あらすじ
第1巻
九州出身の仕事仲間であるUさんから、ちくわぶがちくわではないことに驚いたという話を聞いた漫画家の松本英子は、ちくわぶのような心の「局地」にある地味でおいしい食材を紹介することを決める。さっそく、赤坂のおでん屋に出向いた英子は、モグさんといっしょにちくわぶの地味な魅力を再確認。帰宅後にちくわぶを使った独自のレシピを開発しようと奮闘するのだった。(第1味「ちくわぶ」。ほか、11エピソード収録)
第2巻
料理への関心がまったくない中学生の頃の松本英子が、唯一作っていたおいなりさんをあらためて味わうため、稲荷神社の近くにある店を訪問する。そこで甘味しっかりなつゆだくのおいなりさんのほか、そばを油揚げで包んだいなりそばを堪能するのだった。(第13味「おいなりさん」。ほか、19エピソード収録)
登場人物・キャラクター
松本 英子 (まつもと えいこ)
漫画家の女性。決して主役にはなれないが、心の奥底にいつもいる、地味で素敵な食材をエッセイ漫画形式で紹介している。取り上げる食材は、幼い頃に味わった思い出の食べ物から、仕事仲間がそこはかとなく疑問を抱いている食べ物、さらには街中ですれ違った通行人がふと発した食べ物など、バリエーションに富んでいる。好奇心が旺盛で、食材を取材するためにマスコットキャラクターのモグさんと日本の各地を巡っている。6年前に離婚を経験している。実在の人物、松本英子がモデル。
モグさん
丸い体にピンクのスカーフを巻き、宙に浮いている謎のキャラクター。松本英子にいつも寄り添い、熟年夫婦のような絶妙な距離感で日々対話をしている。ゆるい見た目とは裏腹に、言動は割とドライで、やや毒舌気味。英子に対する突っ込み役も担っているが、英子の心情をおもんぱかった言動をするなど、見た目を含めて謎多き存在。
Uさん
デザイン会社でマネージャーを務めている女性。九州出身で本名は不詳。関東ではメジャーだが、九州ではなじみが薄いちくわぶを食べた際、それがちくわでないことに驚いた経験を持つ。それを松本英子に話したことがきっかけとなり、英子が「局地的な食材」を探求するようになった。
Tさん
漫画編集者の女性で、眼鏡を掛けている。本名は不詳。新卒の頃は学術系の書籍を出す出版社に勤めていたが、仕事や親のことで精神的に追い込まれ、調べ物をするために社外へ出るたびに別の会社との面接を取り付けるなど、不安定な状態が続いていた。その当時いつも食べていた、中華そばを心のよりどころにしていたことを、松本英子に酒の席で明かす。