愛は地球を救う

愛は地球を救う

傷害事件を起こして通っていた女子高を退学になった藤原のえるは、二度と事件は起こさないという約束で、私立桜田門高校に転入した。だが、同じクラスの如月海と和泉空は、恋愛相談からボディーガードまでなんでも引き受ける「ボランティア」の活動にのえるを誘う。正義感が強く、曲がった事が許せないのえるの恋愛模様と、トラブル満載の学生生活を描いたドタバタ学園ストーリー。「花とゆめ」平成7年24号から平成9年20号、平成10年1号から6号にかけて不定期に掲載されたほか、「花とゆめステップ増刊」平成9年3月15日号と6月15日号、「花とゆめステップ増刊」平成10年1月15日号と8月15日号に掲載された。コミックス第3巻~第4巻には、登場人物達の中学生時代を描いたインサートエピソード「中学生編」4編が収録されているほか、コミックス第5巻にはのえるの男嫌いの姉・藤原初夏の恋愛を描いた番外編「冗談みたい 本気みたい」も収録されている。

正式名称
愛は地球を救う
ふりがな
あいはちきゅうをすくう
作者
ジャンル
学園
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

過去、親友の静枝のために来生達也を殴ったにもかかわらず、静枝本人に裏切られて女子校を退学になった藤原のえるは、もう二度と問題を起こさないという約束で、私立桜田門高校に転入した。登校初日にのえるは、達也が女生徒と揉めているところを目撃する。その騒ぎにかかわるまいとするも、同じクラスで「ボランティア」に所属している如月海和泉空に頼まれ、達也の捕獲に協力する。その際、のえるは、静枝が達也からのえるを守るために裏切ったふりをした事を知る。こうして人を信じる気持ちを思い出したのえるは、自らも「ボランティア」に加入するのだった。

だがそんな中、のえるは海を好きな鹿島桜子に捕えられてしまう。桜子に海から離れるよう脅されるも、のえるは「こんな事をしてもあなたの気持ちは伝わらない」と説教をし、以降、心を入れ替えた桜子に慕われるようになる。その後のえるが無事進級した4月、私立桜田門高校にアイドルの浅香リラがやって来る。自身が所属する事務所社長に命を狙われていたリラを、ボランティアは全力で守るのだった。

第2巻

藤原のえるの前に、如月海を好きな女子高生の幽霊が現れる。幽霊は嬉々として海の事を話すが、実際の海にはいい噂がないと知り失望。のえるはそんな幽霊に体を貸して、海に告白させるのだった。その告白シーンの話題で盛り上がる「ボランティア」は、夏休みに入ってすぐ、カップル狩りが多発しているというビーチを訪れる事となった。しかし危険があるにもかかわらず、海は旧友の宮嶋砂姫とデートを行う。砂姫を好きな西郷京介とのえるが共に尾行すると、海と砂姫はおとりになって、カップル狩りの犯人を捕えようとしていた事が判明。海はのえるを危険に巻き込まないよう、あえて砂姫と組んだと語り、その言葉で海への想いを自覚したのえるは、海に告白して付き合い始めるのだった。

だが新学期、何者かによって校内に「あなたの望み叶えます」と書かれた紙がばらまかれると、海はのえるとの時間を削り、水沢幸子と親しくするようになる。その様子に疑問を感じたのえるは、幸子が怪しい人物と接触している姿を目撃する。その相手は、失恋した幸子の願いを叶えようとした先生だった。幸子の次の望みは、どんな手を使っても海を自分のものにする事と知ったのえるは、幸子に捕らわれた海を救出に向う。

第3巻

平和な毎日が続く私立桜田門高校に、藤原のえるの姉で男嫌いの藤原初夏がやって来た。初夏はのえるが、女たらしの如月海と付き合っていると知って怒り心頭に発する。しかし和泉空の発案で、女装した海が「如月海は一人の女性を一途に思っている」と伝えた事で、いったんは納得する。しかし初夏は、しつこい男にまとわりつかれていた一人の女子生徒が、その男を諦めさせるために海が自分の彼氏だと言う姿を目撃。再び海への信頼をなくす初夏だったが、そんな彼女に対して海は、のえるは特別である事を伝え、見守ってほしいと頭を下げるのだった。

第4巻

クリスマス会実施に向けて「ボランティア」は、多忙な日々を過ごしていた。そんな中、藤原のえるは生徒会長の古賀勇美から和泉空如月海が付き合っていると聞いて動揺し、事故に遭ってしまう。数日後、ケガをおして登校すると、今度は海が体調不良で休んでいた。彼の自宅に見舞いに行くと、そこには空がいて、のえるは混乱する事となる。だが大盛況となったクリスマス会のあと、のえるは海と空が両親の離婚により別々に育った姉弟だと知るのだった。

やがて迎えたバレンタインデー、海との将来について考えていたのえるは、痴漢から守ってくれた清水トオルに好意を抱き、ケーキを焼いている斉藤直美に出会う。のえるはケーキのレシピを教えてもらう代わりにトオルについて調べるが、その最中、直美はトオルに騙され下着写真を撮られてしまう。海とのえるの関係に恨みを持つトオルは、直美とこの写真を利用し、のえるを貶めようと画策する。

中学生編(第3巻~第4巻)

女子生徒に間違えられた河野健太が男子生徒に囲まれていると、不良で3年生の先輩・結城猛志が助けてくれる。しかし猛志も、健太を女子と思い込んでいた。卒業前にかわいい女の子と付き合いたいと願う猛志は、健太とも猛志自身とも親しい如月海に、健太を紹介してくれるように頼み込む。海に女装して猛志と会ってほしいと言われ、健太は快く承諾。強面の外見から、就職も決まらず落ち込んでいた猛志と、性別を偽っての付き合いが始まる。(第3巻 中学生編①)

相川深幸は小学4年生の時、友人を裏切ってしまったために、人とかかわる事に臆病になっていた。そんなある日、深幸は男子生徒にナンパされていた他校生の静枝を見逃せず助けてしまう。その後、深幸は静枝といっしょにいた藤原のえるが落とした生徒手帳を拾い、それをのえるに届ける事となった。その際、深幸の名前を知らないのえるが、「相川という奴の命令で、男子が悪さをしている」と語る。深幸には心当たりはなく、事情を知ったのえるは、いっしょに犯人を見つけ出そうと深幸を誘う。(第3巻 中学生編②)

両親の離婚を経験した和泉空は、周囲の人たちにかわいそうだと思われたくなくて、優等生を演じ続けている。そんなある日、一匹狼の相川深幸と出会った空は、深幸が空自身と同じように、自分以外を信じていない孤独な人だと見抜く。しかし2年に進級すると、深幸は別人のように明るくなっていた。空は自分ばかりが変われない事に、みじめな思いを抱く。しかも空は深幸に、弟の如月海と揉めているところを見られてしまう。苛立つ空に、深幸は拾った子猫を差し出すのだった。(第4巻 中学生編③)

如月海は、離婚した母親が再婚したいと言いだした事で困惑し、そのショックから学校にも行かず家にも帰らず、街をうろつく毎日を過ごしていた。そんなある日、海は先輩の結城猛志に、着ぐるみの中に入るアルバイトの代理を頼まれる。そこで海は、初対面の藤原のえるが、子供に頼まれて木から降りられなくなった猫を助けようとしているところに遭遇。結果、のえるは木から落下し、ケガをしてしまう。のえるの迎えが来るまでいっしょにいるうちに、海はなぜかのえるに、「来週もここに来てほしい」と言ってしまう。(第4巻 中学生編④)

登場人物・キャラクター

藤原 のえる (ふじわら のえる)

私立桜田門高校に転校して来た女子。誕生日は12月24日。非常に正義感が強く、前に通っていた女子校では、親友の静枝をだました男子生徒・来生達也を殴った事で傷害事件に発展。その時、静枝が達也の味方をしたため、裏切られたと感じたまま退学し、父のコネで私立桜田門高校に転入した。静枝と仲違いをしてしまった事で、人を信じられなくなってしまう。 また私立桜田門高校の校長と、二度と問題を起こさないと約束したため、当初は困っている人を見ても一切かかわらず、地味な学生生活を過ごそうとしていた。しかし「ボランティア」のメンバーといっしょに行動するうちに、元来の明るい性格を取り戻していく。男嫌いな三人の姉、藤原麗、藤原初夏、藤原里美に囲まれて育ったため、恋には疎く、「ボランティア」メンバーの如月海に恋愛感情を抱くようになったあとはかなり戸惑っていたが、真っすぐな性格ゆえに気持ちを持て余し、自ら海に告白した。

如月 海 (きさらぎ かい)

私立桜田門高校に通う男子で、藤原のえるのクラスメイト。クラスでは委員長を、所属する「ボランティア」では代表を務めている。両親が5歳の時に離婚したため苗字は違うが、和泉空とは姉弟である。明るく人望があり、困っている人は放っておけない性格で、女子に人気が高い。そのため「ボランティア」では、恋愛相談を中心に受けている。 なお、桜一中に通っていた中学時代は、両親の離婚や母親の再婚が原因でぐれてしまい、不良チームに所属していた。学校にも行かず、家にも戻らず、仲間の結城猛志や宮嶋砂姫と過ごしていたが、猛志の代理で着ぐるみに入るバイトをした時に、偶然出会ったのえるの前向きな考え方に影響されて、人を信じる気持ちを取り戻した。 以降、私立桜田門高校に進学してからも、他校生ののえるに恋愛感情を抱き続け、ほかの女子に告白されても付き合わず、バレンタインデーにチョコレートも受け取らないほどの徹底ぶりだった。偶然に私立桜田門高校に転校して来たのえると再会し、紆余曲折の末に付き合い始める。ちなみにのえるには、かつて着ぐるみに入っていたのが如月海本人だとは伝えていない。

和泉 空 (いずみ そら)

私立桜田門高校に通う女子で、藤原のえるのクラスメイト。クラスでは副委員長を、所属する「ボランティア」では副代表を務めている。両親が5歳の時に離婚したため苗字は違うが、如月海とは姉弟である。明るく気さくに見えるが、「天使の皮をかぶった悪魔」といわれるほどに腹黒く、「ボランティア」メンバーの相川深幸を使い走りのように扱っている。 ただそれはあくまで一面で、基本的には困っている人を放っておけない優しい性格。今は仲間を信頼しているが、桜一中に通っていた中学次代は誰も信じず、本心を隠して優等生を演じていた。しかし同じクラスだった深幸に、本当は孤独を感じている事を見ぬかれ、「気持ちは出さなくちゃわかってもらえない」と言われて、今のように明るい性格になった。 実は深幸に好意を持っているが、素直に伝えられずに、彼の恋路を邪魔したりしている。

相川 深幸 (あいかわ みゆき)

私立桜田門高校に通う男子で、藤原のえるのクラスメイト。「ボランティア」のメンバーでもある。有名企業の社長である父親と、華道の家元の一人娘である母親のあいだに一人息子として生まれた。のえるには、「ツリメのサル顔」と評されている。喜怒哀楽がはっきりした単純でまっすぐな性格。人気アイドルの浅香リラの大ファンで、リラが私立桜田門高校に転校して来た際には、彼女を大歓迎した。 かつて小学4年生の時、相川深幸自身の不注意でケガをしたにもかかわらず、深幸の母親は、いっしょにいた友達の家に「うちの子にケガをさせるなんて」と怒って乗り込んだ過去がある。結果、友達は転校する事となり、本当の事を言えなかった深幸は自責の念にかられ、以来友人を作らずにいた。 そのため桜一中に通っていた中学時代には人を拒絶していたが、そんな時に他校生ののえるに出会い、前向きに生きる事を教わった。のちに友達との誤解も解け、以降は今のように明るい性格になった。

河野 健太 (こうの けんた)

私立桜田門高校に通う男子で、藤原のえるのクラスメイト。「ボランティア」のメンバーでもある。父親は医師をしており、河野健太本人も医大を目指している。昔から温厚で優しい性格で、人を噂話や見かけで判断する事はない。桜一中に通っていた中学時代、女子に間違えられて男子に囲まれたところを助けてくれた先輩・結城猛志を励ますため、女装して付き合った事がある。 ちなみに高校生になった今も「ボランティア」の活動でよく女装しているが、周囲には違和感なく受け入れられている。

神楽 凪 (かぐら なぎ)

私立桜田門高校に通う男子で、藤原のえるのクラスメイト。「ボランティア」のメンバーでもある。古い寺の息子で霊感が強く、霊を祓う事ができる。のえるが、海が好きだという女子生徒の幽霊に出会った際には、霊がこの世に残ってしまうのは、叶えたい願い事があるためだと教えた。まじめでおとなしく「ボランティア」メンバーの中では寡黙な方で、普段は如月海や和泉空に言われた事を黙々とこなしている。

静枝 (しずえ)

藤原のえるの女友達で、のえるが私立桜田門高校に転校して来る前の高校の同級生。おとなしく優しい性格で、来生達也に騙され、薬を飲まされ襲われた。訴えるつもりだったが、達也に「親友ののえるを同じ目に遭わされたくなければ黙っていろ」と言われて口をつぐんだ。結果、のえるを裏切る形となったが、彼女が転校したあと、如月海に事実を告白。 「ボランティア」の尽力で達也を捕まえた際に、海を介した伝言で、のえるに謝罪の意を伝えた。

来生 達也 (きすぎ たつや)

私立桜田門高校商業科に通う2年生の男子。藤原のえるが転校して来た際、廊下で「子供ができた」と女生徒に責められていた。過去にはのえるの親友である静枝に薬を飲ませて襲った事がある。女子生徒達が達也を訴えないのは、薬を飲んだのがばれるのを恐れての事だった。「ボランティア」ののえると河野健太の「おとり捜査」により、悪事を摘発され、警察で保護観察処分となった。

鹿島 桜子 (かしま さくらこ)

私立桜田門高校の校長の娘で、同校に通う女子。学内では、究極のお嬢団体「ローズ・マリー」の中心人物「桜」として知られている。校長の娘として、生徒はもちろん教師にも一目置かれている事から、かなりわがままで、父親である校長も手を焼いている。如月海に恋愛感情を抱き、「ボランティア」のメンバーとして海といっしょにいる事が多い藤原のえるに嫉妬をしていた。 それゆえのえるに嫌がらせをした事もあるが、のえるに平手打ちと共に「気持ちは言わなければ伝わらない」と説教をされて改心。以降は海ではなく、のえるの事を慕うようになる。

浅香 リラ (あさか りら)

藤原のえるのとなりの家に越して来て、私立桜田門高校に転入した人気女性アイドル。デビューしたばかりにもかかわらず、歌にドラマにCMに大活躍しており、はかなげで華麗な容姿が男性に人気がある。しかしそれは表向きの顔で、のえるの前では口が悪く言いたい事をはっきり言う。自宅に忍び込んで来た不審人物に襲われそうになった時も、助けに入ったのえるが犯人を逃がしてしまった事を責めるなど、きつい一面を見せる。 しかしこれは芸能界で嫌な目に遭い、人を信頼できなくなっていたため。一方で仕事には情熱を燃やしており、借金を抱えた事務所社長が浅香リラを暗殺しようと考えていたと知っても臆することなくバースデイライブを決行。のえるたち「ボランティア」が親身になって守ったことに、最後には素直に感謝した。

敷島 (しきしま)

私立桜田門高校に通う3年生の男子。浅香リラの公認ファンクラブを手伝っており、リラが転校して来た際は、バースデイライブ前の大事な時期だからと、つきっきりでリラを護衛していた。しかし本心ではリラに、芸能界を引退して自分と付き合ってほしいと考えており、リラを狙った事件を起こして、バースデイライブを失敗させようとした。 だが「ボランティア」に犯行を阻止され、計画は失敗。その後借金苦によりリラを殺害しようとしていたリラの事務所社長に捕まり、リラ殺害の犯人に仕立て上げられそうになる。だが最後には、事務所社長の悪事を暴きリラを守った「ボランティア」によって救い出されている。

滝沢 (たきざわ)

人気アイドル浅香リラのマネージャーをしている男性。黒髪オールバックにサングラスをかけ、顎ひげも生やしているため、見た目は怖そうに見えるが、しっかり者で礼儀正しい。人とのなれ合いを嫌う性格だが、「ボランティア」の調査によりリラに危険が迫っている事を知ったあとは、リラを守るため、「ボランティア」に協力した。

事務所社長 (じむしょしゃちょう)

人気アイドルである浅香リラが所属している事務所の男性社長。借金があるのに、リラのバースデイライブを計画し、周囲にどうやってお金を工面したのかと怪しまれていた。実際は借金を返すため、バースデイライブの最中に、リラを劇的な方法で暗殺しようとしていた。リラが何者かに狙われている事に気づき、事務所社長のスケジュール帳を盗んだ「ボランティア」が、記載の内容からこの暗殺計画に気づいたため、計画は失敗に終わる。

幽霊 (ゆうれい)

如月海の事が好きな女子高生の幽霊。生前、高校に遅刻しそうで走っていたところ、人ごみの中に海を見つけて足が止まって以来、いつか気づいてくれると思い、毎日同じ時刻、同じ場所で、海が通るのを待っていた。しかし海を見たあと走って学校に行く途中に交通事故に遭って亡くなり、幽霊になった。存在に気づいてくれた藤原のえるに海の事をいろいろ尋ねるが、海が自分が思い描いていたような誠実な人ではなかったため幻滅。 彼を攻撃しようとするも、かばったのえるに、「攻撃よりもしたい事があるんでしょう」と言われた事で、のえるの体に憑依して海に告白した。告白は断られるも、のえるの体から離れる時に幽霊の姿を見る事ができた海に「毎朝姿を見ていたから知っていた」と言われて、喜びの中で成仏する。

宮嶋 砂姫 (みやじま さき)

私立桜田門高校とは違う学校に通っている女子高生で、如月海が不良だった中学生時代に、共に行動していた仲間。夏休み、「ボランティア」のメンバーが活動のためにビーチに向かった際、海と再会した。海に好意を抱いており、海が藤原のえるの事を「藤原さん」と苗字で呼んでいるのに、自分は「砂姫」と下の名前で呼ばれている事に優越感を感じている。 海と親しいのえるにケンカを売ったり、海と離れると約束しろと小屋に閉じ込めたりする一方で、のえるの視線がいつも海を追っていると指摘し、のえるに海への想いを自覚するきっかけを与えた。海の家近くに出没するカップル狩りの犯人を捕まえるため、海と恋人役を演じる。

西郷 京介 (さいごう きょうすけ)

宮嶋砂姫の知り合いの男子高生で、砂姫に恋愛感情を抱いている。釣り目でいかにも不良っぽい外見だが、砂姫に対しては丁寧語で話す。中学2年生の時は、砂姫ではない女性に想いを寄せていたが、アルバイトして欲しがるものは何でも買って与えたのに、いざという時に「如月海くんが好き」とふられた事から、海を恨んでいる。「ボランティア」のメンバーがビーチを訪れた際、嫌いな海と砂姫がデートしているのを見掛け、海の事を好きな藤原のえるといっしょに尾行。 その際、カップル狩りをしている連中に狙われたが、見事撃退した。

水沢 幸子 (みずさわ さちこ)

私立桜田門高校商業科に通う女子。黒髪のロングヘアで、性格はおとなしくまじめな優等生である。思いを寄せる如月海に告白してふられたあと、校内で「あなたの望み叶えます」と書かれた紙をばらまいていた謎の人物に接触。海と付き合いたいという願いを叶え、海に恋人のふりをしてもらっている。最終的には、本当に海を自分のものにしたいと、海を捕まえて拘束し、自分との既成事実を作ろうとした。 しかし海に「体はあげられても、心はあげられないけれどいいのか」と問われたうえに、海を助けに来た藤原のえるにも「最初はもっと純粋な気持ちで好きだったはず」と言われ、涙を流し改心した。

先生 (せんせい)

私立桜田門高校の女性教師で、藤原のえるが転入したクラスの担任を務めている。おっとりとした天然な性格で、のえるの初登校日には、なかなか教室に到着しないのえるを心配して涙を流していた。校内に「あなたの望み叶えます」と書かれた紙をばらまき、生徒の望みを叶えようとするほどの生徒思いでもある。その際は如月海に告白してふられた水沢幸子の望みを叶えるため、校長を通して海に幸子と付き合っているふりをするように依頼した。 しかし最終的には、「どんな事をしても海を手に入れたい」という幸子の望みに応えられなくなり、のえるに打ち明けて「ボランティア」に助けを求める。

校長 (こうちょう)

私立桜田門高校の校長で、鹿島桜子の父親。いつも微笑みを絶やさぬ優しい性格で、生徒のために何かをしてあげたいと先生といっしょになって校内に「あなたの望み叶えます」と書かれた紙をばらまいた。また、毎年生徒会が主催していたクリスマス会の企画・運営を「ボランティア」に頼んだ際には、受験生にとって多忙な時期にクリスマス会をする事について「受験生にも、一時の息抜きと今年最後で最高の思い出を届けたい」と語るなど、おおらかで生徒思いな人物。 反面、暴力に対しては厳しく、夏休みあけの暴力追放週間が始まるにあたっては、藤原のえるに決して事件を起こさないよう釘を刺した。娘の桜子には弱く、本来私立桜田門高校は進級してもクラス替えがないにもかかわらず、桜子本人に頼まれ、別クラスにいた彼女をのえるのクラスに編入するなど便宜を図っている。

桐生 琴音 (きりゅう ことね)

私立桜田門高校に通う3年生の女子で、如月海の親衛隊のメンバーを率いている。プライドが高く陰湿な性格で、海に何度も告白するも、そのたびにふられている。親衛隊のメンバーから、いつも海といっしょにいる藤原のえるが、暴力事件を起こしたら退学しなければならないという話を聞いていた。暴力追放週間にあわせてのえるに嫌がらせをしたが、海本人に説教されて、嫌がらせをやめた。 のえるに「海と付き合うのを認めないし、好きでいる事も諦めない」と宣戦布告をした。

古賀 勇美 (こが いさみ)

私立桜田門高校の生徒会長を務めている男子。過去に和泉空に告白して手ひどくふられた事から、空を恨んでいる。もともと生徒会は毎年クリスマス会を企画・運営していたが、今年は校長が運営を「ボランティア」に依頼したため、プライドを傷つけられた。その後「ボランティア」に嫌がらせをしたものの失敗し、自らの人望のなさを露呈する。 一見人当たりがいいため、転校生で生徒会の事を詳しく知らない藤原のえるは騙されていた。空いわく、イケメンだが執念深くて自意識過剰な性格である。

斉藤 直美 (さいとう なおみ)

私立桜田門高校商業科に通う2年生の女子。お菓子作りが得意で、バレンタインデー前に調理室で、チョコレートケーキなどたくさんのお菓子を作っていた。1年生の時、痴漢に遭っているところを助けてくれた上級生・清水トオルに好意を寄せているが、おとなしい性格のため、告白はしていない。しかしお菓子の香りに釣られて調理室にやって来た藤原のえるに背を押され、告白を決意。 だが結局はトオルに騙されて、下着写真を撮られてしまった。この写真をもとにのえるがトオルに脅されている事に気づき、「ボランティア」に報告。トオルが捕まったあとは、下着写真を撮った事を責める事はせずに、痴漢から助けてもらった感謝の言葉を伝えている。

清水 トオル (しみず とおる)

私立桜田門高校商業科に通う3年生の男子。2年生の時、1年生の斉藤直美が痴漢に遭っているところを助けた事がある。しかし3年に進級したあと、藤原のえるを介して直美が自分に好意を持っていると知ると、それを利用して直美を騙し、下着姿を撮影。この写真をのえるに見せ、直美を守りたければ如月海と別れるよう脅し、自分の事を殴らせた。 これにより、のえるが退学の危機を迎える事となった。もともと中学時代、清水トオル本人が海に憧れていたが、強くていつも人の中心にいた海が、のえると付き合い始めて以降、トオルの理想と外れた行動をするようになったのが許せなくなったための行動であった。

(ちち)

藤原のえる、藤原麗、藤原初夏、藤原里美の四姉妹の父親。熱血漢だが短気で、気が強いのえるとはよくケンカをしている。しかしのえるが傷害事件を起こして、私立桜田門高校以前に通っていた女子校を退学になった際には、不本意ながらも頭を下げて、のえるを私立桜田門高校に入学させるなど娘思いな一面もある。のえるがもう傷害事件を起こさないように、厳しく目を光らせる一方、人気アイドルの浅香リラが自宅のとなりに引っ越して来た時は、サインをもらって笑顔になるなど、お茶目なところもある。

藤原 初夏 (ふじわら ういか)

藤原家四姉妹の上から二番目の姉で、黒髪ボブの髪型をした女子大生。合気道三段で、藤原のえると同じく男性に拳を向ける事もいとわない強気な性格だが、それゆえに男性に「化け物」呼ばわりされた過去がある。そのため究極の男嫌いで、のえるが高校1年生の年のバレンタインデーには、のえるが男性のためにチョコレートを買っていないか、姉の藤原麗、妹の藤原里美といっしょになって、部屋探しを行った。 またのえるが如月海に告白したあとには、すぐにのえるの様子がおかしい事に気づき、制服を着て私立桜田門高校に潜入し、のえるに海という恋人がいる事を突き止めた。当初は女たらしの海とのえるの交際は認めないと言っていたが、海に頭を下げられて渋々二人の交際を受け入れている。

藤原 里美 (ふじわら さとみ)

藤原家四姉妹の上から三番目の姉で、藤原のえるとは別の高校に通う3年生。おっとりとしたおだやかな性格で、ふんわりしたロングヘアにしている。異性に尽くすタイプだが、過去に二股をかけられた事があるため究極の男嫌いで、のえるが高校1年生の年のバレンタインデーには、のえるが男のためにチョコレートを買っていないか、姉の藤原麗、藤原初夏といっしょになって、部屋探しを行った。

藤原 麗 (ふじわら うらら)

藤原家四姉妹の一番上の姉で、出戻りの家事手伝い。ショートボブの髪型をしている。過去マザコン男と結婚して離婚を経験したため究極の男嫌いで、藤原のえるが高校1年のバレンタインデーには、のえるが男のためにチョコレートを買っていないか、妹の藤原初夏、藤原里美といっしょになって、部屋探しを行った。

結城 猛志 (ゆうき たけし)

如月海が桜一中に通っていた中学時代に、よく行動を共にしていた同じ学校の先輩男子。不良グループに属しており、その揉め事でケガをして、河野健太の父親の病院に担ぎ込まれた事がある。スキンヘッドでサングラスをかけたかなりの強面で、初対面の人には怖がられる事が多いが、実際は面倒見がよく優しい性格で、グレていた海に声をかけたり、女子と間違えられて男子に絡まれていた中学生の健太を助けた事もある。 ただ、その外見ゆえに就職の面接にことごとく失敗。卒業したら無職だとやけになっていたが、健太に励まされて前向きになった。

委員長 (いいんちょう)

相川深幸や和泉空、如月海、河野健太と同じ桜一中に通っていた男子。深幸と同じクラスで、クラス委員長を務めていた。表向きはまじめで勉強もできるため、ほかの生徒からの信頼も厚い優等生。しかしストレス過多になると、悪評があった深幸の名を使い、彼に脅されているふりをして、ほかの生徒に恐喝などを行っていた。

集団・組織

ボランティア

私立桜田門高校に転校して来た藤原のえるが加入したボランティアグループ。のえると同じクラスの如月海が代表を、和泉空が副代表を務めており、ほかのメンバーには相川深幸、河野健太、神楽凪がいる。活動内容は、家庭教師や恋愛相談、バレンタインデーの告白サポートにボディーガードなど多岐にわたり、私立桜田門高校内では多くの生徒や教師に頼られている。

応援団 (おうえんだん)

私立桜田門高校に存在する精神面専門の私設応援団で、生徒には「X組」の通称で呼ばれている。メンバーは占い師のようにベールで顔を隠した格好をしており、縁起かつぎの祈禱をして、依頼をしてきた相手を暗示にかける。望みが叶うように祈りはするが、直接的に望みを叶えてあげる事はしない。

場所

私立桜田門高校 (しりつさくらだもんこうこう)

藤原のえる、如月海、和泉空、相川深幸、河野健太、神楽凪らが通っている高校。普通科、商業科あわせて1学年25組、約3000人の生徒が通う、全国有数のマンモス校である。名門校のため入試試験は難しいが、金とコネで入学する事ができるといわれており、実際にのえるは、父親のコネで入学している。生徒の自主性を重んじているが、教師数が少ないため問題も多い。 一方で暴力に対しては厳しく、夏休み明けには暴力追放週間がある。

SHARE
EC
Amazon
logo