幻想ギネコクラシー

幻想ギネコクラシー

奇怪で時にエロティックな12のエピソードで綴られるショートコメディ集。コミックスのタイトルにも使われている「ギネコクラシー」とは、英語で「女性優位」「女性政治」を意味しており、第4話となるエピソード「コップと泥棒、その妻と愛人」から、シリーズタイトルとして正式に用いられるようになった。「楽園 Le Paradis」第2号から第13号にかけて掲載された作品。

正式名称
幻想ギネコクラシー
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

鳳梨娘

交際相手である王基政二の屋敷に招かれた州秦夏見は、道に迷った先で巨大水槽に監禁されている全裸の少女と出会う。王基エリセと呼ばれる巨大水槽に隔離された少女と心を通わせるうち、夏見は王基家の隠蔽体質に嫌悪感を抱くようになる。ある日、エリセの境遇には一刻の猶予もないと考えた夏見は、巨大水槽を破壊し、エリセとともに逃亡を試みる。

かまくりあん

地球温暖化による降雪量低下は、雪を使った北日本全般の伝統行事に深刻な影を落としていた。それを危惧した日本政府が生み出した「人造人間カマクリアン」の少女である茅早と、伝統行事の存続のために奔走する仙太郎は、伝統存続の一環として、かまくら作りに精を出す。

楽園からのハッピーバースデー

童貞のまま孤独な40歳の誕生日を迎えた角田星弘は、突如目の前に現れた妖精からの誘いに乗って、妖精王となる決意をする。

筒井筒

カグアイタグアという2人の宇宙人が、地球で遭難生活を始めてから、13年が経った。仲睦まじく暮らしながら、母星からの救助を待ち望んできた2人のもとに、やっと救援の手が差し伸べられるが、助かるのはどちらか1人だけだった。

コップと泥棒、その妻と愛人

この世のどこかにあるという、正直者しか住まない「正直村」と、嘘つきしか住まない「噓つき村」。その噂を聞きつけた盗賊は、更なる悪事を重ねようと「正直村」を目指す。

新世紀ゴッドスレイヤー

ある日、いつまでも争いのなくならない世界に失望した創造主は、世界を滅ぼした。新世界の創世を一任された息子は、仕方なく光を作り、そして女性を2人作った。

青い珊瑚礁2011

独自の水泳論理を持つ喜多嶋先輩は、非公式ながら高校タイ記録を持つ実力者。水泳大会の選抜に落ちてしまった後輩を励まそうと海に誘うが、お盆過ぎの海はクラゲだらけだった。

オムレツの思い出

5年前に母親と別れた男子中学生の文人は、母親と似た雰囲気を持っている義叔母の妹尾衿子に恋をする。届かないと知りながら、それでも想いを捨てられない文人は、衿子の家を訪れる。

惑星ソラリッサ

地球から惑星ソラリッサの開発に訪れたに、接触を図ってきた謎の少女。少女の指示に従って、土地の検分を続けるうち、彼女が惑星ソラリッサの化身だと判明する。

健啖家・最後の晩餐

「悪魔の胃袋」の異名を持つフードファイターの圷麻美子。彼女の正体は物質の自在転移装置を研究している女性科学者だった。

殺し屋リジィの追憶

山奥の村に暮らす少女の絵里。彼女がふと目を覚ますと、そこは土葬された棺桶の中だった。

イヴァン・ゴーリエ

アルタリ家の長女であるナジェージダ・マキシマヴナ・アルタラ(ナージャ)は、屋敷を訪れていた写真家のヴァシリー・イスカチェフと親しくなる。ある冬、ヴァシリーと身体を重ねた夜にナージャが見た夢は、屋敷に飾られているイヴァン・ゴーリエの描く世界と同様に、とてもグロテスクなものだった。

登場人物・キャラクター

州秦 夏見

エピソード「鳳梨娘」に登場する。黒髪を2つ結びにした女性。交際相手の王基政二の屋敷を訪れた際、巨大水槽の中に監禁されている王基エリセという全裸の少女と出会い、好意を抱く。エリセに大学で描いた石膏デッサンを見せに来たり、お菓子をあげようとしたりと、積極的に交流をはかる。政二には交際相手として相応の信頼を置いているが、肉体関係は結んでいない。

芽早

エピソード「かまくりあん」に登場する。黒髪短髪の女性。その正体は、地球温暖化によって存続の危機に立たされている、雪を用いた伝統行事を守るべく、日本政府によって生みだされた「人造人間カマクリアン」の1人。かまくら祭りの手伝い役兼使用人として仙太郎の家で働いている。作業の工程上、かまくら作りの度に背中が赤ぎれだらけになってしまう。

角田 星弘

エピソード「楽園からのハッピーバースデー」に登場する。ゲーム好きな小太りの男性。この世のすべての少女が猫耳になってほしい、という現実味のない希望を、日頃から抱き続けていた。その結果、童貞のまま40歳の誕生日を迎えた。誕生日当日、妖精界から、ティタニアと結婚して新しい妖精王となってほしいという依頼を受け、欲望の赴くままに承諾する。 一人暮らしだが、多数の生物を同時に飼育することができるほどの居住スペースがあり、経済的には不自由していない。

カグア

エピソード「筒井筒」に登場する。宇宙人の少女。地球から数光年離れたアルファケンタウリ・プロキシマ恒星系から、イタグアと一緒に地球を冷やかしにやって来た。その結果、不慮の事故で遭難してしまった。地球の外敵から身を守るため、13年にわたってイタグアと2人で、枯れ井戸に潜む生活を送った。そのため恋愛感情が強まり、母星に戻ったら結婚したいと考えるようになる。

盗賊

エピソード「コップと泥棒、その妻と愛人」に登場する。空き巣、置き引き、寸借詐欺、引ったくりといった小規模な犯罪で、糊口をしのいでいる中年男性。放浪生活を続ける途中、正直者しか住まないという「正直村」の噂を聞き、そこで更なる犯罪を重ねようと画策する。

息子

エピソード「新世紀ゴッドスレイヤー」に登場する。創造主の息子で、開襟シャツに濃いもみあげが特徴の現代風の若者。創造主から新世界の創造を一任される。光を作った後で早々に女性を2人生みだし、創造主から叱責された。そのため、男性も生みだしたが、露骨に不細工に作り上げた。

喜多嶋先輩

エピソード「青い珊瑚礁2011」に登場する。水泳部を引退したばかりの女子高校生。非公式ながら800メートル個人メドレーで高校タイ記録を出した実力者。しかし、その水泳論はなかなか周囲からの理解を得られず、本人は自分の教え方が下手なのかもしれないと気にしている。練習を兼ねて後輩を海に誘った際には、大量のクラゲを押しのけるように泳ぎ、後輩を驚愕させた。

文人

エピソード「オムレツの思い出」に登場する。男子中学生。妹尾衿子に、5年前に家を出て行った母親の姿を重ねているうちに恋心が芽生え、本気で衿子の精神的な支えになりたいと思うようになった。衿子に気持ちを伝え、それとなく断られた後も家に遊びに行こうとする。そんな態度を美晴に未練がましいと罵られる。

エピソード「惑星ソラリッサ」に登場する。口髭と眉間の深いしわが特徴的な中年男性。地球から惑星ソラリッサを開拓しにやって来たところ、本来はいるはずのない住人の少女に出会う。最初は少女の指示に従って土地の検分を進めていたが、その指示が的確ではないことに気づくと、勝手に開拓を行うようになった。地球に妻子を残してきている。

圷 麻美子

エピソード「健啖家・最後の晩餐」に登場する。女性研究者。物質を自在に転移する「九次元移送器」という装置の研究用試作品を食道に埋め込む。そして、数々の大食い大会で優勝し、その賞金を技術の実用化を進めるための費用に充てている。彼女が食べたものは、研究室にある豚小屋のエサ箱に移送されるようになっているため、他人から見ると不可解なほどの大食漢に見える。 「悪魔の消化器」という異名を持ち、固定のファンもついている。周囲には婚活キャラで通っているが、圷麻美子自身は関に気がある。

絵里

エピソード「殺し屋リジィの追憶」に登場する。山奥の村に住む少女。村人の勘違いにより生きたまま土葬された。土中で助けを求めていたところを佐吉によって掘り起こされ、一命を取り留めた。しかし、その余りのタイミングの良さから佐吉の意図を見抜き、以前から抱いていた嫌悪感を剝き出しにする。逆上した佐吉に殺されそうになり、近くにあった石で佐吉を滅多打ちにしてしまう。

ナジェージダ・マキシマヴナ・アルタラ

エピソード「イヴァン・ゴーリエ」に登場する。若い女性。土地の領主であるアルタリ家の長女。戦地に赴いたまま帰ってこなくなった兄や、精神を病んでしまったオリガ・アルタラに代わって、家を切り盛りしている。ある日、敷地内で写真撮影を行っていたヴァシリー・イスカチェフと知り合い、彼が撮影しているものに興味を抱く。母親のオリガとは逆に、イヴァン・ゴーリエの絵画を不気味だと感じている。

王基 エリセ

エピソード「鳳梨娘」に登場する。王基江造の娘で、王基政二とは腹違いの妹にあたる。王基家の巨大水槽に隔離され、「オーキ・フード・カンパニー」の果物と最低限の栄養剤だけを摂る生活を送っている。身体的には成熟した見た目でありながら字を読むことができず、話す言葉も簡単な単語しか使えない。そのため州秦夏見からは、義務教育以前から隔離されていたのではないか、と推測されている。

王基 政二

エピソード「鳳梨娘」に登場する。王基江造の息子。太い眉とリーゼントが特徴的な男性で、趣味は射撃。州秦夏見とは交際関係にあるが、酒の勢いで肉体関係を結ぼうとするなど、やや強引な性格の持ち主。腹違いの妹である王基エリセに、果物や栄養剤を運ぶ役目を担っているが、その存在を疎ましくも思っており、彼女には冷たい態度を貫いている。

王基 江造

エピソード「鳳梨娘」に登場する。巨大農業・食品企業「オーキ・フード・カンパニー」の会長を務める恰幅の良い老人。妻には先立たれているが、王基政二と王基エリセという2人の子供がいる。エリセの存在を王基家の重要機密としており、不用意に関わろうとした州秦夏見に対して、声を荒げて𠮟責する。

仙太郎

エピソード「かまくりあん」に登場する。坊主頭の少年。雪深い北国に暮らしており、伝統行事であるかまくら祭りを存続させるため、家族と協力してかまくら作りを行っている。芽早を代表とする「人造人間カマクリアン」たちが、かまくら作りの度に痛ましい傷を負っていることに問題意識を持っている。将来的には政治家となって、「人造人間カマクリアン」たちの境遇を改善したいと考えている。

ティタニア

エピソード「楽園からのハッピーバースデー」に登場する。妖精の女王。長髪を額の部分で2つに分けた髪型をしている。新しく妖精王となった角田星弘と婚礼の儀をとり行うため、人間界に顕現する。その際、依り代となる動物の身体が必要ということで、星弘にできるだけ多くの生物を飼育するよう求める。

イタグア

エピソード「筒井筒」に登場する。宇宙人の青年。幼なじみのカグアを誘って地球へのドライブに出かけた結果、不慮の事故で遭難。13年にわたって地球に滞在することになった。長年を費やして、ようやく届けた母星への救難信号に手違いがあったことが発覚し、1人しか助からないことを知ると、カグアを騙して見捨てようとする。

創造主

エピソード「新世紀ゴッドスレイヤー」に登場する。老人の姿をした神で、争いを止めない人類に愛想をつかしている。これ以上の過ちが繰り返されないよう、自分で作り上げた世界を滅ぼす。その後、創造の一切を息子に一任することで、理想的な世界を作ろうとする。セオリー通りに世界を作ろうとしない息子に、度々ツッコミをいれる。

美晴

エピソード「オムレツの思い出」に登場する。女子中学生。文人の幼なじみで、それ以上の関係になりたいと告白したが、断られてしまった。文人が妹尾衿子に執着している姿を見るたびに、嫉妬して衿子と張り合おうとする。文人を振り向かせるために、衿子を真似て香水をつけてみたり、卵料理を熱心に練習したりと、健気な一面も持つ。 同級生の下ネタが理解できず、首を傾げるなど性知識は少ない。

妹尾 衿子

エピソード「オムレツの思い出」に登場する。28歳にして旦那に先立たれてしまった未亡人。文人の義叔母にあたる。文人の母親と同じ卵料理の匂いをまとっていたため、文人に異性として好かれるようになった。柔らかい物腰ながら筋の通った女性で、文人に告白された際も、茶化すことなく丁寧に断った。

少女

エピソード「惑星ソラリッサ」に登場する。ワンピースを身につけた黒髪の女性。防護服も身につけず未開の惑星に暮らしていたため、私に驚愕される。人型をしているが、その正体は彼女が暮らす惑星ソラリッサの化身。彼女の身に起こったことは、すべて惑星の環境にも反映される。私に取引を持ちかけ、居住区を間借りさせてもらう代わりに、惑星での暮らし方を手ほどきする、という条件を提示する。

エピソード「健啖家・最後の晩餐」に登場する。男性研究者。物質を自在に転移する「九次元移送器」という装置の研究をしていたが、実用化を目前に研究費用の援助が打ち切られてしまった。研究費用を捻出するため、圷麻美子の食道に九次元移送器を埋め込む。以前から困ったことがあると母親に泣きつくというマザコンの気質があり、自分たちで研究費用を賄うという今回の一件は、親離れの良い機会だと麻美子に諭される。

佐吉

エピソード「殺し屋リジィの追憶」に登場する。山奥の村に住む少年。土葬されて間もない絵里を屍姦するため、絵里が生きているとは知らずにシャベルで掘り返してしまった。不審がった絵里を相手に誤魔化しきることができず、首を絞めて殺そうとするが、逆に返り討ちに遭う。同じ村の少年で留吉という友人がいる。

オリガ・アルタラ

エピソード「イヴァン・ゴーリエ」に登場する。初老の女性で、ナジェージダ・マキシマヴナ・アルタラの母親。アルタリ家の当主だが、2年前に土地の領主であった夫を亡くしてから、茫然自失状態になってしまった。イヴァン・ゴーリエの絵画を好み、自室に飾った作品群を眺めながら1日を過ごしている。医師の診察を受けたところ、肝臓ガンが見つかり、余命がわずかであることを告げられる。

ヴァシリー・イスカチェフ

エピソード「イヴァン・ゴーリエ」に登場する。アルタラ家の敷地内で写真の撮影をしていたところ、ナジェージダ・マキシマヴナ・アルタラ(ナージャ)に声を掛けられ懇意になった青年。ナージャの父親である前領主とも面識があり、撮影許可は取ったうえで撮影をしていた。撮影対象は風景や小動物、昆虫などが多い。ある寒い冬の日にナージャに誘われる形で身体を重ねたが、翌日から謎の失踪を遂げてしまう。

イヴァン・ゴーリエ

エピソード「イヴァン・ゴーリエ」に登場する。男性の画家。悪魔的なモチーフを好み、約2年間の活動で70点ほどの作品を残したが、その後消息が途絶えた。イヴァン・ゴーリエの作品には熱心なコレクターも多く、ナジェージダ・マキシマヴナ・アルタラ(ナージャ)の父親もその1人だった。ナージャはこれらの作品群を、暴力的で名伏しがたい魔術的な様相があるとして苦手に思っており、可能であれば売却したいと考えている。

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