天も月も花も

天も月も花も

時空を超えた思いをテーマに、一話完結のオムニバス形式で描かれるミステリーロマン作品集。一部のエピソードは物語がつながっており、連作としての要素もある。

正式名称
天も月も花も
ふりがな
そらもつきもはなも
作者
ジャンル
推理・ミステリー
関連商品
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あらすじ

銀色幽花(上巻)

那智の国の山澄清久は、戦国一の力を得るために杜の神に山澄家の若君を生贄として差し出した。しかし、自らが落雷に打たれて命を落としてしまう。清久の跡を継ぎ山澄家の頭領となった清久の嫡男・山澄清長は、父親が亡くなったのは腹違いの弟である若君のせいだと考え、彼を恨み幾度となく暗殺を企てるが、彼は不思議な力に守られており、手に掛けようとした者が次々と怪死していく。やがて、「若君は鬼の力を得た」との噂が流れ、彼は自ら戦乱の中で血にまみれる道を進み、「九鬼」と呼ばれるようになる。一方、水海(あま)の力を手に入れ、戦国一の王になる野望を持つ清長は、九鬼に命じ波多の城を陥落させる。城から逃げた波多の姫・は、九鬼の住む杜に迷い込む。澪の持つ「水海(あま)の宝珠」から聞こえる波の音に心を癒された九鬼は、澪と心を通わせる。だが、澪は清長に捕えられてしまい、助け出そうとした九鬼が清長に切られたその時、杜に海が流れ込み、すべてが飲み込まれてしまう。

まだ恋をしている(上巻)

文月未央の同じ高校の先輩・玖岐一人は、未央が幼い頃の初恋の人だった。彼と同じ天文部に入った未央だが、自分が幼なじみだった事をなかなか言い出せない。ある夜未央は、一人が昔いっしょに2人で遊んだ洋館に入って行くところを目撃する。あとを追いかけた未央は、一人が着物姿の美しい女性と会っているのを見て、彼らがただならぬ関係である事を感じる。その日以降、様子がおかしくなる一人。彼を心配した未央は、彼女が伝説の「冬桜姫」であり、亡き恋人をずっと待ち続けている異形のものだと知る。

海は千の夢を見る(上巻)

美大に通う日向は、同じ高校だった萌木順一に、海辺の別荘で順一の従妹・の肖像画を描くアルバイトを依頼される。翠との距離が縮まるにつれ、日向は真剣に絵に向き合うようになる。そんな中、日向と翠の様子に嫉妬した順一は、翠に「保護者づらはうんざり」だと突っぱねられる。だが日向は、順一をうまくふるため、翠が自分を利用したのではないかと疑う。翠に自分を忘れさせないため、絵に没頭する日向。季節が変わり、日向は順一から、翠が既に亡くなり、死ぬ間際まで日向が描いた絵を見つめていたと、告げられる。

空の水面(上巻)

母親・吉野由布子を失くした吉野佐名は、戦国時代からの旧家である母親の実家、福本家に馴染めず、おばあさんに、父親の実家に世話になるつもりだと告げる。そんな佐名に、叔父にあたる福本剛史は、「たった一人の血縁者を放っておくな」と諫める。佐名は福本家で暮らす決心をするが、剛史は「よそ者の自分が出て行く」と家を出ようとする。佐名が剛史を止めようとした時、家出しようとした妹を切り殺したと言われている戦国時代の武士・福本隆景の霊が刀で切りかかってくる。

カリンに嵐(上巻)

京都に旅行に来たかりんは、急性胃腸炎で倒れたところを、嵐史という大学生に助けられる。かりんは樹の実家だという旅館に泊めてもらい、翌日、二人に京都を案内される。去年亡くなった、樹の妹・沙織と自分がそっくりだと知らされたかりんは、嵐史と沙織が付き合っていた事を知る。嵐史への思いが募るかりんに、嵐史はもう一晩泊るよう誘う。だが、彼女は嵐史が沙織を忘れていないのではないかと疑う。

ハサン・ルナティック(上巻)

椎名碧は、両親が考古学の発掘調査で忙しくしており、幼い頃から寂しさを抱えていた。そんな彼女は、自分を頻繁に訪ねて来る喜多島という学生に恋をしていた。ある日、両親が送って来た「涙壺」からハサン・ナール・アーメッドという男性が出現。砂漠の国ハビシャムの首長だという彼は、碧にしか見えず、しばらく滞在するという。ハサンは碧に喜多島には気をつけろと警告するが、彼に夢中な碧は耳を貸さない。だが碧は、喜多島が財産狙いで彼女に近づいた事を知ってしまう。碧はハサンに八つ当たりし、彼は姿を消してしまう。

凍れる月(上巻)

血のつながっていない叔父・福本剛史の撮影所に、着替えを持っていった女子高生の吉野佐名。時代劇の主演俳優である館林賢は、剛史が佐名の写真を持ち歩いている事を知り、撮影所に来た佐名に興味を持つ。佐名と館林がいっしょにいるのを見た剛史は、嫉妬で佐名に冷たくあたる。落ち込む佐名に撮影所を案内する館林だったが、役者の怨念が溜まるという時代劇の残骸置き場で、態度が豹変する。

短夜の恋ひ(上巻)

吉野佐名は、時代劇の撮影現場で福本剛史が足にけがを負ったとの連絡を受ける。血のつながらない叔父・剛史に恋をしている佐名は、彼のもとに駆けつけるのだが、剛史は不機嫌で取り付く島もない。そんな中、佐名は撮影現場に咲いているあじさいの影に、着物姿の女性を目撃する。彼女は剛史に恋をしたあじさいの化身だった。ある日、けがが治っていない剛史が撮影に参加していると聞き、止めに入った佐名。剛史には着物姿の女性が憑りついており、それに気づいた佐名めがけてセットの屋根が落ちてくる。

季節が来れば君は(下巻)

時代劇俳優の館林賢主演の舞台が公演され、福本剛史の応援に駆けつけた吉野佐名。佐名は舞台の終わりに誰かの視線を感じる。館林から公演中、雑務のアルバイトを頼まれた佐名は、剛史のもとに届けられた百合の花束により、剛史には百合の香りが好きな三谷麻香という恋人がいた事を知る。館林によると、麻香は1年前に亡くなったというが、気になった佐名は、麻香の自宅を訪ねる。

紅葉月こそ(下巻)

平安時代も終わりを告げる頃、京の都で若い美女ばかりが惨殺される事件が起こっていた。姉のに醜い容姿を馬鹿にされていた撫子は、ある日、追っ手から逃げていた美しい男性を助ける。彼が源氏の頭領の息子・九郎だと知った撫子だったが、彼と交流を深めていく。一方、美しい九郎が撫子を訪ねて来るのが気に食わない楓は、九郎を自分の部屋に招き、撫子に見せつける。しばらくして、悲鳴を聞いた撫子が駆けつけると、楓は九郎に惨殺されていた。

水底の声(下巻)

湖畔を歩くは突然、戦いの世に生きた三郎という武士の無念を感じてしまう。彼には、許嫁の「しずか」という女性がいたのだが、自分が仕える殿が主家に謀反を企てており、しずかを守るために泣く泣く彼女につらく当たり追い出したのだ。すると突然、静の前に水中から三郎が現れ、「今こそこの城で一緒に」と静を引きずり込もうとする。

星月夜(下巻)

平安時代の末期、五条之橋に現れるという「物の怪」の退治役として、平時忠の家来となった鬼若に白羽の矢が立った。「物の怪」の正体は女のように美しい九郎で、鬼若は九郎が妙に気に入り親切にする。しばらくして、九郎が京に潜んでいる源氏の末裔だと知った鬼若は、九郎を訪ねるのだが、彼が母親・常盤への愛憎に苦しんでいると見抜き、彼を五条の母親のもとに連れて行く。そこで九郎が目にした母親には昔の美しさはどこにもなく、九郎は美に執着していた自分の愚かさに気づく。

花隠り(下巻)

九郎と同じ屋根の下に暮らす事になった鬼若。ある日、平時忠の家来から子供を守った鬼若は、時忠に捕えられかつての無礼を責められ暴行を受ける。そこに平清盛が現れ、時忠の愚行を諫める。ほどなく、鬼若の家に清盛の家臣が現れ、「京にはめずらしい武士らしい男」だと、清盛に仕える気はないかと打診する。父親の敵だと、平氏を恨む九郎は鬼若に逆上、鬼若を追い出してしまう。翌日、九郎の身の回りの世話をしにきた由依は、彼の顔を見て「物の怪だ」と、逃げ出す。

春雷(下巻)

もともと動物が苦手だった真由は、自分も犬の世話ができるところを幼なじみの哲也に誇示したい気持ちから犬のレックスを飼い始める。そんな真由に、哲也も協力してくれ楽しい日々が続いたが、ある日、真由がレックスのリードを哲也から強引に奪った事から、レックスが逃げ出し、それを追いかけた真由は事故に遭って命を落としてしまう。しばらくして、レックスの散歩中に雨に遭った哲也は、「榧の木茶屋」という喫茶店に入り、コーヒーを飲むとすぐにレックスを連れて帰る。だが「榧の木茶屋」のオーナーには、一人残された真由の姿が見えていた。

青の香に(下巻)

梨奈は、ラベンダーの香りに誘われ、「榧の木茶屋」という喫茶店に入る。彼女は取り返しのつかない後悔の念に駆られていた。梨奈は高校の先輩・裕之と付き合っていたが、体の関係を拒んだ事から、手痛くふられる。その後、梨奈は親の勧めで見合いをした高科希に急速に惹かれていくが、彼が仕事のためなら結婚も割り切る事ができる人間だという噂を耳にし、疑心暗鬼になる。そして、梨奈は希からの婚約指輪を突き返してしまう。

その朝に(下巻)

瀬戸のとなりの席の新崎は、登校して来るなり、瀬戸に「ノートを見せろ」とせっついてくる。それはいつもと変わらない朝の光景だった。瀬戸の髪に結んだリボンを取り上げた新崎は、グラウンドに出て、「ここから見える図書委員の女と同じクラスになれた時はうれしかった」と意味深な発言をする。クラスに戻った瀬戸だったが、担任は「新崎が登校中に交通事故に遭い、今息をひきとった」とみんなに告げるのだった。

黄昏鳥(下巻)

「榧の木茶屋」のオーナーは、迷い込んで来た一羽の鳥をかやの木に休ませていた。すると、北苑という男性客がやって来て、ここで会う約束をしている柚木克利の事を語りはじめる。高校の同級生だった柚木は、優等生の北苑とは正反対なタイプ。そんな二人は、高二の夏にこの場所に旅行に来て、10年後にかやの木の下で再会するという約束を交わす。だが二人はその後、感情の行き違いから疎遠になってしまう。そして、柚木がやって来て再会を楽しむ二人だったが、「ずっと謝りたかった」と言った柚木は突然消え、そこから一羽の鳥が飛んでいくのだった。

クリスタル・カノン(下巻)

秋も終わりに近い頃、伊邑は落雷事故で電車が動かなくなった田舎の駅で、仕方なく人工湖に向かう。ガラス工房に入った彼は、そこで同じゼミの藤川に似た女性に村を案内される。彼女と自然に親しんだ彼は、自分が空を見上げる余裕もなかった事に気づく。喫茶店「榧の木茶屋」で自分がガラス工房で買った風鈴と同じものを見つけた伊邑は、オーナーにその事を伝えるが、その村は今はダムの底に沈んだという。

六花のとき(下巻)

凍える雪の季節に二人の姉を失くした京の中納言の姫・六花は、樹の中将の訪問から逃げ、部屋にこもっていた。そんな六花の前にたびたび現れる不思議な黒装束の男・烏洞は、次第に飼い猫の茜丸に依存し、自分の殻に閉じこもる彼女が心配になる。ある日、死期が近づいた茜丸に頼まれた烏洞は、彼女を空に連れ出し、雪はやがて来る季節のために眠っている者たちを守っていると教える。やがて六花は寿命が尽きた茜丸を見送り、自分の運命と向き合う決意をする。

たとえば花が(下巻)

短大の講師・大岩礁にハウスキーパーのアルバイトを頼まれた短大生の早山蘭。彼女は10年前、故郷に遺跡の研究に来た礁にずっと思いを寄せていた。だが蘭は礁の家でたびたび怪奇現象に遭う。それは彼の亡き妻・大岩千草の仕業だった。彼女は「ほかの女が入り込む隙なんてない」と蘭に警告する。千草の礁に対する強い思いを知った蘭は、せめて千草のためにと彼女の庭を手入れする。その時、まるで蘭に駆け寄る礁を邪魔するかのように花瓶が落ちてくる。それを千草の仕業だと悟った蘭は、彼女の気持ちを逆なでしないよう、自分はすぐに出て行くつもりだと千草に伝えるのだった。

登場人物・キャラクター

九鬼 (くき)

エピソード「銀色幽花」に登場する。那智の国、山澄城の城主・山澄清久の息子で、本城から離れた杜の中の館に宇都木藤吾と住んでいる。清久の側室である九鬼の母が生んだ子供で、幼い頃は「若君」と呼ばれていた。山澄家の繁栄のため、杜の神に生贄にされそうになるが、代わりに父親の清久が落雷で死亡する。父親を生贄にし、山神の鬼の力を得たと噂され、人知れず苦しむ。 ならば鬼になろうと戦いに身を置くようになり、兄・山澄清長の命でいくつもの国を陥落させ、「那智の鬼」と呼ばれるようになる。波多の姫・澪と出会い、彼女の持つ「水海(あま)の宝珠」の波の音に心癒され、澪と心を通わせるようになる。「水海の宝珠」の力により澪もろとも海に飲み込まれるが、生まれ変わり、再び澪という名の少女と現代で出会う事が仄めかされている。

文月 未央 (ふみづき みお)

エピソード「まだ恋をしている」に登場する。高校1年生の女子生徒で玖岐一人と同じ天文部に所属している。幼なじみの一人は初恋の人。一人が自分を幼なじみだと気づいてくれない事から、つい一人に対して喧嘩腰の態度をとってしまう。幼い頃、彼と近所の洋館にある枯れた桜に、花が咲くまで毎日いっしょに見にこようと約束していた。冬桜姫に気持ちを捕われかけた一人の目を覚まさせようと、命懸けで一人を守る意志の強さがある。

日向 (ひゅうが)

エピソード「海は千の夢を見る」に登場する。城北美術大学の男子学生だが、芸術家らしからぬワイルドな雰囲気を漂わせている。高校の時の同級生・萌木順一に翠の肖像画を描いてほしいと頼まれ、翠の別荘に滞在する事になる。「生きているんだから、画家への夢を簡単にあきらめてほしくない」と翠に言われ、夢に醒めたようなふりをしていた自分に気づく。 翠への思いが加速した時、彼女が萌木順一を思い、彼をうまくふるために自分を利用したのではないかと疑う。

吉野 佐名 (よしの さな)

エピソード「空の水面」「凍れる月」「短夜の恋ひ」に登場する。母親の吉野由布子を失くした10代の女の子。5年前に父親も亡くなっており、母親の実家である福本家に引き取られる。一途で優しい性格をしている。血のつながらない叔父・福本剛史に惹かれており、剛史との交流の中で、たびたび不思議な現象に巻き込まれる事になる。

かりん

エピソード「カリンに嵐」に登場する。京都に旅行に来た明るい性格の女子高生。いっしょに来た女友達が、自分にだまって彼氏と落ち合ったため、やけ食いに走り倒れたところを嵐史と樹に助けられる。嵐史に恋心を抱くが、自分が亡くなった嵐史の恋人・沙織に似ている事から、彼女の代わりにされているのではないかと疑いが芽生える。

椎名 碧 (しいな みどり)

エピソード「ハサン・ルナティック」に登場する。両親は考古学の教授と助教授であり、祖父は自宅の敷き地にある「椎名考古学資料館」の館長を務めている。家に祖父と残される事が多く寂しい思いを抱えている。そのため、甘えん坊であり、自分をかまってくれる喜多島に好意を抱いている。両親から送られた「涙壺」でハサン・ナール・アーメッドを呼び出してしまう。 ハサンには、彼が亡くした恋人と同一視され、「わたしのカローラ」と呼ばれている。

九郎 (くろう)

エピソード「紅葉月こそ」「星月夜」「花隠り」に登場する。平家に敗死した源氏の頭領の息子で、父の愛妾だった常盤の子供。美しい母親に自分の容姿を蔑まれて育ったトラウマがある。そのため、美に執着し、美しくなれば愛されると北山の魔物と取引し、女たちの血と引き換えに美しさを手に入れた。平氏の世であり、正体がばれないよう九郎と名乗っているが、本名は「源九郎」。 自分同様、醜さから惨めな思いをしている撫子を助けようとするが、「人間の心を持っていたい」と拒まれる。のちに鬼若と何故か意気投合し、一つ屋根の下に暮らす事になる。気を抜いている時など、元の醜い顔に戻る事がある。

撫子 (なでしこ)

エピソード「紅葉月こそ」に登場する。楓の妹だが、父親が召使に産ませた子供であり、下働きばかりさせられている。楓に醜い容姿をいつも馬鹿にされているため、美しくなりたいとの思いを持っている。美しい九郎に惹かれていたが、彼の正体を知ってしまい、「この身を魔物に変えてまで美しくなりたいとは思わない」と彼を拒む。

(しずか)

エピソード「水底の声」に登場する。感受性の強い若い女性。発掘調査をするために、仲間たちと湖を訪れた。干ばつで湖の水位が下がり、昔の城の石垣が出てきたという湖のほとりを歩いている時に、三郎という武士の無念を感じとってしまう。

鬼若 (おにわか)

エピソード「星月夜」「花隠り」に登場する。紀の国・熊野から京の都に出て来た若い男性で、かなりの大男。大納言・平時忠の家来となったが、彼の嫌味な人柄を嫌い屋敷を出て行く。武骨だが優しい性格で、見捨てられた子犬のような目をしている九郎が気に入り放っておけない。故郷にいた恋人・花苗にふられた事もあり、九郎と気ままに暮らす事になる。

真由 (まゆ)

エピソード「春雷」に登場する。哲也とは家がとなり同士の幼なじみの女の子。恋に不器用で、哲也の事がずっと好きだったが、憎まれ口ばかり叩くようになった哲也への苛立ちを募らせていた。捨て犬の飼い主を自分一人で探すという哲也への反発心から、その犬をレックスと名づけ飼い始めたが、次第にレックスに愛情を持つようになる。哲也が持っていたレックスのリードを無理やり奪った事からレックスが逃げ出し、それを追いかけた真由は交通事故に遭い死んでしまう。 哲也とレックスとの幸せな日々を失ってしまった後悔が強く、哲也の本当の気持ちを知りたいが故に、この世に留まっていた。

梨奈 (りな)

エピソード「青の香に」に登場する。親が事業を手掛ける裕福な家の女子高校生。意地っ張りで、人の言葉に惑わされやすい性格。裕之という高校の先輩と付き合っていたが、体の関係を拒んだため、子供すぎるとふられてしまう。裕之を見返してやりたい気持ちから高科希と見合いをし、大人の彼に惹かれていくものの、彼が政略結婚を企んでいるのではないかと疑心暗鬼になり、婚約指輪を突き返してしまう。

瀬戸 (せと)

エピソード「その朝に」に登場する。女子学生で図書委員を務める。新崎とは同じクラスで、ケンカばかりしているが、実は満更でもない様子。新崎の告白ともとれる言葉が、のちに彼からの最後のメッセージだった事がわかる。

北苑 (きたぞの)

エピソード「黄昏鳥」に登場する。有名大学に入り、一流企業に就職した男性。委員長タイプで絵にかいたような優等生ながら、大空を自由に飛ぶ鳥に憧れている。高校時代の友人・柚木克利と10年後に、二人の思い出の場所であるかやの木の下で会おうと約束していた。しかし自分が好意を抱いていた浅野が、柚木を好きになった事で感情の行き違いから疎遠になり、その事をずっと後悔していた。

伊邑 (いむら)

エピソード「クリスタル・カノン」に登場する。東京の大学生で、ゼミの教授の代わりにシンポジウムに出席した帰り、田舎の駅に放り出される。やる事をやって一流企業に入るというのが目標の学生で、スケジュール通りに行動する事を自分に課し、故郷にも帰っていない。「前ばかり見てほかの物には目を向けないのはさみしくない?」と藤川に言われた事が心に引っかかっている。

六花 (りっか)

エピソード「六花のとき」に登場する。京の都の梅ヶ枝の中納言の姫。姉である二人の姫が雪の季節に亡くなってしまい、自分も若死にすると思い込み、頑なに心を閉ざしている。樹の中将は亡き姉の許嫁だった事もあり、自分が彼を受け入れていいのかを悩んでもいる。茜丸という猫を可愛がっている。

早山 蘭 (はやま らん)

エピソード「たとえば花が」に登場する。短期大学の女子学生。田舎に父親を残し、一人暮らしをしている。10年前、町内で歴史的遺跡が発見された時に調査に来ていた大岩礁に一目惚れし、短大で再会した事から運命だと感じていた。だが、大岩千草の礁に対する強い思いを知り、身を引く決意をする。千草の大事にしていた庭を手入れするなど、心根が優しく、彼女の人となりを知った千草に礁を託される。

(みお)

エピソード「銀色幽花」に登場する。海が近い波多の国の城主の娘で、「波多の姫」「澪姫」と呼ばれている。可憐な容姿だが、陥落した城から一人逃げ出す気丈な性格。波多の一族は竜王の血をひく末裔だといわれており、澪は海をあやつる事ができる「水海(あま)の宝珠」を「あなたとあなたが大切に思うものを守ってくれる」と、亡き母から譲られた。 自害した父親の敵となる九鬼を敵視していたが、彼の優しさに触れ、次第に彼を愛するようになる。のちに現代に生まれ変わり、九鬼と思われる男性と海の近くで出会う。

山澄 清長 (やまずみ きよなが)

エピソード「銀色幽花」に登場する。山澄清久の嫡男であり、父親の死後、山澄家の頭領となった男性。腹違いの弟・九鬼が杜の神の力を得ているのなら、自分は水海(あま)の力を手に入れ、戦国一の王になるという野望を持っており、波多城にある宝「水海(あま)の宝珠」を狙っている。父親が亡くなったのは、九鬼のせいだと彼を恨んでおり、幼かった九鬼の暗殺をたびたび企てたが、決まって狙った者が怪死したので、九鬼を恐れてもいる。

山澄 清久 (やまずみ きよひさ)

エピソード「銀色幽花」に登場する。那智の国、山澄城の城主。代々杜の神を奉じて力を得てきた一族であり、当主の息子を人身御供に捧げてきた家系。我に戦国一の王になる力を授けよと、杜の神に九鬼の命を捧げようとした時、落雷に打たれて清久自身が命を落とす。生前、海をあやつる事ができる「水海(あま)の宝珠」を手に入れ、杜の神の力と共に使えば、戦国の王も夢ではないという野心を、清長に語っていた。

九鬼の母 (くきのはは)

エピソード「銀色幽花」に登場する。九鬼の母親で、山澄清久の側室。清久が、幼い九鬼を杜の神に奉じようとし、落雷に打たれて命を落とした際、山神の鬼の姿を目にして、正気をなくしてしまう。九鬼には「鬼がついておる」と口癖のようにつぶやくようになり、やがて亡くなった。

宇津木 藤吾 (うづき とうご)

エピソード「銀色幽花」に登場する。九鬼の守り役として、杜の中の彼の館で暮らしている、線が細く優し気な男性。父親は山澄清長の命令で、幼少の九鬼を殺害しようとしたが、石垣が崩れ怪死した。死んだ父親の事で九鬼を恨んでおり、時には清長のスパイとして動く事もあったが、鬼と呼ばれて苦しんでいる九鬼を憎みきれず、最後は彼を守ろうとして清長の家来に切られてしまう。

玖岐 一人 (くき かずと)

エピソード「まだ恋をしている」に登場する。高校2年の時、文月未央の通う学校に編入して来た男子生徒で、天文部に所属している。未央とは幼なじみだが、一度引っ越し、再び未央の近所に戻って来た。キリッとした顔をしておりモテるが、はっきりした性格で、美人もあっさりふってしまう。幼い頃、未央には「ひとりくん」と呼ばれており、その頃に冬桜姫と出会っている。 冬桜姫と再会し、彼女に取り込まれそうになる。

冬桜姫 (ふゆざくらひめ)

エピソード「まだ恋をしている」に登場する。文月未央の家の近所の洋館に住んでいるらしき着物姿の美しい女性。未央の住む町に残る「冬桜姫」という伝説の中の姫と思しき人物。冬の日、桜の木の下で、「この木に花が咲く日まで、毎夜あなたが訪ねて下さったら、あなたの妻になる」と約束した恋人が、桜の木に向かう途中で命を落とした事から、恋人への妄執で年を取る事も忘れて待ち続けていた。 玖岐一人を恋人の生まれ変わりと信じており、一人に毎夜桜の木まで通うよう約束させる。

(みどり)

エピソード「海は千の夢を見る」に登場する。萌木順一の従妹で幼なじみでもあり、兄妹のように育った。悲し気な美しい瞳の少女で、病弱で高校も休学している。たびたび、王子の幸せのために海の泡となった人魚の恋に、自分の恋をなぞらえて語るが、順一と日向のどちらを愛していたのかは謎めいている。だが、死ぬ間際まで、日向が描いた自分の肖像画を眺めていた。

萌木 順一 (もえぎ じゅんいち)

エピソード「海は千の夢を見る」に登場する。日向の高校の時の同級生で、翠の従妹。令息然とした風貌の美しい男性。翠をずっと愛していたが、美大の学祭に行った翠が、日向に一目惚れしたのがおもしろくなく、翠に「日向には恋人がいる」と噓を吹き込んだ。日向と翠が仲よくなっていくさまに嫉妬し、翠に手痛くふられる。

福本 剛史 (ふくもと ごうし)

エピソード「空の水面」「凍れる月」「短夜の恋ひ」に登場する。切られ役専門の時代劇の俳優で、20代の男性。吉野由布子の弟で、吉野佐名の叔父にあたる。実は養子として福本家に引き取られたため佐名とは血がつながっておらず、自身でも本名の「刈谷剛史」を名乗っており、「福本剛史」はあくまで芸名。口が悪いが、おばあさん思いであり、由布子が帰って来るまで福本家を守ろうと力を尽くしていた。 意地っ張りな性格で、佐名に対して素直になれない事も多い。佐名に「剛ちゃん」と呼ばれている。

おばあさん

エピソード「空の水面」に登場する。吉野佐名の祖母で、吉野由布子の母親。戦国時代から続いている旧家、福本家で奥様と呼ばれる高齢の女性。由緒正しい旧家の規律を重んじる厳しい人物だが、実は駆け落ちした由布子を許してやれなかった事を悔やんでいた。養子の福本剛史を本当の息子のように可愛がっている。

吉野 由布子 (よしの ゆうこ)

エピソード「空の水面」に登場する。吉野佐名の母親で、福本剛史の姉。由緒ある福本家に育ったが、おばあさんに結婚を大反対されて駆落ちし、佐名を生んだ。ガンで亡くなったため、佐名が福本家に引き取られる事になった。福本家を守ってくれた剛史に感謝しており、佐名に「私の代わりに剛史にありがとうと伝えてほしい」と伝言していた。

福本 隆景 (ふくもと たかかげ)

エピソード「空の水面」に登場する。戦国時代の福本家の当主。「佐名」という美しい妹を大切に育てていたが、婚約が整った時、心に決めた人がいると家を出て行こうとする彼女を切り殺したといわれている。たびたび、吉野佐名の前に気配を示し、時には福本剛史に乗り移ったりする。のちに、「佐名」を殺した事にして、駆け落ちを見逃していた事が判明する。

嵐史 (あらし)

エピソード「カリンに嵐」に登場する。樹と沙織のいとこにあたる。東京の男子大学生だが、沙織の命日で京都に来ており、かりんと出会う。沙織に頼まれ、死ぬ間際の短い時間恋人としていっしょに過ごすが、恋人のふりさえできなかった不器用な性格。顔は沙織と似ていながら、沙織とは異なる性格の明るいかりんに惹かれていく。

沙織 (さおり)

エピソード「カリンに嵐」に登場する。樹の妹で、嵐史のいとこ。生まれつき病弱で、嵐史にずっと思いを寄せていた。いとことしてしか見られていないと知っていたが、残された時間だけでも嵐史と恋人として過ごしたいとのわがままを叶えて亡くなった。見た目がかりんによく似ている。

(いつき)

エピソード「カリンに嵐」に登場する。沙織の兄で、嵐史のいとこ。亡くなった沙織の亡霊に縛られているような嵐史を陰ながら心配しており、嵐史とかりんをくっつけようと画策する。実家は旅館を経営している。

ハサン・ナール・アーメッド (はさんなーるあーめっど)

エピソード「ハサン・ルナティック」に登場する。砂漠の国ハビシャムの首長。椎名碧が両親から送られた「涙壺」で呼び出した精霊のような存在。碧以外の人の目には見えない。実は恋人カローラを失った事により、カローラのような優しい娘にもう一度逢わせてほしいと月の光に願っており、時空を超え碧のもとに現れる事となった。碧を勝手に「わたしのカローラ」と呼んでいる。

喜多島 (きたじま)

エピソード「ハサン・ルナティック」に登場する。考古学に興味があると言って、椎名碧の家を訪ねて来る男子大学生。ハンサムで好青年を装っているが、実は碧に近づき椎名家の財産を値踏みしている、姑息な性格の人物。碧に正体がばれた腹いせに、「椎名考古学資料館」に侵入し値打ちのある物を盗み出そうとする。

館林 賢 (たてばやし けん)

エピソード「凍れる月」「季節が来れば君は」に登場する。時代劇「御家人新九郎」の主役の俳優で、ロングヘアの美しい男性。父親は映画会社の重役で、コネでドラマの主演をしていると自嘲しており、立ち回りのうまい福本剛史を羨んでいる一面がある。剛史の大学の同期で、彼にエキストラの仕事を紹介した人物で、のちに剛史と吉野佐名の関係を陰ながら応援するようになる。 また茶目っ気があり、いたずら好きなところがある。

着物姿の女性 (きものすがたのじょせい)

エピソード「短夜の恋ひ」に登場する。時代劇の撮影現場でよく使用される石段の側に咲くあじさいの化身。花が咲く短い期間のみ、着物姿の美しい女性の姿になる事ができる。時代劇の俳優・福本剛史に恋をして、いつも見つめていたが、けがをした剛史が撮影に出られるよう彼に憑りついた。

三谷 麻香 (みたに あさか)

エピソード「季節が来れば君は」に登場する。福本剛史が大学生時代に付き合っていた女性。百合の花が好きで、百合の香りのコロンを愛用していた。剛史が安定しない時代劇の俳優になる事に反対し、別れた過去がある。館林賢と組んで、去年交通事故で亡くなったという設定で、剛史にちょっとした嫌がらせをするのだが、強い悪意があるわけではなく、自分の結婚式には剛史と吉野佐名を招待する。

(かえで)

エピソード「紅葉月こそ」に登場する。撫子の姉。美人だが、いつも撫子の容姿を馬鹿にして、彼女に下働きばかりさせている意地悪な女性。元成という通い人がいるが、撫子のもとを訪れる美しい九郎に興味を持ち、九郎を自分の部屋に招き入れる。

三郎 (さぶろう)

エピソード「水底の声」に登場する。主家にとってかわろうと謀反を企てている殿に仕えている武士であり、「しずか」という許嫁を守るために、彼女に冷たい態度を取って突き放し、無念のまま亡くなった武士。干ばつで湖の水位が下がり、昔の城の石垣が出てきたために、静の前に現れた。

平 時忠 (たいらの ときただ)

エピソード「星月夜」「花隠り」に登場する。平清盛の正妻の弟だが、「役立たずの落ちぶれ公家」と陰では悪く言われている。「平氏にあらずんば人にあらず」とうそぶく人物で、田舎者の鬼若を嘲笑おうと「物の怪退治」を命じた。家来をやめる際に鬼若から殴られた事を根に持っている。実在の人物、平時忠がモデル。

花苗 (かなえ)

エピソード「星月夜」に登場する。鬼若が故郷の紀の国・熊野に残してきた美しい女性で、九郎に外見が似ている。鬼若には出世して早く迎えに来てと言っていたが、平家に連なる家との縁談にとびつき、簡単に心変わりしてしまう。

常盤 (ときわ)

エピソード「星月夜」に登場する。九郎の母親で、夫が平家に敗死したのちに大蔵卿と再婚し、五条の屋敷に住んでいる。「絶世の美女」と謳われた自分と不釣り合いな醜い九郎を毛嫌いしており、それが九郎の心の根深い傷となった。のちに九郎が会いに行った時には、美貌は劣化し、昔の面影は残っていなかった。

由依 (ゆい)

エピソード「花隠り」に登場する。九郎が潜む小屋の近所に住む女性。美しい九郎を由緒ある家柄の人間だと思い込み、見ているだけでいいという思いから、身の回りの世話をしにくるようになった。憎しみに捉われ元の醜い顔に戻った九郎を見て、「物の怪だ」と逃げ出す。

平 清盛 (たいらの きよもり)

エピソード「花隠り」に登場する。平忠時の義理の兄。平氏の頭領で、「平氏にあらずんば人にあらず」とうそぶく忠時を諫める、道理をわきまえた男性。子供を助け、足元の花をかばう鬼若を武士らしい男だと評価し、自分に仕える気はないかと家臣を差し向け打診した。実在の人物、平清盛がモデル。

哲也 (てつや)

エピソード「春雷」に登場する。真由と幼なじみの若い男性。真由には憎まれ口ばかり叩いているが、雨の中捨てられていた子犬の飼い主を見つけようと助け出すなど、心根の優しい性格。レックスを見ると事故死した真由を思い出してしまい、つらい気持ちを抱えている。

オーナー

エピソード「春雷」「青の香に」「黄昏鳥」に登場する。「榧の木茶屋」という喫茶店のオーナーを務める青年。長い髪を後ろで束ねている。死者の姿が見える不思議な人物で、傷ついた客に特製ハーブティーをご馳走すると、その客は心を癒され自分の本心に気づく。「バジル」という飼猫が話し相手。

高科 希 (たかしな のぞむ)

エピソード「青の香に」に登場する。商事会社に勤めるエリートサラリーマン。容姿端麗で、非の打ちどころがない大人の男性。父親が世話になった人の孫娘である梨奈と見合いをし、断るつもりで出かけたものの、彼女に一目惚れしてしまう。梨奈に政略結婚を疑われ、婚約指輪を突き返されてしまう。

裕之 (ひろゆき)

エピソード「青の香に」に登場する。梨奈の高校の一つ上の先輩で梨奈と付き合っていた。自分が大学に合格したら、梨奈の好きなラベンダー畑に連れて行くと約束していた男性。裏表が激しく、彼女に体の関係を拒まれた事から、女性とベッドにいるところをわざと見せつけるという、手ひどいふり方をした。

新崎 (にいざき)

エピソード「その朝に」に登場する。男子学生でサッカー部に所属する元気な男の子。瀬戸とは同じクラスで、いつも彼女のノートを借りていた。背が高くかっこいいと女子からは人気が高い。グランドから見ていた図書委員の女と同じクラスになれてうれしかったと、瀬戸に告白するのだが、その時は既に交通事故で亡くなっていた。

柚木 克利 (ゆずき かつとし)

エピソード「黄昏鳥」に登場する。旅行雑誌のフリーライターをしている男性。高校時代からいつもどこか冷めた態度で一匹狼的存在だったが、正反対な性格の北苑と仲よくなる。「鳥は遺された人の心を運んで来てくれる」と北苑に教えるロマンチストな一面があり、二人の思い出の場所であるかやの木に鳥になって飛んで来た。落石事故で死亡していた事がのちに判明する。

藤川 (ふじかわ)

エピソード「クリスタル・カノン」に登場する。伊邑と同じゼミの女子大生。余計なお世話が好きだと自称する明るい性格。生まれも育ちも東京で、故郷がある人をうらやましく思っている。伊邑が田舎のガラス工房で出会った女性と、顔や性格がとても似ている。

烏洞 (うどう)

エピソード「六花のとき」に登場する。カラスの化身のような黒装束の謎の人物。六花に死の使いと思われている。昔自分が惚れた女性に似ている六花を放って置けず、彼女を元気づけようと世話を焼くおせっかいなところがある。死期間近の六花の飼い猫・茜丸に頼まれ、六花が強く生きれるよう、空に連れ出す。

茜丸 (あかねまる)

エピソード「六花のとき」に登場する。六花の飼い猫で、いつも彼女を気遣っている優しい猫。自分の死期が間近に迫った時、残される六花を心配し、彼女に雪の季節を嫌い心を閉ざさぬよう、烏洞に彼女の心のケアを頼んだ。

樹の中将 (いつきのちゅうじょう)

エピソード「六花のとき」に登場する。一昨年亡くなった六花の姉の許嫁だった男性。六花を訪ねても拒絶されてばかりいる。そんな六花を心配し、茜丸を失くした彼女に子猫をプレゼントするなど、穏やかで心の優しい男性。

大岩 礁 (おおいわ しょう)

エピソード「たとえば花が」に登場する。30代前半の大学の考古学の講師で、助教授間近といわれている男性。大学の同期生である大岩千草と大恋愛の末、結婚したが、数年前に死別している。家でも仕事に没頭する性分であり、家事には無頓着。ハウスキーパーを雇っているが、誰も長続きしない事を特に気にしていない。

大岩 千草 (おおいわ ちぐさ)

エピソード「たとえば花が」に登場する。大岩礁の妻だが、数年前に病死した。礁とは大学の同期生で大恋愛の末、結婚しており、亡くなった今も彼に執着している。家にハウスキーパーとしてやって来た早山蘭を脅し、追い出そうとするが、最終的には自分が大事にしていた庭の手入れをしてくれた蘭に礁を託す。

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