天賀井さんは案外ふつう

天賀井さんは案外ふつう

かつて化物が住んでいたという伝承がある常伊市を主な舞台にした、ファンタジーや謎解き要素を含む日常系伝奇コメディ。空馬海岸撲殺事件の真相を探る天賀井悠子と真木正輝の日常や、彼女達を取り巻く奇妙な運命を描く。「月刊少年ガンガン」2015年9月号から2017年5月号にかけて連載された作品。

正式名称
天賀井さんは案外ふつう
ふりがな
てんがいさんはあんがいふつう
漫画
原作
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

常伊市には、かつて2匹の化物が住んでいたという不思議な伝説がある。常伊市にある人気進学校の常伊高等学校に転校して来た天賀井悠子の目的は、隣町で起きた空馬海岸撲殺事件の真相を究明する事だった。初日からクラスで浮いてしまった悠子は、クラスメイトの少年、真木正輝の秘密を偶然知ってしまう。そして真木の協力を得る事になった悠子は、彼と共に事件の真相を追い求める事となる。

第2巻

天賀井悠子の実家、天賀井家に行き、天賀井武流と出会った真木正輝は、彼と共に空馬海岸撲殺事件に関する推理を重ねていた。常伊市に戻り、引き続き真木と共に郷土史維持管理部で部活動や調査を続ける事になった悠子は、新たに出会った1年生の部員達を加え、にぎやかな日常を過ごしていた。そして顧問である加賀原冬栄に出会った悠子は、郷土史維持管理部の役割に関する驚きの事実を知る。

第3巻

蓬莱で対立していた2つの勢力が突然和解した事で、天賀井家の役目は一時中断となり、空馬海岸撲殺事件の真相究明は新たな段階に進む。そして蓬莱の使者として天賀井家に来訪した少女、マリカマリカの登場で、天賀井武流は座敷牢から出る事になった。事件の関係者が集まる中、マリカマリカの術で武流と真木正輝の記憶を蘇らせる事に成功。こうして事件当時の真相と、真木の正体が明らかになる。

第4巻

新学期に入った事で、郷土史維持管理部の新たな部長には天賀井悠子が決定した。一方、マリカマリカの提案で、3月には蓬莱に行く事が決まった真木正輝は、それまでのあいだ、現実世界での日常を過ごす事になる。そんな中、悠子のもとには化物の遺物に関するトラブル解決の依頼が来るようになる。こうして長年続く化物の遺物への信仰という枷から、常伊市の人々を解放するべく、悠子の新たな活躍が始まるのだった。

登場人物・キャラクター

天賀井 悠子 (てんがい ゆうこ)

常伊高等学校に転校して来た女子高校生。天賀井瞳と天賀井詩にもらった、ウサギのヘアゴムで髪をまとめている。転校初日に西陣夕陽の提案で、郷土史維持管理部に入部する。古くからの名士として知られる天賀井家の長女として、地元ではお嬢様扱いされている。空馬海岸撲殺事件の容疑者として疑われ、座敷牢に入れられている兄の天賀井武流のために、事件の真相を究明しようとしている。 実は天賀井家の者にまれに現れるとされる特異体質の持ち主で、体の内部に魔物の骨を宿しており、自分の意思で骨を出し入れしたり動かしたりできる。また、この骨を出した時には痣(あざ)のような文様が顔や全身の一部に浮かび上がる。転校初日の奇妙な自己紹介によってクラスから浮いてしまい、周囲からは何かと問題児扱いされる事が多い。 しかし特殊な家柄や特異体質以外は、天賀井悠子本人は至って普通の女子高校生である。また武流や真木に劣らぬ推理力や洞察力を持ち、加賀原冬栄からの依頼で化物の遺物に関するトラブルを何件か解決している。さっぱりした性格だが、少々天然な一面もある。

真木 正輝 (まき まさき)

常伊高等学校に通う2年生の男子。天賀井悠子の同級生で、郷土史維持管理部の1人。西陣夕陽が教師になる前に恋人関係であったなど、謎多き人物。実は10年前の空馬海岸撲殺事件と関係があり、事件当日に意識不明となり、以来8年間昏睡状態になっていた。このあいだ、何らかの理由で老化が止まっており、見た目はほぼ16歳のままだが、実年齢は西陣と同じ26歳である。 真木正輝自身も事件との関係を自覚しており、真相を明らかにするため、悠子に協力するようになる。冷静な性格で、目の前で何が起こっても冷静に考察・対処するタイプ。推理が得意など頭も切れるが、天然なところもある。

西陣 夕陽 (にしじん ゆうひ)

常伊高等学校に勤める女性教師。年齢は26歳。天賀井悠子のクラスの副担任をしているほか、郷土史維持管理部の副顧問も務め、悠子に入部を薦めた。料理を得意としているが、バツイチで現在は独身。実は教師になる前、若い頃に真木正輝と付き合っていた過去があり、昔の事を気にしている正輝を心配している。

天賀井 武流 (てんがい たける)

天賀井悠子の兄。空馬海岸撲殺事件の容疑者として疑われており、事件が発生してから10年のあいだ、天賀井家の座敷牢に入っている。事件当日の事は覚えておらず、悠子や真木正輝と共に真相を追い求めている。天賀井家にまれに見られる特異体質で、生まれた際に魂をロボットに移したため、全身がロボットになっている。見た目はロボットでも内面はれっきとした人間で、推理や考察も得意としている。 また、頭部には天賀井瞳と天賀井詩にもらったゾウのシールを貼っている。

天賀井 瞳 (てんがい ひとみ)

天賀井悠子の妹で、天賀井詩の双子の姉。詩と瓜二つだが、詩よりも目つきがやや釣り目になっており、パンダのヘアゴムで髪をまとめている。ことわざや故事成語に詳しい。

天賀井 詩 (てんがい うた)

天賀井悠子の妹で、天賀井瞳の双子の妹。瞳と瓜二つだが、瞳よりも目つきがやや垂れ目になっており、虎のヘアゴムで髪をまとめている。ことわざや故事成語に詳しい。

石切 海人 (いしきり かいと)

常伊高等学校に通う3年生の男子。郷土史維持管理部の部長を務めている。容姿端麗で穏やかな性格。のちに天賀井悠子を郷土史維持管理部の新部長に指名する。

桃坂 絵里香 (とうさか えりか)

常伊高等学校に通う3年生の女子。郷土史維持管理部の会計を務めている。クールな性格の持ち主。部活動の一環で、常伊市の伝承に関する絵本を作成している。真木正輝に密かに片思いしている。

上尾 美良 (かみお みら)

常伊高等学校に通う1年生の女子。郷土史維持管理部の1人。おとなしい性格だが、5人組のアイドルグループの一員で、学業と両立しながら地道に芸能活動を続けている。友人からの誘いで入部テストを受け、偶然に合格したため、成り行きで郷土史維持管理部に入部したが、実はオカルトやホラーが苦手で、化物の遺物も怖がっている。

剣崎 航 (けんざき わたる)

常伊高等学校に通う1年生の男子。郷土史維持管理部の1人。クールでまじめな性格で、時おり嫌味を言う事もあるが、根は優しいしっかり者。かつて兄の剣崎翔が所属していた事もあって、郷土史維持管理部に興味を抱いており、入部テストを受けて合格した。部員であるものの、化物の遺物のご利益については否定的に考えている。

江田 貴理生 (えだ きりお)

常伊高等学校に通う1年生の男子。郷土史維持管理部の1人。生まれつき体が弱く、バランバランとタタイタタイのご利益に興味を持ち、郷土史維持管理部に入部した。入部以来体調がよくなったという理由で、化物の遺物のご利益を強く信じている。中性的な外見であるため、まれに女子に間違えられる。

加賀原 冬栄 (かがはら とうえい)

郷土史維持管理部の顧問を務める男性。本職は常伊市にある「厳瞳寺」の住職で、穏やかな性格の持ち主。郷土史維持管理部の活動にはほとんどかかわっていないが、顧問として時おり部室を訪れている。

剣崎 翔 (けんざき かける)

常伊高等学校に通う3年生の男子。郷土史維持管理部の1人。剣崎航の兄。黒いパーカーを着て、つねにフードをかぶっており、ボソボソと話す。手先がとても器用で、化物の遺物の代用品の作成を得意としている。弟の航とは一見険悪そうに見えて実際は仲がいい。

マリカマリカ

蓬莱の使者として現実世界にやって来た少女。大きなリボンで長い黒髪をまとめている。実はこの体は現実世界で活動するための仮のものであり、本体は蓬莱からこの体を操作している。空馬海岸撲殺事件の当事者でもあり、蓬莱の術によって天賀井武流と真木正輝の記憶を封じていた張本人。

バランバラン

常伊市にかつて住んでいたという伝承のある化物。緑色の体に丸い耳が生えている。かつてタタイタタイと共に常伊市にあった村に住んでいたが、村人と共に戦って死亡したとされる。

タタイタタイ

常伊市にかつて住んでいたという伝承がある化物。茶色の巨体を持ち、頭部には2本の角が生えている。かつてバランバランと共に常伊市にあった村に住んでいたが、村人と共に戦って死亡したとされる。

集団・組織

郷土史維持管理部 (きょうどしいじかんりぶ)

常伊高等学校の部活。バランバランとタタイタタイの骨や血痕といった化物の遺物(形見)を保管・管理している。またこれらの遺物の価値を知らしめるために、伝承を物語風に語った絵本なども作成している。活動は幅広く、夏休み中も活動しており、各家で保管される遺物の状態確認や修復、保管方法の指導なども行っている。 毎年の入部希望者が多いため入部テストが行われており、おみくじのような抽選器で赤玉を出した者が入部できる仕組みになっている。同じ部員でも伝奇などへの興味は分かれており、上尾美良や剣崎航のように偶然や成り行きで入部した者もいる。

天賀井家 (てんがいけ)

天賀井悠子の実家。300年以上ものあいだ、化物の遺物を「見張り番」として守り続けてきた、謎の多い名士の家系。蓬莱の住人に雇われる形で、現在も密かに見張り番の役目を引き受けている。もともとは地元への貢献を中心に活動していたため、分家や親族などにはこの役目を知らない者も多い。また敵に対抗するために、悠子や天賀井武流のように、時おり特異体質の者が現れる事がある。 屋敷内には蓬莱に通じる小型の門があり、そこから雇い主である蓬莱の住人と手紙や物品のやりとりをしている。

場所

常伊市 (とこいし)

かつて伝説の化物、バランバランとタタイタタイが住んでいたという伝承がある都市。また600年前から、この2匹の骨や血痕といった化物の遺物が、何らかのご利益を生むという伝承がある。このため一部の民家や郷土史維持管理部によって遺物を保管・管理するという風習がある。

常伊高等学校 (とこいこうとうがっこう)

常伊市にある高校。天賀井悠子が転校して来た。全校生徒数は1200人。県内では私立を含めても屈指の進学校と知られ、学生からの人気も高い。

蓬莱 (ほうらい)

本作に登場する異界の名称。不老不死の地ともされる中国の伝説の土地。バランバランとタタイタタイが、現実世界の常伊市に来る前に住んでいた場所とされる。また、化物の遺物を取り戻そうとする勢力と、それを阻止しようと天賀井家に依頼する勢力に分かれて対立している。時間の流れは現実世界よりも速い。

イベント・出来事

空馬海岸撲殺事件 (そらうまかいがんぼくさつじけん)

10年前の7月30日の夜に、常伊市の隣町にある空馬海岸で起こった撲殺事件。天賀井武流が犯人として疑われている。死体の近くに武流の腕が落ちており、この腕が撲殺の凶器とされている。

その他キーワード

化物の遺物 (ばけもののいぶつ)

かつてバランバランとタタイタタイが遺した、骨や爪といった遺物・形見の総称。常伊市ではご利益があると信じられており、一部の民家や郷土史維持管理部などによって維持・管理されている。

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