こちら葛飾区亀有公園前派出所

こちら葛飾区亀有公園前派出所

破天荒な警察官・両津勘吉が起こす騒動を描いたギャグ漫画。略称は『こち亀』。作者秋本治の連載デビュー作にして代表作。長期連載のため作風が途中で大きく変わっており、特に絵柄は、連載初期では劇画タッチだったものが徐々にシンプルな絵柄へとなっている。時事ネタや流行を取り上げることが多いほか、作者の趣味である車やミリタリー、オモチャ関連のエピソードが多いことも特徴。集英社「週刊少年ジャンプ」1976年42号から連載開始し、2016年42号まで40年わたって一度の休載もなく連載された。2016年9月には「少年誌の最長連載記録」でギネスブックに認定されている。

正式名称
こちら葛飾区亀有公園前派出所
ふりがな
こちらかつしかくかめありこうえんまえはしゅつじょ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊190巻
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世界観

主な舞台は作品タイトルどおり東京都葛飾区亀有や、纏の実家で両津が板前として働く「超神田寿司」がある神田など、いわゆる東京の下町である。また、流行の発信地として、

秋葉原や渋谷も舞台となることがある。それ以外では、アメリカやヨーロッパ、南の島などの海外、タイムマシンによる過去や未来の世界も登場した。

現実世界では1994年に「派出所」から「交番」に名称が変更となったが、作中表記・タイトルともに「派出所」という呼び名を使い続けている。この件は「中川の交番日記!の巻」(単行本89巻)でネタにされている。

また、亀有公園前派出所が所属する警察署は、1976年の連載開始からしばらくは実在する「亀有警察署」だったが、途中で「葛飾警察署」に改名。その後「葛飾警察署」も実在するようになってしまったため、さらに「新葛飾警察署」に改名した。

ちなみに「亀有公園」は実在するが、「亀有公園前派出所」は存在しない。

作中の時間軸は、現実世界と同じ時代で一貫して現代だが、登場人物たちは年をとらない設定となっている。メインキャラクターたちの生年月日の設定も、作中時間の矛盾を避ける形でたびたび変更されている。例えば、主人公両津の少年時代は昭和20年代~40年代の頃が描かれているが、明確に生まれた年は明らかになっていない。また、大原部長も連載初期のころは両津に「戦前生まれ」と揶揄されていたが、現在はその設定は無くなっていると思われる。

例外的に、初登場時大学生だった大原部長の娘・ひろみが結婚していたり、その息子・大介が赤ん坊から小学生に進学していたりと、一部のキャラクターは成長している。

作品が描かれた背景

ベトナム戦争を題材としたシリアスな劇画作品『平和への弾痕』を描き上げたのち、次は軽め作品を書きたいと考え、愛好していたハリウッドのポリス・アクション映画を意識した作品を構想。当初は中川が主人公で、アメリカを舞台としたアクション作品だったが、資料不足などの要因で、舞台を日本に変更した。主役も脇役だった両津とし、内容もコメディ色の強いものとなった。こうして描かれた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が月例ヤングジャンプ賞入選、週刊少年ジャンプ1976年29号に読みきり作品として掲載、同年発売の42号より連載が開始された。

このエピソードは、作者本人の手により漫画化され、『Kamedas』に収録されている。また、『デビュー!の巻』(単行本30巻)では、秋本治本人が作中に漫画家志望の若者として登場し、『こち亀』でデビューするまでのいきさつが描かれている。

作品構成

一話完結のエピソードの連続で構成されており、主人公両津勘吉や派出所の面々、多彩なゲストキャラクターたちが起こす騒動を描いていく。話数は「……の巻」とカウントされる。

基本的には両津を中心としたギャグ漫画だが、中にはレトロなオモチャや、車・バイク、ミリタリーなど作者秋本治の趣味が前面に出た回、人情話、流行のポップカルチャーや時事問題を取り上げる回も見られる。特に人情物には、昭和20~40年代の東京・台東区などの下町を舞台とした、両津の少年時代を描いたエピソードがいくつかあり、ファンからの評価も高い。

また、4コマ漫画形式の回や、小説が同時に掲載されている回、絵柄が絵本や少女マンガのようなタッチで描かれる回、ページが回転している回、ニセ最終回など、実験的なエピソードも見られる。

連載初期から登場しているレギュラーキャラクターは、両津勘吉、同僚の中川圭一秋本・カトリーヌ・麗子両津の上司・大原大次郎だが、そのほかにも無数のキャラクターが登場する。それらゲストキャラクターは、連載時期ごとに準レギュラーとなることも多い。反面、一時は準レギュラーだったが、新キャラクターの登場などに伴い登場しなくなるキャラクターも多く存在する。

近年では、両津の又従兄弟である擬宝珠纏、その妹・擬宝珠檸檬の祖母・擬宝珠夏春都ら擬宝珠家の面々が、メインキャラクターとなっている。

あらすじ

東京の下町、葛飾は亀有に位置する「亀有公園前派出所」。そこに勤める巡査長の両津勘吉は、稀代の問題警官であった。勤務中にギャンブルに熱狂する、借金は踏み倒す、銃は乱射する、などなど次々と騒動を巻き起こしていく。しかし、根は優しく面倒見のいい両津の周りには彼を慕う人の輪が絶えない。大金持ちの御曹司中川圭一、紅一点の麗子両津の天敵大原部長ら派出所の面々は、今日も騒がしい日々を送っていく。

作風の変遷

連載が長期にわたるため、連載開始時から現在まで、徐々に作風が変化している。

本作の原型が「劇画のポリスアクション」だったため、初期の絵柄は完全にリアル調で、人物や背景も緻密に書き込まれている。徐々に絵柄はシンプルになり、現在では線も柔らかく、人物も丸みを帯びたタッチとなっている。

主人公両津勘吉の絵柄の変化で言うと、初期は、身長は低いが、筋肉質で頭身もリアル寄り、顔つきは目が小さくいかつい印象だったが、現在ではさらに体つきががっしりとし、頭身は縮み、目は大きくなり、全体的に丸っこい印象へと変化している。

また、登場人物の性格も連載中に変化している。両津は、最初期はいきなり拳銃を乱射するなどかなり過激な性格だったが、やや温和になっている。これを作者は「バイオレンスポリスだったのが、いつの間にか下町人情お巡りさんになった」と語っている。中川も初期は両津と共に常識のない問題児コンビとして描かれていたが、徐々に良識ある性格になり、両津のストッパー役となっていった。また、近年では酔っ払って醜態を晒す、一発ギャグを披露するなど、これまでの好青年然としたキャラクターから逸脱した一面が見られる。大原部長も頑固一徹だったのが、若い女性(特に交通課勤務の磯鷲早矢)に弱い面を見せている。

これらの変化は作中でも数回ネタにされ、連載30周年を記念した「バックトゥザこち亀の巻」(単行本153巻)では、派出所の面々がタイムマシンに乗って第一話の世界にさかのぼり過去の自分を見て、そのキャラクターのギャップに驚く、というエピソードが描かれている。また、単行本141巻表紙・扉絵では、連載初期の絵柄で現在のキャラを描く、という試みがなされている。

時事ネタ

作中では、小道具や、一話まるごとでその時々の流行や時事問題を取り上げることが多い。代表的なものを以下に記す。

1976年

「しつこさ一番!!の巻」(単行本3巻) 当時の人気アイドル、アグネス・ラムをモデルとしたラム巡査が登場。

「亀有大合唱!?の巻」(単行本4巻) 当時の人気アイドル、太田裕美が登場。

1978年

「マルチ時代!?の巻」(単行本9巻) 日本初の家庭用テレビゲーム「テレビテニス」が登場。

1979年

「私設警察!の巻」(単行本15巻) 大流行したアーケードゲーム「スペースインベーダー」が登場。

1980年

「劇画刑事・星 逃田Ⅱの巻」(単行本18巻) 亜月裕の少女漫画『伊賀野カバ丸』から、主人公カバ丸がゲストとして登場。

「真夜中のパイロット!の巻」(単行本20巻) 旧ソ連の軍人が日本に亡命した「ベレンコ中尉亡命事件」をモチーフとした回。

「うらしまポリス!?の巻」(単行本21巻) モスクワオリンピック開催。4年に一度しか起きない男・日暮熟睡男初登場。

1981年

「暴走学園!?の巻」(単行本24巻) 当時社会問題となっていた、校内暴力を描いた回。

1982年

「さぼりゲームの巻」(単行本30巻) アーケードゲーム『ディグダグ』が登場。

1984年

「五輪(オリンピック)男・日暮再登場の巻」(単行本41巻) ロサンゼルスオリンピック開催。日暮登場。

1988年

「ビデオ狂騒!の巻」(単行本62巻) 家庭用のデッキ一体型ビデオカメラ(カムコーダ)が登場。

「五輪男・日暮巡査の秘密!の巻」(単行本62巻) ソウルオリンピック開催。日暮登場。

1990年

「チャーリー小林有名化計画!の巻」(単行本68巻) 流行していたテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国(イカ天)」をモチーフとした回。

「コードレス・パニックの巻」(単行本70巻) 派出所の備品としてコードレスホンが登場。

1991年

「突撃!クレーンゲームの巻」(単行本73巻) セガの「UFOキャッチャー」風のクレーンゲームが登場。

「七色の声を持つ男の巻」(単行本77巻) カラオケBOXが登場。

1992年

「発見!最強のバーコードの巻」(単行本80巻) 流行していたゲーム「バーコードバトラー」をモチーフとした回。

「忘れて!日暮くん…の巻」(単行本81巻) バルセロナオリンピック開催。日暮登場。

1993年

「はっけよいは待ったナシ!?の巻」(単行本83巻) 若乃花・貴乃花を中心に起こった大相撲ブームを受けて描かれた回。

「携帯電話魔!の巻」(単行本83巻) 一般に普及し始めた携帯電話をテーマとした回。

「ファミコン攻略法教えます!の巻」(単行本84巻) ゲーム「ファイナルファンタジーⅤ」が登場。

「パソコン・モンタージュ!の巻」(単行本86巻) 派出所にパソコンが備品として登場。

「電子手帳ハッカー!の巻」(単行本86巻) 電子手帳が登場。

「大東京ゴミ事情!の巻」(単行本86巻) 東京都二十三区での半透明ゴミ袋使用の義務付けをテーマとした回。

1994年

「戻って来てブーメランくん!の巻」(単行本88巻) 「写ルンです」のヒットで普及したレンズ付きフィルムをテーマとした回。

「制服大革命!の巻」(単行本88巻) 警察官の制服変更をテーマとした回。

「1994年米騒動!の巻」(89巻) 米不足問題・「米騒動」をテーマとした回。

「爽やかサバイバル!?の巻」(単行本90巻) サバイバルゲームをテーマとした回。

「亀有のおいしい水売りますの巻」(単行本91巻) 社会問題となった水不足をテーマとした回。

1995年

「レンタルビデオ・人生模様!の巻」(単行本92巻) 24時間営業のレンタルビデオショップが登場。

「テレビ電話時代!?の巻」(単行本93巻) テレビ電話が登場。また、阪神・淡路大震災復興支援のため、両津が神戸に送られている。

「テレビ革命進行中!?の巻」(単行本95巻) ワイドテレビ、ハイビジョンテレビが登場。

「コンビニ天国!!の巻」(単行本96巻) 24時間営業のコンビニをテーマとした回。

1996年

「電脳ラブストーリーの巻」(単行本98巻) 恋愛シミュレーションゲームをテーマとした回。

「両さんのパソコン講座の巻」(単行本98巻) マイクロソフトのウィンドウズ95が登場。

「格闘ゲーマー警官登場!!の巻」(単行本99巻) 恋愛シュミレーションゲーム『ときめきメモリアル』をモチーフにしたゲーム「どきどきメモリアル」が登場。

「写真シールパニック!!の巻」(単行本99巻) 流行していた「プリント倶楽部」(プリクラ)をテーマとした回。

「ポケベル新商法!の巻」(単行本99巻) ポケベルをテーマとした回。

「インターネットで逢いましょうの巻」(単行本100巻) インターネットをテーマとした回。

「日暮巡査の潜在能力!?の巻」(単行本100巻) アトランタオリンピック開催。日暮の登場。

「ナイスなシューズで大行進の巻」(単行本102巻) 「エアマックス」を中心に起こった、ハイテクスニーカーブームをテーマにした回。

1997年

「育て たまごっちの巻」(単行本103巻) 流行していた携帯型育成ゲーム「たまごっち」をテーマとした回。

「G-SHOCKパニック!!の巻」(単行本107巻) 腕時計「G-SHOCK」をテーマとした回。

「部長のポケモン奮戦記の巻」(単行本107巻) ゲーム「ポケットモンスター」をテーマとした回。

1998年

「バトル列車でGO!の巻」(単行本109巻) ゲーム「電車でGO!」をテーマとした回。

「ダンス・ダンス・盆踊り!!の巻」(単行本116巻) アーケードゲーム「ダンスダンスレボリューション」をテーマとした回。

1999年

「超!!警察犬ロボットの巻」(単行本117巻) ロボット犬「AIBO」が登場。

2000年

「2000年9月 4年ぶりにあいつが登場する!!の巻」(単行本123巻)  シドニーオリンピック開催。日暮登場。

2001年

「貴方の値打ち鑑定します!の巻」(単行本124巻) 「ASIMO」をモチーフとしたロボット警官が登場。

2002年

「両さんvsお犬様の巻」(単行本130巻) 「バウリンガル」をモチーフとした犬語翻訳機が登場。

2004年

「4年に1度の日暮祭(ひぐらしまつり)の巻」(単行本144巻) アテネオリンピック開催。日暮登場。

2005年

「投資家両さんの巻」(単行本148巻) 企業買収をテーマとした回。当時、ライブドアによるフジテレビ買収事件が話題となっていた。

2006年

「バックトゥーザこち亀!!の巻」(単行本153巻) 『こち亀』連載30周年を記念して描かれた回。

2007年

「バーチャルライフの巻」(158巻) 仮想空間「セカンドライフ」をテーマとした回。 

「私のケータイライフの巻」(160巻) AppleのiPhoneが登場。

「お掃除ロボ出動!の巻」(161巻) 掃除ロボット「ルンバ」が登場。

2008年

「次世代開発戦争の巻」(163巻) ブルーレイディスクとHD DVDの、次世代DVD争いが語られている。

「アラビアン!トレビアン!の巻」(165巻) 急成長したドバイが舞台となっている回。

「日暮登場の巻」(165巻) 北京オリンピック開催。日暮登場。

「ジャンプ40年史の旅(前編)の巻」(166巻) 週刊少年ジャンプ創刊40周年を記念して描かれた特別編。

2009年

「次世代電気自動車の巻」(167巻) 電気自動車をテーマとした回。

「立体テレビ登場の巻」(170巻) 映画『アバター』が起こした3Dブームで生まれた3Dテレビをテーマとした回。

「仏像ブームの巻」(171巻) 「阿修羅展」がきっかけとなった仏像ブームをテーマとした回。

2010年

両津仕分けの巻」(173巻) 参議院議員・蓮舫による事業仕分けをモチーフとした回。

「武将ブームの巻」(173巻) 若い女性を中心に起こった「武将ブーム」をテーマとした回。

「世界一の下町タワーの巻」(174巻) 東京スカイツリー建設中の様子を描いた回。

「帰還1989-008J」(175巻) 小惑星探査機 「はやぶさ」の帰還をモチーフとした回。

2011年

「ITASHA祭(いたしゃまつり)の巻」(179巻) 「痛車」をテーマとした回。

「ARレイコの巻」(181巻) AR技術をテーマとした回。

「オンラインサバゲー?の巻」(183巻) FPS(ファースト・パーソン・シューティング)ゲームをテーマとした回。

2012年

「下町タワー開業の巻」(185巻) 東京スカイツリー開業を描いた回。

「ボカロPの巻」(186巻) ボーカロイドをテーマとした回。

「オリンピックだよ日暮集合!の巻」(186巻) ロンドンオリンピック開催。日暮登場。

「新世紀ミニ四駆の巻」(188巻) 再ブームとなったミニ四駆をテーマとした回。

2013年

「スマホ競争の巻」(190巻) 「LINE」「iPhone 5」が登場。

「インフレ・デノミの巻」(191巻) 安倍総理による「アベノミクス」をテーマとした回。

「DJ両津の巻」(191巻) 2014ワールドカップ出場に沸く群集を話術で抑え話題を呼んだ「DJポリス」をモチーフとした回。

「パンツァーバトルの巻」(192巻) アニメ『ガールズ&パンツァー』をモチーフとした回。

「3Dプリンタ時代の巻」(192巻) 3Dプリンタをテーマとした回。

2014年

両津提督の暴走の巻」(193巻) ゲーム『艦隊これくしょん』をモチーフとした回。

「EV新世代の巻」(195巻) 燃料電池自動車(FCV)をテーマとした回。

「ロボット時代の巻」(195巻) 人型ロボット「Pepper」が登場。

2015年

「マルチヘリ時代の巻」(196巻) マルチコプターでの空撮をテーマとした回。

「妖怪言い訳小僧の巻」(196巻) ゲーム『妖怪ウォッチ』と「妖怪ブーム」をテーマとした回。

メディアミックス

テレビアニメ

1996年から2004年まで、フジテレビ系列にて放映。両津勘吉の声優はラサール石井が担当した。以降、舞台版でもラサールは両津を演じている。

アニメオリジナルのキャラクターが多数登場するなど、原作から改変されている箇所が多く見られる。

劇場版アニメ

『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE』(1999年)、『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE2 UFO襲来! トルネード大作戦!!』(2003年)の二本が公開されている。いずれも劇場版オリジナルストーリーとなっている。

舞台版

ラサール石井が脚本・演出・主演を担当した。1999年、2001年、2003年、2006年に公演。

テレビドラマ版

2009年にTBS系列で放映。両津勘吉役を香取慎吾、中川圭一役を速水もこみち、秋本カトリーヌ麗子役を香里奈、大原大次郎役を伊武雅刀が演じている。

劇場版

両津勘吉役をせんだみつおが演じた実写映画版が1977年に公開されている。また、テレビドラマ版の劇場版『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ?勝どき橋を封鎖せよ!?』が2011年に公開された。

小説版

『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』が2007年に発行。「こち亀」連載30周年と日本推理作家協会60周年を記念したコラボレーション企画で、大沢在昌、石田衣良、今野敏、柴田よしき、京極夏彦、逢坂剛、東野圭吾の7名の作家が、オリジナルストーリーを書き下ろしている。

ゲーム

『こちら葛飾区亀有公園前派出所 ハイテクビル侵攻阻止作戦!の巻』(PlayStation、1997年)、『こちら葛飾区亀有公園前派出所 中川ランド大レース!の巻』(セガサターン、1997年)、『こちら葛飾区亀有公園前派出所 勝てば天国!負ければ地獄! 両津流 一攫千金大作戦!』(ニンテンドーDS、2010年)が発売されている。

『ハイテクビル侵攻阻止作戦!の巻』『中川ランド大レース!の巻』発売のときは、「大混戦「こち亀」ゲームの巻」(107巻)で取り上げられた。

また、ジャンプキャラクターがオールスターで登場する『ファミコンジャンプ』(ファミリーコンピュータ)シリーズや、『ジェイスターズ ビクトリーバーサス』(PlayStation 3/PS Vita、2014年)にも登場している。

社会に与えた影響

1976年の連載開始から2015年現在まで一度も休載せずに連載中で、週刊少年ジャンプ至上最長連載期間を誇る。また、「少年誌の最長連載記録」としてギネス世界記録に認定されている。

作品の主な舞台である亀有では、街中に現在14基の『こち亀』銅像が建てられており、亀有香取神社や商店街では「両さん絵馬」などのグッズも販売されている。また、両津の出身地である、台東区浅草神社にも石碑が建てられている。

登場人物・キャラクター

主人公

亀有公園前派出所に勤務する巡査長。身長167cm、体重71kg、血液型はB型、誕生日は3月3日。台東区千束生まれで、実家はつくだ煮屋。父は両津銀次、母は両津よね、弟は両津金次郎、祖父は両津勘兵衛、その... 関連ページ:両津 勘吉

中川 圭一 (なかがわ けいいち)

亀有公園前派出所に勤務する警察官。階級は巡査。身長180㎝、体重65kg、血液型はO型、誕生日は12月24日。世界有数の大財閥中川財閥の御曹司。父は中川龍一郎、母は中川小百合、妹は中川登志恵。幼少のころから学問・芸術・スポーツなどあらゆる分野の英才教育を受けており、容姿端麗で物腰も柔らかく、非の打ちどころのない好青年。 正規の制服ではなく黄色地にストライプの特注の制服を着用しているが、正式に私服勤務の許可は得ている。非番の際には中川財閥の関連企業の社長業をこなし、ビジネスマンとしても活躍している。亀有公園前派出所に初出勤した際はタクシーを乗り付け現れ、拳銃を誤射するなど両津に負けず劣らずの問題児であったが、徐々に真面目な常識人へとなっていった。 両津とは先輩後輩の関係で、金の無心をはじめ何かと面倒をかけられている。後に親戚である霧ヶ谷景子と両津の弟両津金次郎が結婚したことで、両津と遠縁の親戚となる。結果、中川家の身分を利用した両津に度々損害を与えられることに。 元プロレーサーでもあり、数々の名車・スーパーカーを所有するカーマニア。そのため、賞金狙いの両津とレース大会に参加することも多い。幼いころから上流社会の中で育ったため、金銭感覚が庶民とかけ離れていたりと、一般世間の常識にうとい面もある。第一話から登場し、両津を除いては唯一初回から登場しているキャラクター。

秋本・カトリーヌ・麗子 (あきもと・かとりーぬ・れいこ)

新葛飾警察署交通課所属で、亀有公園前派出所に勤務する婦人警官。階級は巡査。身長は170㎝、体重46kg、バスト95.3㎝、ウエスト59㎝、ヒップ90㎝、血液型はO型、誕生日は7月7日。神戸に本社を置く秋本貿易の御令嬢。父は秋本飛飛丸、母は秋本フランソワーズ、妹は秋本優。 パリ生まれで、15歳でスイスの名門女子学校に入学、一流のレディとなるべく様々な教育を受けて育つ。フランス人とのハーフのためブロンドの髪を持ち、スタイル抜群の美女。明るく活発で男勝りな性格。正規の制服ではなく、ピンクのミニスカートの制服を着用しているが、中川と同じく正式に許可を得ている。 病欠した寺井洋一に代わり、補欠員として亀有公園前派出所に勤務することとなった。初出勤時は派出所にパトカーで突っ込み登場し、両津や中川も手を焼くほどのお転婆娘だった。徐々に性格が落ち着いていき、良識ある人物となっていく。ただ、気の強さに変わりはなく、両津に真正面から物申せる数少ない人物である。趣味はお菓子作りで、デパートから出店依頼を受けるほどの腕前。 射撃の腕も一流で、オリンピックで金メダルを取ったこともある。また、車の運転にも長け、元プロドライバーの中川に匹敵するほど。

大原 大次郎 (おおはら だいじろう)

亀有公園前派出所に勤務する警察官。階級は巡査部長。誕生日は特に決めれらておらず、作者の都合により変動する。妻良子との間に一人娘ひろみをもうけている。すでにひろみは角田英男と結婚し、大介、桜という孫がいる。職務に忠実で、規律に厳しい生真面目な性格。 そのため問題児の両津とは互いにとっての天敵である。本人は両津から離れたがっているが、両津の暴走を止められる唯一の人物のため、長年直属の上司となっている。普段は人格者であるが、些細なことから両津と子供じみた意地の張り合いをすることもあり、周囲から呆れられることも。また、両津の悪ふざけや失態の被害をこうむり怒り狂い、武装し「両津はどこだ!」と派出所に怒鳴り込むことも多い。 孫大介、桜のことは溺愛しており、そこを両津によく付け込まれている。頑固一徹かのように思われるが、以外と見栄っ張りで影響を受けやすく、若い女性に弱いという一面もある。趣味は盆栽、将棋、剣道、時代劇鑑賞などの日本文化で、TVゲームや漫画などの若者文化は毛嫌いしている。

寺井 洋一 (てらい よういち)

亀有公園前派出所に勤務する警察官。階級は巡査。メガネに小太りで、妻と二人の子供を持つ平凡な男性。はじめは勤務中に酔っぱらって昼寝をするなど不良警官の一員だったが、後に真面目な派出所一の良識派となる。堅実な性格で、両津からは「人生送りバント」と揶揄されている。 昔からマイホームを探しており、両津と共に物件めぐりを行ってるが、毎回不良物件をつかまされては不幸な目に合っている。後に丸井ヤング館と改名。

麻里 愛 (あさと あい)

新葛飾警察署交通課所属。亀有公園前派出所勤務の婦人警官。階級は巡査。ある朝、両津と出会い一目惚れし、両津に再会するために婦警となった。一見黒髪の美女だが、実は男。元プロキックボクサーで、そのころのコーチ岩鉄に惚れ、女になることを決意。もともと女顔だったことに加え、日本舞踊や料理の心得があったため女性以上に女性らしく変貌した。 両津を好きになったのも、岩鉄に似ていたから。見た目は華奢だがキックボクサー時代の強さは健在で、数人の外国人プロレスラーを一瞬で叩きのめすほど。父は翻堕羅拳総帥の武道家麻里晩、母は料理研究家 の麻里今日子、双子の妹は女優である麻里稟。 父は翻堕羅拳を継がせようとしているが、本人は嫌がっている。後に花山理香の魔法によって、戸籍・肉体ともに完全に女性となる。

ボルボ西郷 (ぼるぼさいごう)

新葛飾警察署勤務の警察官。傭兵として5年間世界各地を回った後、ニューヨーク市警に勤めていた経験がある。戦場時代のトラウマから些細なことにでも体が反応し、すぐ銃を向けてしまうという厄介な癖がある。また、常に全身に銃を装備しており風呂に入るときでも手放さないほど。実は臆病な性格で、丸腰になるとパニックになってしまう。 また、男社会で生きてきたため、女性への免疫が一切ない。傭兵時代の上官である爆竜大佐の娘・ジョディーと交際中。祖父は忍者の西郷小金丸。

本田 速人 (ほんだ はやと)

新葛飾警察署交通機動隊所属の白バイ警官。実家は南千住のバイク屋、「本田輪業」。父は本田改造、妹は本田伊歩、弟は本田門樹。普段は気弱でおとなしくいが、バイクに乗ると豹変し凶暴な性格へ変貌する。元暴走族の総長で、単車の腕は超一流。過激な取り締まりから、「二輪の悪魔」と恐れられている。 両津とは付き合いが長く、何かと商売などに付き合わされ、悲惨な目にあっていることが多い。後に交機の後輩であり、人気少女漫画家でもある乙姫奈々と交際をはじめる。趣味はギター、少女漫画、ゲーム、アイドルなど。

ジョディー・爆竜・カレン (じょでぃー・ばくりゅう・かれん)

ボルボ西郷のかつての上官爆竜大佐の娘。金髪碧眼、プロポーション抜群の美女。アメリカ海軍所属の軍人で、空母カール・ヴィンソンの乗員。男ばかりの軍で生活してきたため、気丈で腕っぷしも強い。ボルボ西郷と結婚を前提に交際中。

早乙女 リカ (さおとめ りか)

交通課所属の婦人警官。美人だが非常に高飛車で気が強く、両津と度々衝突している。実家は東北の田舎。

左近寺 竜之助 (さこんじ たつのすけ)

新葛飾警察署所属の警察官。格闘技の達人。格闘ゲーム好きでもあり、同じくゲーマーの両津と気が合っている。格闘技一本に生きてきたため女性に免疫がなく、初めてプレイしたギャルゲーにカルチャーショックを受け大はまりしてしまう。

磯鷲 早矢 (いそわし はや)

交通課所属の婦人警官。実家は京都の武道家名門で、本人も弓道の達人。黒髪の日本美人。父と声が似ている両津にラブレターを出し、両津をめぐりマリアと弓道対決したこともある。酒に弱く、酔うと笑い上戸になり、服を脱ぎ出す癖がある。

擬宝珠 纏 (ぎぼし まとい)

交通課所属の婦人警官。夏春都の孫で、両津の又従兄弟にあたる。実家は神田にある寿司屋「超神田寿司」。美人だが江戸っ子気質で短気で手が早く、男勝りな性格。両津とはケンカすることも多いが、同じ下町生まれ同士気が合っている様子。

擬宝珠 夏春都 (ぎぼし げぱると)

両津の同僚擬宝珠纏の祖母で、両津勘兵衛の妹。両津からは大叔母にあたる。100歳を超える高齢だが現役で「超神田寿司」の敏腕経営者。厳格な性格で、両津家の男のいいかげんなラテン系の血を毛嫌いしている。超神田寿司でアルバイトを始めた両津を厳しく指導し、一流の寿司職人へと育てた。 時代劇や歌舞伎などの古き良き日本文化を好むが、最新のIT機器も使いこなしている。

擬宝珠 檸檬 (ぎぼし れもん)

夏春都の孫で、纏の妹。幼稚園児ながら優れた味覚を持ち「超神田寿司」にとって欠かせない存在。時代劇好きのため、古風な口調で話す。

乙姫 奈々

新葛飾警察署交通課所属の白バイ婦警。女性だけで構成される白バイ隊「クイーンスターズ」の隊員。華奢な身体で泣き虫だが、バイクの腕は確か。公務員は副業が禁じられているので隠しているが、実は人気少女漫画家「愛野神女」。本田速人から告白され、交際を始める。

白鳥 麗次 (しらとり れいじ)

白鳥鉄工の御曹司。自称・「スーパー金持ち」。ナルシストで、金持ちを鼻にかけた嫌味な男。毎回、札束(カラーコピー)をばらまきながら派手に登場する。麗子を秋本財閥の令嬢と知らずに一目惚れし、猛烈なアタックを仕掛けている。愛車はポルシェだが運転は下手で、頻繁にエンストを起こしている。 そのため、金にあかせてAT仕様のポルシェを作った。父親に勘当されたり、会社が倒産したりして「スーパー貧乏人」になることが多い。

御堂 春

大阪の通天閣署所属。交通課に勤務する婦人警官。短気で過激な性格。小柄なため、両津からは「チビ太」と呼ばれている。両津のことを「トーキョーモン」と呼び、東京に対抗心を燃やしている。ただ、仲が悪いわけではなく、良きライバルといった関係。

日暮 熟睡男 (ひぐらし ねるお)

新葛飾警察署所属の警察官。普段は眠っており、4年に一度の夏期オリンピックシーズンの時にしか目覚めない。懲戒免職にならないのは、超能力を使い透視や予知能力で難事件を解決しているためである。寝起きが悪く、無理やり起こされると暴れ出し手が付けられない状態となる。4年に一度しか寝ない弟日暮起男がいる。

戸塚 金次

亀有公園前派出所勤務の警察官。坊主頭で顔に傷跡があり、背中に刺青を入れた強面の男。その迫力は、本職の極道も道を譲るほど。連載初期は両津の悪友としてよく登場していたが、徐々に姿を消していった。

法条 正義 (ほうじょう まさよし)

新葛飾警察署所属の警察官。ゴリラのようないかつい顔だが、東大卒の秀才。その頭脳を両津に悪用されることが多い。後に、凄苦残念に改名。

星 逃田 (ほし とうでん)

警視庁所属の刑事。太い眉に鋭い眼光と劇画調の容姿で、登場すると漫画のコマ割りまで劇画調になってしまう。あだ名は「ほしにげた」。一時姿を消した後、再登場を果たすが、頭がハゲ上がってしまっており両津らに「星ハゲ田」とバカにされてしまう。愛銃はモーゼル。

両津 勘兵衛 (りょうつ かんべえ)

両津の祖父で、夏春都の兄。齢100歳を超えるが未だ現役で、両津に劣らぬ遊び人。老人ばかりのゲーム会社「R・G・C(リョーツゲームカンパニー)」の社長。戦争経験者で、日露戦争に参加、その後の太平洋戦争では空母飛龍に乗船し、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦に参加していた。

屯田 五目須 (とんだ ごめす)

新葛飾警察署の署長。元は亀森鶴吉という名だったが、改名して今の名となった。問題児の両津に頭を悩ませている苦労人。大原部長とはお互い新人だったころからの付き合いで、出世した今でも仲がいい。

絵崎 コロ助 (えざき ころすけ)

海外の名門大学の教授で、中川の恩師。機械工学を専門としており科学者としては優秀だが、作る発明品は失敗作ばかりでトラブルばかり起こしている。異常なドジで、特に車の運転は超がつくほどの下手。見栄っ張りで海外かぶれでもある。「春子」「夏子」「秋子」「冬子」という名の4人の娘がいるが、それぞれ世界中に散らばっているため、全員が一堂に解す機会はほとんどない。

丸出 ダメ太郎 (まるで だめたろう)

警視庁が開発したロボット警官4号。名前は両津が命名したもので、正式名称は警視庁開発4号乙型ロボット。両津のことを「神様」と呼ぶように命令された。バッテリーの充電量によって能力が変動し、フル充電時は大学教授並みの知能となり、顔つきも凛々しくなる。後に、亀有公園前派出所の隣に作られたロボット派出所の一員となる。

集団・組織

特殊刑事課 (とくしゅけいじか)

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場する組織。警視庁が秘密裏に組織したエリート刑事集団。メンバーはほぼすべて中年の男である。海パン一丁にネクタイ姿の「海パン刑事」、タイガー戦車に乗る「タイガー刑事」、夜間戦闘機「月光」に乗るセーラー服姿の「月光刑事」&「美茄子刑事」、小型潜水艇に乗りイルカを操る「ドルフィン刑事」など、異能の刑事が揃う。 登場するたびに両津を無理やり捜査に連れ出し、騒動を起こす。

場所

亀有公園前派出所

両津らが勤務している。入口すぐにはデスクが二つあり、両津の席は内側から見て右側、左側は麗子の席。奥には台所と休憩室がある。幾度となく破壊されているが、そのほとんどがの原因は両津である。1994年、現実では「派出所」から「交番」に名称が変わったが、作中では以降も「派出所」のままである。

書誌情報

こちら葛飾区亀有公園前派出所 190巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(1977-07-09発行、 978-4088528113)

第153巻

(2007-01-04発行、 978-4088742984)

第154巻

(2007-04-04発行、 978-4088743370)

第155巻

(2007-06-04発行、 978-4088743639)

第156巻

(2007-08-03発行、 978-4088743950)

第157巻

(2007-10-04発行、 978-4088744216)

第158巻

(2008-01-04発行、 978-4088744650)

第159巻

(2008-04-04発行、 978-4088744933)

第160巻

(2008-06-04発行、 978-4088745206)

第161巻

(2008-09-04発行、 978-4088745626)

第162巻

(2008-12-04発行、 978-4088745886)

第163巻

(2009-02-04発行、 978-4088746265)

第164巻

(2009-05-01発行、 978-4088746616)

第165巻

(2009-08-04発行、 978-4088747101)

第166巻

(2009-09-04発行、 978-4088747262)

第167巻

(2009-11-04発行、 978-4088747477)

第168巻

(2010-02-04発行、 978-4088747934)

第169巻

(2010-04-02発行、 978-4088700199)

第170巻

(2010-06-04発行、 978-4088700441)

第171巻

(2010-09-03発行、 978-4088701028)

第172巻

(2010-12-03発行、 978-4088701424)

第173巻

(2011-02-04発行、 978-4088701745)

第174巻

(2011-04-21発行、 978-4088702070)

第175巻

(2011-07-04発行、 978-4088702346)

第176巻

(2011-08-04発行、 978-4088702698)

第177巻

(2011-12-02発行、 978-4088703121)

第178巻

(2012-02-03発行、 978-4088703664)

第179巻

(2012-04-04発行、 978-4088703992)

第180巻

(2012-06-04発行、 978-4088704272)

第181巻

(2012-08-03発行、 978-4088704753)

第182巻

(2012-10-04発行、 978-4088705149)

第183巻

(2012-12-04発行、 978-4088705491)

第184巻

(2013-02-04発行、 978-4088706139)

第185巻

(2013-04-04発行、 978-4088706467)

第186巻

(2013-07-04発行、 978-4088706818)

第187巻

(2013-10-04発行、 978-4088708171)

第188巻

(2013-12-04発行、 978-4088708485)

第189巻

(2014-03-04発行、 978-4088800219)

第190巻

(2014-06-04発行、 978-4088800684)

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