夢時計

夢時計

高校1年生の生島夢摘は、居眠り中に大切なファーストキスを蘭月大丸に奪われてしまう。一時は大嫌いだった大丸に対し、反発しながらも次第に恋心を抱いていく夢摘の姿をユーモラスに描いたラブコメディ作品。「ちゃお」1982年7月号から1984年2月号にかけて連載された。

正式名称
夢時計
ふりがな
ゆめどけい
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

夢摘と大丸の出会いとファーストキス(第1巻)

高校1年生の生島夢摘は、母親・生島春香の気まぐれにより、引っ越しとそれに伴う転校を余儀なくされる事となった。そして夢摘は、転校先の新しい高校で、「大丸王子」と呼ばれている蘭月大丸と出会う。最初は友人としていい関係を築いていた夢摘と大丸だったが、夢摘が中庭で気持ちよく寝ている際、大丸は思わず夢摘にキスをしてしまう。その場面を目撃した川上則子が、学校中に吹聴したため、夢摘は大いにショックを受け、大丸を無視するようになる。そんな中、大丸は自身の居候先であるいとこの大場久仁子の両親から、実は大丸は久仁子の婿になるために引き取られた事を知らされる。さらに久仁子も大丸に密かに好意を抱いていたと知り、大丸は家を飛び出してしまう。その後は春香のつてもあり、大丸は大五郎の家に居候し、大五郎に誘われてバンド「呪帝夢」にボーカルとして加入。やっと自分の居場所を見つけた事で活き活きとした表情を見せる大丸に対し、夢摘は徐々に心惹かれていくのだった。しかし、「呪帝夢」のライブの帰り道、夢摘は車に連れ込まれ誘拐されそうになる。夢摘は間一髪のところで大丸に救われるが、夢摘は「またあいつらがきた」とだけ口にし、次の日には引っ越しをするために荷物をまとめ始めるのだった。

夢摘の出生の秘密と大丸の失踪(第2巻)

蘭月大丸は、早々に引っ越しの準備を始めた生島夢摘に事情を尋ねる。そんな彼に対し夢摘は、再婚した実父夫婦が自分を引き取りたがっており、たびたび強硬手段に出ている事を打ち明ける。大丸は夢摘に対して逃げるのではなく戦うよう諭すが、そんな中、生島春香が車にはねられる事故が発生。春香は病院で手術を受ける事となり、それを待つ夢摘の前に、父親とその再婚相手である佐久間瞳子が現れる。そして、夢摘は実は瞳子の子供であり、事情があって春香に預けていたのだという事実を告げる。だが、瞳子は春香こそが自分の母親だと主張する夢摘の気持ちを優先し、涙ながらに身を引くのだった。この一連の事件により、春香と大五郎が互いに思い合っている事を認識し、二人は結婚する。そんな中、夢摘の前に、大丸のファンだという少女・笹尾尚美が現われる。夢摘に対して挑発的な態度を繰り返す尚美であったが、大丸は何かと彼女をかばう。そんな態度に夢摘はヤキモキするのであった。二人と接していく中で、尚美は大丸の気持ちはすっかり夢摘にあると悟り、素直に諦める。尚美は、実は大丸の血のつながらない妹で、以降、夢摘を姉として慕うようになる。さまざまな事件を乗り越え、大丸に対する自身の好意を実感した夢摘は、自分の方から彼に告白をしようと考えていたが、そんな中、大丸が突然行方不明になってしまう。

大丸の記憶喪失と歌手デビュー(第3巻)

蘭月大丸が行方不明になってから60日。生島夢摘は何の手がかりも得られないでいた。そんなある日、夢摘はティーン誌に掲載されていた人気歌手・森深雪の付き人が大丸に酷似している事に気づく。池上の助けもあり、深雪の収録スタジオへともぐりこんだ夢摘は、その付き人が大丸だと確信。だが次の日、改めて大丸を迎えに行った夢摘は、大丸が自身を兄だと名乗る谷一馬に引き取られた事を知らされる。実は深雪は恋人と共に飲酒運転をした末に大丸を車ではね、記憶喪失にしてしまっていたのだ。そして、以前の知り合いである夢摘と再会する事で、大丸の記憶が戻ってしまうのではないかと危惧した芸能事務所は、一馬を利用して大丸を引き取らせたのだった。一馬は大丸を引き取る事で歌手デビューを果たすはずであったが、音楽プロデューサーの勘違いから大丸がデビューする事になる。この事態に怒りを覚えた一馬は、大丸や幸子に対して冷たく当たるようになる。順調に音楽活動を続ける大丸は握手会を開催する事となり、その場に夢摘や生島春香大場久仁子大五郎一平といった馴染みの友達が参加する。そこで大丸は記憶を取り戻し、夢摘との再会を喜び抱き合うのであった。一方、一馬は再度歌手デビューを打診され、妊娠が発覚したばかりの幸子を置いて家を出ていってしまう。さらに一馬は大丸の曲を盗作するなど、あからさまな嫌がらせをするようになる。大丸はアパートで一人で暮らす妊婦の幸子を心配し、できるだけ生活を共にしようとする。しかしその姿を見た夢摘は、大丸がもう自分たちのもとに戻ってこないのではないかという不安に襲われる。その予感は的中し、大丸は出席日数の関係上、高校を退学処分となってしまうのだった。

夢摘と大丸のこれから(第4巻)

高校を退学になった事で蘭月大丸は、ますます歌手活動や俳優業で忙しくなり、なかなか生島夢摘と会えなくなっていた。ある日、夢摘は大丸のコンサートに向かう途中で、大丸親衛隊に誘拐されてしまう。やっとの思いで逃げ出した夢摘だったが、この件で大丸とは住む世界が違うと再確認して身を引く事を決意する。傷心の夢摘の前に、かつて大丸が行方不明になった際、捜索に協力した池上が現れて告白し、二人は恋人同士となる。そんな中、歌手新人賞の最有力候補になっている大丸に嫉妬した谷一馬は、幸子のお腹の子は大丸の子だと世間に言いふらす。それにより大丸は歌手新人賞を逃し、芸能界からも静かに姿を消す事となった。テレビで大丸の姿を見なくなり、行方もわからない状況を心配していた夢摘は、改めて自分の気持ちが大丸にあると実感する。そして池上には別れを告げ、大丸が働いていると噂されているパチンコ店へと向かう。そこには元気に働く大丸の姿があったが、夢摘に気づいた大丸は「もう会いに来ないでくれ」と突っぱねるような態度をとる。そんな時、幸子が産気づいたと連絡が入り、二人は病院へと向かう。激しい陣痛の末に生まれた純粋無垢な赤ん坊を見た夢摘は、余計な駆け引きはせず、正直な気持ちでもう一度大丸に向き合う事を決意するのであった。

登場人物・キャラクター

生島 夢摘 (いくしま むつみ)

高校1年生の女子で、1年3組に所属している。年齢は16歳。漫画家である母親の生島春香と二人暮らしで、父親は離婚したためにいないと聞かされて育った。仕事が忙しい春香に代わって家の事を取り仕切っているため、家事全般のスキルが高い。やや天然なところはあるが、活発で明るい性格をしている。特技はどこでも眠れる事で、教室はもちろん、屋外などでもすぐに熟睡してしまう。 中学時代にいっしょのクラスであった沢田を初恋の相手として今も好意を抱きつづけている。居眠り中に蘭月大丸に突然キスをされて激怒するが、次第に彼が気になる存在になっていく。

蘭月 大丸 (らんづき だいまる)

高校1年生の男子で、1年3組に所属している。年齢は16歳。まるで王子様のような上品でキラキラとした容姿の美男子で、クラスメイトからは「大丸王子」と呼ばれる事もある。しかし、本人は自分のルックスのよさをまったく気に掛けていない。スポーツも万能な事から特に上級生の女子たちからモテるが、特定の彼女はいない。俳優になる事を夢見てオーディションに応募し、書類選考に受かったものの、周囲の反対により最初の一歩を踏み出せずにいる。 唯一の身内であった母親が再婚してからは、いとこである大場久仁子の家に住んでいる。しかし実は久仁子の両親が婿候補として引き取っていただけだと知り、生島春香のつてで大五郎の家に居候する事となる。その後、大五郎と共にバンド「呪帝夢」を結成し、ボーカルとして活動を開始する。 気持ちよさそうに居眠りをする生島夢摘に心惹かれてキスをしてしまい、それからは強く意識するようになる。のちに芸能界のいざこざに巻き込まれ、さらに交通事故に遭って一時的に記憶を失うが、それをきっかけに歌手兼俳優としてデビューする事となる。

大場 久仁子 (おおば くにこ)

高校1年生の女子で、1年3組に所属している。周囲からは「お久仁」と呼ばれている。成績優秀な人物で、ほかの生徒や先生たちからも一目置かれている。生島春香の大ファンであり、春香が連載中の作中に出てくる男性キャラクターが蘭月大丸に似ていると写真を同封したファンレターを出した事が、生島夢摘が転居・転校するきっかけとなった。 夢摘が転校した際、苗字からすぐに春香の子供だと気づき、以降友情を育んでいる。大丸とはいとこ同士で、彼の母親が再婚してからは大場久仁子の家でいっしょに暮らしていた。しかし、実は久仁子の両親が婿候補として引き取っていた事実を知ってしまう。久仁子自身も密かに大丸に対して好意を抱いていた事もあり、自分を好きになるよう迫ってしまい、ギクシャクとした関係に陥ってしまう。

川上 則子 (かわかみ のりこ)

高校1年生の女子で、1年3組に所属している。蘭月大丸のファンであり、大丸が寝ている生島夢摘にキスをしているシーンを目撃し、驚きのあまり大騒ぎしてしまった。

沢田 (さわだ)

高校2年生の男子で、生島夢摘とは中学がいっしょであった。現在は夢摘とは別の高校へと通っている。高校2年生ではあるが、身体を悪くして一年休学しているため、本来であれば高校3年生である。夢摘の初恋の相手で、今でも好意を寄せている人物。中学・高校とバスケットボール部に所属しているものの、今もあまり無理はできない。親は著名な医者である。

大五郎 (だいごろう)

生島夢摘の住むとなりの家に一平といっしょに住むヘビースモーカーの男性。生島春香の年の離れた幼なじみでもあり、偶然の再会を喜んだ。夢摘は小さな頃にオムツを替えてもらった事もある。バンドマンとして活動しており、「呪帝夢」のメンバーの一人。大場久仁子の家から飛び出して来た蘭月大丸を居候として受け入れた。

一平 (いっぺい)

生島夢摘のとなりの家に兄・大五郎といっしょに住む少年。やんちゃな性格であり、非常に負けず嫌いである。夢摘にスパルタ式でキャッチボールを教えてもらっている。大五郎の事は好きだが、あまり尊敬はしていない。居候としてやって来た蘭月大丸に懐いている。

美波里 (びばり)

大五郎と共にバンド「呪帝夢」を組んでいた女性。ボーカルを担当していたが、音楽の方向性の違いから大切なバンドコンクール前に一方的に脱退してしまった。そのため、顔立ちが似ている蘭月大丸が替え玉として、バンドコンクールに参加する事となった。

生島 春香 (いくしま はるか)

生島夢摘の母親で、夢摘と二人で暮らしをしている。夢摘には、父親とは離婚したと話している。「生島遥」のペンネームで活躍中の売れっ子少女漫画家で、王子様的な男性キャラクターが大好きな夢見がちな性格をしている。また引っ越し魔であり、何か興味深い事があるとすぐに転居をしてしまう。大場久仁子からのファンレターに同封されていた蘭月大丸の写真が、現在連載中の作品に登場させている人物によく似ていたので、一目見てみたいという事もあり、大丸や久仁子たちの住む街に転居してきた。

佐久間 瞳子 (さくま とうこ)

生島夢摘の父親の再婚相手の女性。子供がいないため、夢摘を引き取りたいと願っている。

笹尾 尚美 (ささお なおみ)

神秘的な雰囲気を持つ中学2年生の美少女。蘭月大丸の大ファンで彼につきまとっており、生島夢摘に対して敵対心をむき出しにする。実は大丸の血のつながっていない妹。

池上 (いけがみ)

高校生の少年で、実家の花屋を手伝っている。蘭月大丸が行方不明になった際、必死に情報を集めに来た生島夢摘を気にかけ、最初は励ますつもりで相手にしていたが、次第に恋心を抱くようになっていく。一時は交際へと発展したが、のちに夢摘から別れ話を切り出された際には、大丸には勝てないと素直に応じた。

森 深雪 (もり みゆき)

歌手として活動する10代の美少女。ティーン誌でモデルとしても登場しており、若者を中心に絶大な人気を誇っている。記憶喪失に陥った蘭月大丸を付き人として迎え入れた。世間には親切な女性と見られているが、実は飲酒運転をして大丸をはねて、記憶を失わせてしまった張本人である。

谷 一馬 (たに かずま)

歌手志望の男性。森深雪の所属事務所から、蘭月大丸が記憶を取り戻す前に自身の弟だと言って引き取るよう命令されており、その代わりに歌手デビューが決まっていた。幸子と婚約しておりいっしょに住んでいるが、彼女には大丸を弟だと偽っている。歌手になれると喜んでいたが、勘違いした音楽プロデューサーが大丸をデビューさせてしまい、以降大丸に対して冷たく当たる。

幸子 (さちこ)

谷一馬の婚約者の若い女性で、一馬といっしょに住んでいる。明るく優しい性格の持ち主で、突然一馬の弟だといってやって来た蘭月大丸も快く受け入れている。また、大丸が歌手デビューをした際にも大いに喜び、大丸からは「姉さん」と呼ばれ慕われていた。一馬との子供を妊娠中。

集団・組織

呪帝夢 (じゅてーむ)

大五郎や美波里らが結成したロックバンド。ボーカルの美波里が大切なバンドコンクール前に脱退してしまったため、顔立ちが似ている蘭月大丸を替え玉に仕立てた。バンドコンクールの舞台上で、大丸が美波里のステージ衣装を脱ぎ、男だと宣言したアクシデントをきっかけに人気が爆発。以降、大丸も正式なメンバーとして迎え入れられ、ボーカルとして活動している。

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