社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。

社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。

夜遅くまで残業するいわゆる「社畜」のOL・伏原と、会社に現れた謎の少女・幽霊ちゃんたちの交流を描いた日常コメディ。「月刊少年ガンガン」2019年9月号から掲載の作品。2022年4月にテレビアニメ化。

正式名称
社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。
ふりがな
しゃちくさんはようじょゆうれいにいやされたい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
ガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
既刊10巻
関連商品
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あらすじ

社畜さんと幽霊ちゃんの出会い

とあるブラック企業に勤めている伏原は、会社の命令に逆らえずいつも夜遅くまで残業をしている、いわゆる「社畜」の会社員。そんな伏原が夜中まで仕事をしていると、「タチサレ」という不気味な声がフロアに鳴り響く。その声の正体は、小さな女の子の幽霊「幽霊ちゃん」だった。虚ろな目で遅くまで仕事を続けている伏原の体調を心配し、彼女を会社から立ち去らせて帰宅をうながす幽霊ちゃんのかわいさを見て、余計に帰りたくなくなった伏原だったが、幽霊ちゃんは引き続きタチサレと言いながらも仕事の手伝いをしたり、差し入れを渡したりしてくる。この日の出会いをきっかけに、社畜からなかなか抜け出せずに癒しを求める伏原と、心配性な幽霊ちゃんの不思議な日常が始まるのだった。そんな中、伏原はちょっと熱っぽいながらも、今日も夜遅くまで仕事をしていた。それに気づいた幽霊ちゃんは、彼女が死んでしまうのではないかと心配し、早く帰宅するように説得を始める。幽霊ちゃんがいてくれればまだがんばれると言い張る伏原の言葉を受け、幽霊ちゃんは彼女の家までいっしょに帰ることを提案。そんな幽霊ちゃんのかわいさのあまり、伏原は仕事も幽霊ちゃんも持ち帰ることを決意しながら彼女を連れて帰宅し、二人は家についたあとも少しずつ交流を深めていく。伏原が幽霊ちゃんの存在に慣れてきたある日の帰り道、伏原と幽霊ちゃんは雨に濡れていた小さな黒猫を拾い、「みゃーこ」と名前を付けて家で飼うことになった。だが、みゃーこの正体はただの猫ではなく化け猫で、人の言葉を話したり、人間の少女の姿に変身したりすることもできた。どうしても恩人の伏原に恩返しがしたいと言うみゃーこに対し、伏原はずっと家にいてほしいと告げ、彼女のアパートで同居することになる。その日もいつものように会社で残業する伏原の様子を見守り、心配する幽霊ちゃんとみゃーこは、疲れている伏原の役に立とうと競い合うようになる。

隣人さんも幼女幽霊に癒されたい。

いつもと変わらずに社畜として働く伏原を、いつも心配している幼女幽霊の幽霊ちゃんと化け猫のみゃーこは、会社から早く帰らせようと手伝いに来たり食事を用意してくれたりしていた。不思議な少女たちといっしょに暮らしながら交流を深めていく伏原の日常は、癒しそのものだった。そんな中、伏原の住むアパートのとなりの部屋から奇妙な騒音が聞こえ始め、不思議に思った伏原は直接隣人を訪ねることになる。そこにはイラストレーター・倉橋サツキといっしょに、褐色メイド幽霊のリリィも住んでいた。リリィが見えたことをきっかけに、サツキと友人になった伏原の癒され生活は、仲間も増えたことで少しだけにぎやかになっていく。在宅ワークで忙しい日々を送りながらも、生活力がなくだらしのないサツキの世話をするリリィは、彼女にあきれながらも叱咤激励したり、掃除や家事に励んだりしていた。時には辛らつな小言を聞かされながらも、サツキはなんだかんだでリリィに癒される楽しい毎日を過ごしていた。そんなある日、買い出しを忘れた伏原の家に食料の買い置きがなく、夕食を作れなくなるトラブルが発生。あわてて買い出しに向かおうとする伏原の代わりに、幽霊ちゃんとみゃーこが商店街へ買い物に向かうことになる。初めてのおつかいに緊張しながらも、心配する伏原からもらったメモを頼りになんとか買い物を進めていく二人だったが、魚屋に来たとたんに店主の態度や顔に怯えてしまい、ついには買い物が続けられなくなってしまう。すると、そこで二人に優しく手を差し伸べたのは、以前服を買いに行った時に出会った園田チヨだった。

おひっこし

いつも忙しくしている社畜の伏原と、彼女を癒してあげたい幽霊ちゃんみゃーこに、隣人の倉橋サツキと幼女メイド幽霊のリリィが仲間に加わり、彼女たちの日常はますますにぎやかになっていた。優しくてかわいい子たちに囲まれ、鬱々とした心も一気に癒されていく日々の中、季節はあっという間に冬に変わっていた。正月に初詣に訪れた神社で、不吉な予言を告げる謎の声が伏原たちに聞こえて以来、彼女たちの周りには少しずつ不思議な出来事が増えていく。街がすっかり雪景色に変わる中、寒さが苦手で部屋にこもるしかないみゃーこは、伏原に雪だるまの着ぐるみを着せてもらったうえで、いっしょに遊びに行こうとする幽霊ちゃんを羨ましく思っていた。そんな気持ちを我慢して、伏原のために留守番をがんばろうとするみゃーこだったが、彼女のことを心配した幽霊ちゃんは元気づけようと、外で作った小さな雪だるまを渡すのだった。そんな平和な日々が続くかと思いきや、伏原とサツキのそれぞれの自宅には差出人が書かれていない謎の手紙が、毎日のように届くようになった。手紙にはなぜか引っ越しをうながす文章ばかり書かれ、毎日が忙しいために気にする余裕がなくイタズラだと思うようにしていた伏原のもとに、今度は宅配便で謎の箱が届く。段ボール箱には引っ越しを強く急かす文字が書かれており、戸惑う伏原たちの前には、荷物の送り主が現れる。箱の中から出てきたのは鬼の御子神を名乗るミコで、伏原が今住んでいる場所には深刻な凶相が出ているため、すぐに離れるように警告をしに来たという。ミコの話によると、無意識に不満やストレスをため込んだ人間は内外問わず無自覚に不幸を呼び寄せやすく、伏原やサツキが人ならざる存在を見られるようになったのも、心身ともに疲弊しているのが原因だという。それでも幽霊ちゃんたちのことを家族のように思っていると答えた伏原を気に入ったミコは、彼女たちの引っ越しを手伝うと張り切るが、アパートではすでに火事が発生していた。なんとか避難した伏原たちだったが、アパートはすっかり燃えてしまい、彼女たちは引っ越し先の手配をしてくれると言うミコが住む神社で、しばらくのあいだ寝泊まりさせてもらうことになる。

もう一つのおとなりさん

自宅のアパートが火事になった伏原は、いっしょに住んでいる幽霊ちゃんみゃーこ、そして隣人の倉橋サツキリリィといっしょに、近所の神社に住むミコ天ヶ瀬香織が紹介してくれた新居に引っ越すことが決まった。引っ越しが終わるまではミコの住む神社に寝泊まりし、新居に移る準備を進めていく伏原たちだったが、一見高級に見えるマンションは人ならざる存在によって管理されている、訳あり物件だった。それでも以前より広くなった家で楽しく暮らし始め、会社では相変わらず残業しては幽霊ちゃんとみゃーこに癒される日々を送る伏原は、マンションの管理人を務めているコハルに呼ばれ、彼女の正体が幽霊であることに気づく。コハルはこのマンションに暮らすマルベリー・ヴェローナを伏原に紹介し、伏原に会いたがっているマルベリーと話をしてほしいという。マルベリーのかわいさに心奪われた伏原はすぐにそれを快諾し、コハルと共に家を訪問するが、彼女の正体は死神と人のあいだに生まれたハーフで、禁忌の存在であるばかりに生まれてすぐに親に捨てられて孤独に生きてきたと語る。それでも人間の魂を狩った経験もなく、死神の鎌すら一人で持てないマルベリーは、外見も中身も人間の幼子とほとんど変わらない女の子だった。伏原のことがすっかり気に入ったマルベリーは、以前コハルに言われた言葉を思い出しながら、伏原の心臓を手で貫く。伏原は体を貫かれたのにもかかわらず痛みを感じないことを不思議に思うが、マルベリーがつかんでいたのは、伏原の心から取り出した重荷(ストレス)の巨大な塊だった。この日をきっかけにマルベリーともなかよくなった伏原は、時にはマルベリーに嫉妬心や対抗心を向ける幽霊ちゃんたちに戸惑いながらも、新居での生活を堪能する。一方、引っ越し先に慣れながらも相変わらず仕事に追われているサツキは、あることをきっかけにリリィと大ゲンカする。怒ったリリィは勢いでサツキの家を飛び出し、意地を張って公園の土管で一人暮らしを始める。

春日井さん

幽霊のコハルが管理人を務める新居での生活にもすっかり慣れ、訳ありマンションで楽しく暮らす伏原たちは、新たな隣人のマルベリー・ヴェローナともなかよくなったことで、かわいい少女たちに囲まれた癒され生活を楽しんでいた。そんな中、いつものように職場のオフィスで残業中だった伏原は、尊敬する美人上司の春日井といっしょに仕事をしていたが、伏原を立ち去らせようとやって来た幽霊ちゃんの存在が彼女に知られてしまう。最初は幽霊ちゃんの存在をごまかそうとした伏原は、観念して事情を話すものの、春日井は深夜に幼女を連れ回しているようでは会社のイメージに傷がつくと厳しい言葉を返す。春日井が怒っていると思い込んでいた伏原だったが、彼女と同様にかわいいものが大好きな春日井は、心の中では幽霊ちゃんのかわいさに震えていた。そんな本音を必死に隠しながら毅然した態度を維持する春日井だったが、涙目で震えながら訴えかけてくる幽霊ちゃんのかわいさに負け、ついには素の口調の博多弁で本音が漏れ出してしまう。人ならざる存在が見える仲間も増えて、ますますにぎやかになっていく伏原のもとへは、幽霊ちゃんたちのことをすっかり手懐けたマルベリーが遊びに来ることも増えていく。ある日の留守番中、伏原のソファで昼寝をするマルベリーへの嫉妬心で騒ぎ出した幽霊ちゃんとみゃーこは、マルベリーの生い立ちをよく知るコハルから、悲しい過去の話を聞くことになる。それは、マルベリーが死神と人間の子として生まれたばかりの頃に周囲から荒んだ目で見られ、人間界にやって来たあとも人間たちから恐れられた彼女が、何度も悲しい思いをしてきた過去だった。さらに、周囲から拒絶され続けたマルベリーの角が片方だけ折れている本当の理由を知った幽霊ちゃんたちは、泣きながらマルベリーのことを励まそうとする。

雪幼女と雪女。

クールに見えてかわいいものが大好きな上司・春日井幽霊ちゃんの存在がばれて以来、伏原は会社で幽霊ちゃんの癒しを取り合う日々を送っていた。そんなある日、伏原がみんなで帰宅していると、妖精のような不思議な雪幼女・ユキコが道端で震えていた。家族とはぐれて一人で泣いていたユキコを保護した伏原たちは、彼女の父親である雪男を捜す手伝いをすることになる。伏原たちのおかげで無事に雪男と再会できたユキコは、母親の帰郷のために家族でこの街に来たばかりだった。そんなユキコと雪男に街を案内することになった幽霊ちゃんとみゃーこだったが、ひょんなことから夫と娘をたぶらかしたとカンちがいしたユキノが、先に自宅に戻って仕事をしていた伏原のことを誤解して命を狙ってくる。必死に否定・弁解する伏原に氷の刃を向けてくるユキノは、たまたま遊びに来ていたミコの説得を受けて手を止める。それでもなお疑いの目を向けてくるユキノに対し、伏原がとっさに雪男のある言葉を伝えたことで誤解は解け、ミコの説明に助けられてなんとか和解することもできた。ユキノは幼少期に人間から迫害を受け、この地域を離れるしかなかった過去を持ち、それらのトラウマから成長した今でも人間を快く思っていなかった。しばらくしてユキコを連れて戻ってきた雪男とも再会し、ミコの話を聞いたユキノは、伏原のようないい人間も存在することを実感しながら、家族と共に北国へ帰って行った。世間で夏休みが近づいてきた頃、幽霊ちゃんたちを連れてどこかに遊びに行く話になった伏原は、リリィの提案で倉橋サツキと休みを合わせ、みんなでいっしょに川の近くにある自然公園に遊びに行くことが決まる。初めての車、初めての景色、初めての遊びにはしゃぐ幽霊ちゃんたちと共に過ごすつかの間の夏休みは、大人になってから夏休みをほとんど堪能できていなかった伏原たちの心をさらに癒していく。

おたんじょうびだいさくせん。

引っ越した頃から訪問販売や勧誘が増え、断るのに時間がかかることに悩まされていた伏原のもとに、かわらしいシスターのアメリアがやって来た。宗教の勧誘のために訪れたアメリアは元・人間の幽霊で、具体的には日々の仕事やストレス解消を手伝ったり、日常生活の世話をしてくれたりするという。ほとんどのことはすでに幽霊ちゃんみゃーこがやってくれているため、一度は断ろうと悩む伏原だったが、あまりのかわいさに心が揺らぎ、思わず入信すると言い張る。それを見た幽霊ちゃんとみゃーこは、自分たちがふだんやっていることを奪われてしまうと焦り始めるものの、アメリアの持ってきたお菓子であっさり懐柔されてしまう。結局、行き場のないアメリアは伏原家に迎えられることになり、彼女と幽霊ちゃんたちの仲を心配する伏原だったが、帰宅すると幽霊ちゃんとみゃーこもアメリアと同じ修道服をまとって伏原のことを出迎えてくれた。みんなの様子を見ていたコハルの提案により、アメリアは伏原家から移住し、マルベリー・ヴェローナと同じ部屋に住むことが決まる。こうして、あっさりなかよくなった幽霊ちゃんたちによる「たちされ教」が爆誕し、かわいい少女たちの癒しであふれる伏原の日常はますます騒がしくにぎやかになるのだった。そんなある日、伏原の誕生日が1週間後にせまっていることを知った幽霊ちゃんたちは、さっそく伏原を祝うためのプレゼントやサプライズについて考え始めるが、使える予算はかなり限られていた。マルベリー、リリィミコも集まって話し合った結果、当日は部屋を飾り付けてリリィの助けを借りてバースデーケーキを作り、伏原への感謝や思いを込めた手紙を書くことになる。さっそく書き方をコハルに教わって手紙を書き上げた幽霊ちゃんたちは、リリィと共にケーキを仕上げるが、みゃーこは伏原へのプレゼントがまだ用意できていないことに気づく。一方、会社で仕事をしていた伏原は、ここ数日は幽霊ちゃんとみゃーこが会社に遊びに来ていないことや、彼女たちが隠れて何かをしていることが気になっていた。気になるあまり仕事に影響が出てしまった伏原は、幽霊ちゃんたちに自立の時が来たのではないかと心配しながら帰宅する。

メディア化

テレビアニメ

2022年4月から6月にかけて、本作『社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。』のテレビアニメ版『社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。』が、AT-Xほかで放送された。監督は南原玖宇、キャラクターデザインは田中春香が務めている。キャストは、伏原を金元寿子が、幽霊ちゃんを日高里菜が演じている。

登場人物・キャラクター

伏原 (ふしはら)

とあるブラック企業に勤務するOLの独身女性。明るい茶髪をポニーテールにまとめている。仕事中はパンツスタイルで、長袖シャツとネクタイを着用している。いつも疲れたような表情が多く、目の下にはクマがある。会社の命令には逆らえず、毎日のように残業に追われ、時には深夜まで会社に残って過酷なデスクワークに勤しんでおり、仲のいい後輩や同僚からもよく心配されている。基本的に仕事熱心ではあるが、上司から無理難題を押し付けられたり理不尽に叱られたりするうちに、無意識にストレスを溜め込み、いつも癒しを求めている。ある日の夜の残業中、会社で「タチサレ」という不気味な声を聞き、その声の主である幽霊ちゃんと出会い、取り憑かれるようになる。幽霊ちゃんからは「しゃちくさん」と呼ばれ、いつも残業ばかりして疲れていることを心配され、彼女から何かと退勤と帰宅をうながされている。幽霊ちゃんを非常に気に入ってかわいがっており、彼女に癒されるたびにやる気が湧いて余計に仕事が捗るため、結局は幽霊ちゃんの望みとは反対に仕事を続けるというパターンが多い。当初はアパートで一人暮らしだったが、仕事といっしょに幽霊ちゃんを連れて帰ったのをきっかけに、いっしょに暮らすようになった。さらには黒猫を助けたことでみゃーこからも慕われるようになり、やがて三人で暮らすようになる。ふつうの人には見えない幽霊ちゃんをはじめ、人ならざる存在を見ることができ、彼女だけでなくリリィのことも当初から視認できている。ふだんは冷静だがかわいいものには目がなく、幽霊ちゃんやみゃーこのかわいさを目の当たりにすると、冷静さを失ったり親バカな発言をしたりすることがある。幽霊ちゃんたちに出会う前は、仕事が終わっても食事して寝るだけの生活に虚無感を覚えたり、疲れて帰宅しても家に誰もいない事実に孤独を感じたりすることもあった。掃除をするヒマがなく部屋がゴミだらけで汚い状態だったが、幽霊ちゃんとみゃーこが手伝ってくれるおかげできれいな状態を保ちやすくなった。また、食事はコンビニ弁当が多かったが、現在はみゃーこの手料理を食べることが多い。生前の幽霊ちゃんの母親であるかかさまと容姿や声が似ているが、詳細な関係性は不明。初詣のあと、ミコから凶相が出ていると警告されたあとにアパートが火事になり、彼女が手配した訳あり物件のマンションに引っ越した。

泣き虫な幼い幽霊の少女。ある日突然、伏原の会社に現れるようになった。金髪のセミロングヘアで、笑ったときに目立つ八重歯が特徴。ふだんは白い死に装束を着用し、頭には天冠をつけている。非常に泣き虫で悲しそう... 関連ページ:幽霊ちゃん

みゃーこ

黒猫の少女。雨に濡れていたところを、たまたま通りかかった伏原たちに救われた。その正体は化け猫で、黒い猫耳と尻尾が生えた、幼い少女の姿に変身できる。少女姿のときは、切りそろえた黒髪のボブカットで黒っぽい和装をまとい、鈴付きのヘアバンドをしている。伏原に恩義を感じてご主人と慕うようになり、恩返しのために彼女の自宅に押しかけた際にいっしょにいてほしいと告げられ、共に暮らすようになる。前の飼い主に飼われている時、少女の姿を見せたとたんに捨てられたのがトラウマになっており、当初は極力黒猫のままで伏原たちに少女の姿は見せないようにしていた。幽霊ちゃんと共に伏原を癒したり仕事を手伝ったりしているが、時折伏原への手助けを巡って幽霊ちゃんと張り合うことがある。背丈は幽霊ちゃんと同じくらいだが、彼女よりもやや精神年齢が高くしっかり者。料理が得意なため、伏原たちの食事や弁当を作ることもある。ふだんは黒猫の姿で行動しているが、猫のフリをしているときも少女に化けたときでも、ふつうの人間から視認や会話ができる。ただし、幽霊ちゃんと同様に写真には写らない。伏原に出会う前は、とある暴力団に所属する男性に拾われ、ふつうの黒猫のフリをしたままで彼に飼われていたことがある。のちに自らの正体を明かすが、組同士の抗争が激化したのを悟ったその男性に遠ざけられる形で別れることになり、彼に言われたとおりの場所に向かうことで、伏原たちと出会うことができた。寒さには弱く、真冬には外に出られなくなるが、幽霊ちゃんの提案で黒猫の姿で彼女のマフラーに入り込んで寒さを防ぐことで、寒い日でも外出できるようになった。生まれた時から一人ぼっちで親の顔を知らずに育ち、友達もいない孤独な幼少期を送っていた。もとは野良の化け猫であったため、ほかの野良猫への理解は深く、当初は食べ物を巡って争っていた小太郎のこともすぐに理解して友達になった。

園田 チヨ (そのだ ちよ)

商店街で衣料品店を営む初老の女性。夫と店を営業しながら、一軒家で二人暮らしをしている。人ならざる存在が見える、優しいおばあさん。伏原のYシャツを買いに来た幽霊ちゃんとみゃーこを優しく出迎え、所持金が足りていない彼女たちに事情を聞いたうえで、特別に商品の一つをプレゼントした。それ以降も幽霊ちゃんたちを見かけるたびに、助言を与えたり助けてあげたりしている。非常に顔が広く、同じ商店街にある店には特に知り合いが多い。ミコとも幼少期から親しい関係で、昔は近所の友人たちと共に彼女のもとへ遊びに行って、いっしょに遊んでいた。この際にミコと友人たちと共に梨の種を埋めていっしょに育てていたが、友人たちの心が成長と共にミコから離れていったため、それを悲しみながらも一人でミコのもとへ通っていた。ミコとは幼少期から友情を誓い合った仲であり、年を取った現在でも定期的にミコの神社に遊びに行って交流を続けている。

倉橋 サツキ (くらはし さつき)

在宅イラストレーターの女性で、同じアパートに住む伏原の隣人。黒のロングヘアでタンクトップとショートパンツを着用しており、スタイル抜群の巨乳。ズボラな性格で、少々うっかり屋な一面がある。伏原と同じく、幽霊などの人ならざる存在を見ることができる。メイド幽霊のリリィといっしょに暮らしているが、うっかり仕事のミスをしたりいつもスケジュールに追われたりしているため、よく泣き言を言ってはリリィのことを呆れさせ、小言や愚痴を言われている。しかし、なんだかんだで面倒見のいいリリィが世話をしたり励ましたりしてくれるため、彼女に甘えながらもお互いに良好な関係を築いている。騒音をきっかけに訪ねてきた伏原と知り合い、すぐにリリィの存在に気づいた彼女となかよくなって以来、お互いに相談に乗ったり助け合ったりしている。伏原と同様にかわいいものが大好きで、リリィのかわいさやツンデレな言動にいつも癒されている。ミコから引っ越すようにと怪しい手紙を送られていたが、のちにアパートが火事になってしまったため、彼女が手配した訳あり物件のマンションにリリィを連れて引っ越した。引っ越したあとも伏原たちとの付き合いを続けている。

リリィ

倉橋サツキの家に住んでいる幽霊の少女。褐色肌でメイド服を身につけている。銀髪をツインテールにまとめ、メイドカチューシャをつけている。好きな相手の前でもなかなか素直になれない、ツンデレな性格の持ち主。「~デス」「~マス」など、カタカナの語尾を付けて話す。だらしないサツキに代わって、料理や部屋の掃除を中心とする家事全般を担当している。生活力がなく、よく泣き言を言うサツキには呆れさせられることが多く、時には毒舌で辛らつな小言を言うこともあるが、なんだかんだで彼女のことは慕っており、いつも心配して世話を焼いている。隣人の伏原が訪ねてきた際に知り合い、彼女を通して幽霊ちゃんやみゃーことも親しくなり、時折いっしょに遊んでいる。

かかさま

幽霊ちゃんの母親。ポニーテールの髪型にリボンを結んでいる。娘思いであるとともにかなりの働き者で、仕事に出かける前は生前の幽霊ちゃんが一生懸命作った弁当を持って出かけていた。外見や雰囲気は伏原によく似ており、娘である幽霊ちゃんも彼女から同じ香りと面影を感じ取っているが、詳細な関係性は不明。

ミコ

鬼の御子神や神の使いを名乗る謎の少女。年齢は806歳。従者のこんやこん太と共に、伏原たちのアパートの近所にある神社で暮らしながら、周辺地域に住む人々を見守っている。額に二本角が生えたボブカットの少女の姿をしており、モフモフした狐の尻尾が複数生えている。いつも偉そうな態度ながら世話好きな性格で、凶相が出ている人間のことを放っておけず、悪いことが起こる前に助けようとする。伏原たちよりもずっと長く生きているために博識だが、見た目も性格も子供っぽいため、周りから子供扱いされやすい。一人称は「わっち」。人間好きで、天ヶ瀬香織のほかにも園田チヨをはじめとする、人ならざる存在が見える人間の知人や友人が多くいる。特にチヨとは付き合いが長く、彼女が幼い頃から友情を誓い合った仲である。正月に神社へ初詣に来ていた伏原に凶相が出ていることに気づき、彼女と倉橋サツキのもとに怪文書に近い手紙を何度も送り付けることで引っ越しをうながしていたが、イタズラと思われてしまい、失敗に終わる。自ら出向く形で、段ボールの中に入って宅配便として自分を伏原のもとへ届け、伏原に直接会って説得を試みる。しかし説明の途中で、伏原のアパートが火事になったため、香織に依頼して新しい引っ越し先を手配するとともに、自分たちの住む神社を引っ越しが終わるまでの宿として貸していた。伏原たちの引っ越しが無事に終わったあとも、時折彼女の会社に遊びに来たり、年長者として幽霊ちゃんたちに助言を与えたりしている。

こん

ミコの従者をしている子狐の少年で、こん太とは双子の兄弟。ふだんは頭に葉っぱを乗せた子狐の姿をしているが、左目が前髪で隠れた人間の少年の姿に化けることができる。ミコの命令を受けて伏原と倉橋サツキの家に引っ越しをうながす手紙を送り付け、その報告をミコにした。幽霊ちゃんたちともすぐになかよくなり、時折いっしょに遊んでいる。

こん太

ミコの従者をしている子狐の少年で、こんとは双子の兄弟。ふだんは頭に葉っぱを乗せた子狐の姿をしているが、右目が前髪で隠れた人間の少年の姿に化けることができる。ミコの命令を受けて伏原と倉橋サツキの家に引っ越しをうながす手紙を送り付け、その報告をミコにした。幽霊ちゃんたちともすぐになかよくなり、時折いっしょに遊んでいる。

天ヶ瀬 香織 (あまがせ かおり)

伏原の旧友で、実家が不動産屋を営んでいる女性。ロングヘアで左目の下に泣きボクロがあり、白衣をまとっている。霊感が強い家系に生まれ、当初から伏原が何かに憑かれているのではないかと心配していた。幼少期からミコのことが見えており、先祖がミコの住む神社に世話になっていた縁で、時折ミコの小間使いを務めている。ふだんからミコの依頼を通して、凶相の悪い影響が出て困っている人間に引っ越し先となる物件を紹介しており、住んでいたアパートが火事になってしまった伏原にも新しい物件を紹介した。喫煙者。

コハル

伏原と倉橋サツキが引っ越してきた、訳ありマンションの管理人を務める女性。ロングヘアで眼鏡をかけた巨乳美女で、控えめでおっとりした性格をしている。伏原たちにも礼儀正しく接しているが、その正体は幽霊で、訳あってマルベリー・ヴェローナの部屋に通い、時折様子を見に来ては彼女の世話をしている。生まれてすぐに両親に捨てられて孤独に生きるマルベリーのことを心配しており、彼女に頼まれる形で伏原に紹介し、二人を引き合わせた。これ以降はマルベリーだけでなく、留守番をしている幽霊ちゃんとみゃーこの面倒を見ることもある。また、アメリアがやって来た際には、彼女が世間知らずで人間としての接し方を知らないことを指摘したうえで、伏原家からマルベリーの家に移るように提案して面倒を見るようになった。優しく面倒見もいいことから周囲からの信頼は厚く、特にマルベリーとアメリアからは慕われている。

マルベリー・ヴェローナ

人間と悪魔族の一種である「死神」のあいだに生まれたハーフの少女。伏原たちの新居であるマンションで暮らしている。愛称は「マル」。黒のロングヘアで、右側の一部が欠けた二本角を頭に生やし、悪魔の尾のような黒い尻尾が生えている。俗世の物には興味がなく、殺風景な部屋で一人暮らしをしており、時折様子を見に来てくれるコハルの世話になっている。死神の鎌を出せるが、サイズがまったく合っていないために一人で持つことすらできない。人間の心に溜まっているストレスを取り除いて食べることもできるが、味はおいしくないと思っている。人間と死神のあいだに生まれた禁忌の存在であったばかりに、魔界で生まれたあとすぐ人間界に捨てられ、一人でさまよっていたところを、コハルに救われる。そのため、両親の顔を見たことがなく、人間の魂を狩った経験もない。人間界にもなかなかなじめず、ここ数年は一人で部屋にこもりがちになっていた。しかし伏原には珍しく興味を示し、会いたいとコハルに頼んで対面した際に、伏原の心から負の感情やストレスの塊を取り除いたことで親しくなり、すっかり気に入っている。見た目は幼いが精神年齢は幽霊ちゃんやみゃーこよりも高めで、伏原に近づきやすくするために彼女たちを飼いならそうともくろみ、手土産として持参した魔界の名物を振る舞って手懐けることもあった。幽霊ちゃんたちをからかったり、見下したような態度を取ることもあるため、彼女たちからは意地悪と誤解されがちだが、本音では大切な友人と思っている。ふだんは無表情で感情表現にも乏しいが、いつも心配してくれるコハルや慕っている伏原の前では、甘えたような態度や笑顔を見せることがある。生まれた時から言語を理解できる魔族であるために、周囲の態度や言動から自分が生まれてきてはいけない存在であることを自覚しており、人間界で何度か人間の優しさに触れるうちになかよくなりたいと思うようになる。しかし魔族であるばかりに、触れた人間が傷ついて倒れてしまうのを悟って苦しみ、人間たちに恐れられるのが耐えられなくなった末に、自らの角を片方だけ折って爪を剥ぐことで人間に近づこうとする。これにより悪魔族としての能力をほとんど失うものの、結局は人間たちから拒絶されてしまったことで居場所が人間界にもないと悟り、人間に近づくことなく一人きりで生きていた過去を持つ。

春日井 (かすがい)

伏原と同じ会社に勤務する上司の女性。クールビューティのキャリアウーマンで、伏原からもひそかに尊敬やあこがれを抱かれている。いつも冷静ながら、本来はかわいいものが大好きで、自宅では四匹の犬を飼ってかわいがっている。ふだんは標準語で話すが、素の口調は博多弁。人ならざる存在を見ることができ、ある日の仕事中に伏原が幽霊ちゃんといっしょにいるのを目撃する。伏原を通して幽霊ちゃんの事情を知るものの、当初は二人に対して厳しい態度を取って幽霊ちゃんを恐がらせてしまい、涙目になっている彼女のかわいさに負けて素が出てしまう。これ以来、時折会社に現れた幽霊ちゃんたちに癒してもらうなど交流を深めては、伏原の嫉妬を買っている。マルベリー・ヴェローナが魔界から連れて来たペットの魔物に自分の席で遭遇した時は、その魔物の禍々しい見た目に怯えて半泣きになっていた。

志乃 (しの)

伏原と同じ会社に勤務する後輩の女性。幽霊は見えないが、非常に臆病な性格をしている。取引先から急な発注を受けて徹夜で仕事をしていた時に、幽霊ちゃんの声や気配をうっすらと感じ取っており、彼女が作った夜食のおにぎりが机に置かれているのに気づく。しかし幽霊ちゃんの姿を見ることはできないため、伏原が気を遣ってくれたのだとカンちがいしていた。

課長 (かちょう)

伏原が勤務するブラック企業の上司の男性。短髪で眼鏡をかけている。粗っぽい口調で話し、部下たちへの態度は粗雑で厳しく、時には暴言を吐いている。伏原に無茶なスケジュールや無理難題を押し付けたり、理不尽な理由で叱責したりするなど、彼女がなかなか社畜から抜け出せない元凶ともいえる人物。

ユキコ

雪女・ユキノの娘である雪幼女。コロポックルに似た小さな妖精のような黒髪の幼女の姿をしており、アイヌ民族風の衣装をまとっている。まだ幼いため、人語を片言でしか話せず泣き虫な一面もあるが、素直で家族思いな性格をしている。ユキノの帰郷で伏原の住む街を訪れていたところ、父親の雪男とはぐれて迷子になっていたが、伏原たちに保護されて無事に再会できた。その後はユキノとも合流し、伏原たちに感謝を告げながら故郷の雪国へ帰って行った。

ユキノ

寒国に伝わる雪女の末裔で、ユキコの母親。白い和服をまとったロングヘアの美女の姿をしており、体の一部を鋭い氷に変えることができる。他人に厳しく、特に家族を害する者には容赦しない。その一方で身内には非常に甘く、娘のユキコと夫の雪男を溺愛している。幽霊とは異なる存在であるため、ふつうの人間も視認や会話が可能だが、幼少期のトラウマで人間と接するのを避けており、当初は伏原のこともかなり警戒していた。もとは伏原たちの住む地域で生まれ育ち、ミコとは幼少期からの友人。しかし、人間から迫害を受けたショックでその地から離れ、北国に引っ越した過去を持つ。夫の雪男と娘のユキコと共に、久々に故郷に戻ってきた際に、家族が伏原にたぶらかされたと誤解して命を狙うものの、伏原本人やミコの説得によって誤解が解けた。この際にミコの話を通して、伏原のような思いやりのある人間もいることを実感し、彼女たちに感謝を告げながら家族と共に北国へ帰って行った。

雪男 (ゆきおとこ)

寒国に住む雪男で、ユキコの父親。全身が白い体毛に覆われた姿をしている。見た目は強面で少々怖く見えるが礼儀正しくおおらかで、家族を愛する優しく温厚な性格をしている。妻のユキノとは異なり、初対面の人間が相手でも好意的に接する。ふだんは家族で北国に住んでいるが、ユキノの帰郷のために伏原たちの住む街に訪れていたところ、いっしょにいたユキコとはぐれてしまい、娘を保護してくれた伏原たちに出会った。ユキコと共に幽霊ちゃんたちに街を案内してもらったあと、伏原の家でユキノと合流し、感謝を告げながら故郷の雪国へ戻って行った。

アメリア

世話好きな元・人間の幽霊の少女。赤みがかった茶髪のロングヘアを二つのおさげにまとめた、修道女の姿をしている。信仰心が強く優しい性格で、誰にでも礼儀正しく接して敬語で話す。一方で少々世間知らずなところがあり、幽霊として人間とかかわる方法をよくわかっていない。宗教の勧誘のために伏原の家を訪問し、彼女に気に入られてしばらくは伏原家の世話になりながら、家事や身の回りの世話を担当していた。当初は幽霊ちゃんとみゃーこから対抗心や嫉妬心を抱かれていたが、彼女たちにお菓子をあげたり伏原の新しい癒し方を教えたりするうちになかよくなった。幽霊としてのあり方をまだよくわかっていないことをコハルに指摘され、のちに彼女の提案で伏原家からマルベリー・ヴェローナの家に移住することになる。その後はマルベリーと友人になり、時折様子を見に来てくれるコハルの世話になりながら、彼女たちから人との正しい接し方を学んでいる。

小太郎 (こたろう)

伏原の家の近所に住んでいるオスの成猫。左目に複数の傷痕を持ち、不良っぽい口調で話す。なんの能力も持たないふつうの野良猫だが、殺伐とした生活を送っているためにケンカが強く、買い物帰りのみゃーこを襲撃し、彼女から食べ物を奪っていた。このため、みゃーこからは敵意を抱かれ、黒猫の姿の彼女と決闘することになるが難なく勝利する。子猫の頃、親から離されて人間に飼われるようになるものの捨てられてしまった過去を持つ。過酷な子猫時代を生き抜いてきたために荒んだ性格になっているが、親の顔を知らず似たような過去を持ち、野良猫の過酷な暮らしをよく知るみゃーこからは理解されるようになった。食べ物を奪っていたのも、かつての自分と同じように捨てられた子猫たちに、食料を分け与えるためであった。これらの事情を知ったみゃーこや伏原、幽霊ちゃんの協力を得て、子猫たちは信頼できる里親に飼われるようになるが、みゃーこの顔をいつでも見に行けるようにしたいという理由で、人に飼われることなく野良生活を続ける道を選んだ。

書誌情報

社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。 10巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉

第8巻

(2022-10-12発行、 978-4757581975)

第9巻

(2023-05-11発行、 978-4757585669)

第10巻

(2023-12-12発行、 978-4757589551)

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