あらすじ
第1巻
フランスで開催される凱旋門賞に出走する弟のマカヒキをパブリックビューイングで応援するため、チケットの手配と応援グッズの準備をウキウキ気分で進めていたウリウリ。しかし、その浮かれぶりを見たストレイトガールから、凱旋門賞とウリウリが出走するスプリンターズステークスの日程が完全に同じであることを指摘されてしまう。凱旋門賞のパブリックビューイングに行けず、馬券も買えないことが判明したウリウリは、スプリンターズステークスを走り切り、Webでマカヒキの活躍を観戦するのだった。(第1R「神推し」。ほか、24エピソード収録)
登場人物・キャラクター
ウリウリ
青毛の競走馬で、性別は牝。フランスで開催される凱旋門賞に弟のマカヒキが出走することになり、馬券を買うために口座を開設し、うちわや花冠などの手作りの応援グッズを多数用意して、その日が来るのを心待ちにしていた。しかし、ストレイトガールから凱旋門賞とウリウリが出走するスプリンターズステークスの開催日がまったく同じであることを知らされ、絶望してしまう。実在の競走馬、ウリウリがモデル。
ストレイトガール
鹿毛の競走馬で、性別は牝。凱旋門賞に出走する弟、マカヒキを応援するために応援グッズを準備していたウリウリの姿を見て、凱旋門賞とウリウリが出走するスプリンターズステークスの日程が同じことを指摘していた。JRAのヒーロー列伝のポスターにも選出された優秀な競争馬。なお、引退後は渡英して交配する予定。実在の競走馬、ストレイトガールがモデル。
荒 (こう)
鹿毛の競走馬で、性別は牡。競馬の世界から身を引くことを決意し、仲間である鋼と黒にそのことを伝えていた。引退の理由は長年にわたる酷使により、蹄がボロボロになってしまったためだが、それを仲間に明かすことはなかった。実在の競走馬、ドゥラメンテがモデル。
黒 (くろ)
鹿毛の競走馬で、性別は牡。鋼とは義兄弟の仲。一宿一飯の義理を知る昔ながらの任侠。仲間だった荒が、理由も告げずに競馬界を去ることになったため、ショックを受ける。引退の前に荒が得意とするカードで勝負を挑むが、荒がカードを落としてしまったことから、彼の蹄がすでに使い物にならないことを悟る。鋼のことを信頼しているが、珈琲会の姉さんから鋼が日本杯の賭場で自分をつぶそうとしている可能性があると聞かされ、心の奥底に疑念を抱く。実在の競走馬、キタサンブラックがモデル。
鋼 (てつ)
鹿毛の競走馬で、性別は牡。黒とは義兄弟の仲。鋼は通り名で、性はリアル、名はスティールという。仲間だった荒が、理由も告げずに競馬界を去ることになったため、「指詰めるくらいの覚悟はあんのか!?」と激高して荒を問い詰めていた。すべてを計算づくで動く策士な任侠で、黒を西の賭場に出場させて力をすり減らそうとしていた。のちに森須から香港の賭場で一儲けすることを提案されるが、断っている。実在の競走馬、リアルスティールがモデル。
ヴィブロス
青毛の競走馬で、性別は牝。姉であるヴィルシーナの、宿命のライバルだったジェンティルドンナが顕彰馬に選ばれたことで、自分にも強いライバルが必要だと痛感。ヴィブロス自身も出走していたGⅢチューリップ賞の優勝馬であるシンハライトを勝手にライバルとして任命し、彼女を熱烈に応援し始める。のちに秋華賞の優勝馬となる。実在の競走馬、ヴィブロスがモデル。
シンハライト
黒鹿毛の競走馬で、性別は牝。GⅢチューリップ賞やオークスの優勝馬。その実績を買われ、ライバルを欲していたヴィブロスから一方的にライバル認定された。ただし、シンハライト自身はヴィブロスのことを知らなかった。実在の競走馬、シンハライトがモデル。
ヴィルシーナ
青毛の競走馬で、性別は牝。ヴィブロスの姉で優秀な競走馬だが、同世代にジェンティルドンナという傑出して強いライバルがいたため、その陰に隠れる存在となってしまった。ジェンティルドンナが顕彰馬に選ばれたことが誇らしいとヴィブロスに話していたが、その目は笑っていなかった。実在の競走馬、ヴィルシーナがモデル。
サトノダイヤモンド
鹿毛の競走馬で、性別は牡。皐月賞3着、ダービー2着という堅実な成績を残している期待の競走馬。菊花賞出走を控えていたある日、父親であるディープインパクトや騎手、調教師や厩務員から開花前の菊と激励の手紙を送られる。強烈なプレッシャーに押しつぶされそうになるものの、同じくさまざまな人から開花前の菊を送られていたディーマジェスティから菊の育て方を教えてもらい、みごとすべての菊の花を咲かせることに成功する。実在の競走馬、サトノダイヤモンドがモデル。
ディーマジェスティ
鹿毛の競走馬で、性別は牡。優秀な競争馬で、菊花賞出走を前にして騎手や調教師や厩務員など多くの人々から、開花前の菊をもらっていた。同様の立場で重圧を受けていたサトノダイヤモンドに対し、菊の正しい育て方を教える。実在の競走馬、ディーマジェスティがモデル。
姉さん (あねさん)
鹿毛の競走馬で、性別は牝。珈琲会に属する優れた競走馬で、ほかの牡馬からも一目置かれている。昔ながらの任侠を貫く黒のことを信頼しており、彼の義兄弟である鋼が黒をつぶそうとしている可能性があることを伝えた。実在の競走馬、ルージュバックがモデル。
森須 (もりす)
鹿毛の競走馬で、性別は牡。銀幕組に所属する昔ながらの突破者。野心を抱く鋼のもとを訪れ、香港で一勝負しないかと持ち掛けるものの、断られてしまう。実在の競走馬、モーリスがモデル。
ハルーワスウィート
栗毛の競走馬で、性別は牝。生まれつき尻尾が非常に短く、それがコンプレックスとなっていた。競走馬となったあとも好奇の目に耐えていたが、目立った成績を残せないまま引退する。しかし、ササキカヅヒロオーナーに拾われ、繁殖馬となってからはヴィルシーナやヴィブロスといった優秀な仔馬を次々輩出する。実在の競走馬、ハルーワスウィートがモデル。
ササキカヅヒロオーナー
鎧武者のような姿をした男性。競走馬として目立った成績を残せなかったハルーワスウィートのもとに現れ、彼女の守護神となることを約束し、繁殖馬として自分のもとに迎え入れた。ハルーワスウィートの尻尾がないことをチャームポイントとして評価している。
クイーンズリング
黒鹿毛の競走馬で、性別は牝。コーヒーに造詣が深く、効能から種類によるカフェインの含有量まで知識量が豊富。カフェでのコーヒーブレイク中に同伴したシングウィズジョイに、その知識を披露していた。彼氏(騎手)に関するトークが好き。実在の競走馬、クイーンズリングがモデル。
シングウィズジョイ
青鹿毛の競走馬で、性別は牝。カフェでコーヒーブレイク中のクイーンズリングに同伴し、コーヒーの効能についてうんちくを授かる。クイーンズリングがふった彼氏(騎手)と組むことになっている。実在の競走馬、シングウィズジョイがモデル。
ヒルノマテーラ
黒鹿毛の競走馬で、性別は牝。エリザベス女王杯に出走を予定しており、カフェでカフェインたっぷりなコーヒーを注文して、覚醒を図ろうとしていた。本人曰く、マンハッタンカフェの産駒(さんく)なので、コーヒーにこだわりがあるとのこと。実在の競走馬、ヒルノマテーラがモデル。
ミッキーアイル
鹿毛の競走馬で、性別は牡。2着デビューのあと、5連勝でGⅠ馬となった期待の競走馬。逃げ一辺倒で勝ち続けて調子に乗っていたが、安田記念とマイルチャンピオンシップで惨敗を喫したあとに、新たな戦い方を模索し始める。のちにマイルチャンピオンシップの優勝馬となるが、レース中の斜行で物議をかもした。実在の競走馬、ミッキーアイルがモデル。
ホッコータルマエ
鹿毛の競走馬で、性別は牡。大事なレースを前にして脚の調子が悪くなっており、引退も視野に入れている。ホッコータルマエ自身の引退に備え、2~3着は取れるが、優勝馬にはなれない不運の競争馬をブロコレ(ブロンズコレクター)倶楽部にスカウトするため、全国を奔走していた。実在の競走馬、ホッコータルマエがモデル。
アドマイヤラクティ
鹿毛の競走馬で、性別は牡。ブロコレ(ブロンズコレクター)倶楽部の一員。すでに亡くなっているが、ブロコレ倶楽部入会の儀に参加するために天国から現地へ赴いた。声が大きく、非常にパワフルなタイプ。実在の競走馬、アドマイヤラクティがモデル。
エアスピネル
栗毛の競走馬で、性別は牡。楽しかった学生時代が終わり、これから新社会馬になろうとしている。自身の適性を考え、民間へ行くことを決めた。道を分かつことになった友人であるサトノダイヤモンドからは「力はあるが善戦マンで終わりがち」と、手向け代わりの手厳しいアドバイスをもらっていた。実在の競走馬、エアスピネルがモデル。
コマノインパルス
黒鹿毛の競走馬で、性別は牡。JRA賞の最優秀2歳牡馬で、自分を打ち負かしていたレイデオロがたったの11票しか獲得していないことに腹を立て、レイデオロがいかに優秀な馬であるかを周りに力説していた。実在の競走馬、コマノインパルスがモデル。
ガンサリュート
黒鹿毛の競走馬で、性別は牡。レイデオロの強さを力説するコマノインパルスの主張に便乗し、自分を打ち負かしたリグラスシューとカデナがいかに強い競争馬であるかを周囲に力説していた。実在の競走馬、ガンサリュートがモデル。
レイデオロ
鹿毛の競走馬で、性別は牡。JRA賞の最優秀2歳牡馬で11票しか入らなかったことから、レイデオロに負けたコマノインパルスが激怒し、彼の優秀さを周囲に力説していた。コマノインパルス曰く、初めて出会った時に「伸びやかでスッキリとした馬体をしており、勝つのはこの馬」と直感したとのこと。実在の競走馬、レイデオロがモデル。
タンタアレグリア
栗毛の競走馬で、性別は牡。春の天皇賞に出走したあとに体調を崩し、8か月以上休んでいた。そのため、現復帰後に新勢力が増え、周りが知らない顔ばかりになっていたことにとまどいを覚える。実在の競走馬、タンタアレグリアがモデル。
カフジテイク
青鹿毛の競走馬で、性別は牡。ダート競馬で活動しているが、成績がさほど伸びず、お金に苦労している。勝負には真摯でストイックなタイプだが、ほかのダート馬が地方を転戦しておいしいものを食べ歩くことがダートの醍醐味であると主張したため、自分もおいしいものを食べたいと思い、発奮する。実在の競走馬、カフジテイクがモデル。
アメリカズカップ
黒鹿毛の競走馬で、性別は牡。デビュー後の連勝で順風満帆にエリート街道を歩み出したが、GⅠの朝日フューチュリティでは痛恨のスタートの出遅れが響き、9着に沈んだ。敗北の屈辱を2度と味わうまいと心に誓い、努力を重ねている。実在の競走馬、アメリカズカップがモデル。
マカヒキ
鹿毛の競走馬で、性別は牡。フランスで開催された凱旋門賞に出走していたが、帰国後に恋人とイチャイチャするサトノクラウンの姿を見てあてられてしまう。その後、凱旋門賞ではフランス牝馬の貫禄に萎縮してしまい、惨敗を喫したことを明かしていた。実在の競走馬、マカヒキがモデル。
サトノクラウン
黒鹿毛の競走馬で、性別は牡。海外で行われた香港ヴァースを制し、帰国後に恋人との食事を楽しんでいたところでマカヒキと出会った。実在の競走馬、サトノクラウンがモデル。
サトノアレス
黒鹿毛の競走馬で、性別は牡。2歳王者だが、しばし休養していた。復帰戦となるスプリンターズステークスの前にライバルを聞かれ、同じレースに出走しないレイデオロやサトノダイヤモンドを挙げていた。そのため、スプリンターズステークスに出走する競走馬から不興を買う。実在の競走馬、サトノアレスがモデル。
セイウンコウセイ
栗毛の競走馬で、性別は牡。GⅠ出走を翌日に控えていた夜に、父親であるアドマイヤムーンの訪問を受け、かつてアドマイヤムーンも出走したことのあるドバイワールドカップの中継を強引に視聴させられる。ドバイアーフに出走したヴィブロスの優勝を見届けたことでテンションが上がり、世界に羽ばたける競走馬になることを心に誓う。実在の競走馬、セイウンコウセイがモデル。
アドマイヤムーン
鹿毛の競走馬で、性別は牡。息子であるセイウンコウセイがGⅠレースに出場することになったため、前日の夜に彼のもとを訪れ、ドバイワールドカップの中継を見せて士気を高めようとする。息子の中からドバイを制する逸材が出てきてほしいと願っている。実在の競走馬、アドマイヤムーンがモデル。
ベース
馬なり1ハロン劇場 (うまなりいちはろんしあたー)
現実の競馬で起きた出来事を独自の解釈で物語に仕立てた笑いあり、感動ありの作品。 関連ページ:馬なり1ハロン劇場