概要・あらすじ
何者かによって妻子を殺害された、赤竜流組の若頭であるヤクザの大紋寺龍伍。遺留品のライターから、赤竜流組組長の粟侍我竜が犯人と判断した龍伍は、報復のために粟侍我竜がいる東京へと向かう。しかしその途中、伊豆の三島まで来たところで前代未聞の大地震が発生し、日本は秩序の失われた壊滅状態となってしまった。
それでも組長殺しを完遂せんとする龍伍は、清川四郎太、佐藤米七ら仲間とともに崩壊した伊豆半島各地で様々な事件に巻き込まれていく。
登場人物・キャラクター
大紋寺 龍伍 (だいもんじ りゅうご)
赤竜流組の若頭であるヤクザの男性。任侠道を重んじる昔気質で一本気な性格をしているが、血液型が違うと輸血をできないことさえ知らないなどやや頭の足りないところもある。何者かによって妻子を惨殺されたが、その犯人を赤竜流組組長・粟侍我竜とみており、復讐のために東京へ向かっている途中で大地震に巻き込まれた。 村主(すぐり)という長ドスを愛用しており、隕石でさえ真っ二つに斬ることができる腕を持っている。背中に五匹の龍の刺青が入っているのが特徴。
清川 四郎太 (きよかわ しろうた)
赤竜流組の若頭補佐であるヤクザの男性で、大紋寺龍伍のブレーンのような存在。長髪とサングラスが特徴だが、実はカツラであり、実際の髪はスダレハゲ。そのため兄の清川太郎からは「スダレマン」と呼ばれている。カポエラの達人。赤竜流組組歌「花と任侠」の作詞者でもある。
佐藤 米七 (さとう よねしち)
赤竜流組の舎弟頭であるヤクザの男性で、大紋寺龍伍を「兄貴」と仰ぐ28歳。博徒として名古屋ではある程度名が知れている。左腕は義手で、中にはプラスティック爆弾が詰まっている。
風野 又三郎 (かぜの またさぶろう)
赤竜流組の一員であるヤクザの男性。大紋寺龍伍の子分として鉄砲玉の役割を果たして死刑囚となり、伊豆半島沖の「伊豆アルカトラズ」と呼ばれる絶海の孤島の刑務所に収監されていた。自分を死刑囚に追いやった龍伍を、筋違いと分かってはいながらも恨み、命を狙っている。体を末期ガンに侵されているため、痩せこけており、よく血を吐く。
粟侍 我竜 (あわじ がりゅう)
赤竜流組の組長である老男性。息子の粟侍正義が組に大損害を与えたカドで大紋寺龍伍に斬られたため、そのことを恨みに思って龍伍の妻子を殺害したという疑いを持たれている。会合で東京に来たところで大地震に遭い、大陥没に飲み込まれて生死不明となっている。
安出 徹 (あんで とおる)
大紋寺龍伍を殺害するために赤竜流組が差し向けた殺人鬼の男性。フランケンシュタインの怪物のような見た目をしており、感情がなく一切しゃべらない。痛覚もなく、どのようなダメージを受けてもほとんど動じることがない。
芋橋 源左衛門 (いもはし げんざえもん)
赤竜流組の最高幹部であるヤクザの男性。「俺は中学の時分科学部だ!」が口癖。電子工作から生物学まで科学全般に幅広い知識と技術を持ち、「嵐」という名の伝書鳩を飼っている。赤竜流組組歌「花と任侠」の歌手でもある。
大日向 あきら (おおひなた あきら)
伊豆・恋人岬で小谷鐵太郎と暮らしている少年。暴走族に襲われてケガをし、救急搬送されている途中に大地震が発生したことで行方不明となってしまった父親を探している。
わらしべお蝶 (わらしべおちょう)
粟侍我竜の妻である女性で、大地震で東京が壊滅してからは伊豆半島の戸田にある賭博場でサイコロ賭博の壺振りをしている。粟侍我竜の妻になる前は大紋寺龍伍と深い仲にあった。背中に大きなアゲハ蝶の刺青がある。
清川 太郎 (しみず たろう)
赤竜流組の若頭筆頭であるヤクザの男性で、清川四郎太の兄。断末魔の声を聞くのが趣味であり、そのため粟侍我竜の懐に密かにボイスレコーダーを仕掛けていた。そのため、粟侍我竜が大紋寺龍伍の妻子を殺害したとされる事件の真相を知っている。
渋谷 亀吉 (しぶや かめきち)
日本公共放送(MHK)新宿地区スタッフである男性。いかつい顔と体格をしており、東京がほとんど壊滅した状態でありながらも集金活動を続けている。赤竜流組の事務所に集金に来たことがきっかけで、芋橋源左衛門らと行動をともにする。
梅本 薫 (うめもと かおる)
暴走族・西伊豆鎖僧(チェーンソー)の4代目総長である男性。小谷鐵太郎と揉めていたところに通りかかった大紋寺龍伍とチキンレースで対決する。
小谷 鐵太郎 (こたに てつたろう)
大紋寺龍伍たち赤竜流組と近縁である中央部播堂会塩麦連合系蟷螂組の若頭であるヤクザの男性。湯治に来た伊豆・恋人岬で、暴走族に絡まれていた大日向あきら親子を助けていたところで大地震に遭い、暴走族相手に追い剥ぎのような真似をして食料を得ながらあきらを守っていた。
集団・組織
赤竜流組 (せきりゅうぐみ)
『任侠沈没』に登場する暴力団。中央部播堂会粟侍連合系に所属し、組長は粟侍我竜。尾張北部・播堂村の農民が明治末期の大飢饉の際に組織した集団を源流に持っており、史上最強の任侠として恐れ敬われてきた。組員は2000人、構成員は8000人を数える。