可愛そうにね、元気くん

可愛そうにね、元気くん

女の子が痛めつけられる姿に興奮する性癖を持つ男子高校生が、クラスメートの女の子をモデルにした凌辱漫画を描いている秘密を、学園のアイドル女子に知られたことをきっかけに展開していく、倒錯系ラブロマンス。「週刊ヤングジャンプ」2019年14号から掲載の作品。

正式名称
可愛そうにね、元気くん
ふりがな
かわいそうにねげんきくん
作者
ジャンル
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あらすじ

第1巻

男子高校生の廣田元気は、痛めつけられる女性の姿に美を感じる、歪んだ性癖を持っていた。家では漫画を描いて同人活動を行っており、よくケガをして鼻血を流しているほどドンくさい、クラスメートの八千緑七子をモデルにした作品を描いている。元気はそんな自分が異常であることは十分承知しており、彼女なんて一生できないだろうが、せめて漫画の中では自由に恋がしたいと考えていた。そんな元気の性癖と同人活動を行っていることを知っているのは、副担任の小柴川だけであり、唯一の相談相手であった。ある日、元気が七子をモデルにした同人凌辱漫画を描いている秘密を、学園のアイドル的な存在である完璧美少女、鷺沢守に知られてしまう。守は元気を暴力で打ちのめすと、秘密を知られたくなかったら自分のペットになるように元気に要求する。さらに守は、元気が七子に好意を寄せていることを知ると、面白がって二人で七子の実家の部屋に侵入し、強引に二人を接近させようとする。

第2巻

鷺沢守の企みによってなかよくなった廣田元気八千緑七子。守は元気が漫画を描いていることを七子に話すと、次の同人誌即売会イベントに参加する元気のブースに、二人で遊びに行くと言い出す。守は、元気から奪った漫画原稿を勝手に売ろうとしていたのだった。その漫画が、七子をモデルにした女の子が痛めつけられ、凌辱されるような内容であることを、七子本人に知られるわけにはいかず、元気は狼狽する。逃げることもできず迎えてしまったイベント当日、ついに七子に秘密を知られそうになるが、元気の同人誌はすでに完売しており、七子が目にすることはなかった。その後、元気と守がファミレスにいると、七子の弟である八千緑励一が現れる。元気の同人誌をまとめて買っていったのは励一だったのだ。励一は、自分の姉をモデルした凌辱漫画を描いて売っている元気を責め、二度と姉に近づかないようにと、その場で元気に七子への絶縁宣言をせまる。

第3巻

姉を守るためと、廣田元気八千緑七子から遠ざけることに成功した八千緑励一は、姉の部屋に隠しカメラを付けるような重度のシスコンだった。鋭いカンで何かを感じ取った鷺沢守は、励一の屋根裏部屋へ侵入して隠しカメラの秘密をにぎると、元気を泣かせていいのは自分だけだと、励一に釘を刺す。そこへやって来た元気は、励一の七子への思いを知り、その気持ちに理解を示す。そして、七子をモデルにした凌辱漫画を描いている事実を打ち明け、彼女に謝罪すると宣言する。お祭りの夜、嫌われるのを覚悟ですべてを打ち明けた元気だったが、七子はすべてを受け入れ、それどころか守の後押しによって二人は付き合うことになるのだった。元気はこれまでに描いた漫画をすべて捨て、ふつうの人間になると七子に誓う。

第4巻

夏休みに入り、廣田元気はなぜか美術部の合宿に参加し、海に来ていた。美術部顧問の小柴川、部員で元気の中学時代からの知り合いである勝丸梨々、部員でもないのに部室に入り浸っていた鷺沢守、元気の彼女となった八千緑七子も参加していた。さらに守から合宿のことを知らされた八千緑励一も偶然を装って現地で加わり、六人でオンボロ宿屋に宿泊する。その帰り道、守が駅で偶然出会った不審な男性から声を掛けられる。それは守の中学時代の恩師である厚木だった。厚木は教師とは思えない怪しげな雰囲気を漂わせていたが、電車が来たので二人はすぐに別れることになる。元気と七子は元気の部屋でいっしょに夏休みの宿題をし、いいムードになるものの、二人の関係はなかなか進展しない。後日、元気はひょんなことから本屋でアルバイトをすることになる。バイトの先輩である牛島さきこは、守の中学時代の同級生だった。そんな中、元気を部屋に呼び出した守は、元気を暴力で打ちのめすと、血と涙まみれとなった元気の姿に顔を赤らめ、血まみれのキスをするのだった。

登場人物・キャラクター

廣田 元気 (ひろた げんき)

高校2年生の男子で、痛めつけられる女性の姿に興奮するという性癖を持つ。幼い頃に姉といっしょに見ていた女児向けアニメで、かわいい女の子が容赦なく敵に打ちのめされる姿を見て以来、泣いて苦しみ、痛がりながら絶望する女性の姿に美を感じていた。特にクラスメートのドジっ子である八千緑七子がケガをして血を流す姿に興奮し、彼女をモデルにしたキャラクターが痛めつけられる同人誌を描いている。自分が異常であることは認識しており、同人誌に描いている内容は家族にも秘密にしている。同人誌のペンネームは「暴懲愛之助」で、「六千緑さんが体育教師にボコられる本。」などの作品を描いており、ファンも多い。秘密にしていた性癖を、学園のアイドルである完璧美少女の鷺沢守に知られて脅され、守に翻弄されている。

八千緑 七子 (やちみどり ななこ)

高校2年生の女子で、廣田元気のクラスメート。巨乳の持ち主だが、眼鏡を掛けており地味でドンくさく、クラスでも孤立している。よくケガをして鼻血を流しており、その姿が元気にとって凌辱漫画の理想的なヒロインとなっている。地元で知らぬ者はいない老舗の和菓子屋の娘で、優秀な弟の八千緑励一と比較されて、「出来の悪い上の子」として有名な存在。学校では遅刻も多く、部屋は散らかっていてやたらと汚い。ブラックメタルが好きだったり、ラーメン好きで超大盛り野菜マシマシ全部のせをペロリと平らげたりするなど、意外な一面もある。

鷺沢 守 (さぎさわ まもる)

高校2年生の女子で、廣田元気のクラスメート。成績優秀で運動もでき、女子やオタク男子などあらゆる生徒から人気のある完璧美少女で、学園のアイドル的な存在となっている。剣道部の正式な部員ではないが、道場に出入りして後輩を指導しており、剣道部員からも慕われている。しかしそれは表の顔であり、元気の秘密をにぎったことで、元気の飼い主として君臨している。八千緑七子と元気を交際させようとしているが、元気に暴力を振るって興奮するなど、鷺沢守自身も元気に対して倒錯した愛情を持っている。

かれん

廣田元気の妹で、ショートカットの元気な女の子。元気とは兄妹仲も悪くなく、突然訪ねてきた鷺沢守ともすぐになかよくなった。母親を亡くし、家事は姉がやっているが、その姉もたまにしか家に帰ってこないため、基本的には元気といっしょにパックのごはんや、ツナ缶などの質素な食事生活を送っている。

小柴川 (こしばかわ)

廣田元気のクラスの副担任を務める男性教師。美術部の顧問を兼任している。美術準備室にはソファやテレビを置き、エプロン姿で料理までしており、美術準備室を私物化している。元気の性癖を理解しており、八千緑七子をモデルにした凌辱漫画を描いていることも知っている。元気から相談を受け、性癖はどうしようもないからみんなに隠し通して、七子をモデルにした漫画は処分するようにアドバイスする。

瀬川 (せがわ)

八千緑七子の家の家政婦をしている、若くて美しい女性。古風な割烹着姿で、買い出しなどさまざまな家事を担当している。八千緑励一に頼まれて、七子の写真撮影までこなす。

八千緑 励一 (やちみどり れいいち)

八千緑七子の弟。柑ヶ丘(こうじがおか)学園の1年A組特進科に在籍している。ファンクラブがあるほどのイケメンで、家は地元で知らない者はいない老舗の和菓子屋を営んでいることから、ファンからは「和菓子屋王子」とも呼ばれる。7月1日生まれの蟹座で、血液型はB型。身長177センチ。英才教育によって華道や茶道などの伝統文化を極めているほか、スポーツや語学にも長けている。重度のシスコンで姉のことは「七ちゃん」と呼び、姉と結婚すると発言するほど溺愛している。廣田元気が描いている同人誌のことはもともと知っていたが、その作者が元気であり、さらに姉となかよくしていることを知って、姉に近づかないように元気に警告する。

勝丸 梨々 (かつまる りり)

高校2年生の女子で、美術部に所属している。廣田元気の中学時代からの友人。ショートカットの髪型で、非常に元気がいい。「勝丸」という厳つい苗字を気にしており、元気などには「梨々」と名前で呼ぶように要求している。ほとんどが幽霊部員の中、一人で部室でコツコツと絵を描き続けてきた。元気と八千緑励一のカップリングを妄想するような腐女子だが、元気以外には秘密にしている。美術部顧問である小柴川に恋しているが、勝丸梨々自身は自覚していない。

厚木 (あつぎ)

鷺沢守の中学時代の恩師だった男性教師。眼鏡を掛けた冷淡で怖い印象を持つ。剣道部の顧問をしており、見学を認めていない道場に、部外者である守がいることを叱責した。その後、変わり果てた姿となって守と偶然再会している。守と厚木とのあいだに何があったのかは、今のところ牛島さきこしか知らない。

牛島 さきこ (うしじま さきこ)

廣田元気がアルバイトをすることになった本屋の店員。元気と同い年の女の子で、店先でたまたま見かけた元気に声を掛けたことが、元気が本屋でアルバイトをするきっかけとなった。人懐っこい軽薄な性格で、そのチャラチャラした態度を店長から注意されている。鷺沢守の中学時代の同級生であり、守のことを「初恋の人」と語る。中学時代、クラスで浮いた存在でいつも一人で本を読んでいた守を、所属していた剣道部の道場に誘い、守と厚木が出会うきっかけをつくった。

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