あらすじ
第1巻
黄の国に双子の王子と王女が生まれた。しかし、王子は「その痣を持つ者が死ぬ時、国が滅びる」とされる呪いの痣を持って生まれてきた。そのために王子レンは幽閉され、わずかな機会に王女リンと接触するだけの暮らしを送っていた。のちにレンは城からも追われ、ルカとメイという二人の師に、文武の道を学ぶ。やがて、父親である国王の死を受け、レンはリンを守りたいというただその一心から城に戻る。そしてリンとの再会を喜ぶのもつかの間、王位を狙ってリンに刺客を放った疑いで、レンは王弟を暗殺する。だがリンに対して刺客を放ち、王弟に疑いの目を向けさせた真犯人は、もう一人の野心家ゴンドール公であった。
第2巻
お忍びで城下に遊びに行くようになったリンは、孤児院で暮らすミクという少女と友人となった。ミクの正体は、占い師の友人の人形師によって作られた歌う人形だったが、その事実はミク自身も知らなかった。そんな中、経済的に窮乏した黄の国は、ゴンドール公にそそのかされ、豊かな隣国・緑の国に侵攻して民の抹殺を開始する。緑の髪を持つミクは、緑の国の民と誤認され、レンの手によって剣で刺し貫かれてしまう。
登場人物・キャラクター
レン
黄の国の王子として生まれた少年。リンとは双子同士。生まれながらに背中に大きな痣があり、これは占い師の予言によって「国を滅ぼす呪いの痣」であるとされている。そのため王位継承権を剥奪され、一介の召使いとしてリンに仕える立場にいる。リンに対し、深い愛を抱いている。
リン
黄の国の王女として生まれた少女。レンとは双子同士。王位継承権第1位であるが、正式に王位に即いてはおらず、母親である王妃が摂政を務め、実質的には傀儡の権力者の地位にいる。年相応の感受性を持った普通の少女であるが、レンに対し深い愛を抱いている。民衆からは暴君であると信じられており、「悪ノ娘」とあだ名されている。
ミク
占い師が知人の人形師に依頼して作らせた歌う人形。ただし、外見そのほかの特徴はまったく人間の少女そのものであり、その正体を見抜く事のできる人間はまずいない。城下をお忍びで歩くリンに接近して親しくなるが、その真の目的は、レンとリンの精神的な絆を裂く事にあった。歌い手として世間的にも比較的知られた存在で、民衆から「緑の歌姫」と呼ばれている。
カイト
青の国の王子で、レンやリンよりはかなり年上。リンの許嫁であり、彼女が幼少の頃から交流があった。母親が王である父親によって殺害されるなど、自身の王家において難しい立場にあり、自ら王位継承権を放棄する事と、それと同時にリンとの婚約を解消する事をリンに告げる。
ルカ
黄の国の若い女性貴族で、伯爵の地位にある。城から追われたあとの、幼少期から少年時代にかけてのレンの教育係を務め、彼には自分の事を「ルカ先生」と呼ばせていた。友人のメイとレンを引き会わせ、彼女をレンの剣の師匠とした。外見はリンによれば美しいと評されている。
メイ
「赤き鎧」と呼ばれる、処刑人の一族の娘。黄の国に仕え、現役の処刑人として働いている。剣の達人でもあるため、ルカから紹介されてレンの剣の師匠となった。基本的に黄の国においては処刑人は忌み嫌われる存在であり、宮廷に出ても軽んじられ、また民衆からは「首斬りメイ」と呼ばれ嫌われている。外見はリンによれば美しいと評されている。
国王 (こくおう)
レンとリンの父親で、黄の国の国王。小国だった黄の国を一代で大国とした英傑ではあるが、そのために利用した占い師を殺そうとした事で恨みを買い、占い師によって子供たちに呪いをかけられた。リンを王位継承権第1位に指名したあと、病死する。
王妃 (おうひ)
レンとリンの母親で、黄の国の王妃。夫であった国王の死後、その遺志を忠実に守り、リンを仮の権力の座に就け、自身は摂政を務めている。王弟とは敵対し、ゴンドール公には信を置いているが、実はそのゴンドール公に命を狙われ、長期にわたり遅効性の毒を盛られている。母親としての情愛はほとんど感じさせない、冷徹な人物。
王弟 (おうてい)
黄の国の国王の弟であり、レンとリンから見れば叔父にあたる男性。国王が王女であるリンに王位継承権を与えたため、繰り下がって第2位の王位継承権を持つ。そのため、リンに嫉妬と憎しみを抱いており、その関係は険悪であった。リン暗殺未遂の事件のあと、犯人であるという疑いをかけられ、王妃の指示を受けたレンによって暗殺された。
ゴンドール公 (ごんどーるこう)
黄の国で公爵の地位にある中年男性で、第3位の王位継承権を持つ。権力への野心を抱いており、リンを傀儡として陰の権力者となり、さまざまな陰謀を巡らせる。リンに刺客を放ってその罪を王弟に着せる、長期間にわたって遅行性の毒を王妃に与え続けるなど、その手口は巧妙。
占い師 (うらないし)
かつて黄の国の国王に仕えた、未来を予言する能力を持った占い師。用済みになったという事で国王はその抹殺を命じ、占い師は身体を貫かれて倒れたが、その際に国王の子供たちに呪いの痣を残す事を予言した。そのあともそのままの姿で登場し、ゴンドール公にブレーンとして仕え、王家への復讐を画策している。
クレジット
- 協力
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mothy_悪ノP
- 特別協力
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クリプトン・フューチャー・メディア株式会社