概要
中国拳法(形意拳)の達人で、高い戦闘力を持つ19歳の男。得意技は崩拳。父親が貿易関係の仕事をしていたため、少年時代を中国で過ごし、梁剣峰の下で中国拳法を習うことになる。梁剣峰の娘・梁明霞は姉弟子で、梁剣峰の一番弟子・王は兄弟子。他人を笑わせなければならない奇病・ゾナハ病に冒されており、祖父である加藤ケンジロウもこの病を患っていた。
発作を起こしていたところ、偶然通りかかった才賀勝が笑ってくれたため助けられる。その恩もあり、何者かに狙われている勝を守護する。途中で現れた勝の守護者を名乗るエレオノール(「しろがね」と名乗っている)とは、当初こそいがみ合うものの、ともに勝を守って戦ううちに、互いに想いを通わせるようになった。
勝をめぐる戦いの果てに左腕を失う重症を負い、瀕死の状態にあったところを、ギイ・クリストフ・レッシュによって不死の霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」を与えられ、命をつなぎ止める。その際、失った左腕の義手として「あるるかん」の腕を装着され、肘のつまみを回すことで「聖ジョルジュの剣」を出すことが可能となっている。負傷のショックで記憶を失うが、ギイによってフランスに連れて行かれ、人形破壊者・「しろがね」として自動人形(オートマータ)と戦う宿命に巻き込まれていく。鳴海は糸操り人形を使用せず素手で戦い、中国拳法によって練り上げられた「気」を自動人形に叩き込むことによって、疑似体液を沸騰させて活動停止に至らせる。
ギイと「最古のしろがね」であるルシール・ベルヌイユとともにヨーロッパ、アメリカで自動人形相手に戦い、真夜中のサーカスの次の行き先が中国であることを知る。その後、師である梁剣峰の生まれ故郷で白銀の記憶の影響を受け、白銀と白金、フランシーヌの身に起こった真実を知ることとなる。また、中国で出会ったしろがね犬の嗅覚により、真夜中のサーカスがサハラ砂漠にいることを突き止めた。
全「しろがね」対自動人形の総力戦であるサハラ戦においては、自らを顧みない戦い方を繰り返すことで重症を負い、両足と右腕が崩壊してしまう。散っていった「しろがね」たちの糸操り人形のパーツを移植することで生き永らえると、自動人形の「最古の四人」のうちパンタローネ、アルレッキーノを圧倒した。しかし、追っていた敵の首魁・フランシーヌ人形を破壊しようとしたそのとき、目の前にいる自動人形が極秘裏に作られた偽フランシーヌ人形だったことを知る。
その後、フウ・クロード・ボワローと接触し、本物のフランシーヌ人形は「人間の子どもを産みたい」という歪んだ欲望を実現するため、自らの意思で「生命の水」に溶け、それを生まれたばかりのエレオノールに飲ませることで人間になったのではないかとの誤った推理を聞き、ゾナハ病の治療法を突き止めるためエレオノールを狙うようになる。
関連人物・キャラクター
才賀 勝 (さいが まさる)
物語登場時は小学5年生の11歳で身長138cm。元々は母親と2人で暮らしていたが、勝が小学2年生のときに母親が心臓病で他界すると、世界的大企業・サイガの社長である才賀貞義の息子であることを知らされる。... 関連ページ:才賀 勝
関連キーワード
しろがね
白銀がその中に溶け込んだ霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」を摂取することで生まれる存在。「生命の水」本来の力で身体能力が通常の人間の5倍に向上すると同時に、老化のスピードが下がり5年に1歳ずつしか... 関連ページ:しろがね
サハラ戦 (さはらせん)
200年の間、「真夜中のサーカス」の居場所は、何度かの偶然以外には突き止められなかったが、しろがね犬の嗅覚により、サハラ砂漠にあることが、ルシール・ベルヌイユ、加藤鳴海、梁明霞(ミンシア)「によって特定された。ここで「しろがね」と自動人形(オートマータ)による総力戦が決行されることとなった。全世界に散っていた「しろがね」の大多数とアメリカを拠点にしていたしろがね-Oが集結する。その目的は、サハラ砂漠に真夜中のサーカスを足止めし、特殊ミサイルとレーザー兵器で自動人形を一網打尽にすること。特殊ミサイルはメスカレプトール多弾頭ミサイルというもので、粘性の高い高速腐食剤。それがギニア湾と地中海の潜水艦から300発射出され、ブースターの加速により7分で高度600kmに到達し、そこから降下して真夜中のサーカス上空100kmを覆っている銀の煙を除去する。その後、地上からの化学レーザー砲を人工衛星で反射するものと、別の人工衛星自体からの自由電子レーザーによって、銀の煙が晴れたサーカスのテントを一斉照射する。 しかしその作戦は自動人形に察知されていた。鳴海をはじめとする「しろがね」やミンシア、途中参戦した阿紫花英良らの奮闘、さらにはルシール・ベルヌイユの秘策であるフランシーヌ人形に瓜二つのアンジェリーナ人形(糸操り人形)を投入することで、自動人形を追い詰める。一方、「しろがね」側の被害も甚大で、ルシールをはじめ、多くの者がこの戦いで絶命した。 衛星からのレーザー照射で真夜中のサーカスを焼き払うことには成功するが、鳴海はその直前に、自分たちが追っていたフランシーヌ人形は偽フランシーヌ人形だったことを知らされる。「しろがね」側で生き延びたのは、鳴海、ミンシア、阿紫花、ジョージ・ラローシュの4名のみ。約3万人いた「しろがね」はほぼ全滅状態となる。また自動人形の一部も逃亡に成功した。