概要・あらすじ
学はある晩出会った屋敷の主に、自分の未来と彼の全財産の交換を持ち掛けられる。冗談半分でそれを受けた学だったが、屋敷の主はそれを本当に実行してしまう。人格の入れ替えをテーマに、生きることの意味、素晴らしさを描いたSF短編。
登場人物・キャラクター
学 (まなぶ)
メガネをかけた男子中学生。人生の成功者を目指して寝る間も惜しんで勉強に励んでいたが、父の勤めていた工場が倒産し、経済的に進学の道が閉ざされてしまう。自暴自棄の状態で夜の町をさまよっていると、通学路でいつも目にする大きな屋敷の扉が開いているのを見つける。好奇心で侵入した屋敷の中で彼は屋敷の主と出会い、自分の全財産と学の未来を交換しないかと持ち掛けられる。 冗談半分で学は契約書にサインをしてしまうが、屋敷の主はそれを本当に実行してしまう。
屋敷の主 (やしきのあるじ)
学の通学路にある大きな屋敷の住人ヒゲ面にサングラスをかけた老人で、大脳生理学者。地位、名誉、財産全てを持っている学が言うところの「人生の成功者」。しかし年老い、余命数か月と宣告された今、その人生が果たして良かったのかと疑問を感じている。ある日、自分の屋敷の敷地内に侵入した学と出会う。 そしてその時、かねてから計画していた人格交換を実行するのだった。学の若々しい体を手に入れた屋敷の主は、学に成り済まし、新しい人生を謳歌し始める。
屋敷の執事 (やしきのしつじ)
老いと病のため満足に動けない屋敷の主のため身の回りの世話をしている長身、初老の男性。学と屋敷の主が人格を交換した後も行動は変わらず、屋敷の主の体を少しでも長生きさせ、残りの人生を有意義に過ごせるよう、手を尽くす。
その他キーワード
人格交換 (じんかくこうかん)
学は自分の未来と屋敷の主の全財産を交換する契約書にサインしてしまう。学は冗談半分に受け取っていたが、屋敷の主は人格交換という方法で、本当に実行してしまう。屋敷内に設置された巨大な機械を使って人格交換はあっけなく行われた。それは、体に傷一つ付けることなく、脳内の情報を全てを入れ替えるというものだった。