概要・あらすじ
高校2年生の保坂マリは、今ネットで一番人気のミュージシャンだと友達に碧の動画を見せられる。かっこいいねと友達に話を合わせるマリだったが、実はイケメンにもミュージシャンにもまったく興味がなかった。なぜなら、彼女の父親は売れないイケメンミュージシャンで、父の浮気が原因で離婚した母は、昼夜問わず働いて女手一つでマリを育てたからだ。苦労してたくましく貫禄のある女性になってしまった母のようにはなりたくない。そう思っていたマリは、浮気をするイケメンや収入不安定なミュージシャンなど異性として眼中になかった。マリの理想は堅実な仕事をする高収入な中年男性で、20歳までに専業主婦になって旦那様の世話をして暮らすことがマリの夢だ。打算的なマリはどこで誰が見染めてくれるかわからないため、友達にも先生にもご近所にも猫をかぶり、淑やかで賢い上品な女性を演じていた。母親の代わりに家事を担当しているマリは、しょうゆをきらしていたため、買い物に出かけた。その時、小さい子供と赤ちゃんを連れた近所のお母さんが困っていたので、マリは赤ちゃんを見ていることにする。突然赤ちゃんが泣き出したため、「赤ちゃんの面倒もみられないのか」と近所の評判を落としたくなかったマリは子守唄を歌うと、赤ちゃんは泣きやんだ。すると、偶然近くでその歌声を聞いていたミュージシャンの碧が、マリの歌声を気に入り、自分の曲のボーカルになってくれと言い出した。マリは丁寧に断るものの、翌日マリを尾けて家に上がり込んだ碧は「20歳までに専業主婦になる」というマリの目標を書いた貼り紙を見て「俺がマリと結婚してやるよ」と上から目線で自分勝手に話し出し、「生理的に無理かどうかキスをしてみよう」とマリにせまる。ブチ切れたマリは「コイツに猫をかぶる必要はなし」と判断し、碧のアゴに頭突きをして「ミュージシャンなんてカス」と口汚く罵った。母親以外に初めて自分の本性をさらしたマリは、腹が減って餓死しそうだという碧に仕方なくうどんを出し「食い終わったら、早く帰れ!」と碧を追い出した。そんなある日、大学の学園祭に未来の旦那様を探しに来たマリは、学祭ゲストのアイドル「ミ~ナ」にウソをつかれ、ケガをさせた加害者にされてしまう。せっかく築き上げた評判を一瞬にして落としてしまったマリが、友達にも信じてもらえずに落ち込んでいると、碧はマリの主張を聞いてくれた。そして「評判を取り返してきてやる」と言ってステージに上がる碧。彼のステージは観客を魅了し、ウソをついていたアイドルのマネージャーに真実を告げさせた。自分の本性を知っても助けてくれた碧にほだされかけたマリだったが、不意打ちでキスをされ、さらに碧を口汚く罵った音声の録音データを聞かされる。こうしてマリはその録音データで脅されて、碧の曲のボーカルをやることになってしまう。
登場人物・キャラクター
保坂 マリ (ほさか まり)
16歳の高校2年生の女の子。肩までの長さの髪は、段差がついていて少し内巻きになっている。父は売れないイケメンミュージシャンで、浮気をして母と離婚したため、父とは真逆の堅実で高収入の男性と結婚し、20歳までに専業主婦になるのが夢。そのため、いつも世間の評判を気にしており、優しく穏やかな清純派の優等生を演じている。実際は口が悪く、乱暴者で腹黒い。働く母の代わりに家の家事を担う。歌が上手。
碧 (あおい)
若者に人気のイケメンミュージシャン。ネットを中心に活動しており、テレビにはあまり出ない。前髪は長めでピアスをしており、長身で細身。自分で曲を作って歌っていたが、保坂マリの歌声に惚れ込んでスカウトする。自己中心的で、強引な策士。音楽のためならほかのことはどうでもよく、マリが自分の曲を歌ってくれるなら結婚くらい安いものという考えの持ち主。