概要・あらすじ
北海道のウッディライディングスクールの森夕騎は、従姉弟の杏子から毎日叱責されるものの、近づくクラブ対抗戦にやる気が出ないでいた。その理由は、去年の対抗戦で騎乗して思い入れの強いクリゲゴールド(くり子)が、競技から引退して乗れなくなったため。そんななか、くり子を想って涙ぐむ夕騎の前に、2メートル近くある生け垣を飛び越えて葦毛の馬が現れる。
登場人物・キャラクター
森 夕騎 (もり ゆうき)
中学1年生の男の子。母親を亡くして、ウッディライディングスクールに引き取られている。引き取られた直後は反抗的で乱暴者だったが、クリゲゴールド(くり子)に乗るようになってからは、人が変わったように優しい性格となる。くり子に乗りながら乗馬を学び、わずか半年でクラブ対抗戦のジュニア部門で優勝する。その後、くり子は高齢のために競技から引退。 森夕騎も、くり子以外の馬には乗らないことにしていた。しかし、目の前に現れたヘリオスを見て、気持ちが変化していく。
ヘリオス
デビュー以来すべての競技会で優勝している名馬。しかし、騎手だった有栖川啓二が病死してからは、人間を拒絶するようになり、騎手や調教師を振り落として再起不能にするような暴れ馬となる。そのため「葦毛の悪魔」とも呼ばれている。その後ブラックボックスと一緒に、キャロップライディングクラブに引き取られたが、そこでも素行の荒さは変わらなかった。 しかし、森夕騎と出会い、夕騎が馬の気持ちを大切にしてくれる人間だと理解してからは、夕騎を信頼するようになる。
クリゲゴールド
オリンピックにも出場したことのある牝馬。母親を亡くしてウッディライディングスクールに引き取られた直後の荒れていた森夕騎を、舐めて慰めるようなことをするなど、母性本能が高い。夕騎の荒れた心を更生させた後は、夕騎と共にクラブ対抗戦に出場し、見事優勝する。しかし17歳(人間だと70歳近く)という高齢のため、対抗戦を最後に、余生を動物公園で過ごす。
杏子 (きょうこ)
森夕騎の従姉弟。中学3年の女の子。幼い頃からウッディライディングスクールで馬に乗っており、乗馬の腕は中の上。勝気な性格で、夕騎や幼なじみの小野寺朝寛だけでなく、大人の吉元にも臆せず向かっていく。その一方で、クリゲゴールドのことで落ち込み続ける夕騎を元気づけようとする、優しい一面もある。
小野寺 朝寛 (おのでら ともひろ)
キャロップライディングクラブに所属するエース騎手。杏子の同級生で幼なじみ。杏子が好きだが、杏子がキャロップライディングクラブを嫌っているため、顔を合わすと口喧嘩になることが多く、素直に自分の気持ちを伝えられない。乗馬歴は8年になり、一昨年には、北海道ジュニアチャンピオンにもなっている。去年のクラブ対抗戦で、乗馬歴半年の森夕騎に負け、さらに夕騎が杏子の従姉弟で、常に彼女の近くにいるため、夕騎を気にしている。
ブラックボックス
フランス産の馬。吉元が小野寺朝寛の乗馬として、1000万円の高額で買った。障害馬術専用の調教を行っている。調教する場所とノウハウを持たない国産馬に比べて、体格や筋肉のハリなど、あらゆる面で上回っている。
吉元 (よしもと)
キャロップライディングクラブのオーナー。優秀な馬を金の力で集めて、対抗戦で上位を独占。クラブの宣伝を第一に考えている。普段は紳士にようにふるまっているが、劣勢に追い込まれると、汚い手を平気で使う。
守住 信之介 (もりずみ しんのすけ)
野球や馬術で有名なマンモス校・清新学園理事長の息子。大学3年のときに、全日本学生障害馬術選手権を3連覇し将来有望の選手だった。しかし、落馬事故で左足の自由を失って引退。その後は清新学園の馬術部のコーチになる。自分が教えたい人材を探して日本中を放浪し、ヘリオスに乗る森夕騎を見かけてスカウトする。馬術に関する知識とコーティングは一流。
長谷尾 三幸 (はせお みゆき)
中学1年の男子生徒。現役時代の守住信之介を見て、追いかけて清新学園まで来た。小学4年のときから小学生の全国大会「フラワーカップ」で3連覇し、今年は全日本Jr.チャンピオンにもなっている。誰よりも速く走るため「馳夫」というあだ名を持つ。黒い乗馬服とメットで黒い馬「天夜叉」に乗るため、「黒い貴公子」とも呼ばれている。 守住に教わろうして拒否された過去があり、その守住が連れてきた森夕騎に敵愾心を見せる。