東京闇虫

東京闇虫

本作のプロトタイプ読み切りでデビューした作者・本田優貴の初連載作品。多額の借金を背負った青年が、返済と引き換えに裏社会のビジネスに手を染めてゆくピカレスクロマン。闇金やカード詐欺、ネットカフェ難民や新興宗教など実社会の犯罪や事件をモチーフにしている。登場人物のほとんどは裏社会に生きるモラルの無い者たち。白泉社「ヤングアニマル」2010年17号から2013年2号まで連載。続編に『東京闇虫 -2nd scenario-パンドラ』がある。2013年9月28日実写映画化。

正式名称
東京闇虫
ふりがな
とうきょうやみむし
作者
ジャンル
犯罪
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概要・あらすじ

大阪で一人暮らす23歳の青年加藤は、無計画に重ねた借金が返済不能な多額となっていた。ある晩、債権回収屋に拉致された加藤は、東京に連れて行かれ、あらゆる闇ビジネスに手を染める浅村という男と出会う。浅村加藤に、借金を肩代わりしてやる代わりに自分の下で働けと告げる。この世界に足を踏み入れたら戻れなくなると危険を感じる加藤だったが、浅村のカリスマ性に次第に惹かれてゆき、また実際に手にする現金の多さに心奪われ、深みへとはまり込んでゆく。

登場人物・キャラクター

加藤 亮 (かとう りょう)

大阪在住の青年。23歳。関西弁を使う。無職・無資格・無免許。人生設計をろくに考えず無意味に借金を繰り返し、285万円もの負債を抱えてしまった。債権回収屋に拉致され東京に運ばれ、謎の男・浅村と出会った。新宿のネットカフェに住み込み、浅村の下で違法な稼業に手を染めることになる。 当初は仕事を引き受けるふりをして逃げ出そうと考えていたが、カリスマ的な浅村の人柄に魅力を感じるようになる。本腰を入れて裏ビジネスに邁進してゆくが、様々なトラブルに見舞われ、何度も絶体絶命の危機に直面することとなる。

浅村 (あさむら)

長髪に髭をはやした細身の男。闇のように暗い目が印象的。闇金・偽造・ドラッグ・詐欺・裏カジノなどあらゆる裏の世界の稼業に手を染めている。新宿のネットカフェを拠点として活動中。加藤の借金を肩代わりしてやり、返済のため仕事を斡旋してやる。特定のヤクザ組織に属しているわけではなく、一定額を収めることで裏商売を自由に行なっているらしい。 一見すると怖くなくむしろ柔和だが、心の奥に凄味を隠し持っている。人心掌握術にも長けており、強いカリスマ性を持つ。

田中 雄一 (たなか ゆういち)

安アパートに住む男性。闇金から15万円借りたが返済を滞らせ、借金は94万円にまで膨れ上がっている。違法な借金を返済する必要はないと考えており、浅村の指令で借金回収に訪れた加藤に対しても無い袖は振れぬと、取り付く島もない。

石橋 (いしばし)

新宿のとあるマンションを拠点とするヤクザの組長。中年太りした男。浅村に300万円で時計を卸したが、それは偽物だった。そのため浅村と交渉が決裂し、金の運び役だった加藤を捕らえようとするが、マンション屋上に火を放たれ、逃げられた。ヤクザとしての面目をつぶされた形となった。

愛場 (あいば)

浅村から仕事を受けている男。裏稼業でのし上がることを目標にしており、浅村のことを内心では目障りだと思っている。浅村の人脈やノウハウを盗んで立場を逆転させようともくろんでいる。チンピラの若者たちを配下に「愛場帝国」を組織し、ドラッグ密売などを行なわせている。浅村に心酔する加藤のことを毛嫌いし、「関西バカ」と呼んで見下していたが、ヤクザの鯖田に監禁されたところを加藤に救出してもらい、命拾いした。

鯖田 (さばた)

ヤクザの若手組員。短髪で冷酷な目つき。サソリ柄のジャージを常に着ている。人を殺すのも躊躇しない武闘派。自分たち若手を差し置いて組長と取引して自由にビジネスを行なう浅村のことを目の敵にしている。自分たちのシマでドラッグ密売をしていた愛場を拉致して痛めつけていたところを加藤に救出され、激しい怒りに燃える。

野本 大介 (のもと だいすけ)

工場勤務、実家暮らしの男性。小太りでさえない顔つき。萌えアニメやアイドルのおたくであり、最近はメロンという地下アイドルに夢中。彼女の勤務するメイドカフェに通い詰めている。メロンにプレゼントしたり引っ越しの費用や学費まで払ってやり、そのせいで120万円もの借金を負っている。 愛場や加藤から借金返済を迫られるが、現実逃避して逃げ回るばかり。

小田 正剛 (おだ せいごう)

加藤の学生時代の友達。東京に出てきて裏稼業に手を染め、ヤクザ・鯖田の手下となり、老人相手のカード詐欺を繰り返している。偶然再会した加藤を裏ビジネスの仲間に勧誘する。浅村の下で働くより多額の金を得られることを知った加藤は小田と二人で荒稼ぎをするが、計画のひとつを失敗し、ペナルティとして鯖田から1000万円もの大金を要求されてしまう。

蒼井 さくら (あおい さくら)

ヤクザ・鯖田に納める500万円の金策に困った加藤がWEBのチャットサービスで出会った。3万円支払うのですぐ会いたいと言われたので、おそらく好色な女性なのだろうと思い加藤は彼女とホテルに入ったが、さくらは実はサディストの男性だった。職業は不明だが高級マンションに住み、裕福な生活を送っているらしい。 加藤のことを気に入ったさくらは500万円を貸し、その代わりに金額分だけ愛してほしいと要求する。

関川 国男 (せきかわ くにお)

山奥にある「国男ハウス」と称する施設の所長。常に不自然な笑顔を浮かべ、ハイテンションな中年男性。筋骨隆々としており、常人離れした体力の持ち主。弁舌も巧みで迫力があり、カリスマ性を持つ。国男ハウスとは表向きは派遣業や地域のためのボランティアを手伝う更生施設だが、国男が圧倒的な暴力とカリスマ性で所員を洗脳し、利益を独占している。 施設に集められるのは他に行き場のない者たちばかりで、死んだ際にも施設内で秘密裏に処理される。

川本 光一 (かわもと こういち)

国男ハウスに入所している青年。黒ぶちメガネにニキビ面。連行されてきた加藤と共同生活のペアを組まされる。一見従順でおとなしい青年だが、施設からの脱出を虎視眈々と狙っており、国男の財産を奪い取って逃亡する計画に加藤を誘い込む。

関川 寧々 (せきかわ ねね)

黒髪ショートカットの女性。関川国男の妻であるようだが、国男に支配される生活に嫌気がさしており、川本光一と密通し、国男の資金を奪ってからの施設脱出計画をもくろんでいる。一番の目的は金を手に入れること。

29番 (にじゅうきゅうばん)

浅村の支配下にあり、ネットカフェに常駐している男。筋肉ダルマの大男で、パンツ一丁。本名は不明で、ネットカフェの部屋番号で呼ばれている。アニメおたくであるらしいこと以外、経歴など一切不明。

続編

東京闇虫 -2nd scenario-パンドラ (とうきょうやみむし せかんどしなりお ぱんどら)

作者・本田優貴の代表作『東京闇虫』の続編。現代東京の闇社会が主な舞台。理不尽な上司や社会に対してガマンを重ねながら真っ当な人生を送る、25歳のサラリーマン・野々宮孝が主人公。謎の男・浅村秀信や、17歳... 関連ページ:東京闇虫 -2nd scenario-パンドラ

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