大飢饉

天明の大飢饉によるひとつの村の惨状と、それを乗り越えようと必死に生きる人々を描く、2話完結の歴史漫画。「週刊少年ジャンプ」誌上にて、1981年4・5号と同年6号に連載された。協力は梅本さちおプロ。

正式名称
大飢饉
作者
ジャンル
時代劇
レーベル
集英社漫画文庫(集英社) / ホーム・コミックス(汐文社)
巻数
全1巻
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概要・あらすじ

時は江戸中期。東北地方に位置する神子骨村の住人たちは、不作に見舞われながらも次なる年に向けて英気を養うべく、盛大な秋祭りを開催する。蘇助弥二捨蔵の3人は、それぞれの事情を抱えつつも、土地を開墾する日々に明け暮れていた。しかしその翌年、大雨によって長きにわたって農作業が満足に行えず、水が引いたかと思えば、浅間山が空前の大噴火を起こし、長期間の冷害を引き起こす。

こうして発生した天明の大飢饉は、神子骨村を生き地獄へと変えていくのだった。

登場人物・キャラクター

蘇助 (ソスケ)

神子骨村に住む少年。生まれてすぐに一家がヒグマに襲われ、蘇助を残して全滅してしまう。しかし、最後の力を振り絞った母親に守られて、奇跡的に生き延び、その生命力から「蘇助」と名付けられた。天涯孤独の身の上ながら心優しく育っており、土地開墾の仲間である弥二や捨蔵、気になる存在の八重と共に日々を過ごしていた。 しかし、天明の大飢饉により、何か月もの間、地獄を見続けることとなる。

弥二 (ヤジ)

神子骨村に住む青年。弥市の双子の弟として生まれたために、家を継ぐ権利を失ってしまっている。しかし、そのことでお互いの確執はまったくなく、むしろ仲の良い兄弟として関係を維持している。一方、父親が病に侵されており、弥市と八重以外の家族からの目は冷たいため、ほとんど家には帰らず、蘇助や捨蔵と共に、土地の開墾に精を出していた。 天明の大飢饉の影響で凶暴化した獣たちに襲われ、命を落としてしまう。

捨蔵 (ステゾウ)

神子骨村に住む青年。六男として生まれたことから父親から疎まれ、「捨蔵」と名付けられた。家族から酷い扱いを受けており、誰からも愛されない孤独から、世間に対する強い憎悪を育ててしまう。それでも蘇助や弥二には仲間意識を持っていたが、天明の大飢饉によって人格がさらに歪んでしまい、仲間たちにさえ凶行に及んでしまう。

八重 (ヤエ)

神子骨村に住む少女。弥二の妹。明るく優しい性格で、土地の開墾に励む蘇助たちに、おにぎりを差し入れていた。蘇助とはお互いを想い合う関係で、兄の弥二も、将来は一緒になると考えていた。天明の大飢饉が起きてからも、気丈な性格を崩すことはなかったが、最中に起こった更なる悲劇をきっかけとして、蘇助にすら冷徹な態度をとるようになる。

庄屋 (ショウヤ)

神子骨村の農作物と生産者を取り仕切る男性。計画性とリーダーシップを兼ね備えており、住民から頼りにされていた。しかし、天明の大飢饉によって暴徒となった村人たちを抑えることができず、蓄えられていた作物をすべて奪われてしまう。

弥市 (ヤイチ)

神子骨村に住む青年。弥二の双子の兄。実際は弥市の方が後に生まれたが、江戸時代においては後に生まれた方を兄とする風習があり、神子骨村もこの風習に則っていたため、兄と認められて家を継ぐことと相成った。そんな経過もあり、弥市個人としては弥二に後ろめたさを感じており、進んで食糧を分けることもあったが、家族からは快く思われなかった。 天明の大飢饉における飢餓により、心の底から絶望し、自ら死を選んでしまう。

住持 (ジュウジ)

神子骨村に住む老年男性。「親覚寺」の住職を務めている。禿頭で白いひげを蓄えており、穏やかで心優しい性格の持ち主。蘇助の家族たちが眠る墓の管理をしている。墓参りに訪れた蘇助と出くわし、彼と家族のために供養を行う。その際に、蘇助の名前の由来を語る。飢饉の際にも、他の村人のように取り乱したりせず、自らの死を受け入れる覚悟を決めている。 若い者は生き延びるべきと考えており、蘇助に土がゆの製法を伝授する。

(タミ)

神子骨村に住む少女。幼いながらも、牛に餌をあげる係を言いつけられている。実際に餌を運び、牛に食べさせる時に、藁と糠を混ぜただけのものを食べられるのかと不思議がっていた。不作と大雨によって村の食糧事情が追い詰められていくにつれ、餌を満足に与えられず痩せていく牛に、どうすることもできないことを強く悩むようになった。ついには天明の大飢饉の影響によって、父親が牛を殺害するところを目撃してしまう。 それでも何とか生き残り、身よりのあるという津軽へ母親と共に旅立つ。

場所

神子骨村 (ミコボネムラ)

盛岡藩の支藩である八戸藩に属する村。江戸時代のほとんどの村の例に漏れず、農作を主な生業としており、56戸の家屋が寄り合っている。1782年は、例年よりやや不作であったものの、食いつなぐ分には問題はなかった。しかし、翌年より訪れる天明の大飢饉の煽りを強く受けてしまい、さながら地獄絵図のような様相を呈してしまう。

浅間山 (アサマヤマ)

長野にそびえる活火山。1783年(天明3)に天明噴火と呼ばれる大きな噴火を起こし、ふもとの村の住民をほぼ全滅に追い込んだ。そのうえ、噴き上がった火山灰が日光を遮断して冷害を招き、天明の大飢饉の引き金のひとつとなる。現在、軽井沢の観光地として知られている「鬼押出し」は、この時流れ出た溶岩が固まって形成されたものである。

その他キーワード

天明の大飢饉 (テンメイノダイキキン)

1782年(天明2)から1787年(天明7)にかけて東北地方において発生した飢饉。江戸三大飢饉のひとつ。近世では最も被害が大きかった飢饉とされる。6月の大雨で農作物や建築物に強い被害をもたらしたことを皮切りに、浅間山の噴火による火山灰が長きにわたって日光を遮断、結果農作物に甚大な被害が及んだ。飢餓は人と獣を狂わせ、東北地方は空前の混乱に見舞われた。 この飢饉による死者は実に90万人を超え、その大多数は貧民層だった。

松皮団子 (マツカワダンゴ)

天明の大飢饉を迎えた人々が、生きながらえるために食べていた料理のひとつ。松の皮の薄い部分だけを細かく砕き、ひき臼で引き、その粉の中に少量の粟、黍などを入れて煮詰める。そうして煮上がったものを臼でつくと、松皮団子となる。

ワラ餅 (ワラモチ)

天明の大飢饉を迎えた人々が、生きながらえるために食べていた料理のひとつ。藁を2日ばかり水につけて灰汁を取り、その根元を細かく刻み、せいろに入れて蒸したものを、日光で乾かす。乾いたら臼でひき粉にして、わらびの粉や塩を混ぜ、餅状にすることで完成する。

土がゆ (ツチガユ)

天明の大飢饉を迎えた人々が生きながらえるために食べていた料理のひとつ。料理というよりは栄養摂取の方法に近い。採取した土を水で何度も混ぜて、不純物を取り除き、数日かけて人が食せるように改善して行くことで完成する。蘇助は、この製法が書かれた書物を住持から託され、飢饉を生き抜くための術を獲得するに至った。

クレジット

協力

梅本さちおプロ

書誌情報

大飢饉 全1巻 汐文社〈ホーム・コミックス〉 完結

第1巻

(1993年12月発行、 978-4834230772)

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