概要・あらすじ
売れない漫画家の鈴木英雄は、冴えない日常を過ごしていた。そんな中、奇妙な事件が報道され始める。それは感染した人間がゾンビのようになり他人を襲い始める謎の伝染病が流行し始める兆しだった。次第に感染者は拡大し、鈴木がアシスタントとして働いている職場の人間や、鈴木の恋人黒川徹子までもが感染してしまう。
世界がパニックに陥る中で、生き残りをかけた鈴木の戦いが始まった。
登場人物・キャラクター
鈴木 英雄 (すずき ひでお)
35歳の漫画家で東京都在住。クレー射撃が趣味で、上下二連式の散弾銃新SKB MJ-7を所持している。黒髪にメガネの冴えない風貌。かつては連載を持っていたが、不人気で連載打ち切りとなってからは人気漫画家松尾の元でアシスタントをしている。神経質で小心者な性格。極度の妄想癖があり、漫画家として成功したり、奇妙な化け物に襲われるといった妄想を繰り返している。 矢島という妄想上の人物と会話することで、現実の不安から逃れようとすることがあるが、周囲の人間からはひとり言にしか見えない。自分を勇気づける時の口癖は「アイ アム ア ヒーロー」。
早狩 比呂美
黒髪でロングヘアの女子高生。おとなしいが物おじしない性格で、周囲の友人からはそれとなくいじめられている。林間学校で富士山麓を訪れており、肝試しで樹海を歩いていたところ、鈴木英雄と出会い行動を共にするように。富士五合目に向う途中で赤ん坊に噛まれ、感染するが、鈴木たちを襲うようなことはなく、会話もある程度できる「半感染」と呼ばれる状態になる。 その後、御殿場アウトレットモールで伊浦にボウガンで頭を打たれ意識を失い、小田の手術によって回復してからは感染前の意識を取り戻す。回復してからも感染者との意思疎通能力と、筋力や聴覚など、身体能力の向上といった変化が見られる。
黒川 徹子 (くろかわ てつこ)
鈴木英雄の恋人。以前は漫画家松尾のアシスタントで鈴木の漫画のファンでもあった。鈴木が松尾のアシスタントとして現場入りしたことが交際のきっかけとなる。鈴木と入れ替わりでアシスタントを辞めた漫画家中田コロリと交際していたことがあり、現在も中田の漫画のファンで中田のネームを読ませてもらったりもしているが、鈴木はそのことを快く思っていない。 物語の序盤で感染し、鈴木の手によって死亡する。
中田 コロリ (なかた ころり)
長髪で痩せ型の、いかにもオタク風の風貌をした男性。人気漫画家。鈴木英雄が入る前に松尾の元でアシスタントをしており、黒川徹子の元カレでもある。そうした経緯から鈴木に劣等感を抱かせているが、鈴木のネームを高く評価している。感染病の蔓延後は、感染すること無く東京都豊島区のマンションに立てこもり、武装集団のリーダーを務めている。
佐田 和也 (さだ かずや)
超学館の漫画雑誌週刊ストリップの編集者。中田コロリや松尾の担当編集者で、鈴木英雄の連載時の担当も受け持っていた。鈴木のネームに苦言を呈し、没にしている。台湾に若手女性漫画家と連れ立って取材旅行に出かけている際に感染し、失踪する。
松尾 (まつお)
鈴木英雄がアシスタントをしている漫画家。妻子のある男性だが、職場に女性アシスタントが入ってくるとたびたび浮気をしている。みーちゃんに噛み付かれたことで感染し、三谷に撲殺される。
みーちゃん
鈴木英雄と同じく、松尾の元でアシスタントをしている女性スタッフ。松尾とは不倫関係にあった。職場では真っ先に感染し、松尾によって殺害され、バスタブに放置されていた。水死体のような膨れ上がった容貌になって鈴木たちに襲いかかる。
三谷 (みたに)
松尾の元でチーフアシスタントをしている中年男性。鈴木英雄とはあまり仲がよくない。密かにみーちゃんをストーキングしていた。鈴木と共に松尾の職場から脱出するが、墜落してきた旅客機の車輪に轢かれて死亡する。
荒木 (あらき)
カメラマンの中年男性。感染を免れて富士五合目に向うところで鈴木英雄、早狩比呂美たちと出会い、同行する。生存者がいると聞き、鈴木たちと共に御殿場アウトレットモールに向かう。アウトレットモールで生存者の少年を守るため、感染者を巻き添えにして焼死。
小田 つぐみ (おだ つぐみ)
御殿場アウトレットモールにいた生存者の女性。元はアウトレットモール近辺の病院に勤める看護師で、医学的な知識を持っている。注射が苦手だったことから籔という偽名を使っている。早狩比呂美の感染状態に興味を持ち、感染症の治療に役立つのではと考えて比呂美を守ろうとする。 鈴木英雄比呂美と共に車でアウトレットモールを脱出し、比呂美の治療を行う。その後、成り行きで鈴木と肉体関係を持つが、アウトレットモール内で妊娠していたことが発覚。鈴木たちの足手まといにならないため、単独で病院へ向かおうとするが、その際に乳児の感染者に噛まれて感染。自らの意志で死ぬことを選ぶ。
サンゴ
元ひきこもりの青年。御殿場アウトレットモールを仕切る人物。鈴木英雄の散弾銃を奪い、階下にあるフードコートの食料品を回収する作戦を敢行するが、感染者に襲われて死亡する。
伊浦 (いうら)
サンゴを傀儡として操り御殿場アウトレットモールの生存者コミュニティを陰から支配していた人物。フードコートから生存して屋上に戻ってくるが、どこも噛み付かれていないのに感染して発症する。感染しても発症していない早狩比呂美に興味を持っており、感染をコントロールできるのではないかと考えていた。
来栖 (くるす)
年齢・本名不明の青年。自称ニート。感染が拡大し始めた時期に母親が感染し、金属バットで撲殺する動画をYouTube上に投稿し、パニックが起こってからはネット上を中心に熱狂的なファンを獲得した。一部の生存者と埼玉県久喜市にアジトを持ち、生存者を探している。アジトでは常にブリーフ一丁の姿で過ごし、二本のナイフを使って感染者たちと戦っていた。 異常な身体能力を持ち、早狩比呂美と同じような「半感染」状態にあったと思われる。アジトのメンバーであった羽生兄妹を殺害し、逆上した江崎崇に敗れる。
江崎 崇 (えざき たかし)
ひきこもりの青年。両親が感染して徘徊している中、自室にバリケードを作って生き延びていた。ネット上の掲示板で来栖のアジトメンバーと連絡を取り、来栖たちに救出され、アジトのメンバーとなる。アジトが感染者に襲撃された際、感染者に襲われて傷を負うが、来栖と同じように「半感染」状態となり、異常な身体能力を身につける。 好意を抱いていたアジトメンバーの羽生兄妹が来栖に殺害されたことを怒り、来栖を倒す。その後、アジトメンバーからクルスと呼ばれるようになり、新しいリーダーとなった様子。
場所
富士五合目 (ふじごごうめ)
「伝染病のウイルスは、富士五合目まで行けば空気が薄く気温も低いため感染力が弱まる」との噂が広まり、多数の生存者が集まりつつある。しかし、実際には感染者が紛れ込んでおり、パニックになった。
御殿場アウトレットモール (ごてんばあうとれっともーる)
静岡県御殿場市に実在するアウトレットモールがモデル。生存者が敷地内の建物の屋上に立てこもっており、コミュニティを形成している。住人たちは混乱が収束してから犯罪に問われることを怖れ、偽名を名乗っている。
その他キーワード
多臓器不全及び反社会性人格障害 (たぞうきふぜんおよびはんしゃかいせいじんかくしょうがい)
『アイアムアヒーロー』に登場する正体不明の感染病。感染すると多臓器不全を起こして一度死亡した後に蘇り、ゾンビのように生存者を襲うようになる。感染後は異常な身体能力を持ち、頭部を破壊されるまで死ぬことはない。感染者に噛み付かれて出血することや、感染者の体液が目や口に入ることで接触感染を起こすとされている。感染者は、生存者たちによってZQNと名付けられている。
書誌情報
アイアムアヒーロー 22巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2009-08-28発行、 978-4091825803)
第2巻
(2009-12-26発行、 978-4091827791)
第3巻
(2010-05-28発行、 978-4091831576)
第4巻
(2010-08-30発行、 978-4091833778)
第5巻
(2010-12-25発行、 978-4091835345)
第6巻
(2011-05-30発行、 978-4091838278)
第7巻
(2011-09-30発行、 978-4091840509)
第8巻
(2012-01-30発行、 978-4091842466)
第9巻
(2012-05-30発行、 978-4091845122)
第10巻
(2012-10-30発行、 978-4091847294)
第11巻
(2013-02-28発行、 978-4091848802)
第12巻
(2013-06-28発行、 978-4091852403)
第13巻
(2013-10-30発行、 978-4091855749)
第14巻
(2014-02-28発行、 978-4091858771)
第15巻
(2014-06-30発行、 978-4091862846)
第16巻
(2014-12-26発行、 978-4091866684)
第17巻
(2015-05-29発行、 978-4091870209)
第18巻
(2015-11-30発行、 978-4091873095)
第19巻
(2016-03-15発行、 978-4091874702)
第20巻
(2016-04-12発行、 978-4091875303)
第21巻
(2016-10-28発行、 978-4091892218)
第22巻
(2017-03-30発行、 978-4091893796)