概要
1700年代の中国のある村で、糸操り人形を芸として見せる白家に生まれる。白銀の弟。家業を極めるための努力を怠らず、より良い人形を生み出すことを目指し、その極致としての錬金術を修めるため、兄の白銀とともにチェコ共和国・プラハを訪れる。プラハでは錬金術の習得に勤しむ一方、人生を楽しみたいとも考えていた。
プラハで過ごすうち、リンゴ売りをしていたフランシーヌに想いを寄せるようになる。しかし白銀とフランシーヌが、互いに想いを寄せあうようになったことを知って人格が崩壊し、フランシーヌを無理矢理さらってプラハから逃亡した。4年ほどの放浪の後、フランシーヌの生まれ故郷・クローグ村に落ち着くが、その地でフランシーヌが病を発症し、蔓延を恐れた村人たちによって彼女は隔離されてしまう。
その後、後を追ってきた白銀と再会。それぞれ独自に、フランシーヌを治癒させるための「生命の水(アクア・ウイタエ)」錬成に努める。「生命の水」の元となる「柔かい石」の生成に成功するが、白銀に一歩遅れ、さらに白銀からフランシーヌが命を絶ったことを知らされ遺髪を託される。
白銀がクローグ村を去った後も白金は留まり続け、23年の歳月をかけてフランシーヌ人形の作成に成功した。その人形はフランシーヌの容姿を模し、本物のフランシーヌの髪を植毛し、「生命の水」を与えることで自立思考を獲得したものだった。しかしフランシーヌ人形はなぜか笑うことができなかったため、彼女を笑わせるためにアルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレの4体の自動人形(オートマータ)を作った。それでもフランシーヌ人形は笑うことができない。白金は、その原因がフランシーヌを隔離して自ら命を絶つ原因を作ったクローグ村の住人にあると考え、他人を笑わせなければならないゾナハ病を作り出して村に蔓延させた。
それだけのことをしてもフランシーヌ人形が笑わないことに絶望し、白金は自分が作った人形たちを置き去りにして村を去った。放浪の末、自らの生まれ故郷である中国の村で命を絶つことを決意。まさに死を受け入れようとしたそのとき、「生命の水」には溶けた人間の心が宿ること、フランシーヌ人形に本物のフランシーヌの髪を使用していたことを思い出す。その髪を「生命の水」に溶かし、それを別の人間に飲ませれば、フランシーヌの記憶を持った人間を作り出すことができると考える。
しかし、フランシーヌ人形を探しに行くには、今の自分は老い過ぎていることに気づき、「生命の水」を使った人格転送を実行。あらかじめ自分の髪の毛を溶かした「生命の水」を飲ませて「しろがね犬」にした犬を訓練し、生まれ故郷の村から自分の血縁にあたる少年を拉致し、その少年にしろがね犬が訓練に従って「生命の水」を飲ませた。
実験は成功し、若い体を手に入れた白金は、フランシーヌ人形と別れたクローグ村に向かった。そこにはフランシーヌ人形の姿はなかったが、自分の住んでいた館は「しろがね」たちの拠点となっており、さらにフランシーヌとそっくりなアンジェリーナという少女と出会う。ひと目でアンジェリーナに心を奪われた白金は、とっさに「ディーン・メーストル」と名乗り、自身も「しろがね」の一員としてアンジェリーナを守ることで、彼女の心を獲得しようとする。
関連人物・キャラクター
白 銀 (ばい いん)
1700年代の中国のある村で、糸操り人形を芸として見せる白家に生まれる。白金の兄。家業を極めるための努力を怠らず、より良い人形を生み出すことを目指し、その極致としての錬金術を修めるため、弟の白金ととも... 関連ページ:白 銀
フランシーヌ
1700年代、チェコ共和国・プラハの街角でリンゴ売りをしていた少女。フランスのキュベロンにあるクローグ村出身だが、少女時代に口減らしのために人買いに売られ、プラハへとやってきた。プラハで人買いから逃げた後、詳細経緯は不明だが貧民街で多くの孤児とともに暮らすようになる。美しい金髪の持ち主で、自分の髪を売ることで生計を立てているため、基本的にショートカットをしている。 また、貧民街で暮らす高齢者など、弱者への心配りも忘れない。どんなときも笑顔を絶やさない明るい性格だが、かつて面倒を見ていた孤児のひとりが病気になった際、滋養のある食べ物を与えようと卵を盗んだ罪に問われ、肩口には罪人の焼き印が押されている。そうした心優しさから、貧民街の住人からは天使と呼ばれている。 錬金術の研究のためにプラハを訪れた白銀および白金と知り合い、白金に想いを寄せられるが、彼女のすべてを受け入れる覚悟の白銀と恋に落ち、結婚の約束を交わした。しかし嫉妬に狂った白金に拉致され、ヨーロッパを放浪させられる。4年ほど後、生まれ故郷のクローグ村に流れ着くが、当時としては根治不能の病にかかってしまう。 病の蔓延を恐れたクローグ村の住民によって隔離されていたところ、後を追ってきた白銀と再会。再会を喜びつつも、白金との逃避行の間に彼と過ごした時間もあるため、何もなかったことにして白銀と生きていくことはできないと判断し、自ら隔離されていた小屋に火を放つ。彼女の病を治すために白銀が作りだした霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」の服薬を拒否し、自らの髪を形見として残し、そのまま焼死。その髪は、白銀と同様に「生命の水」を作り出していた白金に手渡される。 白金が作ったフランシーヌ人形は、当然のことながらフランシーヌを模している。また、人買いに売られることを免れたフランシーヌの妹は、ルシール・ベルヌイユの母親である。ルシールの娘として生まれたのがアンジェリーナで、さらにその娘がエレオノールである。フランシーヌ、アンジェリーナ、エレオノールの容姿が似ているのは、こうした血縁関係にあったからである。
フランシーヌ人形 (ふらんしーぬにんぎょう)
フランシーヌを失った白金によって生み出された最初の自動人形(オートマータ)。本物のフランシーヌの髪の毛が植毛されており、また霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」を与えられたことで自立思考が可能。人間と変わらない感情を表現するが、笑うことだけはできなかった。その後、白金にうち捨てられたが、白金が去った原因は自分が笑えないことにあると考え、「生命の水」を模した擬似体液を開発し、自らと同時期に作られた自動人形の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレ、コロンビーヌに与えることで、彼らにも自我を獲得させた。 その後、数を増した自動人形らとともに、真夜中のサーカスとして、笑うための手段を探し求めて世界中を旅するようになる。長きにわたって各地の人間にゾナハ病を撒き散らしながら旅を続けるが、次第にその行為に疲れを覚え、自分にそっくりな偽フランシーヌ人形を作って残し、ひとりで真夜中のサーカスを去った。 自らと対立する「しろがね」の糸操り人形を作っている者の手で自身を分解してもらおうと考え、日本で才賀正二と連れ添っているアンジェリーナのもとを訪れる。そのときアンジェリーナは臨月を迎えており、なりゆきで彼女の出産に立ち会うことになる。 人間がどうやって生まれてくるかを知り驚愕したフランシーヌ人形は、生まれてきた赤ん坊・エレオノールに対し特別な感情を抱くようになった。懸命に赤ん坊の世話をしたたね、アンジェリーナ、正二、ギイ・クリストフ・レッシュからの信頼を獲得し、もはや笑えなくとも構わないと思い始めた矢先、自分の命令に従わない自動人形たちの襲撃を受ける。 アンジェリーナからエレオノールを託され、彼女を守るために懸命に逃げるが、誤って井戸に落ちてしまう。エレオノールの体内には、アンジェリーナの体内にあったはずの「柔らかい石」が移っていたため、それが生命の危機に瀕して反応し、井戸水が「生命の水」に変化。フランシーヌ人形は身を挺してエレオノールを守ろうとした結果、自身は「生命の水」に溶けて消滅した。
才賀 正二 (さいが しょうじ)
江戸時代の長崎で「乙名頭取」を父として生まれた。幼名は「成瀬正二郎」。次男であるため、父親の仕事に同席することは許されていない。少年時代に、医師として来日した老境の白銀(オランダ人のジャコブ・インと名... 関連ページ:才賀 正二
エレオノール
「自分の身に危険が迫ったら、一番近くのサーカスに行って助けを求めよ」と祖父・才賀正二に言われた才賀勝の前に現れた、銀髪で銀目の美しい女性。年齢は18歳で身長168cm。幼い頃、正二に「勝という少年を守... 関連ページ:エレオノール
才賀 勝 (さいが まさる)
物語登場時は小学5年生の11歳で身長138cm。元々は母親と2人で暮らしていたが、勝が小学2年生のときに母親が心臓病で他界すると、世界的大企業・サイガの社長である才賀貞義の息子であることを知らされる。... 関連ページ:才賀 勝
アルレッキーノ
「からくり編」に登場する、フランシーヌ人形と同時期に白金によって作り出された自動人形(オートマータ)。白金に去られたフランシーヌ人形が錬成した擬似体液によって自我を与えられ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレとともに「最古の四人」(レ・キャトル・ピオネール)と並び称される。 多くの炎を操るほか、掌から高熱の炎を発する「緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)」という技の使い手。さらにリュートを奏でることによる音波攻撃も行う。「しろがね」になりたての加藤鳴海が糸操り人形を用いずに自動人形を打倒するのに興味を覚え、顔を見に行き実際に戦闘。自らの体を常に改造し続けていたことで、「気」を受けても大丈夫だったため、鳴海を圧倒した。 その後、サハラ戦で再戦。糸操り人形のパーツでつぎはぎとなった鳴海を「醜い」と蔑むが、散っていった「しろがね」たちの想いを受け継いだ鳴海によって体を両断される。サハラ戦後は、造物主たるフェイスレスによって修理され慰み者として扱われる。フェイスレスに攫われたエレオノールの世話係を命じられて面会した際、エレオノールがフランシーヌ人形に酷似していることから、彼女を主として奉るようになる。 当初はエレオノールに邪険に扱われるが、甲斐甲斐しく仕え、まずは「人間をこれ以上傷つけるな」という命を下される。その結果、フェイスレスが拠点としたモン・サン・ミッシェルに侵入してきた生方涼子が自動人形に殺されそうになっていたところを救出。涼子から満面の笑みで礼を言われたことで、心を動かされる。 その後はフェイスレス側ではなく、エレオノールとともに残された人間のために戦うことに。フェイスレスが生み出した「最後の四人」の接近を感知し、エレオノールに暇乞いをした際、「戦って、勝ちなさい。そして…必ず戻ってきなさい」との言葉を賜り、嬉々として戦場に赴く。
関連キーワード
しろがね
白銀がその中に溶け込んだ霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」を摂取することで生まれる存在。「生命の水」本来の力で身体能力が通常の人間の5倍に向上すると同時に、老化のスピードが下がり5年に1歳ずつしか... 関連ページ:しろがね
ゾナハ病 (ぞなはびょう)
「ZONAPHA病」や「Z.O.N.A.P.H.A. Syndrome」とも表記される、呼吸困難から痛みを伴い、死に至る奇病。正式名称は「他者の副交感神経系優位状態認識における生理機能影響症」という。発作が起こると、他者の副交感神経を優位状態にしなければ症状は緩和されない。つまり、他人を笑わせなければ呼吸困難などに見舞われる。自身の力で笑わせなければならず、もともと笑っている人に近づいても発作は治まらない。治療法は見つかっておらず、加藤鳴海やその祖父がこの病を患っていた。 元々は、200年前にフランシーヌ人形が笑えなかったことを受け、それならば人間によって笑わせようと考えた白金が、アポリオン(「ゾナハ蟲」ともいう)という極小の自動人形(オートマータ)を撒き散らすことでクローグ村の村民たちをゾナハ病に罹患させたもの。その後、フランシーヌ人形が率いる真夜中のサーカスは、世界各地にゾナハ病を撒き散らしながら移動している。 ゾナハ病の症状が進行すると日常生活を送れなくなり、合併症を引き起こすと死亡するが、純粋なゾナハ病罹患者は決して死ぬことはない(外的要因は除く)。その症状は段階的であり、第1段階では他者を笑わせなければ呼吸困難に陥る発作が発生し、第2段階では免疫力が低下して様々な合併症を引き起こし、第3段階では体温が低音で固定されて全身が硬直し、呼吸困難状態が続いて飲食をせずとも生き続けるという恐ろしいもの。 唯一の治療法は、万能の霊薬「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲むこと。ただし、レイ疫病研究所でレイフ・バンハートらが開発したハリーから照射される「ワルトハイム電磁波」を浴びることで症状を抑えることが可能。
クローグ村 (くろーぐむら)
フランスのキュベロン地方に存在した、北西から冷たい潮風が吹き付ける質素な村。5月の収穫を祝う祭の日に、白金がフランシーヌ人形を笑わせるため、自動人形の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレ、コロンビーヌらを使って村人を虐殺した。生き残った者は銀色の煙によって最初のゾナハ病患者となり、後に白銀が訪れるまで6年の間、死ぬこともできずに苦しみの中で生きながらえていた。白銀によって村の井戸の水が「生命の水(アクア・ウイタエ)」に変えられたことで、ルシール・ベルヌイユを始めとした「しろがね」たちが誕生した。 この村で生まれた「しろがね」のルシール、マリー、タニア、ミッシェル、アルメンドラ(イヴォンヌ)、フウ・クロード・ボワロー、モンフォーコン、カストルらは「最古のしろがね」と呼ばれている。ただし、ルシールの娘であるアンジェリーナや、ナイア・スティールを含む「O」の数人もこの村で「しろがね」になった者たちである。この村はその後「しろがね」たちの拠点となり、「生命の水」を生み出す「柔らかい石」を巡って自動人形たちと500回以上も凄絶な戦いが繰り広げられた。拠点となっている館の地下は最先端の技術が取り入れられた司令部となっており、その壁には絵が上手かったタニアが描いたフランシーヌ人形の肖像画が飾られている。 この村は、チェコ共和国プラハに売られたフランシーヌの出身地で、白金に捕らわれたフランシーヌが数年の放浪の後、辿り着いた地でもある。フランシーヌはこの地で命を落とすことになるが、その23年後に白金が「最古の四人」を使って村人を虐殺したのは、フランシーヌを失ったことで歪んだ復讐心を持ったためでもある。また、「しろがね」の拠点になっている館は、大昔にこの地の領主が住んでいたもので、そこを改装して白金とフランシーヌが住んでいた。
サハラ戦 (さはらせん)
200年の間、「真夜中のサーカス」の居場所は、何度かの偶然以外には突き止められなかったが、しろがね犬の嗅覚により、サハラ砂漠にあることが、ルシール・ベルヌイユ、加藤鳴海、梁明霞(ミンシア)「によって特定された。ここで「しろがね」と自動人形(オートマータ)による総力戦が決行されることとなった。全世界に散っていた「しろがね」の大多数とアメリカを拠点にしていたしろがね-Oが集結する。その目的は、サハラ砂漠に真夜中のサーカスを足止めし、特殊ミサイルとレーザー兵器で自動人形を一網打尽にすること。特殊ミサイルはメスカレプトール多弾頭ミサイルというもので、粘性の高い高速腐食剤。それがギニア湾と地中海の潜水艦から300発射出され、ブースターの加速により7分で高度600kmに到達し、そこから降下して真夜中のサーカス上空100kmを覆っている銀の煙を除去する。その後、地上からの化学レーザー砲を人工衛星で反射するものと、別の人工衛星自体からの自由電子レーザーによって、銀の煙が晴れたサーカスのテントを一斉照射する。 しかしその作戦は自動人形に察知されていた。鳴海をはじめとする「しろがね」やミンシア、途中参戦した阿紫花英良らの奮闘、さらにはルシール・ベルヌイユの秘策であるフランシーヌ人形に瓜二つのアンジェリーナ人形(糸操り人形)を投入することで、自動人形を追い詰める。一方、「しろがね」側の被害も甚大で、ルシールをはじめ、多くの者がこの戦いで絶命した。 衛星からのレーザー照射で真夜中のサーカスを焼き払うことには成功するが、鳴海はその直前に、自分たちが追っていたフランシーヌ人形は偽フランシーヌ人形だったことを知らされる。「しろがね」側で生き延びたのは、鳴海、ミンシア、阿紫花、ジョージ・ラローシュの4名のみ。約3万人いた「しろがね」はほぼ全滅状態となる。また自動人形の一部も逃亡に成功した。
しろがね-O (しろがねおー)
フェイスレスによって生み出された、「しろがね」を人体改造で強化した存在。テトラカーボン製の骨格に有機合成繊維の筋肉、デジタライズされた神経系を有している。改造の結果、眼球すべてが銀色になっている。通常の「しろがね」と異なり、体に直接武器を搭載しているため、自動人形(オートマータ)と戦う際に糸操り人形を必要としない。また、通常の「しろがね」は5年に1度歳をとることに対し、「しろがね-O」はまったく歳をとらない。フェイスレスは、この「しろがね-O」を束ねる総司令をしている。 「しろがね」自体が感情の振れ幅が小さいのに、さらに「しろがね-O」は感情の起伏が極限まで抑えられており、非人道的な言動をすることも厭わない。「しろがね-O」にさらなる技術的改良を加え、「しろがね」の元の体をセンターで保存し、完全に機械化されたボディに人格を転送(ダウンロード)することで、たとえボディを破壊されても復活可能にした存在が「O」である。「最古のしろがね」であるルシール・ベルヌイユは、フェイスレスが「しろがね-O」を作ることに反対していた。
自動人形 (おーとまーた)
白金によって「生命の水(アクア・ウイタエ)」を与えられたフランシーヌ人形が作り出した、自立思考する人形。フランシーヌ人形が、自分が笑えなかったために造物主の白金が去ったと考えたため、自動人形はフランシーヌ人形を笑わせることを至上命題として存在する。外見や得意技など特徴は各個体によって千差万別。オートマータという名前は複数形で、単数形はオートマトン。 「生命の水」を模してフランシーヌ人形が作り出した擬似体液という不完全なものを動力源にするため、活動を継続するためには人間の血液を補充する必要がある。活動に際してはゾナハ病の病原菌を撒き散らす。 すべての自動人形に共通する前提として、白金が持っていた人間に対する憎悪があり、人間に恐怖を与えるものとして存在する。そのためどのような能力を有していても、人間が認識できないほど素早い動きはできない。これを自動人形の「黄金律」という。ただし、銃器をはじめとする攻撃兵器を操る人間に対しては本来の能力を発揮する。 自動人形には、フランシーヌ人形に直々に作成されたものと、自動人形によって作られたものがある。基本的にフランシーヌ人形に対する絶対服従を強いられているが、その個体の成立経緯がフランシーヌ人形から遠くなるほど、その忠誠心は低くなる。一方、フランシーヌ人形のあずかり知らぬところで白金によって作られた一群もあり、それらはフランシーヌ人形の束縛の対象外にある。 自動人形を打倒するには物理的に破壊するほか、加藤鳴海や梁明霞がするように気功を叩きこむことで擬似体液を沸騰させ内部から破壊する方法、ギイ・クリストフ・レッシュが操るオリンピアの必殺技「LA SAINTE VIERGE DEMBRASSEMENT(聖母の抱擁)」のように疑似体液を抜き取って活動不能にするなどの手段がある。 また、「生命の水」が溶けたしろがねの血がわずかでも体内に入ると行動不能になってしまうが、経口摂取した場合は前述の黄金律を克服できるようになり、人間に認識できない素早い動きでの攻撃が可能となる。