双子の弟。明るく人懐っこい性格で、初対面の人でも気軽に話し掛ける。一方でマイペースな一面もあり、自分の世界に浸る事もある。草摩家の人たちを中心に独特なあだ名を付け、会った時には抱きつく癖がある。三苫彩葉が陸に話し掛けようとしたが、恐怖で固まっていた時に助け舟を出した事がきっかけで、彩葉とも友達になった。
草摩 陸 (そうま りく)
海原高校に通う1年生の男子。白髪ながら根本は黒い毛髪。草摩昊は二卵性の双子の姉。高身長で整った顔立ちをしているが、基本的に無表情で口数も少ないため、三苫彩葉からは怖がられている。しかし実際は、マイペースで面白い事が大好きな年相応の性格をしている。周囲とは一線を置いているように見えるが、実は周囲の状況をきちんと把握しており、彩葉にクラスメートが話したがっている事を伝えた。昊からは「りっくん」と呼ばれている。
草摩 帛 (そうま きぬ)
草摩睦生と草摩はじめが下宿している家で共に暮らす大学1年生の女性。長い髪をサイドで結んでおり、色白な肌の持ち主。落ち着いた口調ながらマイペースな性格で、不思議な雰囲気を醸し出している。しかし、草摩家の人たちには自分勝手に振る舞う事があり、はじめや三苫彩葉はよく困らせている。一方で、世間や人間関係を達観しているところがあり、彩葉たちを諭す事もある。草摩昊からは「きぃくん」と呼ばれている。
草摩 美那 (そうま みな)
活発な性格をしている小学生の少女。父親が外国人の血を引いているため、日本人名と外国人名がある。薄い色のロングヘアで、名前のみ片言でしゃべる。所属している野球チームの試合があるからと、父親の海外出張について行かずに草摩帛に預けられていた。その際、三苫彩葉に出会って友達となる。運動神経は抜群で、バッティングセンターでは大人顔負けのバッティングを披露している。親しい人たちからは「ミィ」と呼ばれている。子供らしいところもあるが、冷静に自分の将来設計を考えている。
草摩 響歌 (そうま ひびか)
草摩千弦の姉。長い黒髪にメガネをかけ、舞台衣装のような派手な服を好んで着用している。破天荒な性格で、思いついたら即行動しなければ気が済まない。両親が服飾店を経営している事から、服飾の世界に興味を持って世界を旅している。実際に自作の服を店で売っている。かわいらしい女性を見ると、自分好みの服装に着替えさせたくなるという癖を持つ。草摩昊や親しい人からは「ぴか」と呼ばれている。
草摩 千弦 (そうま ちづる)
草摩志岐と同じ中学校に通う1年生の男子。草摩響歌の弟で、短髪で目つきが悪く毒舌家。草摩家の中では常識人であり、年上の草摩睦生や草摩陸にツッコミを入れる事がある。両親の事は尊敬しているが、周囲の人たちが自分と似ていないと言う点に不満を抱いている。しかし、最近ではそれにも慣れてきており、自分らしさを見つけようとしている。三苫彩葉と初対面の時に、父親目当ての客だとカンちがいしてどなり散らしたが、それが誤解だと知ると素直にあやまり、まちがった事はきちんと認めるまじめな一面を見せた。草摩志岐とリオ・モスカと同じ学校で囲碁部に所属している。響歌からは「ちる君」、草摩昊や親しい人からは「ちづー」と呼ばれている。
真鍋 理 (まなべ みち)
海原高校に通う3年生の女子。草摩睦生のいとこで、中学生の弟がいる。ポニーテールの髪形で身長が高い。快活で姉御肌な性格で、ほかの草摩家の人たちとも仲がよく、冗談を言い合っている。草摩昊からは「みっちー」と呼ばれている。
蔭山 瑠璃子 (かげやま るりこ)
海原高校に通う2年生の女子。ロングヘアでカチューシャを付けている。お嬢様のような口調でしゃべり、動作も優雅さを漂わせている。草摩睦生をはじめとする学校内の草摩家ファン代表を自称し、草摩家の人たちに近づく者を取り締まっている。そのため、三苫彩葉が突然睦生によって生徒会役員に任命された事で彩葉に目をつけ、草摩家に必要以上に近づかないようにと、厳重注意をたびたび行っている。また、蔭山瑠璃子の母親は海原高校の出身者であり、睦生の父親のファンクラブを立ち上げて活動していた。瑠璃子はその事を誇りに思っており、過去に母親と対立していた竹井誠に敵意を抱いている。高飛車な性格ではあるもののリーダーシップがあり、周囲の女生徒からは信頼を得ており、瑠璃子自身のファンも存在する。
竹井 誠 (たけい まこと)
海原高校の男性教師。短髪を横分けにしてメガネをかけている。海原高校の卒業生で、草摩由希は後輩にあたり、当時から熱狂的なファンであった。そのため、由希の息子である草摩睦生にも尋常ではない肩入れをしており、睦生であれば不正も見逃している。蔭山瑠璃子の母親とは、高校時代に由希を取り合ったライバル関係であり、その因縁もあって瑠璃子とも睦生を巡って対立している。
花島 恵 (はなじま めぐみ)
三苫彩葉のクラスの担任を務める男性教師。黒髪の短髪で一年中黒い服を着ている。口数が少なく表情も変わらないため、ミステリアスな雰囲気を漂わせている。暴走する竹井誠をたしなめる事もある。リオ・モスカは姉の子供で、親交を深めている。
リオ・モスカ
草摩志岐と同じ中学校に通う3年生の男子。外国人とのハーフで、片言で話す。志岐と同じ囲碁部に所属しており、志岐とも仲がよく行動を共にする事が多い。
彩葉の母親 (さわのははおや)
三苫彩葉の母親。ウエーブがかったロングヘアにしている。ふだんは家にいる事はほとんどなく、不定期に家に戻ってくる。彩葉に対しては病的なほど執拗に責めるような言動をし、彩葉の交友関係やプライベートな部分も必要以上に掌握しようとしている。他人に対しては母子家庭のよき母親を演じている。彩葉の行動のすべてに難癖をつけるだけでなく、彩葉の友人に直接因縁をつけて彩葉が孤立したり、苦しんだりする様子を楽しんでいる。彩葉が友人から突然絶交されたのも、彩葉の母親が彩葉の知らないところで友人たちに言いがかりをつけたのが原因。彩葉が幼少の頃に階段から落ちた際、草摩志岐が発見した事を志岐がつき落としたと曲解し、草摩家に法外な賠償金を請求した。それによって彩葉と母親は、草摩家の人たちに名前が知れ渡る事となった。その後は、なんらかの方法で草摩家と決着をつけたが、以降は草摩の名前を聞くだけで過敏な反応を示すようになる。
草摩 由希 (そうま ゆき)
海原高校に通う本田透の同級生で、行き場所を無くした彼女に住まいを提供する。十二支の頂点とされる鼠の物の怪が憑いている。成績優秀、容姿端麗であることから、学校内にファンクラブが作られるほど。しかし本人は中性的な顔がコンプレックスで、周囲の人気にも無自覚。 また手先が不器用で、料理も下手という欠点がある。気管支炎を患っており、特に幼少期は度々発作を起こしていた。鼠に変身するとさらに病状が悪化することも。
草摩 潑春 (そうま はつはる)
牛の怪憑き。本田透より1歳年下。普段は物静かでおっとりしているが、一度キレると手がつけられないほど暴走し、荒っぽい性格になる。白髪で、生え際だけが黒いのが特徴。同じく十二支の仲間である草摩依鈴の事が好きで、相思相愛にもかかわらず別れてしまう。
集団・組織
草摩家 (そうまけ)
由緒ある一族で美形の人たちが多い。昔は「異性が抱きついたら動物に変身する呪い」があるとされ、それをひた隠しにしていたが、現在はその呪いはすべて解けている。一族の絆が非常に強く、親族同士で深い関係を築いて助け合っている。外部からの圧力や一般人からの攻撃程度なら簡単に処理できる力を持っており、彩葉の母親に因縁をつけられた時には、彼女を身のほど知らずと一族で非難していた。
ベース
書誌情報
フルーツバスケットanother 全4巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第1巻
(2016-08-19発行、 978-4592218517)
第2巻
(2017-09-20発行、 978-4592218524)
第3巻
(2019-03-20発行、 978-4592218531)
第4巻
(2022-02-18発行、 978-4592218548)