料理人

料理人

一流の料理人(つくりにん)である父とそして母までをも亡くした娘が、その原因をつくった卑怯な男への仇を討つために料理修行の旅にでて復讐を果たさんとする時代劇。

正式名称
料理人
ふりがな
つくりにん
原作者
昴 すまる
作画
ジャンル
料理人
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概要・あらすじ

料理人(つくりにん)の名誉である、10年に1度の包丁式に選ばれた留造は、それに嫉妬した同じ料理人の辰蔵の妨害細工により役目を果たせず、自害してしまう。そして更に辰蔵は、身籠っていた留造の妻おふじ、弟子の音松をも死に至らせてしまう。たった1人残された娘のおみのは、料理人として辰蔵に復讐を果たさんと、女としての幸福も捨て、命を懸けて料理人を目指すのだった。

登場人物・キャラクター

おみの

辰蔵によって仕組まれた包丁式の失敗を苦に自害した留造の娘。父を亡くし、母親もまた辰蔵によって命を落とした。その仇を、料理人らしく包丁の技で討つことを誓い、修行の旅を続ける。女としての幸福も投げ捨て、遂には嘉助の弟子となり、巳之吉という男のなりをして料理人となる。

留造

おみのの父。料亭松喜の花板(料理長)。江戸で1番の腕前と言われ、10年に1度の包丁式に関東では初めて選ばれたが、それを妬んだ辰蔵の策謀で包丁式に失敗し、それを苦にして自害する。仕組まれた罠も、それを見抜けなかった自分の力不足と、決して他人のせいにしない清廉な性格。

辰蔵 (たつぞう)

料亭金八楼の花板(料理長)。留造が包丁式に選ばれたことを妬み、包丁式を失敗させ、代理として役を奪い取る。失敗を苦にして自害した留造の妻、おふじをも手籠めにしようとして乱暴し、お腹の子供と共に命を奪ってしまう非道の男。

嘉助 (かすけ)

ふぐ料理で神業のように薄くさばくことから「千枚取りの嘉助」という異名を持つ料理人(つくりにん)の名人。料理の技術は天才的だが、博打がやめられず、その日暮らしのやくざな生活に身を落としている。博打の借金のカタをおみのが肉体を犠牲にして支払ったことで、おみのの並々ならぬ覚悟を知り、弟子にする。

おふじ

留造の妻。幼なじみである辰蔵の想いをよそに留造と結婚した。包丁式の時には身重の身だったが、留造亡き後、強引に手籠めにしようと現れた辰蔵への抵抗で流産し、自らも命を落としてしまう。

音松 (おとまつ)

留造の弟子。真面目な一本気の青年。おみのに好意を抱いている。尊敬する師匠、留造の自害の原因をつくった辰蔵を許すことは出来ないと、待ち伏せして包丁を向けるが、返り討ちにあって殺されてしまう。

宗八 (そうはち)

おみのが旅の途中で出会った料理人。花板の宗八の雉料理はえもいわれぬ味として有名で、味通のお代官が時々食べにくるほどである。しかしその雉料理は村では御法度の味付けであり、この秘密を知ったおみのを、宗八は殺そうとする。

松喜の旦那 (まつきのだんな)

江戸一番の料亭松喜の主人。留造を包丁式に送り出し、名誉を得る予定だったが、辰蔵の策謀で役目を果たせず留造は自害し、客足は遠のき、料理人は店を去り、思い悩んで最後は首を吊ってしまう。

田舎の加治屋 (いなかのかじや)

その昔は将来を嘱望された一流の包丁鍛冶だったが、自分のつくった包丁で人が殺されたことで2度と包丁をつくるまいと田舎の鍛冶屋になった。しかし、その腕を見込んで留造に頼み込まれ、留造の包丁だけはつくってきたという。その包丁が縁で修行の旅のおみのと出会う。

根古太 (ねこた)

長屋の子供。知恵がまわり、口も達者なませた子供。その度胸と愛嬌で小金井小次郎の賭場の常連となって、盆の場の「にぎやかせ」になっている。留造の形見のおみのの包丁を盗んで、博打のカタにしたことで小金井小次郎に大目玉をくらうが、そのおかげでおみのは小金井小次郎と出会い、嘉助への足掛かりをつなぐ縁となる。

小金井 小次郎 (こがねい こじろう)

実在の人物で侠客の、小金井小次郎をモデルにしている。侠客の大親分。おみのの料理人となって包丁で仇を討とうとする、その心情に共感し、嘉助を追うおみのの道中に添え状を渡して手助けをしてくれる。

伊三郎 (いさぶろう)

板場の花坂(「料理長」)。大花会でお膳をまかされるが、客人としてその場にいた嘉助にプライドを傷つけられる。それを根に持ち、以来、嘉助を執拗につけまわす。

浪花屋 (なにわや)

上方の食通で有名な回船商人。味の濃い江戸での料理人の腕には否定的だったが、包丁式に選ばれた留造の大根煮のひときれを食べて、そのあまりの美味しさに心を改める。数年を経て、料理人として現れた留造の娘、おみのに力を貸し、仇の辰蔵の料亭金八楼の板場に入れるように計らう。

その他キーワード

包丁式 (ほうちょうしき)

『料理人』に登場する、10年に1度開かれる料理人の儀式。この包丁人に選ばれると、ゆくゆくは公儀御料理人(こうぎおつくりにん)にもなれるという名誉あるもの。ヒロインおみのの父留造は、この包丁式に選ばれるが、それを恨みに持った辰蔵に、料理する鯉の腹にうなぎ串を仕組まれ失敗してしまう。

クレジット

原作

昴 すまる

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