ヘヴン

ヘヴン

文明が衰退した世界で、元軍人の女性マット・デイリーと、精巧な少年型ロボットルークが事件に巻き込まれ、人間性の荒廃を垣間見る様子を描いた作品。

正式名称
ヘヴン
ふりがな
へゔん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

大きな戦争後、文明が衰退した世界。陸軍に所属していた男勝りの女性マット・デイリーは、仕事にあぶれてしまった。求職中に彼女はひょんなことから、精巧な少年型ロボットルークのオーナーとなる。マットとルークは医療刑務所に職を得るが、その中では不審な出来事が起きていた。

登場人物・キャラクター

マット・デイリー (まっとでいりー)

金髪のショートヘアーで、一見男性と見紛う容姿の女性。本名は「マーサ」。陸軍に6年間勤務していたが、新任司令官を殴って鼻の骨を折ってしまったことが原因で退職。失職中にひょんなことから、少年型ロボットルークのオーナーとなる。その後、臨時契約で医療刑務所でアシスタントとして勤務する。囚人達の様子に疑念を抱き、ルークを使ってその治療を調べ、ある秘密に気が付く。

ルーク

少年型のロボット。20数年前の戦争以前に作られた古い型で、人間と見分けがつかない精巧な作りをしている。製造番号は「LU-K5」。製作者は5をアルファベットの5番目であるEに読み替え「ルーク」と呼んでいた。横暴な男に買われたが、見かねたマット・デイリーがその男を殴り倒したので、彼女をオーナーと呼ぶようになった。マットの弟と偽って、彼女と共に医療刑務所で働くようになる。 実は、要人暗殺を目的に作られたロボットだった。

ブラウン

髭を生やした中年の男性。医療刑務所の所長。男性アシスタントを募集していたが、現れたのは女性のマット・デイリーだった。元陸軍という彼女の経歴を見込んで採用し、弟と偽って同行してきたルークと共に勤務させる。

マーク・ハーシュ (まーくはーしゅ)

眼鏡をかけた穏やかな雰囲気の青年。医療刑務所に勤務する医師。臨時のアシスタントとして雇用されたマット・デイリーとルークには、フランクな態度で接している。所内では囚人の治療の他、脳に関する研究を行っている。

ホリー

マット・デイリーの姉。ウェーブのかかった髪で、放射能による病気のため、未だ少女のような容姿をしている。マット・デイリーの祖母と共に故郷で暮らしている。マットと共に訪れた少年型ロボットのルークにお守(おもり)を渡し、「マットを頼む」と願った。

ジョン・モア (じょんもあ)

狂気を帯びた眼をした男性。マット・デイリーが勤務する医療刑務所に収監された囚人。17人を殺した稀代の殺人鬼。一般棟の囚人達をそそのかして暴動を起こす。

マット・デイリーの祖母 (まっとでいりーのそぼ)

マット・デイリーの祖母。故郷でマットの姉ホリーと暮らしている。マットと共に家を訪れた少年型ロボットのルークが訪れた際には、「男は若い方がいい」と言って気さくに迎えた。

クリス・ディヴィス (くりすでぃゔぃす)

長い黒髪を後ろでまとめた男性。陸軍に所属する中佐で、マット・デイリーと同じ部隊に勤務していた。彼女を「サージ」(軍曹)と呼ぶ。マットと同僚だった際には数々のミスを犯したが、父親が国防省の長官という要職にいたため全てマットのミスとされていた。そのため、彼女からは忌み嫌われている。故郷にいたマットを訪ね、ある仕事を依頼する。

マイケル・コリンズ (まいけるこりんず)

16歳の少年。シンクタンクであるエクソン社の社長・コリンズの息子。天才少年で、水道から大砲まで作ると言われている。一ヶ月前に行方不明となったが、過激派テロ組織ARLAのグループと一緒にいるところを目撃された。陸軍中佐のクリス・ディヴィスは、かつての同僚マット・デイリーに彼の救出を依頼する。

トム・グレナン (とむぐれなん)

金髪の男性。マット・デイリーの陸軍時代の同僚で、戦闘中にマットが危険に晒された際、彼女を助けたことがある。軍の物資を横流しして辞めさせられた後、捕まった人間の保釈金を立て替える「保釈金融業」に従事しているという。仕事にあぶれていたマットに連絡し、取り立ての仕事を依頼する。

クリス・ディヴィスの父 (くりすでぃゔぃすのちち)

陸軍中佐クリス・ディヴィスの父親。国防省長官の地位にある。マット・デイリーは従軍時代、この父の計らいによってクリスのミスを押し付けられ、出世できなかった。

コリンズ

禿げ上がった頭に眼鏡をかけた壮年の男性。兵器開発も手掛けるシンクタンク・エクソン社の社長。社内では遺伝子を研究するグループを組織している。陸軍とも深く関与しており、行方不明となった息子のマイケル・コリンズの捜索を、軍の中佐クリス・ディヴィスがマット・デイリーに依頼する。

集団・組織

ARLA (えーあーるえるえー)

アノストス共和国からの民族独立を目指す過激派テロ組織。マット・デイリーが住む国は、かつてアノストス共和国と敵対関係にあり、この組織を密かに支援していた。しかしその後両国が友好関係になったことから、支援していた事実は伏せられている。

場所

医療刑務所 (いりょうけいむしょ)

マット・デイリーと、少年型ロボットのルークが勤務することになる機関。世間では「天国」とも呼ばれている。収監された囚人は、どんなに気性が荒くても治療を受けると従順になる。また、囚人達は事故死が多い。こうした点に不審を抱いたマットは、ルークに命じて密かに調査する。

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