あらすじ
第1巻
人間と不死者のハーフであるレオンは、葬儀師になるべく最後の試験に臨もうとしていた。しかし、レオンは列車で移動中、葬儀師の集団に襲われている少女エレナと出会う。謎の状況の中、列車は事故によって横転。レオンとエレナは共に崖下へと落ちてしまう。エレナを守るため、追ってきた葬儀師の前に立ちふさがったレオンは、エレナの謎の力で彼らを撃退することに成功する。そしてエレナとレオンは、状況を把握できないながらも逃亡を始め、森の中で出会った面布(めんぷ)職人の男性に助けられる。レオンたちは、せめてものお礼にと墓地に遺体を埋めに行く最中だった職人の手助けを申し出る。無事に墓地にたどり着いた二人と職人であったが、レオンはそこで職人の娘であり、墓守であるモイラからその未熟な姿勢を糾弾されてしまう。己の至らなさを痛感したレオンは気丈に振る舞うものの、内心では深い自己嫌悪に苛まれるのだった。
登場人物・キャラクター
レオン
葬儀師を目指す少年で、年齢は15歳。左右で色の違うオッドアイを持ち、くすんだ金色の髪を短く整えている。不死者と人間のハーフという珍しい存在で、金色に輝く右目がその証。葬儀師になるため、最終試験に臨もうとしていたが、その道中にエレナと出会う。状況を把握できないながらも、とっさに彼女に手を差し伸べ、行動を共にするようになる。まだ見習いであるため、葬儀師としては実務経験はなく未熟。そのためモイラと出会った際には、その半人前な姿勢を厳しく指摘され、大きく動揺した。
エレナ
白いドレスを身にまとった少女で、年齢は17歳。金色の髪をストレートロングに伸ばしている。葬儀師の集団に追われている最中、レオンと出会って彼と行動を共にする。追われている理由を含め、その出自および能力には謎が多い。なんらかの能力を持っているらしく、危機に陥った際にはレオンに莫大な魔力を与え、魔法の暴発のような現象を引き起こしている。一方でかなりの世間知らずなところがあり、不死者や葬儀師のことも知らずに周囲の人間を驚かせることも多い。
モイラ
墓守の少女で、赤毛の髪をボブカットにしている。いつも仏頂面で、つねにピリピリした雰囲気を漂わせている。面布(めんぷ)職人の娘で、墓地の管理を担当している。貧しい村であるため、墓地に埋葬されている遺体はほとんどが葬儀師に葬送されておらず、死霊が出没する危険な墓地で仕事をしている。そのため、葬儀師によい感情を持っておらず、レオンに対しても辛らつな態度で接した。ただし、きつい態度であるものの彼女の言葉は正論が多いため、レオンの意識に大きな影響を与えている。
その他キーワード
葬儀師 (あんだーていかー)
不死者の魂を天へと送る者たち。なんの力も持たない人間が、天より魂を送る神秘の力を授けられて行う仕事で、その重要性および神秘性から、人間と不死者どちらからも尊敬される職業となっている。葬儀師になるためには厳しい審査があり、知識と技術を磨き、さらに人々と生活して彼らに認められることが何より重要となる。
不死者 (ふししゃ)
特殊な人種。人間の百倍の寿命を持つことも珍しくない長命の種族で、体の作りが人間と根本的に違い、非常に死ににくいのが特徴。このため「死なず」とも呼ばれる。大ケガをしても肉体の損傷を復元でき、一撃で頭と胴体が切り離されない限り早々に死ぬことはない。ただし肉体の再生速度は個々で違い、痛覚などの感覚はふつうに存在する。
死霊 (しりょう)
人間の魂が成り果てた存在。死んだ人間の魂が、葬儀師による葬送を受けられず、放置した際に発生する。外界の影響を受けた魂は、理性が消え去り、ほかの生命を脅かす化け物へと変貌してしまう。人々の安寧を守るためにも、葬儀師の存在は重要であるが、葬送には安くはない費用がかかる。そのため、葬儀師が手が回らない地方などでは、死霊を遅らせる効果のある布「面布(めんぷ)」を使って死者を弔うことがある。