マイガール

マイガール

かつての恋人の葬儀で、突然自分に子供がいると知らされた笠間正宗。その娘と出会った正宗が、だんだん互いを信頼し、家族になっていく。新潮社「週刊コミックバンチ」2006年25号から2010年38号にかけて掲載された作品。2009年10月には、テレビ朝日系列にて相葉雅紀主演で実写ドラマ化もされている。

正式名称
マイガール
ふりがな
まいがーる
作者
ジャンル
家族
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あらすじ

第1巻

笠間正宗は、高校の時の彼女でその後海外留学に行ってしまった塚本陽子の事を、5年も忘れられず引きずっていた。そんなある日、田舎町で地味に働いていた正宗のもとに陽子の訃報が届く。陽子の葬儀の場へ向かった正宗は、そこで陽子の母親から、彼女には5歳になる娘がおり、その父親が自分である事を告げられる。正宗は戸惑ってその場を立ち去るが、偶然、陽子の娘、笠間コハルと出遭う。正宗は、コハルが持っていた、陽子が自分に宛てた手紙を読み、陽子が迷惑をかけないようコハルの事を黙っていた事を知る。陽子の真意を知った正宗は、コハルを引き取る事を決意。こうして正宗はコハルとの共同生活を始め、陽子を失った喪失感をコハルとの生活で少しずつ埋めていく。コハルとの生活に慣れて来た頃、正宗はようやくコハルの事を両親に話すが、正宗の母親はコハルを引き取った事に猛反発するのだった。正宗はいったんその場を引き下がるものの、ある日体調を崩してしまい、コハルを幼稚園に送るために、仕方なく母親に送迎を頼む事になってしまう。

第2巻

笠間正宗との生活を始めて1年を迎え、笠間コハルは小学校に通い始めた。コハルは同じクラスの吉田カンナと友達になり、カンナの姉の吉田アンナとも知り合う。そんな中、コハルはアンナが妊娠したかもしれず、さらに子供を産みたがっていない姿を見て、自分を一人で産んだ母親の塚本陽子はどんな気持ちだったのかと考え込む。一方のアンナは正宗に妊娠について相談をしていたが、ついに彼氏と両親に妊娠の事を知られてしまう。ショックを受けたアンナの父親が家出するなどのトラブルがありながらも、やがて妊娠が早とちりであった事が判明。事態が一件落着したあと、正宗は悩んでいるコハルに対し、コハルが陽子にとって特別な存在であった事を伝えるのだった。後日、コハルは亡くなった母親の陽子の幼い頃の写真を見て、陽子と同じような服装で写真を撮りたいと考える。その写真の陽子の服装はある進学校の制服で、コハルは正宗に勧められてその学校の入学受験を受ける事を決める。だが、学費を何とかしようと仕事に励む正宗は、なかなか成果を出せずに徐々に追い詰められていく。

第3巻

小学校3年生になった笠間コハルは、母親の塚本陽子がかつて通っていた中学に進学するために、塾に通おうとしていた。自分に自信の持てない笠間正宗は、毎日努力するコハルの姿に嫉妬している事に気づく。そんな中、正宗はコハルが通う小学校の運動会のリレーに出る事になった。走る事が苦手な正宗は、代わりの人に走ってもらおうとするが、それを知ったコハルは大いに落胆する。そんなある夜、正宗は、会社で不採用になった企画書がコハルによって保管されている事に気づく。コハルががんばる理由は、どんなに失敗しても仕事に励む正宗の姿を見ていたからだったのである。それを知った正宗は、運動会に向けてトレーニングに励む。そして迎えた運動会当日、正宗は何とか無事にリレーを終える事に成功するのだった。そんな中、コハルはようやく入塾テストに合格するが、そこで、幼稚園時代に喧嘩したと再会する。両親の離婚という問題を抱える秋は、正宗とコハルの関係に嫉妬して再びコハルと喧嘩してしまう。秋が親の事で悩んでいる事を知ったコハルは、彼の父親を一人で訪ねる事にする。

第4巻

笠間コハルは、母親の塚本陽子によく似た、クリーニング店で働く由紗という女性と知り合う。由紗に会いたがっているコハルを見た笠間正宗は、洗濯機が壊れた事を理由にコハルにクリーニング店へのお使いを頼む。以降、コハルは由紗と会うのを楽しみにするようになり、正宗はそんなコハルの姿に複雑な思いを募らせる。だがある日、コハルは本当は洗濯機が壊れていないという事に気づく。正宗はコハルにウソをついていた事を謝罪するが、一方のコハルも正宗の気遣いを知って礼を言い、二人は改めてお互いの大切さを認識するのだった。そんなある日、庭の草むしりをしていた正宗は、熱中症で倒れてしまう。たまたま通りがかった人に助けてもらって難を逃れたものの、コハルは倒れた正宗を見て何もできなかった自分にショックを受ける。これをきっかけに、コハルは正宗に新しいママを探して結婚してほしいと頼む。しかしそれは、陽子の事を忘れられない正宗がずっと避けて来た事だった。

第5巻

笠間正宗は、職場の同僚の片桐と付き合い始めた。正宗と片桐はぎこちなくも二人の時間を過ごしていき、ついにコハルに付き合っている事を打ち明ける。コハルは最初は戸惑うも、片桐の優しさに触れて徐々に打ち解けていく。しかし一方の片桐は、逆に正宗とコハルが塚本陽子の事を忘れられないのではないかと、少しずつ不安を募らせるようになる。やがて片桐は正宗を避け始め、正宗の陽子への思いの強さを知って完全に身を引いてしまう。こうして二人が別れた事にショックを受けたコハルは、片桐に別れたのは自分のせいなのかと尋ねる。片桐はコハルにそんな事はないと諭し、その場をあとにするが、コハルはそのまま帰らずに家出してしまう。コハルの家出に気づいた正宗は、周囲の人に助けてもらいながら必死にコハルを捜索するが、なかなか彼女を見つける事ができない。すると、自分の不甲斐なさに落ち込む正宗のもとに、片桐が訪ねて来る。

登場人物・キャラクター

笠間 正宗 (かざままさむね)

文具製作メーカー・宮本文具堂に勤め、企画部に所属している。真面目で穏やかな性格で、他人に対して優しすぎるため、良いように利用されることも多い。幼い頃から眼鏡を使用している。事故で亡くなった元恋人・塚本陽子の葬儀に訪れると、彼女との間に子供がいたことを初めて知らされた。 後日、本人がやってきて、一緒に生活を送ることとなり、彼女を笠間コハルとして正式に認知。陽子が亡くなってからも愛し続けている。コハルとの同居が始まると、良い父親になろうと努力を重ねるも、当初は空回りすることもしばしばだった。料理をはじめとした家事は得意で、コハルの髪を結うことも難なくこなす。

笠間 コハル (かざま こはる)

笠間正宗と塚本陽子の間に生まれた一人娘。陽子のる留学先で生まれた。陽子の死後、日本にいる正宗の家に住むようになる。その際、姓も笠間に変わった。他人を思いやることの出来る、心優しい素直な女の子。海外の地で、女手一つで自身を育ててきた陽子を見てきた影響で、わがままもほとんど言わない。 一方で、周囲を困らせる人に対してははっきり意見をいうこともある。正宗と同居後もしばらくは父親であることを知らされず、母親である陽子と同じく「正宗くん」という呼び方をしていた。

塚本 陽子 (つかもとようこ)

笠間正宗の元恋人。以前正宗の通う高校の付属大学に通っており、そこの図書室で出会い、付き合うようになった。しかし、海外留学することを理由に別れ話を切り出す。その時点ですでに妊娠しており、真面目な性格の正宗に迷惑をかけたくないという思いからの別れ話だった。留学渡航先でコハルを出産、5歳になるまで学業に励みながら女手一つで育てるが、突然の事故に遭い、帰らぬ人となる。 結局、コハルに対して父親である正宗のことを話すことはなかった。周りから心配されることを嫌い、気を張って明るく振舞っている強がりな性格。

(しゅう)

笠間コハルと同じ幼稚園に通う男の子。本当はとても繊細で寂しがり屋な性格であることを隠すために、わざと憎まれ口を利いてしまう。両親は別居しており、現在は父親と二人暮らしをしている。親と一緒にいる時間が少なく、1人で食事をすることも多い。そのため、仲の良い笠間親子のことを内心では羨ましがっている。

吉田 カンナ (よしだ かんな)

笠間コハルの小学校時代の同級生。幼稚園でいじめを受けた経験があり、その影響で小学校では人とほとんど話さない、無愛想な性格になった。普段は人形を話し相手にしており、家はもちろん学校にも人形を持ち込んで手放さない。やがてコハルと仲良くなると、その後は家族ぐるみで盛んに交流するようになる。

吉田 アンナ (よしだ あんな)

吉田カンナの姉で、保護者のような存在。カンナを通じて笠間正宗とも交流を持つようになる。登場時は高校生だったが、やがて卒業。以前から付き合い続けていた男性と結婚し、男の子を出産した。

由紗 (ゆさ)

親から継いだ木ノ内クリーニング店を経営し、笠間家はしばしば同店を利用。笠間コハルは由紗に塚本陽子の面影を重ねており、母親のように懐いている。家業を継いだばかりのころは慣れないことが多く不安だったが、笠間親子と触れ合ううちに周囲を見る心の余裕が生まれ、ポジティブに変化していった。

工藤 (くどう)

笠間正宗が勤める宮本文具堂の先輩。面倒事を嫌う性格。普段は口が悪く、軽い言動も目立つが、笠間コハルの心中を察し、優しくする一幕もある。お調子者でどんなときでも明るく振る舞うが、これは親に心配をさせたくないという幼少期に培った教訓から来ている。キャバクラが好きで、正宗を度々誘る。

松下 (まつした)

笠間正宗が勤める宮本文具堂の先輩。20代後半の女性。将来に不安を感じているため結婚願望が強い。そのためお見合いの機会を設けるよう、親戚にも頼んでいる。そして実際に決まったお見合いに臨むが、偶然にもその場に現れたのは正宗だった。

片桐 (かたぎり)

笠間正宗が勤める宮本文具堂の後輩。20代前半の女性。入社したばかりのころから正宗に好意を抱いていたが、塚本陽子のことを想い続ける正宗の姿や、笠間コハルの存在が気がかりとなり、自分の気持ちを口にすることはなかった。しかし、引っ越しをすることになった際、正宗から告白され付き合うことになる。

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