概要・あらすじ
崩壊した世界で、ヘルメットをかぶり胸に7つの傷を持つその男は、村人を捕え、ショットガンを突き付けて「俺の名を言ってみろ」と告げる。「ケンシロウ」、そう呼ばれた男は満足そうに村人を撃ち殺すのだった。その男の本名はジャギと言い、かつて北斗神拳の伝承者争いに関わっていた、北斗四兄弟の三男。部屋に戻ったジャギは、1人怒りと悲しみを交えた表情で過去に思いを馳せる。
それは師父であるリュウケンとの、ある日の出来事であった。
登場人物・キャラクター
ジャギ
リュウケンに拾われた少年。当初は気が弱く泣き虫だったが、リュウケンの一言により強い心を持つようになる。だがある日、ラオウ、トキが現れ、次代の北斗神拳伝承者候補として育てられることを伝えられる。今まで何も聞かされずに育てられ、そして自分が伝承者と認められなかったことに反発して家を出る。そこでアンナやアンナの兄と出会い、運命は自分で変えるものであることを教わる。 かくして自分も伝承者争いに加わることを決意。しかし、リュウケンは聞く耳を持たず、新たな候補者としてケンシロウを連れてくる。リュウケンに対する不信感と、兄弟に対する劣等感を募らせながらも、アンナの励ましや白蛇拳のシバとの戦いを経て成長し、ついにリュウケンに認められる。
リュウケン
63代北斗神拳伝承者。北斗の寺に住んでいる。燃え盛る炎ののなかから、幼いジャギを助け出し、自らの子として育てた。自分が拳法家ということを、一度としてジャギには伝えてこなかった。それはジャギを伝承者争いに巻き込み、苦しい思いをさせたくない、という愛情からのものだった。だが再三のジャギの頼みにより、ついに伝承者争いに参加させることを承諾。 途中ラオウたちに後れを取るジャギに、高速で相手に拳を叩き込む、北斗羅漢撃という奥義を伝授した。
アンナ
家出したジャギが出会った少女。ジャギが、バイクにひかれそうになった犬を助け、大の男にも物怖じせずに挑むのを見て、その度胸を褒める。ジャギが何をしているのかは知らなかったが、時おり姿を見せ、修業に挫折するジャギを度々励ました。ある日、クレージーズの男に連れ去られ、襲われそうになったところをジャギに助けられる。 そこからジャギに恋心を抱くようになる。
アンナの兄 (あんなのあに)
妹のアンナとともに、バイクのチームを組んでいる男性。街を走っている最中に、メンバーの1人がジャギとケンカになるが、ジャギの度胸を褒め、自分のチームの後継ぎにならないかと勧誘する。さらにジャギの心情を見抜き、強い思いを持つ者だけが、自分の運命を変えることができると励ました。
ラオウ
弟のトキとともに、北斗神拳伝承者候補としてリュウケンに連れて来られた少年。北斗神拳を伝承することに対して強い思いを持ち、いつまでも迷ってばかりいるジャギを、当初は見下していた。だが時おり見せるジャギの激しい怒り、そしてリュウケンが伝えた北斗羅漢撃を完璧に会得したジャギを見て、徐々に認めていくようになる。
トキ
兄のラオウとともに、北斗神拳伝承者候補としてリュウケンに連れて来られた少年。当初は伝承者争いに参加しなかったが、兄のラオウを超えることを決意し、伝承者争いに志願した。兄弟の中では仲裁役と言える存在で、ケンシロウをいじめるジャギを諫めたり、自分勝手に行動するラオウを引きとめたりしている。
ケンシロウ
北斗神拳伝承者候補としてリュウケンが連れて来た少年。のちの64代北斗神拳伝承者。ジャギより年下にもかかわらず、北斗神拳を教わるため、ジャギの反感を買い、ことあるごとに暴力を振るわれていた。それでもジャギのことを、他の兄たちと同様に「兄さん」と呼んでいる。ジャギとの組手ではいつも負けていたが、それは兄弟を傷つけたくないがためのものだった。 のちにある人物の叱咤により考え方を改め、徐々にその才能を発揮させていく。
シバ
「白蛇拳」と呼ばれる拳法を使う男性。ジャギたちが住む北斗の寺に道場破りとしてやって来た。しかし、リュウケンが不在だったため、一度は帰ろうとした。だがジャギが北斗神拳伝承者候補と偽ったことで対峙。何ひとつ習っていないジャギでは相手にならず、罵倒とともに殴り続けていた。ところが、リュウケンを馬鹿にしたためジャギの怒りを買い、結果的にジャギに半殺しにされた。 このことが、ジャギの伝承者争いへの参加を、リュウケンに認めさせるきっかけとなった。
クレージーズの男 (くれーじーずのおとこ)
「クレージーズ」と名乗る集団の構成員。ライダースーツを着こみ、骸骨のようなマスクをかぶった異様な雰囲気の男。各地を荒らしていたところ、アンナの兄のチームと遭遇。アンナに目をつけ、奇襲に乗じてさらうことに成功するが、ジャギによって倒された。
その他キーワード
北斗神拳 (ほくとしんけん)
2000年の歴史を持つ暗殺拳。その技は人体の中に存在する「経絡秘孔」と呼ばれるツボを突き、相手を身体の内部から破壊する。伝承者は1人と決まっており、その争いに敗れた者は拳を封じるか、記憶を消去される。数々の奥義があり、リュウケンがジャギに伝えた「北斗羅漢撃」や、ケンシロウが使った、相手の全身の秘孔を突く「北斗百裂拳」などがある。