概要・あらすじ
エマ=キャラウェイは、自分にかけられた魔法を解く手段を求め、魔法都市エルーカの魔法学院にやって来た。しかし入学試験に失敗し、キメラ魔法の研究所で助手のリンゼイ=ミントに誘われ、雑用のバイトを始めた。忙殺される日々の中、エマは自分の魔力が次第に高まっていきつつあることを自覚する。その魔力を求め、大国のスカウトまでがエマの前に姿を現すようになり、やがてエマはセージ王国の宮廷魔法使いリーラ=マーシュの陰謀のため、大きなトラブルに巻き込まれる。
登場人物・キャラクター
エマ=キャラウェイ
人魚の一種であるメロウ一族出身の16歳の少女。しかしメロウ一族の長老であるエルマ=キャラウェイによってかけられた魔法の影響で、幼なじみで恋人のハヤタ=クレスと下半身が入れ代わってしまい、現在は雌雄同体の身体となっている。性格は几帳面で、ガムシャラなまでに仕事熱心。ハヤタに熱烈な愛情を抱いており、ケースに入れたハヤタの鱗を肌身離さず持ち歩いている。
ハヤタ=クレス
人魚の一種であるメロウ一族と人間のハーフの16歳の少年。しかしメロウ一族の長老であるエルマ=キャラウェイによってかけられた魔法の影響で、幼なじみで恋人のエマ=キャラウェイと下半身が入れ代わってしまい、現在は雌雄同体の身体となっている。エマ以外の前では寡黙でおとなしいが、実はストレスを内側にため込むタイプであり、限界を超えると突然切れる。 もともと魔力を持たない体質だったが、雌雄同体になった影響で魔法が使えるようになった。
リンゼイ=ミント
猫(マオ)族出身の20歳の女性。魔法学院のキメラ研究所で助手をしている。エマ=キャラウェイの上司にあたる。多情であり、しょっちゅういい男を探しては、とっかえひっかえしている。さらに猫族特有の発情期中には、目についた男という男を片っ端から襲う状態となる。
ゼライスマン
スーパースライム族の雷魔法使いにして賢者。魔法学院のキメラ研究所で教授をしている。エマ=キャラウェイの実質的な雇い主にあたる。年齢は不詳、性別はそもそも存在するのかどうかも分からない。見た目は巨大なゼリー状のスライムで、まったく言葉を発しない。知恵が回り、学者としても有能で、また強大な魔力を持っている。好物はプリン。
ソリタケ=ソレル
侯爵の男性で、キメラ研究所所属の学生。見た目は人間とあまり変わらないが、水に溶けるなどの性質を持つ吸血ヒルという種族に属する。侯爵といっても没落貴族であるため、さして金持ちなわけではない。長いこと学生をしているので、リンゼイ=ミントよりも先輩。初遭遇時、身だしなみをいい加減にしていたことと、種族特性の故にグロテスクな外見になっていたため、以後エマ=キャラウェイからは嫌われている。
ちゅーバット
コウモリとネズミのキメラである召喚獣。ソリタケ=ソレルがキメラ研究を通じて作り出したもの。召喚魔法によって呼び出されるソリタケの使い魔だが、実質的にはペットとしてソリタケに溺愛されているだけの存在で、特に役には立たない。
太郎 (たろう)
リンゼイ=ミントの召喚獣であるグリフォン。グリフォンは非常に格の高い生物であり、召喚に必要な魔力コストが高く、使役することは困難。しかし、太郎はまだグリフォンとしては幼いため、リンゼイでもかろうじて扱うことができる。
ハナ
エマ=キャラウェイの召喚獣である、ズッキーニナマコという古代生物。見た目にはただのナマコであり、実際に戦闘能力はほとんどない。一方で、非常に高い分裂・再生の力を持つため、使役するには膨大な魔力が必要となる。リスクとリターンが見合っていないこともあり、これまで実際にズッキーニナマコを扱い得た魔法使いは、ほとんどいないとされていた。
リセット=シンシア
伝説的な大魔法使い。エマ=キャラウェイの暮らす今の時代より100年ほど過去の人物。エマが読んだ伝記には、赤毛の女性で、10歳で魔法学院に入学、常人の10倍の速さであらゆる魔法を極め、23歳の時に「リセット魔法」と呼ばれる解法魔術を確立。その後32歳で世を去った、と記されている。
リーラ=マーシュ
セージ王国の宮廷魔法使いをしているライトエルフの女性。リンゼイ=ミントからは「美少女」と言われたほどに幼い外見だが、実年齢は250歳。破壊兵器であるケロケロの開発者でもある。部下のドモン=キャロットの報告を受けてエマ=キャラウェイの魔力に目をつけ、かつて破壊されたケロケロを復元するために、リセット魔法を使わせようとする。
ドモン=キャロット
セージ王国の所属で、リーラ=マーシュの部下の男性の魔法使い。エマ=キャラウェイと召喚獣トーナメントで出会い、この時、エマがズッキーニナマコであるハナを使役していたことを、リーラに報告した。
ヘレネ
セージ王国と対立している、バジル王国の魔法使い。セージ王国のリーラ=マーシュ、ドモン=キャロットらに対抗し、セージ王国を代表してエマ=キャラウェイをスカウトしようとする。なお、若い女性の姿をしているが、実際には手術を受けた元男性で、本名は「ヘラクレス」という。
エルマ=キャラウェイ
エマ=キャラウェイの曾祖母で、メロウ一族の長老。年齢は約120歳。メロウ一族でも非常に高齢。ただでさえボケかけているところに、下半身を入れ替えるという高度な魔法を使ったため、これが決定打となって完全にボケてしまった。そのため、もう一度同じ魔法を使うこともできず、使った魔法がどのような魔法であったのかも、説明することができない状態になっている。
集団・組織
メロウ一族 (めろういちぞく)
人魚の一種で、エマ=キャラウェイ、ハヤタ=クレスらの出身種族。エマの曾祖母であるエルマ=キャラウェイが長老を務めている。男性は鱗のある二本脚の下半身を持ち、女性は魚の下半身を持つ。ほぼ全員が水魔法のエキスパートであり、水中の戦いでは他種族にひけをとることはない。
その他キーワード
下半身を入れ替える魔法 (かはんしんをいれかえるまほう)
エルマ=キャラウェイが若い頃にどこかから見つけ出した、2人の対象者の下半身だけを入れ替える魔法。いつ、何者が、何の目的で開発したのかなど、一切が不明である。雌雄同体の身体を持つ者は、魔法使いとして最高の適性を持つとされており、実際に下半身を入れ替える魔法をかけられたエマ=キャラウェイ、ハヤタ=クレスらは、人並み外れた膨大な魔力を持つ体質を獲得した。
リセット魔法 (りせっとまほう)
すべてを無に帰すとされる魔法。かつての大魔法使いリセット=シンシアが開発したもの。エマ=キャラウェイは、自分にかけられた下半身を入れ替える魔法を解くため、これを習得することを求めて魔法学院にやって来た。シンシアの死後使い手はおらず、究理は困難を極めると言われている。
ケロケロ
リーラ=マーシュが100年ほど昔に開発した超破壊兵器。一国を滅ぼすほどの力を持つが、その力を危険視するリセット=シンシアによって破壊された。もとに戻すためには、シンシアの死とともに失われたリセット魔法を使う以外にない。なお、恐ろしい兵器でありながら、名前の通り、カエルの彫像そのもの、というコミカルな外見をしている。