概要・あらすじ
可動機構と制御回路(作中ではマイコン)が組み込まれたプラモデルの格闘用ロボット、プラレスラー。優れた制作技術と操作能力を有する中学2年生の素形3四郎は、自ら設計して組み上げた柔王丸で、プラレスの世界に飛び込んでゆく。ライバルは次々に登場し、「プラレス選手権」の規模も急速に拡大していく。
登場人物・キャラクター
素形 3四郎 (すがた さんしろう)
中学二年生の少年。プラレスラー柔王丸の設計・製作者であり操縦者。とても小柄で、7の数字がついた赤いサンバイバーをいつもかぶっている。強い正義感を持ち、がんこで直情的な性格をしている。しかしプラモ製作技術、電子・機械工学の知識と腕は、大人顔負けである。中堅プラモメーカーのナカマプラモ社から信頼と援助を得て、柔王丸を製作した。 柔王丸に感情移入し、試合中は心をひとつにするが、他のプラレスラーも「モノ」とは考えず、ひどい破損や破壊を好まない。東京都旭町にある柔術の道場「健道館」館長の孫。幼いころに、父を研究所の爆発事故で亡くしている。吹雪今日子、山口章太とは、幼なじみ。 章太は年下のくせに、3四郎を3公と呼ぶ。
吹雪 今日子 (ふぶき きょうこ)
3四郎の祖父が館長を務める柔術道場「健道館」の師範代で、柔術の達人。3四郎より年上で、セーラー服を着ているが年齢は不明(3四郎と学校が違う)。美人で、年齢のわりにはグラマー。女手のない3四郎一家の(3四郎には妹がいるが、まだ幼い)、食事などの家事を引き受けている。 実家は寿司屋で、健道館の隣にある。当初は3四郎を応援するだけだったが、成田シノグの手助けを得て、桜姫というプラレスラーを作り、プラレス選手権に参加し、やがては柔王丸とタッグを組むまでになる。
山口 章太 (やまぐち しょうた)
3四郎の幼なじみの少年で、健道館の近所に住んでいる。ランドセルを背負っていることから、小学生と思われる。3四郎より背が低く、いつもアロハシャツを着て、フレーム一体型のサングラスをかけている。お調子者でよくしゃべるコメディリリーフ。いつの間にか、タコボーイというタコ型のプラレスラーを作り、プラレス選手権に参加していた。 なお、タコボーイはものすごく弱い。
黒崎 玄剛 (くろさき げんごう)
3四郎の初期のライバル。大型プラレスラー(400㎜)、「マッド・ハリケーン」の製作・操縦者。プラモ業界では有名な天才モデラーだが、オカッパ頭でオネエ言葉を使う黒ずくめの巨漢。年齢不詳。当初は単に実力のある嫌な奴だったが、物語が進むごとに3四郎とその仲間に対する友情が芽生え、自分のプラレスラーを犠牲にして、3四郎のために敵のデータを集めたりした。
荒巻 多作 (あらまき たさく)
3四郎の初期のライバルの一人。モデラーとしては、黒崎の兄弟子だが、柔術家で道場も経営している。道場の弟子は、同時にモデラーの弟子でもあり、大型プラレスラーの製作アシスタントや、3四郎の偵察などをさせている。モデラーとしての腕は立つが、とても卑怯。己の策に溺れることが多い。 ブラッディーX、クレイジーホース、鬼弁慶などの大型プラレスラーの製作・操縦者。コメディリリーフになることもしばしばあった。
素形 健之介 (すがた けんのすけ)
素形3四郎の祖父で、東京都旭町にある柔術道場「健道館」の館長。右目に刀の鍔で作った眼帯をつけている。長髪で口ヒゲと顎ヒゲが長く、全て白髪。3四郎が柔術の稽古に出ないでプラモデルばかり作っているのを、いつもいつも非常に怒っている。3四郎の父が実験中の事故で死んだあと、3四郎とその妹を育てている。 コメディリリーフのような登場が多いが、時々格闘技の達人らしい立派な行為やセリフが出る。
素形 健一郎 (すがた けんいちろう)
素形3四郎の父。立慶大学教授で専門は人体工学。人間の神経系とコンピュータで繋いだ義肢の研究をしており、その技術を軍事利用されることを許そうとしなかった。研究者仲間である、ペドロ・ロドリゲス教授との意見の違いを、お互いに作ったプラレスラーを戦わせ、その勝敗で決めようとしていた。 しかしその直前、健一郎は実験中の爆発事故で死んでしまう。
成田 シノグ (なりた しのぐ)
素形3四郎の同級生。作品序盤で「最近転校してきた」と語られる。前髪で左目を隠した美形の少年。腕の立つモデラーだが、ジオラマ勝負で3四郎に敗れ、それがきっかけでプラレスに興味を持つ。「リキオー」という、柔王丸にタイプが似た(軽量級だがスピード重視)プラレスラーの製作・操縦者となる。 正々堂々とした人物。今日子が桜姫を制作する際、援助や助言を行った。ある程度力をつけてところで、自分の力を試すために3四郎のライバルとなり、父から離れたルダ・ロドリゲスとタッグを組む。
ペドロ・ロドリゲス
メキシコの大学教授で工学博士。冷酷そうな目をした、口ひげの中年男。兵器産業との関係も示唆されており、戦争における戦闘シュミレーションとしてプラレスを研究してきた。各国の工学技術をスパイしてきた疑いもある。戦争が科学を進歩させる、と考え、あらゆる技術を兵器に生かそうとしている。 エル・ウラカンというプラレスラーを開発・制作しており、世界プラレスリング協会(WPWA)主催の選手権でも驚異的な成績を残している。ルダを金で買って養子にし、エル・ウラカンの操縦をさせている。素形3四郎の父である素形健一郎とは因縁があり、お互いの意見の相違をプラレスで決着させるはずだった。
ルダ・ロドリゲス
プラレスラー、エル・ウラカンの操縦者。美人だが、気が強く傲慢なメキシコ人の少女。ペドロの養女で、むかし両親に金で売られた。選手権でエル・ウラカンを操り、何度も柔王丸を追い詰めるが、ついに勝てなかった。その後のウラカンと柔王丸のストリートファイトの結果、ペドロと考え方が決裂して日本に残る。
迫水博士 (さこみずはかせ)
迫水生体工学研究所所長で人間工学の世界的権威。50-60代の長い白髪の男性。NASAと協力して宇宙作業用ロボットや宇宙作業スーツを試作している。素形3四郎に協力を依頼し、柔王丸を無重力空間で1/6の宇宙作業用ロボットと戦わせて、データを得ようとした。しかし「宇宙からの使者」と名乗る存在から脅迫を受け、大事を取って実験を中止する。
大貫 条也 (おおぬき じょうや)
音楽グループカルチャークラブのボーイ・ジョージにそっくりなプラレスラー操縦者。派手な化粧に派手な服を着た青年。執拗に素形3四郎と柔王丸へ決闘を申し込む。実は、彼は未公認「地下ガレージ・プラレス」のチャンピオンであった。「古代インド拳法」をプログラムした、六本腕の重量級プラレスラーの「キング・ボヘミアン」を操る。 終盤での3四郎のライバルの一人となる。プラレス界の闇を、かなり深くまで知っているそぶりを見せる。
御前 (ごぜん)
謎の黒幕。作品後半で、迫水博士に新技術を提供するよう脅迫したり、3四郎とその仲間たちにストリートファイトを仕掛けて傷つけるなどした組織の総元締め。豪華な椅子に座り、特殊な意匠の杖を持っているが、顔は常に黒く隠れている。3四郎の父の死の真相に、最も近い人物と思われる。
柔王丸 (じゅうおうまる)
可動機構と制御回路(作中ではマイコン)が組み込まれたプラモデルの格闘用ロボット。素形3四郎が、ナカマプラモの「プラレスラー・スタンダードタイプ」を改造して作った。身長290㎜(プラレスラーの統一スケールは1/6)。軽量級だがスピード重視で、3四郎の優れたキーボードさばきで、重量級のプラレスラーとも、対等に戦う。 物語の進行に従って進化し、装甲をセラミックにしたり、磁気に反発するリニアモーター・レッグを備えたりする。さらには音声認識システムや超LSI(現在のCPUかMPUに相当)の内蔵と、メモリー内のマクロプログラムで初歩的だが自律行動が可能になった。 終盤では、無重力にも対応し、飛行も可能でユニット着脱方式の柔王丸S(じゅうおうまるスペース)へと進化する。
集団・組織
ナカマプラモ
『プラレス3四郎』の登場集団。玩具メーカー仲間堂の子会社で、マイコン制御で動くプラモデル「プラレスラー」を発売して、流行させようとした。プラレス担当として、北村課長、中野部長などの社員がいる。作品中の看板などには「仲間プラモKK」と書かれることが多い。業界No.1の「ダイモ(大日本模型)」のほか、「ナウイ」「ナガラ」「五洋プラモ」などという競争相手の玩具(プラモデル)メーカーが存在する。