あらすじ
第1巻
あこがれだった高校に入学した鈴宮凛は、小学校時代に苦手意識を抱いていた坂本諭吉と校内で再会する。突然の展開に動揺した凛は諭吉に言われるがまま、婚姻届にサインしてしまう。あとから大変なことをしてしまったと後悔する凛に対して、諭吉は今度の土曜日を空けておくようにと、一方的に命じる。迎えた当日、このままでは小学校時代と同じく諭吉に振り回されてばかりだと危機感を抱いた凛は、昔から苦手だったと諭吉に正直な気持ちを伝える。そんな凛に対して諭吉は、卒業までの3年のあいだに自分から離れたら、婚姻届を提出すると言い放ち、いっしょに行動するように脅す。(第1話。ほか、4エピソード収録)
第2巻
坂本諭吉と鈴宮凛は、不可抗力とはいえ二人きりで一晩を過ごしたり、遊園地でグループデートをしたりと、以前より確実に距離を縮めていた。同時に諭吉は、凛が山岳部で佐和田顕と親しくしているところに割って入るなど、凛への好意を積極的にアピールしていた。目黒をはじめ、周囲も諭吉の凛に対する恋心に気づき始めるが、肝心の凛は鈍感なこともあり、まったく気に留めていない。そんなある日、凛は生徒会室で小鳥遊と二人きりになる。小鳥遊は金庫を指し、この中に凛が記入した婚姻届が入っていると暴露する。それを知った凛は小鳥遊との会話の中で、自分が諭吉といっしょにいるのは、婚姻届を返してもらうためだと真実を口にしてしまう。その場面を偶然目撃した諭吉は、友情すら感じてもらっていない事実にショックを受け、凛に婚姻届を突き返す。(第8話。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
鈴宮 凛 (すずみや りん)
中高一貫校に高等部から入学した、高校1年生の女子。年齢は15歳。山岳部に所属にしている。同じ山岳部の佐和田顕と出身中学校が同じだが、入部するまで特に接点はなかった。困った人を放っておけない世話好きな性格ながら、天然かつ鈍感なことから悪意ある人物には都合よく扱われていても、鈴宮凛本人はまったく気づいていない。そのため、一人でトラブルを抱えてしまいがちな傾向がある。小学校時代、そんな鈴宮凛を放っておけないと感じた坂本諭吉に手助けされたものの、凛自身は圧をかけられているとカンちがいをし、苦手意識を抱くようになった。また、小学校時代から現在に至るまで、諭吉から恋心を寄せられていることにも気づいていない。高校で諭吉と再会し、動揺しているあいだに言葉巧みに婚姻届を書かされてしまう。さらに諭吉から、卒業までの3年のあいだに自分から離れたら、婚姻届を提出すると脅しを受け、内心反発をしながらも素直に従っている。一方で、諭吉といっしょの時間を過ごすうちに、本当は優しい人なのではないかと考えを改めるようになっていく。親しい友達からは「りんりん」と呼ばれている。
坂本 諭吉 (さかもと ゆきち)
中高一貫校に中等部から通っている、高校1年生の男子。年齢は15歳。文武両道のイケメンで、入学当時から生徒会長を務めている。何もしなくても目立つ存在ではあるものの笑顔をまったく見せることがない。そのため周囲からは近寄りがたい印象を抱かれており、冷酷な人間だと誤解を受けることも多いが、坂本諭吉本人はまったく気にしていない。小学校の頃から鈴宮凛に片思いをしており、凛が高等部に入学したことをきっかけに再び接近する。昔から天然気味で鈍感な凛の助けになりたいと手助けしていたが、真意がまったく届いておらず、むしろ苦手意識を抱かれている。諭吉自身の恋を成就させるため、凛が自分と再会して動揺しているあいだに婚姻届を書かせ、卒業までの3年のあいだに自分から離れたら、婚姻届を提出すると脅しをかけている。凛が所属していることから、山岳部に仮入部している。
佐和田 顕 (さわだ あき)
中高一貫校に高等部から入学した、高校1年生の男子。年齢は15歳。鈴宮凛と同じく山岳部に所属している。凛とは同じ中学校出身ではあるものの、当時は特に接点はなく、山岳部の活動を通して親しくなった。優しい性格で面倒見もいいが、口数が極端に少ない。自分について語ることも少なく、ミステリアスな雰囲気を漂わせている。ボルダリング施設でアルバイトをしており、空き時間に佐和田顕自身もトレーニングしているため、細身ながらも筋肉質な体形をしている。また、一時期アルバイトを介して知り合った年上の女性と交際していた過去もあり、目黒からは「カースト上位の匂いがする男」と軽口を叩かれている。
目黒 (めぐろ)
中高一貫校に中等部から通っている、高校1年生の男子。年齢は15歳。鈴宮凛と同じく山岳部に所属している。高等部から入学してきた凛を山岳部に勧誘し、以降親しくしている。アウトドアが好きな活発な性格で、凛が入部する前までは女子一人で活動をしていた。小鳥遊に4年間片思いをしており、凛と同じく交際経験はない。山岳部の部員たちからは「めぐちゃん」と呼ばれている。
小鳥遊 (たかなし)
中高一貫校に中等部から通っている、高校1年生の男子。年齢は15歳。穏やかで大人びた雰囲気を漂わせた美少年で、眼鏡をかけている。生徒会副会長を務めており、学校内では坂本諭吉といっしょに行動することが多い。非常に有能な人物で、諭吉からは憎まれ口を叩かれつつも信頼を寄せられている。目黒から好意を寄せられているが、ほとんど接点を持ったことがないので気づいていない。苗字を知らない鈴宮凛からは「副会長」と呼ばれている。
鈴宮 廉 (すずみや れん)
中学生の男子で、鈴宮凛の弟。凛と同じ中高一貫校の中等部に在籍している。中学校生活を謳歌しており、日々の出来事を凛にたびたび話したことにより、凛が同じ学校の高等部に入学するきっかけをつくった。凛が坂本諭吉に苦手意識を抱いていることを知っているため、学校内で嫌な思いをしているのではないかと心配をしている。顔立ちは凛と瓜二つ。
集団・組織
山岳部 (さんがくぶ)
鈴宮凛たちが所属する部活動。学校の近くに山がないため、放課後は学校内で体力づくりをしたり、テント設営や天気図を書く練習をしたりしている。年に数回キャンプを行い、日頃の活動を振り返っている。緩い雰囲気の部活動で、部員同士の仲もいい。
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