概要・あらすじ
顔も性格も悪いと自認している女子高生の江崎は、全てにうんざりしている。男と服と化粧品の話しかしない同級生、人やぜいたく品があふれかえっている街、BFはおろか友達もいない自分。人混みの中を歩いていると、「もうたまんない!」と叫びたい衝動に駆られる。そんな江崎に、クラスメイトの八重子が近づいてきて、「あなたのような人を探していたの」と言う。
美しい八重子に誘われるまま、江崎は海辺にある別荘に遊びに行く。そこには、八重子にそっくりの美しい母と大叔母がいた。まるで映画のような世界に、江崎は有頂天になるが、体調がどんどん悪化していく。死にそうな苦しみの中で、江崎は大叔母たちが裸で交わっているところを見てしまう。だがそれは、交わりではなく、脱皮だった。
八重子たちは、300年に一度、人の精を栄養にして単性生殖で分裂していく生物なのだという。
登場人物・キャラクター
江崎 (えざき)
1人暮らしの女子高生。父親の再婚を機に、上京して私立の女子校に入学して2年。最初は寮に入っていたが、3か月で出てしまい、西陽の当たる四畳半のアパートから通学している。周囲に溶け込むことができず、暗い性格で、友達が1人もいない。ブスではないが、美人でもない。部活もとっくにやめて、進学をするかどうかも決めかねている。地味で目立たない存在。 だが、自分に対して優しくない周囲に、内心では常に怒っている。
八重子 (やえこ)
江崎の同級生。絶世の美女で、ある日突然、江崎の前に現れ、しつこくつきまとい始める。しかし、クラスの誰も八重子の名前を知らない。江崎に「あなたは一人ぼっちなの?」と言い、そうだと聞くと、海辺の別荘に遊びに来ないかと誘う。髪形は、カールのかかったセミロング。
八重子の母 (やえこのはは)
八重子の母親。遊びに行った別荘で、八重子から紹介される。髪形以外は八重子とそっくりの外見で、若くて美しい。髪を結い上げている。料理がうまい。
叔母 (おば)
八重子の母の叔母。八重子にとっては大叔母。八重子と母にそっくりで、3人とも同じ顔をしている。大叔母とはいっても、八重子の母と同じ年で、生まれた日も同じなのだという。常にパーティードレスを着ている。