巨竜戦記

巨竜戦記

なんの取り柄もない男子高校生の葦原鋼が、幼なじみの水無瀬栞が竜に捕食されたことをきっかけに、竜を殺す唯一の武器である業雲の剣の使い手に選ばれ、戦いに巻き込まれていく姿を描くバトルファンタジー。「週刊少年マガジン」2019年第35号から2020年第7号にかけて掲載された作品。

正式名称
巨竜戦記
ふりがな
きょりゅうせんき
作者
ジャンル
モンスター・異生物
 
バトル
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あらすじ

選定編

葦原鋼は長年片思いを続けていた水無瀬栞の転校をきっかけに、ついに告白を決意する。友人の夏目優の後押しもあり、二人で花火大会に出かけるが、流星群と共にが飛来し、あっと言う間に街が火の海と化してしまう。そして目の前で栞が竜に捕食された鋼は、生きる気力を失って自殺も考えるようになる。しかし偶然出会った用田から、神代小宵に引き合わされ、「命と引き換えに竜を殺してくれないか」と業雲の剣を差し出される。困惑しつつも業雲の剣をつかんだ鋼だったが、その直後、業雲の剣もろとも慈竜会に誘拐されてしまう。

覚醒編

業雲の剣と融合し、慈竜会の信者を殺害してから2日間眠っていた葦原鋼は、目覚めると斗龍神社に保護されていた。そこで鋼は神代小宵から、が太古の地球にも飛来していた可能性が高いことを聞かされる。そんな中、水無瀬栞を捕食した竜が再び飛来する。小宵はまだ鋼が業雲の剣を扱いきれないと判断し、夏目優に監視させて一人で竜のもとに飛び出して行くが、鋼はその直後、暴走状態となった業雲の剣に引きずられるようにして現場に到着していた。結果として小宵の危機を救うことができたものの、なぜか竜を前にして、業雲の剣はその能力を発揮することはなかった。

慈竜会編

2度目のの飛来以来、それを予言した慈竜会と竜を撃退したように見せかけた神代史人は、世間から英雄として扱われるようになっていた。慈竜会がの持つ「八咫(やた)の鏡」を使用して、予言を行っていることを知る葦原鋼たちは、それを奪取して被害を減らすために慈竜会に潜入する。慈竜会が多額のお布施を強要するシステムを採用していると知った夏目優は激昂するが、鋼たち全員が賞金首のように扱われていることも知り、鋼たちは聖を誘拐して慈竜会を離脱する。聖と融合している八咫の鏡を奪取することは不可能だと考えた神代小宵は、次に竜が飛来する日時と場所を聞き出す作戦に切り替えるが、あえて予言動画として公開されていなかった3度目の竜の飛来が、まさに今だと知らされ愕然(がくぜん)とする。さらに聖は、次の竜の生贄(いけにえ)として選ばれるのが小宵であることを告げる。

登場人物・キャラクター

葦原 鋼 (あしはら はがね)

高校2年生の男子。短い黒髪をしている。幼なじみの水無瀬栞に告白するため誘った花火大会で、流星群と共に飛来した竜を目撃し、目の前で栞を捕食されたことで竜を激しく憎んでいる。一時は自殺を考えるほど精神的に追い詰められていたが、用田から神代小宵と引き合わされ、業雲の剣の使い手に選ばれた。葦原鋼が使用する業雲の剣は好色で女体に強く反応し、八又に分かれた先から火を噴出することで空も飛ぶことができる。

夏目 優 (なつめ ゆう)

高校2年生の男子。葦原鋼の友人。パーマをかけた短い茶髪で、眼鏡をかけている。ふつうの学校生活を送っていた頃から、なにかと鋼から相談を受けていた。実は水無瀬栞に好意を抱いていたが、鋼からの恋愛相談を受け、素直に二人を応援していた。母親が慈竜会の信者で、以前から聖が話していた「竜が現れる」という予言について調べていた。

水無瀬 栞 (みなせ しおり)

高校2年生の女子。葦原鋼の幼なじみ。黒髪ロングヘアで、前髪の一部をピンで留めている。校内のマドンナ的な存在で、多くの男子生徒から告白されているがすべて断っている。福岡に転校する予定だったが、引っ越しの前日、鋼に花火大会に誘われて出かけた先で竜に捕食された。幼い頃、斗龍神社の神主に厳しく叱られた際に、鋼がかばってくれたことを記憶しており、鋼を自分のヒーローだと考えている。

神代 小宵 (かみしろ こよい)

斗龍神社の巫女(みこ)の少女。黒髪を前下がりボブヘアにしている。業雲の剣に選ばれるために修行を続けていたが、業雲の剣から選ばれなかったことで代わりの使い手を探すため、用田に「竜に強い憎しみを抱く者を探して欲しい」と依頼していた。神代小宵自身が業雲の剣の使い手に選ばれなかったため、多くの犠牲者を出してしまったという自責の念に駆られており、葦原鋼を巻き込んでしまったことにも申し訳なさを感じている。

槙野 秀司 (まきの しゅうじ)

高校3年生の男子。葦原鋼の先輩。金髪をツーブロックヘアにしている。竜が飛来した日、水無瀬栞に告白したが断られていた。2度目に竜と遭遇した際、偶然神代史人の雷撃と同時に「神の裁きが下るぞ」と啖呵(たんか)を切っていたため、自分に特別な能力があると思い込んでいる。またそれ以来、鋼や神代小宵に同行し、微力ながらも竜との戦いに協力している。

用田 (ようだ)

斗龍神社の氏子総代を務めている老齢の男性。身長が低く、落ち窪んだギョロリとした大きな目をしている。資産家ながら家族には大事にされておらず、娘からは食事に毒を混ぜられる過酷な生活を送っていたが、現在は家族で唯一生き残って人生を謳歌(おうか)している。また、神代小宵と神代史人を実の家族のように考え、温かく見守っている。竜を憎んでいるという葦原鋼に、ふつうの人間となにか違うものを感じ、小宵に引き合わせている。

神代 史人 (かみしろ ふひと)

神代小宵の兄。短い銀髪に2か所、紺色のメッシュを入れている。慈竜会が「竜から人間を守る救世主」として指名した人物であり、二振り目の業雲の剣の使い手に選ばれている。小宵の前から1年前に失踪していたが、2度目の竜の飛来に合わせて帰還した。神代史人が使用する業雲の剣は、4本の尾を付けた矛の形をしており、雷撃を発することができる。慈竜会の配信する動画で、雷撃によって竜を撃退したような演出がされており、世間的にも英雄として扱われている。

皐月 命 (さつき めい)

三振り目の業雲の剣の使い手に選ばれた女性。茶髪ロングヘアを低い位置でツインテールに結び、眼鏡をかけている。強い相手と戦うことを望み、竜の出現場所を予言できる「八咫の鏡」を奪取するために慈竜会に潜入していた際、葦原鋼と出会った。皐月命が使用する業雲の剣は巨大な戦斧(いくさおの)と、命の背中に生えるコウモリ型の翼の形状で、人間を凍らせる霊気を放つことができる。

(ひじり)

慈竜会の教祖を務める男性。白を基調とした衣装を身につけている。顔の鼻から上を覆うような仮面を付け、顎ひげを蓄えている。以前から動画配信サイトで、竜の飛来を予言する動画を投稿しており、信者たちから巨額なお布施を受け取っていた。竜の目の水晶体から作られた「八咫の鏡」を守る一族の末裔(まつえい)であり、16歳になった日に八咫の鏡と融合し、人間としての視力を失う代わりに、竜を感知する能力を得たと話している。

(りゅう)

巨大なドラゴン。全身が鋭利な鱗(うろこ)に覆われ、翼が生えている。ある日、流星群と共に宇宙から飛来した。竜は太古の地球にも飛来し、その時の様子や戦いが世界各地の神話として語り継がれているのではないかと、神代小宵は考えている。高温の炎を吐いて街を焼き尽くすとされているが、18歳以下の純潔な少女の生贄を捕食することで、撤退することが判明している。また、斗龍神社には業雲の剣によって竜を成敗したと伝承されている。

集団・組織

慈竜会 (じりゅうかい)

聖が教祖を務めているカルト教団。夏目優の母親が信仰しており、多額の金銭をお布施として巻き上げられている。以前から竜の飛来を予言する動画を投稿していたが、聖をトップとした8段階のヒエラルキーが存在し、予言の詳細を知ることができるのは上から三番目の階級である「プラチナ会員」からとなっている。また、階級を上げるためにはお布施という形で信仰心を示すことが必要だとされている。実際に竜が飛来してからは、神代史人を「竜から人間を守る救世主」として祭り上げ、史人と慈竜会が協力関係にあることをアピールすることで、より多くの信者を集めていた。

場所

斗龍神社 (とりゅうじんじゃ)

神代小宵が巫女、用田が信者総代を務めている神社。狛犬(こまいぬ)の代わりに、竜の石像が置かれている。葦原鋼と水無瀬栞が幼い頃に遊び場にしていた神社だが、本殿の中には業雲の剣が封印されており、封印の箱に不用意に近づくことは子供でも許されていない。

その他キーワード

業雲の剣 (むらくものつるぎ)

斗龍神社に封印されていた剣。神代小宵の一族に伝わる宝で、竜を殺せる唯一の武器とされている。枯れ枝か干からびた水生生物のような見た目ながら、生命体で鳴き声を発する。業雲の剣は使い手を選ぶとされているが、その条件は知られておらず、小宵は「竜に強い憎しみを抱く者」を条件に用田に探させていた。実は斗龍神社以外にも日本各地に複数の業雲の剣が封印されており、それぞれ使用できる攻撃方法の属性や形が異なっている。

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