大日本天狗党絵詞

幼いころ天狗ともに人界を去ったシノブが、成長し自己を確立していく姿と、日本を天狗の国に作り変えようとする天狗たちを描いた作品。作者黒田硫黄の初連載作品で、全編筆による作画がされているのが特徴。

正式名称
大日本天狗党絵詞
作者
ジャンル
和風ファンタジー
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
全3巻
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

小学校の入学式の日、天狗師匠に憧れ人界を離れた少女シノブ。それから月日はたち、成人したシノブ師匠とともに残飯をあさってみじめに暮らしていた。ある日、偶然にも自分の生家に帰ったシノブだが、そこでは見知らぬ女がしのぶとして暮らしており、自分の居場所が失われていたことを知る。師匠はいなくなったシノブの身代わりとして確かに泥人形を送り込んでいたのだが、今暮らしている女はシノブとは似ても似つかずであった。

そのことを不審に思った師匠は調査を開始するが、シノブの叔父であり、泥人形のしのぶを溺愛する高間教授の邪眼に気圧され退散、自信を喪失してしまう。その後天狗を集める不思議な能力を持った少女・幸南を発見した師匠はその力を利用し、高間教授に対抗すべく大日本天狗党を結成。

天狗たちは続々と集まり、さらに伝説の大天狗Z氏が登場。師匠は人間と交わり細々と暮らしている天狗たちにかつての矜持を取り戻すべく、Z氏の力を借り、日本を天狗の国とすべく動き出すのであった。

一方、シノブは仇敵高間教授と行動を共にしていたことを見咎められ、天狗党からお尋ね者扱いに。シノブ天狗の世界にも居場所を失ってしまう。

登場人物・キャラクター

シノブ

22歳の女性。小学校の入学式に遅刻し、いたたまれなくなって逃げ出したところ、天狗・師匠と出会った。以降、師匠の弟子として行動を共にしている。学校に通っていなかったため、読み書きが出来ずにいる。師匠の弟子となって15年だが、天狗の技である魂抜けも雲踏みも出来ず、天狗としては未熟。 ある日自分の生家に戻るも、身代わりとして泥人形しのぶが生活しており、自分の居場所を失ってしまう。その時雲踏みを習得し、空を飛べるようになった。師匠が結成した大日本天狗党と行動を共にしていたが、シノブの叔父であり天狗党の宿敵高間教授との関係を疑われ、天狗党から追われる立場となってしまう。 人間側にも天狗側にも居場所を失くし、自分の存在に思い悩んでいる。

師匠 (ししょう)

古く昔から生きている天狗で、多くの弟子を持つ。眼鏡をかけ、常に三つ揃えのスーツを着こなす紳士然とした見た目で、天狗であることに誇りを持ち、他人を見下す傲岸不遜な人物だが、現在は弟子のシノブに残飯あさりをさせ糊口をしのいでいる。消えたシノブの身代わりに作った泥人形が別人になっていることを不審に思い、シノブの生家に忍び込んだが、そこで高間教授の邪眼を受け恐慌をきたす。 その後幸南を利用し高間教授に対抗するため、天狗を集め大日本天狗党の首魁となる。大天狗Z氏を焚き付け日本を天狗の国にすべく行動を開始した。

しのぶ

犬太夫が作り出した泥人形で、失踪したシノブの身代わりとして暮らしている女性。叔父である高間教授に溺愛されている。寿命が近いらしく、しばしば眠りこんでいる。

としのり

シノブの弟。泥人形のしのぶを実の姉と思い、共に暮らしている。

高間 (たかま)

シノブの叔父。大学で教授を務めている。天狗を撃退する強力な眼力の持ち主。師匠は一度目を合わし、以降邪眼と呼び恐れている。犬太夫が作った泥人形のしのぶを溺愛しており、寿命がつきかけている彼女を大天狗Z氏の力で延命させようと目論む。

比良井 (ひらい)

120年以上生きている天狗だが、コンビニのバイトで生計を立てている。幸南に執着しており、Z氏の依り代となった幸南を奪い去り、また大日本天狗党の理念に異議を唱えたため、党のお尋ね者となる。

有吾堂 (ゆうごどう)

骨董屋有吾堂を営む天狗。師匠に店を大日本天狗党の活動拠点とされた。天狗の国を作らんとする大日本天狗党の行動に疑問を感じ、党を離れる。

幸南 (ゆきな)

女子中学生。雪の中で眠っていたところ、シノブと師匠に発見され、天狗の資質を見いだされた。天狗を呼び寄せる特異体質の持ち主で、師匠はこれを利用して大日本天狗党を結成。大天狗Z氏の依り代となった。

Z氏 (ぜっとし)

齢千七百年を超える伝説の大天狗で、名は善界坊。通称Z氏。沖ノ鳥島に眠り、巨大な西洋人の姿をしている。師匠に請われて大日本天狗党に力を貸す。東京都庁に鎮座し、唾液で警視庁を融解させた。

犬太夫 (いぬだゆう)

師匠の一番弟子である天狗。15年前、魂抜けをしてカラス姿になっていたところ、猫に襲われ、高間教授に助けられる。以降、恩を返すべく高間の手下となり、泥人形しのぶを作った。

貞芳 (さだよし)

師匠の弟子である天狗。師匠に認められたいがため、大日本天狗党の実質的な指揮をとる。

テング

『大日本天狗党絵詞』に登場する動物。空を飛べず、二足歩行する鳥のような生物。山に生息し、知能も低い。生態や形質は古来の天狗の目撃譚と一致する。天狗はこれを見ると、自らが信じる天狗像と矛盾をきたし自己を喪失、ただのカラスに戻ってしまう。

集団・組織

大日本天狗党 (だいにっぽんてんぐとう)

『大日本天狗党絵詞』に登場する組織。日本を天狗の国とすべく、師匠が結成した組織。目的は大・中・小で、大は日本を天狗の国とすること。中は日本の国土海抜百閒~四百間の空中部分を天狗の専管空域とすること。小は高間、比良井を追捕すること。

その他キーワード

天狗 (てんぐ)

『大日本天狗党絵詞』に登場する用語。見た目は人間と変わらないが、人間の体はあくまで器で、本体は体内に潜むカラスである。資質を持つ人間が転じて天狗となり、修行を積むと肉体と本体を切り離す「魂抜け」や、空を飛ぶ「雲踏み」が出来るようになる。かつては山に棲み、下界の人間に恐れ敬われていたが、現代では人に紛れ細々と暮らしている。

書誌情報

大日本天狗党絵詞 全3巻 講談社〈アフタヌーンKC〉 完結

第1巻

(2008年10月発行、 978-4063145366)

第2巻

(2008年11月発行、 978-4063145403)

第3巻

(2008年12月発行、 978-4063145427)

SHARE
EC
Amazon
無料で読む
マンガリスト
logo