中華じゃんじゃん

中華じゃんじゃん

若手中華料理人・桃山太郎は、無鉄砲ながら料理に対してはひたむきに取り組んでいた。そんな太郎が料理を通じて成長し、やがて周囲から認めてられていく姿を描いた料理漫画。「ヤングマガジン海賊版」1993年第9号から1994年第9号にかけて連載された作品。

正式名称
中華じゃんじゃん
ふりがな
ちゅうかじゃんじゃん
作者
ジャンル
料理人
関連商品
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概要・あらすじ

高級中華料理店・華楽の若手料理人・桃山太郎は、師匠であるにより中華街の外れにある料理店・海楽大飯店に修行に出される事になった。当初は海楽大飯店で働く事に戸惑っていたものの、店主・荘将義から店の事情を聞かされた結果、太郎は心を入れ替えて修行に励むようになる。「客の言った注文は何であれ作る」という海楽大飯店の料理スタイルに太郎が慣れた頃、店を訪れた客が、「クスクス」の丸焼きを食べたいと注文。「クスクス」はワシントン条約で捕獲が制限されている珍獣だったが、太郎と将義は料理人の意地を見せるために「クスクス」の捕獲に向かう。(第1話「中華街のハズレ」)

太郎が海楽大飯店へ修行に来て3か月。太郎は店の常連客である柿沢に、料理が下手だと酷評されていた。そんな中、太郎は師匠である葉の命令によって、次なる修行場となる、華楽系列の中華料理店・楽ノ園へと向かう。しかし、太郎は料理長やチーフに認められず、仕事は雑用ばかりさせられていた。怒りを覚えながらも、へこたれずに努力を続けた結果、太郎はだんだんと周囲に認められていく。そんな折、非常に有名な料理評論家が楽ノ園を訪れる。しかも手違いから、太郎の作ったまかない料理がその料理評論家の食卓に運ばれてしまう。その料理を食べた料理評論家とは、柿沢だった。(第2話「中華街のアタリ」)

ある日、海楽大飯店の店主・荘将義がインフルエンザで倒れてしまう。そんな中、「華楽」を辞めたという太郎の決意を知り、将義は彼に店を任せる事を決める。「海楽大飯店」の常連客を満足させられる料理を作ろうと太郎が意気込む中、彼のもとを師匠の葉が訪れる。(第3話「さよなら華楽」)

太郎は料理の中でも、とりわけラーメンに関しては強いこだわりと自信を持っていた。そんな太郎に対し柿沢は、老麺仙人のラーメンを知らない者など素人同然だと語る。その言葉を受け、太郎は老麺仙人のもとを訪れる。しかし、老麺仙人は気に入った者にしかラーメンを作らない偏屈な老人だった。老麺仙人に認められるため、太郎は彼のもとで働き始める。(第4話「老麺仙人」)

ある日、料理仲間と酒を呑み交わしていた太郎は、「親方」選びに失敗すると一生後悔するとの忠告を受ける。そんな中、太郎は酒に酔った勢いで中華料理店・白連酒家の料理人になるという契約を交わしてしまい、激怒した将義に店から叩き出されてしまう。そして「親方」に対して疑問を持っていた太郎もまた、勢いで将義のもとから去るのだった。その後、太郎は白連酒家で働き始めるが、白連酒家の最新設備に頼るあまりすっかり怠け癖がついてしまう。(第5話「出入平安」)

ある日、北京で修行した同期の料理人・栗原が太郎の前に姿を現し、なぜ華楽を辞めたのかと問い詰める。太郎は素直に自分の考えを述べるが、栗原はその答えに納得しない。そして太郎の真意を探るべく、栗原は海楽大飯店に居座り始めるのだった。(第6話「北京ガエリの男」)

柿沢の勧めで、太郎はホテルでの料理を担当する事となった。柿沢は太郎に、海楽大飯店らしい料理を出すよう依頼する。しかし、太郎は海楽大飯店らしい料理がどんな物かわからない。柿沢の期待をプレッシャーとして感じる中、太郎はホテルでの料理当日を迎えてしまう。(第7話「ひとりでデケルモン」)

ホテルでの料理を酷評されてしまった太郎は、酷評した青野会長を見返すために納得のいく料理の研究を始める。柿沢から青野会長行きつけの店を教えてもらった太郎はその店に赴いて頭を下げ、青野会長の料理を担当させてほしいと願い出る。当然その願いは却下されるが、「下手な料理を作った場合は料理人を辞める」とまで約束する太郎の熱意に負け、ついに店の料理長は、青野会長の料理を担当する事を許すのだった。こうして太郎は、渾身の料理を青野会長の前に出す。(第8話「夏のおもてなし」)

太郎は料理仲間である栗原から、料理人として中国の深淵へと行かないかと誘われる。栗原の誘いに乗った太郎は将義に、海楽大飯店を辞めさせてほしいと願い出る。その言葉に将義をはじめとする周囲は呆れ返り、海楽大飯店の看板娘・荘慶子も太郎に反対の立場を取る。それでも太郎はあきらめず、さらには慶子に向かって、「いっしょに中国へ行こう」と誘うのだった。(第9話「海楽大飯店」)

登場人物・キャラクター

桃山 太郎

料理人の卵の青年で、年齢は21歳。赤坂にある高級中華料理店・華楽で15歳の頃から6年間修業を続けてきた。髪形は黒髪の角刈り。華楽ではまかない料理の担当で、客に出す料理を作った事はない。そのため、師匠の葉の指示で、中華街にある料理店・海楽大飯店に修行に出される事となった。のちに華楽を辞めて、正式に海楽大飯店の料理人となる。 無鉄砲だが、料理の事に関しては人一倍熱い性格で、料理のためにならば寝食すら忘れて没頭してしまうほど、まじめに取り組んでいる。一方で、調子に乗りやすい一面がある。また、非常に負けず嫌いで、自分の作った料理をけなされた場合は、その相手に「うまい」と言わせるまであきらめない。実家はラーメン屋を営んでおり、かつては跡を継ごうと考えていたが、店主である父親に「自分の味は自分で作れ」と怒鳴られ、家を飛び出した経緯がある。 そのため、麺類の料理には人一倍強いこだわりを持っている。

荘 慶子

中華料理店・海楽大飯店の看板娘。ショートカットの髪形をしている女子高校生。無鉄砲ではあるが、料理に対して真っ直ぐに向き合っている桃山太郎の事を何かと気に掛けており、次第に彼に惹かれていく。料理人である父親・荘将義を尊敬しており、料理の事となると周囲が見えなくなる将義や太郎の事をつねに心配している。

荘 将義

中華料理店・海楽大飯店の店主を務める男性。短髪で、顔に十字の傷跡がある。葉と肩を並べるほどの腕前を持つ料理人だが、職人気質な性格で、愛想が悪く頑固。若い頃は新しい食材や新しい調理法を模索しつつ、料理の腕前を磨いていった。妻が病床についた頃から薬膳料理の研究に耽溺したが、その甲斐なく妻は死去。それからは一つの料理を追求する事をやめ、「客の食べたい物なら何でも作る」という料理スタイルを取るようになった。 ちなみに顔の傷跡は、妻を亡くした自戒の念から自ら包丁でつけたもの。なお、自宅の食卓で料理を作るにあたっては、一度たりとも同じ料理を作った事がない。

柿沢

中華料理店・海楽大飯店の常連客の老人。白髪で、額の真ん中に大きなほくろがある。海楽大飯店では「雷魚」料理を頻繁に注文するため、荘慶子や桃山太郎からは「雷魚のおじいさん」「雷魚のじじい」などと呼ばれている。太郎に料理を注文しては「まずい」とケチをつけているが、本心では太郎の事を気に入っており、将来性にも期待している。 実は一言で店の流行り廃りを決められるほどの影響力を持つ有名な料理評論家で、界隈では辛口の評価をする事で知られている。

赤坂にある高級中華料理店・華楽のシェフを務めている短髪の男性。桃山太郎の師匠で、彼の成長をうながすため、料理仲間の荘将義が営む中華料理店・海楽大飯店に修行に出した。伝統料理を守りながらも腕を磨き続ける優れた料理人で、華楽では「先生」と呼ばれるほどの重鎮。厨房では規律正しい姿を見せる一方で、私服は超ド派手。

老麺仙人 (らーめんせんにん)

毎年寒くなる頃にラーメン屋の屋台を出す老人。長い顎ひげを生やして木製の杖を持ち、黒いニット帽をかぶっている。気に入った人物にしかラーメンを作らない事を信条としており、気に入らない人物にはどんなに金を積まれようとも決してラーメンを作る事はない。そのラーメンは絶品で、多くの食通を唸らせるほど。また、ラーメンを作る手際もよく、屋台運営の手伝いをした桃山太郎を驚かせた。 大昔に薬膳料理の店を営んでいた経験があり、客の顔を見ただけで体調や精神状態までわかるという特技を身につけている。

栗原

高級中華料理店・華楽で働く、黒い短髪の若手料理人。才能ある青年で、北京への3年の修行から帰って来ると同時に桃山太郎が華楽を辞めた事を知り、彼に会うため海楽大飯店を訪れた。太郎とは同期で、北京へ研修に行く料理人を決定する際、最後までその座を太郎と争った事を知らされて以来、彼の事をライバル視している。

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