概要・あらすじ
核戦争によって文明が滅んだ世界。わずかに生き延びた人々は、力によって奪う者と奪われる者に分けられていた。そして、力なき者たちは救世主の出現を願う。その救世主の名はラオウ。北斗四兄弟の長兄で、のちに末弟のケンシロウと熾烈な争いを繰り広げることになる男である。ラオウは盗賊たちの群れ「ジライ団」を前にしても怖気づくことはなく、一撃でリーダーであるジライを撃破。
そして生き残った盗賊に自らの名を伝え、世界に轟かせよと語るのだった。こうして、ラオウの天を目指す戦いが始まる。
登場人物・キャラクター
ラオウ
北斗四兄弟の長兄。師であるリュウケンのもとで、弟のトキやケンシロウとともに暗殺拳「北斗神拳(ほくとしんけん)」を学んだ。核戦争によって文明が崩壊した後は、自分こそが秩序をもたらす者だと信じ、ソウガ、レイナとともに覇業を目指す。その覇業とは各地を平定し天を目指すというもので、真の目的は生まれ故郷である修羅の国の平定であった。 覇業の第一歩として、鬼岩城の主であるゴラムを倒し、その城を入手。その後、自らを「拳王」と名乗って兵を集め、各地の王、実弟のトキ、そして南斗聖拳の強者たちと拳を交えていく。
ソウガ
ラオウ率いる拳王軍の軍師を務める男性。ラオウと同じく修羅の国の出身で、彼が覇業を歩みだしたことを知り、妹のレイナとともに海を渡って合流する。「崇山旋風脚(たいざんせんぷうきゃく)」という足技を得意とし、また足が速いので「韋駄天のソウガ」とも呼ばれている。だが、ラオウが鬼厳城を手に入れる前、仮の拠点候補として狙いをつけたアモンの治める街カサンドラから脱出する際、ラオウを助けようとして右足を失う。 そのため現在は義足をつけ、各地の情報を収集したり、時には自ら兵を指揮して戦いながら、ラオウをサポートしている。
レイナ
ラオウ率いる拳王軍の副将を務める女性。ラオウと同じく修羅の国の出身で、彼の力になるため、兄のソウガとともに海を渡る。普段は副将として部隊を率いての戦闘や、持ち前の美貌を活かした敵陣営への潜入任務を行う。自身も双剣の使い手として「双剣の騎士」の異名を取り、一人の武人として戦うことも多い。また感情的な性格のせいで、時にラオウの非情な行動に反発することもある。 だが、彼の力になりたいという思いを第一に、ソウガとともに付き従う。
トキ
北斗四兄弟の次兄。兄のラオウとともに暗殺拳「北斗神拳」を学んだ。核戦争が起きてからは、北斗神拳を暴力としてではなく、医療のために使うことを決意。小さな村で診療所を開き、人々の助けになっていく。だが、同じ北斗神拳の使い手である弟の存在を危惧したラオウによって、カサンドラに幽閉された。現在は牢の中で座禅を組んでおとなしくしており、密かに末弟であるケンシロウが、自らのもとへやって来るのを待っている。
サウザー
拳法「南斗聖拳」の頂点に位置する六流派「南斗六聖拳」の中で「将星」を司る男性。「南斗鳳凰拳」の使い手で、自らを「聖帝」と名乗っている。拠点に聖帝十字陵という巨大な墓を建設するため、聖帝軍を各地に派遣する。そして抵抗する力のない子供たちをさらい、労働力としていた。ある時、ラオウに手を組もうと持ちかけられ、会談を行う。 その際は互いに不可侵の条約を結んだが、直後に、サウザーが客人として迎えていたユダの策略により、ラオウの城・拳王府を襲撃させる。それがきっかけで激昂したラオウと戦うが、互いに大きな被害が及ぶと判断し、再び不可侵の条約を結んだ。
ユダ
拳法「南斗聖拳」の頂点に位置する六流派「南斗六聖拳」で「妖星」を司る男性。常に顔にメイクを施している。サウザーの城を訪れた際に、ラオウが接近しているとの噂を聞く。サウザー自身はラオウと戦うことを避けていたが、彼に自らの策を伝え、会談するよう動かす。その策とは、ラオウとその軍を呼んでサウザーと会談させ、その間に誰もいなくなったラオウの城・拳王府を襲撃するというものだった。 事態はユダの思惑通りに進んだものの、最終的に事実を知ったラオウの怒りを買う。ユダ自身も「南斗紅鶴拳(なんとこうかくけん)」を使って戦うが、ラオウによって倒された。
リュウロウ
拳法「南斗聖拳」の一派「南斗流鴎拳(なんとりゅうおうけん)」を使う男性。かつては「南斗の智将」と呼ばれていたが、同門での争いに嫌気がさし、世捨て人となっていた。ある時、部下の管理や、覇業の手助けをするための右腕的存在を探していたラオウと出会う。ラオウから勧誘を受けるものの、リュウロウはラオウの恐怖による人の支配を否定。 さらに、真の救世主は民の悲しみをともに背負える者だと語り、その人物こそが、北斗四兄弟の末弟ケンシロウであると語った。それを聞き、怒りを露わにしたラオウと戦闘。自身の攻撃によりラオウの鎧を破壊したが、ラオウの拳圧、そして自身が病に侵されていたこともあり、敗れ去った。
黒王 (こくおう)
黒王谷に住む巨大な馬。その名前のとおり漆黒の毛並みをしており、千頭の馬を率いていた。ある時、ギオンの策によって派遣されたラオウの部隊を蹴散らす。その後、それを聞いて、黒王の力を見極めるためにやって来たラオウと出会う。その時、黒王は傷ついた仔馬を守るために虎と戦っていたが、ラオウがその仔馬の命を絶ったことで激昂。 虎を一撃で倒し、ラオウと戦う。その際は持ち前の脚力で、ラオウをひるませた。だがラオウとの語らいにより、彼を背中に乗せることを承諾。その後は、自身が率いる馬たちとともに、拳王軍に加わった。
ゴラム
鬼王軍を率いる男性。額には鬼の角のようなコブがついており、部下たちからは「鬼王」と呼ばれている。踊り子と楽師になりすましたレイナとソウガに会い、レイナを自分の妻にしようとする。しかし、ゴラムが住む鬼厳城を奪おうとやって来たラオウと対峙。ゴラムも持ち前の拳法「峨嵋拳(がびけん)」を使って戦うが、ラオウの放った北斗神拳(ほくとしんけん)奥義「北斗剛掌波(ほくとごうしょうは)」によって倒された。
アモン
難攻不落と呼ばれる街・カサンドラを治める老年の男性。世間からは「龍帝」と呼ばれている。かつては天下平定を志していたが、現在はカサンドラに何重にも罠を張りめぐらして引きこもっている。そんな時、拠点を探していたラオウたちの襲撃を受ける。その際には「太極龍拳」で戦うが、老いた身体では、ラオウに傷1つつけることができなかった。 その後、自身が敵わないことを悟り、ラオウたちを生きて出さないよう、街に仕掛けていたすべての罠を発動する。そして、自らが死んでも残された息子や弟が覇業を継ぐと語るが、当の息子はアモンが仕掛けた罠で死に、弟は軍を離れたことをラオウから聞かされて絶望する。最後は涙を流し、崩れた天井に押し潰されて死亡した。
ギオン
ギオン軍を率いる優男。知略に優れ、部下からは「智王」と呼ばれている。持ち前の知略を使い、ラオウとその部隊を黒王谷に向かわせて黒王と戦わせる。ギオンはラオウと黒王の潰し合いを図っていたが、当のラオウは黒王と和解し、新たな戦力を得る。結果的に、ラオウの覇業の手助けをしたことになった。その後、自身のもとを訪れたラオウから、監獄に生まれ変わったカサンドラの初代獄長を命じられる。 だが、囚人の1人だったウイグルをラオウが気に入り、獄長の座を追われることとなった。
ジライ
ジライ団のリーダーを務める男性。小さな村で略奪をした帰りにラオウと遭遇する。自分たちを前にしても道を譲らないラオウを罵倒し、「鎖鏈鞭(されんべん)」という技で攻撃を仕掛けるが、逆にラオウの拳の一撃で身体を砕かれて死亡した。
アミバ
拳王軍の副軍師であるウサに仕えている男性。ウサの命により、トキをラオウのもとへ連行する任務を受ける。自信過剰な性格で、かつてトキが診療所を開いていた村を訪れた際、足の悪い老人を治そうと、北斗神拳(ほくとしんけん)を真似て「経絡秘孔(けいらくひこう)」を突こうとした。しかし、駆けつけたトキに生兵法を指摘され、顔をはたかれる。 それ以来、トキに恨みを持ち続けていた。その後、再会したトキを相手に、自身が独学で「経絡秘孔」の研究を続け編み出した「北蛇鍼拳(ほくだしんけん)」で戦いを挑む。しかし、再び生兵法を指摘され、トキの「北斗有情破顔拳」により意識を失うこととなった。
ウイグル
ラオウによって監獄に生まれ変わったカサンドラに投獄されていた男性。強靭な肉体を持つため、絞首刑や串刺しなど、五度にわたる死刑も生き延びた。ある時、自身の手に余ったギオンの要請により、カサンドラにやって来たラオウと出会う。その際は鎖につながれた状態でラオウと戦おうとするが、ラオウはウイグルの直情的な性格を気に入る。 そして初代獄長だったギオンに変わり、二代目獄長に任命された。
その他キーワード
北斗神拳 (ほくとしんけん)
1800年の歴史を持つ暗殺拳。その技は人体の中に存在する「経絡秘孔」と呼ばれるツボを突き、相手を身体の内部から破壊する。ラオウやトキが伝承者になるべく学んでいたが、伝承者は代々1人のみと決まっている。数々の奥義があり、トキが使う「北斗有情破顔拳」や、ラオウの使う「北斗剛掌波」などがある。