あらすじ
第1巻
中学1年生の大鳳鷹志は、家族でアフリカへ移動中、飛行機事故により海に落ちてしまう。そこを偶然通りがかったファントムに救出されるが、鷹志が保護されたのは、カークランド公国軍と戦争中のマンマルーク王国軍の空母だった。さらに鷹志は機密事項を知ってしまった事で、戦争が終わるまで家には戻れないと言われ、途方に暮れる。そんな鷹志の後ろ向きな態度に嫌気がさしたファントムは、衝動的に鷹志を殺そうとするが、ゲームであればファントムにも負けないという鷹志の言葉に興味を持ち、突如鷹志を自分の戦闘機に乗せる。そのゲームは、目隠しをした状態のファントムに鷹志が指示し、無事に空母まで戻る事ができれば、鷹志の勝ちというものだった。困惑する鷹志だったが、そこに敵の戦闘機が現れ、鷹志達の戦闘機は墜落しかけてしまう。どうにかして生き延びたい鷹志は、以前ゲームで得た知識を活かしてファントムのサポートに成功。2人は無事帰還する。そして鷹志の腕を見込んだファントムは、なんと鷹志を、自分の副操縦士にしたいと言い出す。こうして鷹志とファントムは、ペアを組んで戦場に出る事となる。
第2巻
大鳳鷹志は、ファントムに無理やり戦闘機の副操縦士に任命され、わけがわからぬままにマンマルーク王国軍の一員として戦場に出る事になってしまう。困惑しつつも前向きに現状を受けとめようとする鷹志だったが、ある日、戦闘中に大ケガをしたパイロットを目撃して、怖気づいてしまう。脱走を決意した鷹志は、基地へ向かう輸送機に忍び込むが、輸送機が敵国のカークランド公国軍に襲われてしまう。しかし、そこに助けに現れたのは、ファントムの乗るボーイングF-4ファントムⅡであった。鷹志は輸送機からファントムに指示をし、鷹志の手腕により、ファントムはカークランド公国軍に見事勝利。ファントムとの絆も深まり、空母に戻る事を決意した鷹志だったが、戻ってすぐ、遅れて合流した女性パイロットのミラージュから衝撃の事実を聞かされる。なんとマンマルーク王国とカークランド公国の戦争は、長引きすぎた結果、スポーツの試合のような雰囲気に変わってしまい、現在では原則、敵兵の命を奪う事はせず、純粋に技術を競い合って勝負しているのだ。拍子抜けした鷹志は、改めてマンマルーク王国軍の一員として戦う事を決意する。
第3巻
ついにマンマルーク王国軍の傭兵として正式に契約した大鳳鷹志は、ファントムら仲間と共に、マンマルーク王国のサウスウイング基地へ向かう事になった。しかし鷹志を待っていたのは、外国人傭兵部隊の隊長であるトムの、鷹志を仲間として認めないという厳しい態度であった。なんとしてもトムに自分を認めさせたい鷹志は、ファントムと組んで、トムに模擬戦を挑む。見事勝利を収めた鷹志とファントムだったが、トムのファントムに関する過去の発言にファントムは激怒する。トムを殴った事によりファントムは独房に入れられてしまい、ファントムが怒った理由を知りたい鷹志は、トムにファントムの過去を尋ねる事にする。しかしトムが語ったのは、なんとファントムはかつて傭兵として参加した戦争で、鷹志と似た雰囲気の少年、フランと出会い、彼を相棒にしていっしょに戦闘機に乗っていたというものだった。
第4巻
時は5年前にさかのぼる。アフリカ中央部の小さな国で、傭兵として内戦に参加したファントムは、現地で知り合った少年のフランとその兄弟と知り合い、親交を深めていた。しかし、ロシア人傭兵のベルクトが遅れて入隊して来た頃から国の情勢はなぜか悪化し、フラン達の周囲には、不自然に多くの武器が出回るようになる。フラン達兄弟を案じたファントムは、ある日、彼らを基地に泊めるが、ファントムが戦いに出ているあいだに兄弟全員が殺され、国そのものも滅ぼされてしまうのだった。時は現在に戻り、ファントムの過去を知った大鳳鷹志は、ファントムが自分とフランを重ねているのだと理解し、ファントムの相棒として、改めてファントムの支えになる事を誓う。そして鷹志は、いまだ鷹志を認めない外国人傭兵達に自分の実力を見せるため、ファントムのライバルでもあるジャガーとチキンレースを行う事になる。ジャガーの行動を読んで勝利した鷹志は、ついにサウスウイング基地の兵士達に認められる事となる。
第5巻
サウスウイング基地の兵士達に認められた大鳳鷹志は、ついに「狩り」と呼ばれるカークランド公国との戦いに参加する事になった。殺し合いではなく、あくまで撃墜数を競い合う「狩り」の中で、鷹志は仲間達の実力を改めて実感するが、唯一勝負を楽しむ事なく、淡々と戦うイーグルの悲しげな姿が気にかかってしまう。さらにその時、カークランド公国軍側にミサイル搭載機が現れ、突如マンマルーク王国軍を狙い始める。格闘戦のみを行い、命は狙わないというルールを破られて困惑する鷹志だったが、鷹志の機転とファントムの技術により、2人はどうにかミサイルをかわして生還する。しかし、その途中で大ケガを負ったファントムは、意識不明の重体に陥ってしまう。
第6巻
「狩り」から1週間。いまだファントムの意識は戻らず、責任を感じた大鳳鷹志は、ひたすら訓練に打ち込んでいた。一方その頃トムは、カークランド公国軍のエースパイロットであるトーネードと密会し、「狩り」でミサイル搭載機を持ち出した犯人の情報を交換し合っていた。そんなある日、鷹志達の暮らすサウスウイング基地に、マンマルーク王国軍のレーダー基地であるキーンビーク基地が爆撃されたとの情報が入る。これまでの平和な戦いが終わり、本格的な殺し合いが始まる事を察したミラージュは、鷹志を日本へ帰す事を決意。鷹志はそれに従い、ロッキードマーチンF-16ファイティングファルコンに乗って基地を去る。しかしその途中、謎の黒い戦闘機の群れを発見した鷹志は、それこそがカークランド公国の爆撃機であると察する。サウスウイング基地に連絡し、一人追撃を決意した鷹志はどうにか2機を撃墜するが、そこにもう1機が現れ、絶体絶命の危機に陥る。しかし、そこに現れて鷹志を助けたのは、連絡を受けてやって来たファントムであった。ファントムと再会し、共に戦う意思を固めた鷹志は日本へ帰るのをやめ、ファントムと共にサウスウイング基地へ戻るのだった。
第7巻
カークランド公国の爆撃機の存在にいち早く気づき、サウスウイング基地の面々を守る事に成功した大鳳鷹志。カークランド公国と戦う決意をした鷹志は、ファントムに反対されるが、それでも意志を曲げず、とうとうファントムも折れる。一方その頃、カークランド公国皇子のジョルジュ=T=カークは戦争に反対する国防長官を殺害し、国王を投獄。ロシアから連れて来た「北の民(ロシアン)」という軍団と共に、マンマルーク王国への本格的な攻撃を開始しようとしていた。そんな中、サウスウイング基地に、突如イーストウイング基地の兵士達が運び込まれて来る。なんとカークランド公国からの突然の攻撃を受け、イーストウイング基地は壊滅、さらに制空権を取られないよう上空を回っていたトムは撃墜され、ジャガーは行方不明、イーグルだけが帰還という大変な事態に陥ってしまう。鷹志はトムを助けるため、イーストウイング基地からやって来た少女パイロットのハリアーと共に、コンバット・レスキューを行う事になる。自分とは真逆の好戦的なハリアーに鷹志は戸惑うが、なんとか共にカークランド公国軍を倒し、トムの救出に成功する。
第8巻
大鳳鷹志はトムのコンバット・レスキューに成功したものの、どうしても人に向かって撃つ事を肯定できず、どうすればいいのか思い悩んでいた。そんな中、ミラージュからハリアーの過酷な過去について聞かされた鷹志は、操縦者を殺害するのではなく、機体を破壊して戦闘不能にするという戦い方で、2国の戦争を終わらせる事を誓う。そしてそこにとうとうジョルジュ=T=カークが、「北の民(ロシアン)」を率いてやって来る。敵軍にはハリアーの両親を殺した者やベルクト、さらに亡くなったはずのフランまでがおり、鷹志達は苦戦を強いられる。それでもどうにかファントムはフランを倒し、鷹志と共に諸悪の根源であるベルクトのもとへ向かう。一方その頃、2国の戦いの様子は、日本のテレビで中継されていた。偶然それを見ていた鷹志の両親は、鷹志の姿を発見して驚く。日本にいた頃とはまるで別人のように成長した鷹志は、それを知る由もなく、敵のもとへ飛び込んでいく。
登場人物・キャラクター
大鳳 鷹志 (おおとり たかし)
中学1年生の日本人男子。前髪を目の上で切った、茶色のショートカットヘアにしている。マンマルーク王国軍にやって来た当初は、臆病な子供な事からファントムには「チキン」と呼ばれる事もあった。しかし戦いを経て成長し、やがてロッキードマーチンF-16ファイティングファルコンに乗ってマンマルーク王国軍を救った事から、あだ名は「チキン」から「ファルコン」に変わった。 成績は優秀だが、気が弱く泣き虫な事から、思った事をなかなか口に出せない内向的な性格。ある日、両親とアフリカに移住する途中、飛行機が墜落。海に漂流していたところをファントムに助けられ、ファントム達が生活するマンマルーク王国軍の空母に保護される。しかし、そこで機密事項を知ってしまったため、戦争が終わるまで家に帰れなくなってしまう。 だが、途方に暮れていたところを、ファントムに戦闘機の副操縦士としての能力を見出され、無理やり戦闘機に乗せられる事になる。当初は非常に後ろ向きで、家族のもとへ帰りたいと泣いてばかりいた。しかし、ファントムと共に戦闘機に乗るうちにその魅力に目覚め、やがてパイロットを志すようになっていく。 「鷹の眼(ホーク・アイ)」と呼ばれる類まれなる空間把握能力を持ち、マンマルーク王国軍に来た当初は、その力を活かしてファントムの副操縦士としてサポートを行っていた。やがて自分自身もパイロットになりたいと考え、ファントム達の指導を受けながら一人前になっていく。その後、カークランド公国との本格的な戦争が始まってからも、あくまで人間を狙って打つ事はせず、敵の機体を撃って戦闘不能にする事で勝つという戦い方を貫く。 趣味はゲームで、戦闘機の操縦もゲームで覚えた。学校では特に英語が得意で、日常会話レベルの英語を問題なく話せる。家族との関係はあまり良好でなく、中学校ではいじめられっ子だった。そのため、日本での暮らしにはあまりよい思い出はない。 1988年4月16日生まれで、血液型はA型。泳ぎは苦手。
ファントム
大鳳鷹志を保護した、マンマルーク王国軍の外国人傭兵の若い男性。マンマルーク王国軍におけるエースパイロットで、イーグルら同様、戦争に参加する際に国籍と名前は捨てており、現在は「ファントム」のニックネーム... 関連ページ:ファントム
イーグル
マンマルーク王国軍の外国人傭兵の若い男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、水色のショートカットヘアにしている。本名は「鷲ノ谷」という日本人だが、傭兵として戦争に参加するにあたり、名前と国籍は捨てたため、現在は「イーグル」というニックネームで呼ばれている。沈着冷静で、自分にも他人にも厳しい性格。そのため一見冷たく見えるが、実際は面倒見がよく親切な人物。 パイロットとしても、つねに正確で落ち着いた、確実な戦法で勝利する。かつては日本の自衛隊に所属していたが、ある日、仲間と共に戦闘機で移動していたところ、領空侵犯をして来たロシア機に発砲され、仲間を殺害されてしまう。さらにその際、イーグルの方から発砲したと濡れ衣を着せられ、自衛隊を去った。 大鳳鷹志とは、ファントムが鷹志を保護してきてすぐに知り合い、鷹志に戦いに関する知識を与えたりとサポートする。
ミラージュ
マンマルーク王国軍の外国人傭兵の1人。マンマルーク王国軍における女性NO.1パイロットの若い女性。フランス人だが、イーグルら同様、戦争に参加する際に国籍と名前は捨てており、現在は「ミラージュ」のニックネームで呼ばれている。その高い技術から「空の女王(エアフォース・クイーン)」と呼ばれている。前髪を目の上で切った、青いショートカットヘアにしている。 スタイル抜群で胸が大きい。男勝りだが心優しく、包容力あふれる性格。大鳳鷹志がマンマルーク王国軍の空母に保護された際には別行動を取っており、空母内にはいなかったが、ある日、空母に戻る途中にファントムの乗る「ボーイングF-4ファントムⅡ」を発見し、遊びで勝負を仕掛けてくる。 しかし鷹志のナビにより敗北し、鷹志に関心を持つようになる。鷹志にとっては、マンマルーク王国軍にやって来て初めて不安を打ち明けることのできた存在で、共に戦ううち、姉弟のような関係となっていく。かつてはフランス空軍の凄腕曲芸団「パトルイユ=ド=フランス」の一員だった。ある日、曲技中に仲間の戦闘機が観客のもとへ落下し、多くの死者を出した事から「パトレイユ=ド=フランス」を去り、外国人傭兵として生きるようになった。 特技はナイフ投げ。
タイガー
マンマルーク王国軍の外国人傭兵の壮年の男性。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を後ろに向かって流している。イーグルら同様、戦争に参加する際に国籍と名前は捨てており、現在は「タイガー」のニックネームで呼ばれている。顔の左側に、額から顎まで続くほどの長さの大きな傷跡を持つ。自らを「空の野獣」と名乗る、気が強く好戦的な性格。 しかしドジな一面もあり、ある日、大鳳鷹志らと共に基地へ移動中、誤ってぶつかった鷹志とファントムの乗るボーイングF-4ファントムⅡをよけきれずに墜落した。その後は漂流生活を送る事になってしまい、カークランド公国との決戦でようやく合流する。
トム
マンマルーク王国軍の、外国人傭兵部隊の隊長を務める35歳の男性。階級は少佐。アメリカ人だがイーグルら同様、戦争に参加する際に国籍と名前は捨てており、現在は「トム」のニックネームで呼ばれている。誇り高く、気真面目で自分に厳しい性格。アメリカ海軍時代もエースパイロットとして名を馳せており「ワイルドキャット・トム」の異名を持つ。 地道な努力で現在の地位にたどり着き、指揮力も高い事から一見完璧な人物に見えるが、実は女性に縁がないまま35歳になってしまった事に強いコンプレックスを感じている。そのため軍人としては非常にタフだが、仕事を離れて1人の男性に戻ると、途端にもろく、弱い一面も見せる。徒手格闘の教官も務めている。
ジャガー
マンマルーク王国軍の外国人傭兵の若い男性。アフリカ中央部の小さな国の出身だがイーグルら同様、戦争に参加する際に国籍と名前は捨てており、現在は「ジャガー」のニックネームで呼ばれている。色黒の肌に三白眼で、肩につくほどまで伸ばしたドレッドヘアを、大きなヘアバンドでまとめている。戦闘機のパイロットとして、隊長のトムに次ぐ実力を持ち、ファントムとはライバル関係。 ある日、サウスウイング基地にやって来た大鳳鷹志の実力を認めず、それに腹を立てたファントムとチキンレースで決着をつけようとする。そこに割って入り、自分が戦いたいと申し出た鷹志と勝負して敗北する。ミラージュに想いを寄せているが、ミラージュにあこがれるあまり、少々彼女を美化しすぎているところがある。 子供の頃、戦争で母親を亡くした事がきっかけで自国の空軍に入る。当初は敵を倒して母親の仇を討つ事を楽しんでいたが、ある日、敵国の子供が目の前で母親を亡くし、自分とまったく同じ境遇になる瞬間を目撃してしまう。その後は自国の空軍をやめ、外国人傭兵として生きるようになった。
ハリアー
マンマルーク王国軍の外国人傭兵の少女。本名は「シャルロット」だが、現在は名を捨て、「ハリアー」のニックネームで呼ばれている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした金色のショートカットへアに、父親の形見である、カークランド公国の「K」のアルファベットが付いた十字の髪飾りを付けている。金髪碧眼で色白の美少女だが、男性のような口調で話し、寡黙で表情に乏しいクールな性格の持ち主。 父親はカークランド公国の第1皇子で、本来はハリアーがカークランド公国の姫になるはずだった。しかし、父親が留学先で出会った女性と結婚して王位を捨て、その後は海外の戦地で難民援助のボランティアとして働いていたため、ハリアーはカークランド公国ではなく、戦地で育った。 しかしある日、両親がジョルジュ=T=カークに殺害され、自らも殺されかける。その際ジョルジュから「撃たなきゃ撃たれる」と言われたのがきっかけで、その言葉が口癖となる。以降、両親の仇を討つためにマンマルーク王国の兵士となり、また敵と出会えばすぐさま殺すという、冷酷無比な思考になった。戦闘機の操縦はミラージュから教わった。
ジョルジュ=T=カーク
カークランド公国の第2皇子で、王位継承権を持つ若い男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰まで伸ばしたストレートロングヘアに丸眼鏡をかけている。気難しく攻撃的で、非常に残忍な性格。アメリカのハーバード大学を首席で卒業し、政治学の分野で名を馳せたのちカークランド公国へ帰国した。しかし、現在のカークランド公国とマンマルーク王国の、敵の命は狙わず技術を競い合って戦う、という戦争のあり方に疑問を感じている。 そのため、2国を本格的な戦争状態にするため、2国の戦闘中にミサイル搭載機を送ってマンマルーク王国軍を攻撃し始めたり、ロシアから「北の民(ロシアン)」と呼ばれる戦闘集団を呼び寄せて、マンマルーク王国軍と戦わせたりと暗躍する。
トーネード
カークランド公国軍のエースパイロットの若い男性。通称「蒼い竜巻(ネイビブルートーネード)」。前髪を目の上で切り、胸の高さまで伸ばした癖のあるロングヘアにサングラスをかけている。ファントムに匹敵するほどの実力を持つ、カークランド公国の撃墜王。かつてはイギリス軍に所属し、英雄と謳われるほどの存在だった。トムとはその頃からの知り合い。
フラン
アフリカ中央部の小さな国に住む少年。ファントムが5年前に親しくしていた。両親を内戦で亡くしており、エリスをはじめとする兄弟達の兄として一家を支えていた。前髪を目の上で切った黒のショートカットヘアにしている。色黒な肌を持ち、下まつげが長い。明るく素直で前向きな性格で、大鳳鷹志とは真逆ながら、目だけは鷹志と似ている。 家の畑で作ったジャガイモを売って生活しており、5年前のある日、ファントム達外国人傭兵部隊のもとへ売りにやって来る。その際に見た戦闘機に強いあこがれを抱くようになり、やがて親しくなったファントムの厚意で、いっしょに戦闘機に乗るようになる。ファントムにあこがれており、将来はファントムの相棒として戦いたいと考えていた。 しかし、ベルクトとそのバックである兵器会社の陰謀により内戦が激化し、エリスら兄弟と共に殺されたと思われていた。だが実際は生きており、ベルクトに拾われていた。その後はベルクトに殺人の方法などを学び、自身に空へのあこがれを抱かせたファントムに強い恨みを抱きながら、ベルクトの手先として動いている。現在は全身に包帯を巻いた痛々しい姿になっている。
エリス(故人)
アフリカ中央部の小さな国に住む少女で故人。ファントムが5年前に親しくしていた。両親を内戦で亡くしており、長男のフランの妹として、子供達だけの一家を支えていた。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアを、高い位置でまとめたツインテールにしている。ファントムにあこがれており、将来はファントムと結婚したいと考えていた。 しかし、ベルクトとそのバックである兵器会社の陰謀により内戦が激化し、フランら兄弟と共に殺されてしまう。
ベルクト
5年前、ファントム、ミラージュ、トム、タイガーが参加していた外国人傭兵部隊に遅れて入隊した壮年の男性。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪をし、額に大きな十字傷がある。がっしりとした筋肉質の体型をしている。戦闘機のパイロットとして素晴らしい腕前を持ち、実戦慣れした無駄のない動きで敵を倒す。その強さと、操縦している黒い戦闘機「スホーイS-37ベルクト」から、「ベルクト」と「黒い葬儀屋」という2つの異名が付いた。 正体は兵器会社と契約している戦争屋で、戦争している小国に格安で契約先の会社の武器をばらまき、その強さを世界にアピールしている。5年前も、内戦中のフラン達の国に武器を与え、戦いを激化させた結果、最終的には滅ぼした。 現在はカークランド公国に力を貸しており、フランと共に大鳳鷹志の前に立ちはだかる。
場所
マンマルーク王国 (まんまるーくおうこく)
ファントム達が傭兵として所属している島国。国王はマンマルーク国王8世。美しい青空と海を持つ南国で「鳥たちの楽園(バードランド)」「天国に一番近い島」とも評されている。第二次世界大戦の頃から、60年以上にわたりカークランド公国と戦争を続けている。ダイヤモンドの産出国として有名で、莫大な戦争の費用はマンマルーク鉱山で採れる天然ダイヤモンドで賄っている。
カークランド公国 (かーくらんどこうこく)
60年以上にわたりマンマルーク王国と戦争を続けている島国。大公はカーク8世で、現在、王位継承権を持つ王子はジョルジュ=T=カーク。しかし、本来はハリアーの父親が王位を継承する予定だった。金の産出国として有名で、戦争の資金はカークランド鉱山で採れる金で賄っている。
マンマルーク王国軍空母 (まんまるーくおうこくぐんくうぼ)
漂流した大鳳鷹志が連れて来られたマンマルーク王国軍の空母。全長323メートル、全幅76メートル、タンカーを改造し、キティホーク級空母に似せて作られた。艦載機は60機、兵員は4000名、総排水量は8万6000トン。改造が施されており、本来空母に載せる事はできないボーイングF-15イーグルも搭載できる。
その他キーワード
ボーイングF-4ファントムⅡ (ぼーいんぐえふふぉーふぁんとむつー)
ファントムが操縦する戦闘機。ファントムはかつて親しくしていた少女のエリスの名前から取って「エリス」と名付けて大切にしている。機体自体の別名は「F-4E」。旧マクダネルダグラス社の開発した超音速艦上戦闘機。アメリカやイギリス、日本など世界12か国に配備され、生産数は5129機を誇るジェット戦闘機の最高傑作。 初飛行は1958年とやや古い機体だが、エリスはアップデート改修を行い、エンジンと電子装備をパワーアップさせている。そのため、最新の戦闘機並みの機能を持つ。全幅11.71メートル、全長19.2メートル、全高4.98メートル、翼面積49.24平方メートル、自重13.8トン。最高速度はマッハ2.4。
ボーイングF-15イーグル
イーグルが操縦する戦闘機。別名は「F-15C」。旧マクダネルダグラス社の開発した大型制空戦闘機。強大なエンジンと大きな翼の大揚力により、空中戦に非常に強い。初飛行は1972年。全幅13.05メートル、全長19.43メートル、全高5.63メートル、翼面積56.5平方メートル、自重12.97トン。最高速度はマッハ2.5。 空の王者ともいえる世界最強の戦闘機だが、非常に高価である事でも知られている。通常は空軍所有の機体という事もあり海軍の空母には載せられないが、イーグルの機体とマンマルーク王国軍の空母は改造を施された特別仕様なため、載せられている。
ノースロップ・グラマンF-5EタイガーⅡ
タイガーが操縦する戦闘機。同盟国への供与を目的に作られた、小型軽量安価な機体だが、性能は高い。初飛行は1972年。全幅8.13メートル、全長14.68メートル、全高4.16メートル、翼面積17.3平方メートル、自重4.43トン。最高速度はマッハ1.6。
ノースロップ・グラマンF-14トムキャット
トムが操縦する戦闘機。最強の迎撃戦闘機として、コンピュータ自動制御の可変翼、探知距離200キロを超えるレーダー、24個の目標を追尾できる火器管制装置、そして射程180キロを誇るAIM-54フェニックスミサイルを持つ。しかし非常に高価で、フェニックスミサイル1発でも数億円する。初飛行は1970年。全幅は後退角20度で19.54メートル、後退角68度で10.12メートル、後退角75度で10.05メートル。 全長18.86メートル、全高4.88メートル、最高速度はマッハ2.34。
スホーイS-37ベルクト
ベルクトが操縦する戦闘機。ロシアの第5世代ジェット戦闘機の技術実証機。現在、実用化に向けて試験中の機体で、詳細なデータは公表されていない。しかし、現用のすべての戦闘機を上回る機動力を持つと噂されている。初飛行は1997年。全幅16.7メートル、全長22.6メートル、全高6.4メートル、翼面積は56平方メートル、総重量は25.67トン。 最高速度はマッハ2.1。
SEPECATジャギュア
ジャガーが操縦する攻撃機。別名は「ジャギュアGR.1A」。英仏共同開発の攻撃機で、構造は簡単だが、頑丈で信頼性が高く、湾岸戦争などでその力を発揮した。初飛行は1968年。全幅8.69メートル、全長16.83メートル、全高4.89メートル、翼面積24.18平方メートル、自重7.7トン。最高速度はマッハ1.6。ジャガーが使用するMSインターナショナル型はジャギュアの中でも最新仕様で、新型エンジンや赤外線監視装置を積んでいる。
ロッキードマーチンF-16ファイティングファルコン
大鳳鷹志が操縦する戦闘機。別名は「F-16Cブロック50」。ロッキードマーチン社製で、4000機以上生産されている世界的なベストセラー。高い運動能力を持つ空戦のスペシャリストとして知られている。鷹志が使用しているものは、マンマルーク王国軍がカークランド公国軍に攻撃を開始したのを機に、鷹志がこれ以上サウスウイング基地にいるのは危険と判断したミラージュが鷹志に与えた。 本来、鷹志はこれに乗って日本へ帰還する予定だったが、その移動中にカークランド公国軍の爆撃機を偶然発見した鷹志は帰るのをやめ、爆撃機の追撃を行った。サウスウイング基地に戻って以降は鷹志の愛機となる。全幅9.45メートル、全長15.03メートル、全高5.09メートル、翼面積27.87平方メートル、自重8.58トン。 最高速度はマッハ2。
クレジット
- 原案協力
-
川瀬 浩