天誅×神曲《アイウタ》

天誅×神曲《アイウタ》

神の力を受け継いで生まれた神と人間のハーフである一人の少女を巡り、天界と人間界を巻き込んだ戦いを描いた和風ファンタジー。バトル以外にも、力がない事を自覚しながらできる事を考えたり、同じ人間や友達と戦う事の葛藤など、心理描写も細かく描かれている。「ガンガンONLINE」の2016年6月から9月まで掲載され、「月刊少年ガンガン」に移籍後は2016年11月号から連載された。

正式名称
天誅×神曲《アイウタ》
ふりがな
あいうた
作者
ジャンル
和風ファンタジー
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あらすじ

第1巻

弱いものいじめを嫌い、みんながいつも笑っていてほしいと願っている小学5年生の藪ノ内豪将は、友達の久御山神楽弥をいじめる同級生達と学校の裏にある竹林に向かう。そこはおばけが出るという噂があり、怖がらずに竹林を抜けて頂上の神社に先に着いたほうが勝ちという、度胸試しが行われた。豪将が舞鶴五老舞鶴三国、神楽弥などといっしょに神社に着くと、同級生達はまだ到着しておらず、度胸試しは豪将達の勝ちとなるはずだった。しかし、同級生は途中でタヌキに邪魔されたと言い訳し、その証拠として痛めつけたタヌキを放り投げる。その直後に幽霊のような少女の深草ゆらぎが現れ、タヌキのケガをあっという間に治してみせる。事情はよくわからないが、ゆらぎが泣いていたため、豪将はゆらぎに笑ってほしくて友達になろうと声を掛ける。

第2巻

深草ゆらぎの身柄を狙う大国主の刺客に父親を殺され、親戚からも見捨てられた藪ノ内豪将は、ゆらぎを匿う深草天神社に身を寄せる。数年後、豪将はゆらぎといっしょに天神深草学校高等部に進学し、ゆらぎを守るための能力や知識を学んでいた。一方で豪将は、ゆらぎと友達となり、今は音信不通となった舞鶴五老久御山神楽弥ら幼なじみの安否を気にして、福知山桔梗の伝で探してもらっていた。全員すでに引っ越していて行き先はわからなかったが、宮津黒が手がかりを見つけて来ると、休日にゆらぎと共にその場所に向かうのだった。

登場人物・キャラクター

藪ノ内 豪将 (やぶのうち たけまさ)

天神深草学校高等部に通う2年生の少年。弱いものいじめが嫌いで、正義感が強い性格。みんなにはいつも笑ってほしいと思っている。小学5年生の時にやった度胸だめしで深草ゆらぎと友達となり、ゆらぎから友達になったお礼に、彼女の神通力で作った指輪をもらう。友達になる前のゆらぎが泣いていた事から、ゆらぎを心から笑顔にすると決意し、高校生になった今でもその気持ちは変わっていない。母親を病気で亡くし、父親はゆらぎの身柄を狙う大国主の刺客に殺され、さらに親戚には厄介者と見られたため、ゆらぎを匿う深草天神社に数年前からお世話になっている。深草天神社で事情を聞かされて自分もゆらぎを守りたいと思い、福知山桔梗の荒療治もあって、神通力から生み出される武器「神器」を使いこなせるようになる。

深草 ゆらぎ (ふかくさ ゆらぎ)

天神深草学校高等部に通う2年生の少女。神である大国主を父に、人間を母に持つハーフ。大国主の癒しの神通力を受け継いで生まれたため、涙には非常に高い治癒力がある。幼い頃からずっと一人だったために人間の友達は誰もおらず、友達と楽しそうにしている藪ノ内豪将や、舞鶴五老達をずっと羨ましく思っていた。そして豪将の同級生が、痛めつけたタヌキを治した事をきっかけに豪将達と友達となって、そのお礼に神通力で作った指輪を送る。この時に豪将の幼なじみの八幡音子から「ゆらぎ」という名前を付けてもらう。自分の身柄を狙う大国主の刺客による騒動が終結したあとは深草天神社に匿われていたが、豪将が高校進学の際にいっしょに天神深草学校高等部に通うようになる。ふだんは明るく振る舞っているが、自分のせいで豪将の父親が殺され、豪将が悲しんだ事をずっと気にしており、豪将が傷つく事をなにより怖れている。

福知山 桔梗 (ふくちやま ききょう)

天神深草学校高等部に通う3年生の少女。生徒会長を務めている。「動きやすい」という理由で、女性ながら男性の制服を着用し、凜とした立ち振る舞いから親衛隊が結成されるほど、同性のファンが多い。頭脳明晰なうえに、木刀を持つ豪将を相手に片手で、さらに柄だけで戦っても圧倒できるほど身体能力が高い。

綾部 市松 (あやべ いちまつ)

天神深草学校高等部に通う3年生の少年。双子の姉の綾部梅之丞と共に生徒会の役員と、副生徒会長を務めている。福知山桔梗に好意を抱いて、いろいろアプローチしているが、事あるごとにスルーされている。メスやハサミ、針といった医療器具のような神器を使いこなす手練れ。

綾部 梅之丞 (あやべ うめのじょう)

天神深草学校高等部に通う3年生の少年。双子の弟の綾部市松と共に生徒会の役員と書記を務めている。語尾に「っす」を付けてしゃべる。性格に難がある事から、休日にいっしょに遊ぶような友達がいない。

宮津 黒 (みやづ くろ)

天神深草学校高等部に通う1年生の少年。書記を務めている。冷静な性格で、状況把握に長けている。カラス型の神器を使いこなし、情報収集や偵察、戦闘まで行える。舞鶴三国に会いにいく藪ノ内豪将と深草ゆらぎにボディガードとして同行する。

舞鶴 五老 (まいづる ごろう)

藪ノ内豪将の幼なじみの少年。年齢は豪将の1つ上。小学生の時に深草ゆらぎと友達となり、彼女の神通力で作られた指輪をはめている。幼い頃に両親を放火で失った時の犯人や警察の対応、身を寄せていた叔父の態度により、大人に対して憎悪を抱くようになる。叔父が事故死したあとは弟の舞鶴三国と二人暮らしをしながら、政府がらみの非合法な仕事でお金を稼いでいる。高校には行っていなかったが、豪将と再会後にさまざまな問題を解決するために、天神深草学校高等部に編入する。

舞鶴 三国 (まいづる みくに)

藪ノ内豪将の幼なじみの少年。年齢は豪将の1つ下。小学生の時に深草ゆらぎと友達となり、彼女の神通力で作られた指輪をはめている。幼い頃に両親を放火で失っており、身を寄せていた叔父は事故死している。今は兄の舞鶴五老と二人暮らしをしながら高校に通っている。家事全般を担当しており、料理の腕は高い。五老の仕事がふつうではない事を何となく理解していたが、五老の心情を察してなにも言わずにいた。その事を宮津黒に指摘され、さまざまな問題を解決するために、天神深草学校高等部に編入する。

久御山 神楽弥 (くみやま かぐや)

藪ノ内豪将の幼なじみの少年。年齢は豪将と同じ。小学生の時に深草ゆらぎと友達となり、彼女の神通力で作られた指輪をはめている。同時期にゆらぎの身柄を狙う大国主の刺客に瀕死の重傷を負わされ、それをゆらぎに大国主の癒しの神通力で治療してもらった過去がある。そのため大国主の影響を受け、数年たった今では大国主を崇拝している。

大国主 (おおくにぬし)

神々が住む高天原を治める一神。深草ゆらぎの父親でもある。高天原一強力な癒しの神通力を持っていたが、人間とのあいだにゆらぎができると、ゆらぎに受け継がれる形で失う。昔は人間を守っていたが、愚かな行為を繰り返す人間に見切りをつける。そして自分が認める人間だけを生かし、管理する理想郷創造を目指す。目的達成には神通力が必要となるため、手下や自分の影響下にある人間にゆらぎの身柄確保を指示している。

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