鑑定眼 もっとも高価な死に方

鑑定眼 もっとも高価な死に方

警備員として働く男性の野見大助は、他人の人生を羨むあまり、見ただけで物の値段が判別できるという特殊な能力の持ち主。裏社会に精通する住職の久我の自宅に押し込んだ窃盗犯を見逃したことをきっかけに、自らも犯罪に手を染めるようになり犯罪の才能を開花させていく大助の姿を描いたサスペンス。「モーニング」2021年35号から掲載の作品。

正式名称
鑑定眼 もっとも高価な死に方
ふりがな
かんていがん もっともこうかなしにかた
原作者
楠本 寬樹
作画
ジャンル
犯罪
 
サスペンス
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊4巻
関連商品
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あらすじ

久我との出会い編

警備員として働く男性の野見大助は、ある日、空き巣が入ったという自動緊急発報を受けて見回りに訪れた豪邸で、犯人の田中邦雄に刺されてしまう。他人と自分の人生を比べるうちに、相手の所持品を見るだけでその値段を判別できる特殊な能力を持っている大助は、邦雄のみすぼらしい姿に同情し、犯行を見逃すことにする。しかし不思議なことに、豪邸の持ち主である久我は、1億5000万円もの現金が盗まれたにもかかわらず、その事実を警察には伏せていた。そんな中、傷の手当てと経過観察のために入院していた大助のもとに久我が現れ、現金を盗んだのはお前かと拷問を始める。そして、大助が窃盗犯ではないと知ると、久我は大助を薬殺しようとする。しかし大助が、自らが警備する予定になっている5億円を運ぶ現金輸送車を強奪することを提案したことで、久我は大助の殺害を思い留まる。

現金輸送車強盗実行編

空き巣犯の田中邦雄久我に捕らえられたことで、予定していた現金輸送車強盗の計画は白紙に戻る。しかし、なにかと他人を見下す久我の態度に怒りを覚えた野見大助は、邦雄とその知人の小林水巻と共に現金輸送車強盗を実行することを決める。大助の犯行は計画どおりに進んでいくが、警備助手の岩倉が大助の犯行を目撃してしまったため、口封じに殺害されることとなった。多少のトラブルはありつつも5億円を奪取することに成功した大助たちだったが、今度は小林が死体で発見され、水巻が5億円を持って姿をくらましてしまう。そんな中、水巻と5億円の所在を探っていた大助の前に現れたのは、犯罪組織「食蟻獣(アリクイ)」のリーダー、本城愁だった。そして大助は、田中に久我の金を盗ませた首謀者が愁であることを確信する。

登場人物・キャラクター

野見 大助 (のみ だいすけ)

警備員の男性。短髪にパーマをかけている。年齢は29歳。さまざまな警備資格を持っているため、警備会社では重宝がられている。自分の人生を「そこそこ幸せで、そこそこ不幸」だと評している。他人の幸せを羨むあまり値段ばかり詳しくなってしまい、見ただけで物の値段を判別できるようになった。値段がわかるだけでなく観察力も優れており、紙袋の膨らみからその中身を、床の状態からすべりやすさを推察できる。久我の自宅に空き巣が入ったという自動緊急発報を受け、見回りに訪れた際に犯人の田中邦雄に刺されるが、邦雄の様子からその不幸な身の上を察して見逃し、犯人の容姿についてもウソの証言をしている。しかし、それが原因で久我に殺されそうになり、久我に野見大助自身が警備を担当する5億円以上の現金を運ぶ輸送車を襲うことを提案した。

久我 (くが)

住職の男性。サウナやボウリング場も経営している。黒髪を真ん中分けにし、前髪だけを長く伸ばしている。ふだんは誰に対しても柔和な態度で接しているため女性にも人気があるが、ヤクザを雇って拷問を行わせたりと、裏社会に精通している。自宅は10億円の豪邸で、空き巣犯の田中邦雄に1億5000千万円もの現金が盗まれながらも、公にできない金だったことから警察には被害届けを出していない。警備に駆けつけた野見大助が現金を盗んだのではないかと考え、大助に暴行を加えたあと、殺害しようとした。だが大助から現金輸送車強盗を持ちかけられ、殺害を思い留まる。

岩倉 (いわくら)

野見大助と同じ警備会社で警備員を務める男性。白髪をベリーショートヘアにしている。年齢は57歳。2年前に妻を亡くしてからサラリーマンを辞め、真逆の仕事に就こうと考えて警備員となった。基本的に簡単な警備しか任されていなかったが、運搬警備業務の資格を取ったことで、野見大助と共に現金輸送車の警備を担当することになった。

川野 (かわの)

野見大助が務める警備会社の所長を務める男性。黒髪を角刈りにしている。守銭奴で、複数の警備資格を持っている大助をこき使っている。しかし大助がニュースで取り上げられたことで、警備会社が繁盛すると無邪気に喜んだり、岩倉が死亡したことで大助が陰口に晒(さら)された際には励ますなど、人情に厚い一面を持っている。

北山 (きたやま)

暴力団犯罪を扱う警察官の男性。黒髪を丸刈りにしており、筋肉質な体格をしている。何事に対してもすぐに暴力に訴える性質で、よく始末書を提出している。久我の自宅を襲った空き巣事件の担当刑事ではないが、この事件はウソにウソを重ねたものではないかと感じており、野見大助や久我に事情聴取をしてはその様子をうかがっている。

佐々木 ハル (ささき はる)

野見大助の元恋人で、久我の婚約者の女性。黒髪をショートボブヘアにしている。明るく朗らかな性格で、学生時代から男女問わずに人気があった。つねに高価な物を身につけて裕福な暮らしをしているが、同窓会で再会した大助に対して、学生時代と変わらない態度で接していた。久我の裏の顔には気づいていない。

田中 邦雄 (たなか くにお)

久我の自宅に空き巣に入った男性。年齢は52歳。犯罪組織「食蟻獣(アリクイ)」の指示を受けて久我の自宅に空き巣に入り、1億5000万円を盗もうとしたが、野見大助に発見される。大助は田中邦雄に刺されるが、邦雄の様子からその不幸な身の上を察して見逃したことで、警察に捕まることもなく暮らしていた。北山が邦雄の所在を突き止めそうになっていることを知った大助が、田中の逃走をうながそうとしたが、久我に捕まって拷問を受けた。大助がその拷問を止めたことで、大助には何度も助けられたと強い恩を感じており、現金輸送車強盗の協力者として名乗りを上げた。強盗の際にはインコの仮面をかぶっていた。

小林 (こばやし)

無職のギャンブラーの男性。短髪をソフトモヒカンにしている。年齢は34歳。田中邦雄から詳細を聞かされないまま、現金輸送強盗の話を持ちかけられ、協力者となった。本城愁に300万円の借金があり、金を持っていた頃に購入したものを後生大事に身につけている。現金輸送車強盗のあとは、しばらくはおとなしくしておけと野見大助から忠告されていたにもかかわらず、クラブで豪遊しながら「もうすぐ1億円が手に入る」と吹聴していた。強盗の際にはフルフェイスヘルメットをかぶっていた。

水巻 (みずまき)

フリーターの男性。襟足の長い黒髪に眼鏡をかけている。年齢は25歳。田中邦雄から詳細を聞かされないまま、現金輸送強盗の話を持ちかけられ、協力者となった。田中邦雄や小林とは違って失業保険に関することを理解しており、現状困窮している様子はない。現金輸送車強盗の直後、社宅を5億円の隠し場所にすることに同意した。強盗の際には大仏の仮面をかぶっていた。

本城 愁 (ほんじょう しゅう)

犯罪組織「食蟻獣(アリクイ)」のリーダーを務めている男性。金髪にパーマをかけている。小林に300万円を貸与している債権者で、クラブで豪遊しながら「もうすぐ1億円が手に入る」と吹聴している小林を拷問し、現金輸送車強盗の協力者を聞き出した。野見大助たちが隠し持っている5億円を狙っている。

クレジット

原作

楠本 寬樹

書誌情報

鑑定眼 もっとも高価な死に方 4巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2021-12-23発行、 978-4065263662)

第2巻

(2022-03-23発行、 978-4065272916)

第3巻

(2022-06-22発行、 978-4065282915)

第4巻

(2022-09-22発行、 978-4065291498)

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