あらすじ
第1巻
地味でまじめな女子高校生・矢野あずさは、美少年で目立つ存在の青田カオルに片思いしていた。ある日、あずさは所属する図書委員の仕事をするために図書室にいると、カオルとその取り巻きの女子生徒達が室内で騒ぎを起こした事から、カオルは後日あずさに謝罪するために図書室にやって来る。そこでカオルは、以前からあずさが借りている本が性描写の多いものばかりである事を指摘し、突然淫らに身体を触り出す。カオルに興味を持たれた事で夢心地なあずさはそのまま受け入れ、以降カオルがご主人様、あずさが奴隷といった関係になる。カオルの不可解な行動の裏には既婚者で看護師の相葉かなえの存在があると知りつつも、あずさはカオルが自分から離れていってしまう事を怖れ、何も言えずにカオルの命令に従っていた。そしてあずさ自身も、カオルが与えてくれる快楽に身を委ねていく。そんな中、あずさはカオルから下着を身につけずに登校するように命令され、その一部始終を岡田大輔に目撃されてしまう。大輔はそのネタを使ってあずさに迫るが、カオルの機転によって大事には至らずに終わる。その事件をきっかけに絆を深めたあずさとカオルは、ついに一線を越える。
第2巻
青田カオルと正式に交際する事になり、矢野あずさは幸せの絶頂にいた。一方、岡田大輔は彼女の近藤から身体の関係を拒否され、持て余した性欲を目の前で転倒して下着をあらわにした目黒のあに対し、盗撮という歪んだ形でぶつけてしまう。その後、大輔とアルバイト先で再会したのあは、盗撮された事をネタに大輔を脅すようになる。そして大輔があずさに好意を抱いている事実を知り、あずさが自分達が働くドラッグストアに来店するたびに、大輔にきわどい命令を下して楽しむのだった。そんな中、カオルは相葉かなえの事は忘れ、あずさを大切にしようと考え始めていた。しかし、かなえはそんなカオルの気持ちを知ってか知らずか積極的な行動を開始。ついにカオルはあずさとの約束をキャンセルしてかなえの家を訪れ、そのまま二人は身体の関係を持つのだった。その後、カオルはあずさに別れを告げるが、あずさは受け入れず、かなえに直談判を申し入れる。だが、そのあずさの行動はさらにカオルの心を離れさせる事となり、ついに激しく拒絶されてしまう。
第3巻
青田カオルにふられた矢野あずさは、彼を見返すために見た目も性格も「モテる女子」に変身する事を決意する。それでもあずさの心は、変わらずカオルにあった。そんな中、カオルの目の前で稲葉タクミに告白されたあずさは、カオルを嫉妬させようとその告白を受け入れる。だが、いざタクミと身体の関係を持とうとしても、あずさにはどうしても受け入れられない。そんな様子を見ていたタクミは、あずさがカオルに未練があると悟り、改めて二人に話し合いをする場を設ける。そこでカオルは相葉かなえとはもう会っておらず、あずさとやり直したいと語る。それに対し、あずさはもっと自分に執着してほしいと考え、二番目の相手としてならば交際してもいいと告げ、カオルはそれを受け入れるのだった。だが後日、カオルは再びあずさに別れを切り出す。動揺したあずさは、タクミや男友達の前で「タクミとこれからセックスする」と宣言するなど、大いに取り乱してしまう。
第4巻
久しぶりに二人きりになった矢野あずさと青田カオルは身体の関係を持ち、あずさは再びカオルだけと交際する事を決意。現在交際している稲葉タクミに別れを切り出そうとするものの、二人の関係に気づいているタクミは、あずさからの別れ話を巧みにかわしていた。そんな中、タクミはあずさとカオルが抱き合っている場面を目撃してしまい、ついに別れを受け入れるのだった。こうして復縁したあずさとカオルは、軽井沢へ一泊旅行に行く事になった。そこでカオルは、これまで話した事のなかった自分の複雑な生い立ちをあずさに語り、二人は真の意味で恋人同士となる。そんな平穏な日々が続いていたある日、街を歩いていたあずさは、子供を抱いている相葉かなえから声を掛けられる。
登場人物・キャラクター
矢野 あずさ (やの あずさ)
図書委員会に所属する、地味でややネガティブ思考な女子高校生。読書家であるものの、本を読むのが好きというよりも、現実逃避が主な目的となっている。そのため、卑猥な描写目当てに純文学をよく読んでいる。以前から青田カオルに好意を寄せていたが、自分とは住む世界が違うと遠くから見つめているだけだった。しかし、図書館でカオルと初めて会話を交わしてから、カオルの方から思わせぶりな行動を取られたり、身体を触られたりと迫られるようになる。 カオルに胸を触られたりと性的な行為を受けた際、最初はカオルが自分に興味を失う事を怖れ、なすがままに受け入れていたが、次第に自らも快楽に身を委ねるようになる。カオルの行動の意図がわからず混乱している一方で、好きな人と会話ができる喜びや特別な関係になりたいという思いから、卑屈だった性格も少しずつ明るく変わっていく。 カオルと相葉かなえの関係は知っているが、自分は入り込めないと何もできずにいる。のちにカオルと正式に交際し、身体の関係を持った。その後、カオルにふられてかなえのもとへ走られたあとは、性格を豹変させ、彼への執着を一層強めていく。
青田 カオル (あおた かおる)
亜麻色の髪の毛を持つ男子高校生。中性的で整った顔立ちに白い肌で、何もしなくても目立つ外見をしている。学校内ではつねに取り巻きがいるほど、女子生徒からの人気が高い。日常生活は問題なく送れているものの、呼吸困難と胸痛を伴う病である気胸を患っており、激しい運動はできない。胸には手術の時にできた大きな傷がある。入院していた際、看護師で既婚者の相葉かなえに好意を抱いて気持ちを伝えた。 以降、かなえとはデートをしたり、キスをしたりする程度の付き合いを続けていた。そんな中、自分に好意を抱く矢野あずさの存在に気づき、自身の感情を安定させるために接近していった。あずさに対しては胸を触ったり、下着を身につけさせずに登校させたりと、彼女の愛情を試すような行動をする。 のちにあずさとは正式に交際して身体の関係を持つが、それでも心のどこかにかなえがいる状態が続いている。
相葉 かなえ (あいば かなえ)
看護師として働く既婚者の女性。医師の夫には浮気をされており、浮気相手から嫌がらせのメールを受け取っている。勤務する病院に入院している青田カオルから告白をされたものの、夫を愛している事を理由に、正式には受け入れてはいない。しかしカオルを蔑ろにする事ができずに、デートをしたりキスをしたりと深入りしない関係を楽しんでいる。 一方、自分が一線を越える気も夫と別れる気もない事に、カオルが不安を抱いている事も認識している。自分を好きになってくれる女性を見つけるよう諭し、カオルが矢野あずさにちょっかいを出すきっかけを作った。あずさとの関係を応援するような言葉を口にはしているが、相葉かなえ自身にとってもカオルとの交際は刺激的なものであり、手放す気はない。 私生活ではカオルを翻弄する悪女ではあるが、看護師としての自覚と責任感は人一倍強く、真摯に患者と向き合っている。
岡田 大輔 (おかだ だいすけ)
図書委員会に所属する男子高校生。メガネをかけたまじめな性格で、やや調子にのりやすい一面がある。ドラッグストアで2年ほどアルバイトをしている。目立たない地味なタイプではあるものの、顔立ちは整っている。純粋に本が好きな読書家で、同じ本好きの矢野あずさに好意を抱いていたが、青田カオルが好きだとふられてしまい、のちに近藤と交際する。 一方、あずさとカオルが誰もいない図書室で情事に耽っているシーンを録画し、一時はそのネタであずさを脅迫しようとしたが、カオルによって返り討ちにされてしまう。以降、あずさとは性的な話もできるようになり、同時にあずさへの恋心が再燃している。近藤が結婚相手としかセックスをしたくないという考えのため、性欲を持て余している。 それにより、目の前で転んで下着をあらわにした目黒のあをつい盗撮してしまい、この事をネタにのあから理不尽な命令を受けるようになった。
目黒 のあ (めぐろ のあ)
岡田大輔が勤務するドラッグストアでアルバイトをする女子高校生。クールな印象の美少女で、自分の感情を表に出す事はない。ドラッグストアの面接に向かう途中で転倒し、あらわになった下着を岡田大輔に盗撮された。自身でもその事には気づいており、大輔と再会した際にはその事をネタに脅し、矢野あずさに片思いをしている事実を聞き出した。 以降、ドラッグストアにあずさが買い物に訪れるたびに大輔にちょっかいを出させるなど、理不尽な命令を下す。大輔に執着しているものの、大輔本人に興味があるのではなく、他人が誰かを好きになっている様子を観察したいという、歪んだ好奇心からである。
稲葉 タクミ (いなば たくみ)
矢野あずさのクラスメイトの男子高校生。明るい性格で友達も多い。運動部に所属しており、細身ではあるが筋肉質な体型をしている。軟派な男に勘違いされがちだが、恋愛に関してはまじめで、好みのタイプは清楚系。交際していたリナに浮気されて別れた過去があり、好きな人には一途に接する。以前地味だったあずさに対して処女だろうとからかっていたが、青田カオルにふられて「モテる女子」に変わったあずさに興味を抱いて告白をした。 これが受け入れられ、交際がスタートしたが、あずさの目的はカオルに嫉妬させる事であり、彼女からは単なるいい人としか思われていない。あずさに二股をかけられている事までは気づかなかったが、カオルとあずさが惹かれ合っている事は把握していた。
島田 (しまだ)
青田カオルに好意を寄せる女子高校生で、カオルの取り巻きの一人。制服のスカートを短くし、派手な髪型や化粧を好むいわゆる「ギャル」で、カオルに気に入られようと奮闘している。しかし、カオルからは迷惑がられており、告白をする前に拒絶されてしまう。
近藤 (こんどう)
美術部に所属する女子高校生で、おとなしく穏やかな性格の持ち主。同じクラスの岡田大輔に好意を抱き、のちに交際をスタートさせた。大輔が矢野あずさに片思いしていた事は知らないため、大輔とあずさがいっしょにいても特に嫉妬する様子はない。大輔の事は好きだが、結婚相手としかセックスをしないと固く決めている。
リナ
稲葉タクミの元彼女の女子高校生で、非常にかわいらしい容姿をしている。タクミと交際中にほかの男性から言い寄られ、つい浮気をしてしまった。タクミに浮気がバレてからは浮気相手と付き合う事を選択したものの、のちに本当にタクミが好きだった事に気づく。その後はタクミに再び告白したが、矢野あずさと交際しているからと激しく拒絶され、ふられる事となった。