ラブ・マスターX

ラブ・マスターX

多摩のニュータウンを舞台に、「片想い」をテーマに、10代から中年までさまざまな年代層の男女が繰り広げるラブストーリー。同じシーンを複数人物の目線で描いている部分があり、それぞれの感情がよく表わされている。「キューティ・コミック」1997年12月号から1999年7月号にかけて連載された作品。

正式名称
ラブ・マスターX
ふりがな
らぶ ますたーえっくす
作者
ジャンル
ラブコメ
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概要・あらすじ

中学2年生の野沢ナオは、同じ団地に住む1歳年上の伊丹アラタに恋をしている。しかし、アラタは同級生の秋山ユリナに、ユリナはヴィジュアル系バンド「スライム」の大島舞路に、そして舞路はユリナの姉の秋山セリカに、それぞれ恋をしていた。この一方通行に見える「片想い」は、時間の経過とともに、より複雑に変化していく。

登場人物・キャラクター

野沢 ナオ (のざわ なお)

明るい性格の中学2年生の女子。中学の先輩で、同じ団地に住む伊丹アラタに恋をしており、アラタの真似をして、コンバースのスニーカーを履いている。授業中、考えごとをしていても、先生から指名されれば、スラスラと答えることができるほど成績は優秀。それは恋愛にも発揮され、恋愛ものの本やドラマ、映画などで勉強しているため、野沢ナオ自身は、中学2年生にして恋の法則を発見した、と考えている。 一方で、思春期らしく男性の性的な部分が苦手で、クラスメイトが自分を想って自慰行為をしているのを想像するだけで気を失うほど。友達が多く、通っている塾の女友達とも、よく帰りに寄り道している。その塾に入塾したのも、もともとアラタが通っていたため。頻繁にアラタを待ち伏せしているので、友達に「女ストーカー」呼ばわりされている。

伊丹 アラタ (いたみ あらた)

野沢ナオの通う中学の3年生の男子。ナオと同じ団地に住んでいる。端正な顔立ちをしているがテンションは低め。ナオの第一印象も「ちょっと暗めの男の子」というもの。学校ではイケメン集団に属し、ヒエラルキーも比較的高い位置にいる。頑固なところがあり、周囲がナイキを信奉する中、自らの靴はコンバースにこだわっている。秋山ユリナに好意を抱いているが、ユリナからは煙たがられている。 親やアラタの兄に反発するなど、しばしば反抗期真っ只中な姿を見せることがある。

秋山 ユリナ (あきやま ゆりな)

野沢ナオの通う中学の3年生女子。芸能事務所からスカウトが来るほどの美少女。男子からの人気は高いが、他人を見下した態度をとるため、女子の友達は1人もいない。またプライドが高すぎるあまり、自分のことを省みずに相手に復讐しようとするなど、少々歪んだところがある。ヴィジュアル系バンド「スライム」のボーカル・大島舞路の大ファンで、ライブの時には出待ちをするほど入れ込んでいる。 セクシータレントをしている姉・秋山セリカの伝手で、舞路と出会って2人の関係に気付く。しかし、秋山ユリナ自身も舞路への想いを貫くことを心に決める。

浜松 満男 (はままつ みつお)

野沢ナオと同じクラスの中学2年生男子。ナオに想いを寄せているため、髪型を真似ている。近所の小学生から「うんこ並のブタクラス激デブ」と言われるほどの醜い容姿と、いつもブツブツ呟いているので、周囲の人たちから気味悪がられている。クラスでのヒラエルキーは低く「ハミオ」というあだ名で呼ばれている。ちなみにこの容姿は、幼少期に奇病を患った際に強力な投薬を受け、その副作用によるもの。 実は超能力により浮遊することが可能で、普段も常に数cm床から浮いているが、周囲からはその事実をスルーされている。ナオをストーキングしており、その際には、浮遊能力を活かして上空から見ていることが多い。家は裕福で、義母も超能力を使うことができる。義母はヒキガエルのような姿をしており、浜松満男自身は、黒魔術によって人の姿に化けていると思っている。

大島 舞路 (おおしま まいじ)

ヴィジュアル系バンド「スライム」のボーカルを務める21歳の男性。黒のロングヘアで、ピアスを付けてタトゥーを入れている。芸名は「マイジ」。業界では落目のバンドと見られているが、ライブのチケットはなかなか手に入れることができないほどの人気。大島舞路もキャデラックを愛車とするなど羽振りは良い。秋山セリカを愛しているが、セックス中にも冷たくあしらわれており、セリカには何とも思われていない。 作曲も手掛けているが、自分が本気で好きな女のことを歌えない繊細な一面もある。

秋山 セリカ (あきやま せりか)

弱小プロダクションに所属するセクシータレントの女性。秋山ユリナの姉でもあり、現在は実家を出て暮らしている。派手な性生活を送っているが、実は中学2年生の頃からナオの父と不倫関係にあり、一番体の相性がいいと感じている。自分が大好きで、人を見下す性格のため、大島舞路と一応付き合ってはいるものの、恋愛における温度差が大きい。 芸能界で押しも押されぬ大スターになることを夢見ている。テレビ関係者とも平気で寝るため、現在は仕事が増えてきている状況にある。学生時代に高見の彼氏である武田を寝取った過去があり、現在も高見とは折り合いが良くない。

おじい

野沢ナオと野沢哲の父方の祖父。現在はナオの家で同居している。何かを頼む時には「アレ」とだけ言うため、何のことだかわからず周囲を困惑させるが、息子であるナオの父だけには通じている。哲と仲が良く、いつも一緒にふざけている。見かけによらず人間関係をしっかり把握しており、いざという時には真剣に諭す一面もある。 住んでいる団地内の覗きをライフワークとしており、その際は哲の望遠鏡を愛用している。哲と一緒にナオの恋を陰ながら見守って応援しているが、ふざけ過ぎて、ただ煽っているようにしか見えない言動をとる。

武田 (たけだ)

野沢ナオが通う塾の男性講師。若くてイケメンで、教え方も上手いため女生徒に人気があるが、実は女子中学生好きなロリコン。「職場に生きる男」を自称しており、交際している女性との別れ話も、塾に掛かってきた電話だけで終わらせてしまう。ナオのことを気に入り、露骨に贔屓している。「人間は不平等」というポリシーのもと、他の生徒から何を言われても、まったく気にする気配はない。 同僚である高見の元カレで、秋山セリカとも関係を持っていた過去があるが、現在は2人とは普通に接している。中でも高見とは、狙っている生徒の話をするほどに、秘密を共有できる友人として付き合っている。

ナオの父 (なおのちち)

野沢ナオと野沢哲の父親。2人からは「パパ」と呼ばれている。自分の感情を表に出すのが苦手で、人にすぐ頼るため、哲からは「いいやつだけど弱っちい」と評されている。妻の野沢ゆかりと結婚する前にも好きな女性がいたが、泣き落とされて結婚に踏み切った過去がある。秋山セリカがテレビに映ると、「地元の星だから」と家族に言い訳して応援している。 実はセリカが中学2年生の頃からの不倫関係で、今では心がセリカを求めて止まない状態にある。一方で、ナオと言い争っていると勘違いした伊丹アラタからナオを守ろうとするなど、子供たちのことは大切に思っている。

野沢 ゆかり (のざわ ゆかり)

野沢ナオと野沢哲の母親。2人からは「ママ」と呼ばれている。ナオの父が大好きで、彼の優しさにつけ込んで、泣き落しで結婚した。結婚してからも夫に対する愛情が衰えることはなく、結婚記念日には彼の好物を作って帰宅を待っている。しかし結婚までの経緯もあり、野沢ゆかり自身は、結婚してからは夫に愛情を注がれていないと感じている。 子供たちのことを常に考えており、ナオと伊丹アラタの恋の行方も気にしている。夫の不倫にも気付いているが、子供たちの手前、見て見ぬ振り。いつもの夫に、一刻も早く戻ってほしいと願っている。職業は専業主婦で、アラタの兄が勤める花屋でよく花を買っている。

アラタの兄 (あらたのあに)

伊丹アラタの兄。実家である団地に同居している青年。ツイストパーマをかけてピアスを付けた、今時の若者然とした風貌をしている。弟のアラタを大事にしており、コミュニケーションを取ろうとして、アドバイスを送ったりするが、反抗期の彼には聞き入れられない。好きになったら、後先考えずに行動するところがある。割とどんな仕事でもできる器用さと、相手の気持ちを汲み取って行動する柔軟さを併せ持つ。 自分が勤めている花屋に、よく客として訪れる野沢ゆかりの仕草や外見を可愛らしく思い、密かに惹かれている。

高見 (たかみ)

野沢ナオが通う塾の女性講師。若くスレンダーな体型で、派手なスパイラルパーマとソバカスが特徴の、およそ講師とは思えない容姿をしている。ただし教え方は上手く、生徒からの評判は非常に良い。同僚の武田とは学生時代に付き合っていたが、秋山セリカに寝取られた過去を持つ。そのため、現在セリカとは表面上普通に接しているものの、当時のことを根に持っており、嫌味を言うこともある。 一方で、武田とは、狙っている生徒の話をするなど、秘密を共有できる友人関係を築いている。

野沢 哲 (のざわ てつ)

野沢ナオの弟で小学生。明るく人懐っこい性格で、歳上の人や家族からは「てっちゃん」と呼ばれて可愛がられている。秋山セリカのファンで、父親がセリカと不倫していることも知っている。おじいと仲が良く、2人揃うとすぐにふざけだす。野沢哲自身の望遠鏡を貸しているため、おじいの覗きによく付き合っており、この際に何かとオイシイ場面を目撃している。 情報通で、親の不倫も含め、誰が誰を好きかということまで詳細に把握しており、「ヒミツマスター」を自称している。クラスでは女子に人気があるが、恋愛に発展する様子はない。

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