あらすじ
第1巻
男子高校生の白黒山水は、神の手違いによって死んでしまい、異世界へと転生する。神は手違いで死なせてしまった山水に対するせめてもの償いとして、異世界で修行するための紹介状を渡す。山水はその紹介状を仙人のスイボクに渡し、500年もの長きにわたって彼のもとで修行を重ねることとなった。そんなある日のこと、山水は修行場の近くで捨てられている赤子を見つけ、その子にレインと名づけて育てるようにスイボクから命じられる。その後、レインと共に久しぶりに町へ出た山水は、そこで貴族の令嬢であるドゥーウェ・ソペードに気に入られ、彼女の屋敷で護衛として働くことになる。山水の秘められた力を見抜いたドゥーウェは、護衛剣士の一人のブロワと共に山水を重用するようになる。そして5年の月日が流れ、ドゥーウェは山水やブロワを伴い、進学のために王都の学園へと向かう。そこでドゥーウェは長年のライバルであるハピネ・バトラブと再会し、彼女から婚約者のミズ・サイガを紹介される。実はサイガは山水と同じく、日本から転生してきた人物であった。互いにそのことに気づいた二人は、模擬戦で力比べをすることになる。
第2巻
模擬戦の末、白黒山水はミズ・サイガに勝利するが、山水と同じく別の世界から転生してきたサイガはその敗北を認めない。山水ほどではないまでも、魔法と剣の才能を持ったサイガは、剣に宿った精霊のエッケザックスと共に再び山水に戦いを挑むが、山水はエッケザックスもろともサイガを退ける。そして山水の強さに触れたエッケザックスは、彼が伝説とも称される仙人のスイボクの弟子であることを見抜く。これに伴い、山水はドゥーウェ・ソペードに対して、自分が別の世界から転生してきたこと、そして500年ものあいだ修行をしてきたことを明かす。それを知り、山水に対して好意を抱いていたブロワは少し複雑な気持ちを覚えながらも、山水と今までどおり接することを決意するのだった。そんな中、ドゥーウェのもとに貴族のパレット・カプトから、パレットのおさめる領地に現れたマジャン・トオンという剣士が、山水との手合わせを希望しているという連絡が入る。それを聞いた山水は、ドゥーウェやブロワと共にパレットの領地へと向かう。
登場人物・キャラクター
白黒 山水 (しろくろ さんすい)
日本から異世界に転生してきた男性。日本にいた頃はごくふつうの高校生だったが、神の手違いによって死亡してしまい、その償いのために神から異世界へと転生させてもらう。その際、異世界で最強の力を手に入れたいと神に願い出るが、神からは仙人のスイボクへの紹介状を渡された。その後、スイボクのもとで500年ものあいだ修行を積むことで仙人となり、常人離れした剣と法術を身につけた。その力に目をつけた貴族のドゥーウェ・ソペードの屋敷に捨て子のレインと共に身を寄せ、ドゥーウェの護衛として働くことになる。同僚のブロワから好意を寄せられており、白黒山水自身も彼女の気持ちに気づいているものの、500年以上も生きている自身の境遇から、その気持ちには応えられないと考えている。
神 (かみ)
人間の生死を司る神。手違いで白黒山水を死なせてしまい、その償いとして山水を異世界へと転生させた。「神」ではあるもののミスが多く、山水のほかにもミズ・サイガなど、手違いで死なせてしまった人間は多い。なお、神のミスで人間を死なせてしまった場合は神の力を人間に授けるというルールがあり、山水やサイガが異世界で活躍できるのはその神の力によるところが大きい。
スイボク
白黒山水の師匠の男性。仙人として俗世間から離れた生活を送っており、異世界に転生してきた山水に剣と法術の修行をつけた。山水が転生してきた異世界では「スイボク」の名前は伝説となっており、実際にその姿を見たことがある者はいないとされてきた。かつては神の座に近い存在だったが、神になることを嫌って仙人となった過去がある。見た目は若い青年の姿をしているが、実際には千年以上を生きており、山水はスイボクのもとで500年修行を行った。
ドゥーウェ・ソペード
貴族の女性で白黒山水の転生してきた異世界を統べる四大貴族の一つ、ソペード家の令嬢。傲岸不遜でわがままな性格の持ち主。しかし人を見る目は確かであり、スイボクのもとで修行を積んで人外の力を身につけた山水を、ひと目見て只者ではないと見抜く。また、子供には優しい一面もあり、山水が拾った捨て子のレインに対しては親身に接している。山水の剣の技術を見込んでドゥーウェ・ソペード自身の護衛として雇い入れたが、山水の技術があまりにも地味なものばかりに加えて並の人間では太刀打ちできない技量の持ち主のため、山水の戦いぶりにはいつも退屈と評している。
ブロワ
ドゥーウェ・ソペードの護衛を担当する女性。当初はいきなり目の前に現れた得体の知れない白黒山水に対して警戒心を抱くが、すぐに打ち解けて共にドゥーウェの護衛を行う者として信頼するようになった。ドゥーウェの護衛を担当しているだけあって剣の技量は相当なもので、ドゥーウェからも全幅の信頼を寄せられている。護衛という立場上ふだんから男装をしているが異性に興味がないわけではなく、ブロワ自身をはるかに上回る技量を持った山水に対して好意を抱いている。ドゥーウェから山水との結婚を勧められ、ブロワ本人もその気になるが、山水が異世界から転生してきたことに加えて、500年以上を生きる存在であることを知って複雑な感情を抱く。
レイン
白黒山水の養子の少女。もともとは捨て子であり、山水がスイボクと修行をしていた場所の近くで捨てられていた。「レイン」という名前は山水が拾った際に付けた名前で、その後は山水の養子としてドゥーウェ・ソペードの屋敷で暮らすことになる。実の父親ではないものの自分を育ててくれている山水に対してはパパと慕っており、ドゥーウェやブロワとも仲がいい。
ハピネ・バトラブ
貴族の女性でソペード家と並ぶ四大貴族の一つである、バトラブ家の令嬢。ドゥーウェ・ソペードとは互いに張り合うライバルのような関係であり、白黒山水と同じく日本から転生してきたミズ・サイガを従えている。わがままな性格であるドゥーウェに比べると、周囲への気配りもできる穏やかな性格のため、多くの人から慕われている。しかし、ドゥーウェに対しては負けたくないという気持ちが前に出過ぎるため、我を忘れてしまうことも多い。
ミズ・サイガ
剣士の青年で、白黒山水と同じく神の手違いによって死んでしまった日本人。山水同様に異世界へと転生してきた。魔法と剣の才能に優れ、その技量を見込まれてハピネ・バトラブに召し抱えられているが、山水のように修行を積んでいないため、山水との対決ではまるで相手にならずに敗北する。山水が自分と同じく別の世界から転生してきたことに気づき、その後も何度か山水に戦いを挑むがそのたびに敗北を繰り返している。
パレット・カプト
貴族の女性で、ソペード家と並ぶ四大貴族の一つである、カプト家の令嬢。ドゥーウェ・ソペードに対してライバル心を抱いているハピネ・バトラブと異なり、ドゥーウェに対しては友人として接している。カプト家のおさめる領地で発生したトラブルを解決するために、ドゥーウェを通じて白黒山水をパレット・カプト自身の領地に呼び寄せる。
マジャン・トオン
剣士の男性。四大貴族であるカプト家の領地で白黒山水と立ち会うために、わざとトラブルを起こした。マジャン・トオン本人はいたって善良な若者であり、トラブルを起こしたのも山水の噂を聞いて戦ってみたいと思ったためだった。ミズ・サイガと同様の優れた才能を持っているが、それでも山水には及ばず、マジャン自身の力不足を痛感する。その後は山水の実力を認め、半ば強引に彼に弟子入りする。
エッケザックス
剣に宿る精霊。白黒山水に勝ちたいと思うミズ・サイガの願いを受けて彼女に力を与えた。実はスイボクによって見いだされたという過去があり、一時期スイボクとも交流があったが、その後は離れて彼の帰りを待っていた。スイボクの弟子である山水とサイガを通じて対決し、山水の中にスイボクの面影を見る。
クレジット
- 原作
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明石 六郎
- キャラクター原案
-
シソ