あらすじ
第1巻
BASARA歴0011年の日ノ本。総理大臣となった足利義輝を中心とする足利政府の強権政治は世に安寧をもたらしたと思われたが、実際は高額な税金と厳しい取り締まりにより、多くの民が圧政に苦しめられていた。そんな中、東北の奥州では10年前に死んだと思われたかつての奥州筆頭の伊達政宗が、六本の刀を携えて異形のバイクに乗って帰還していた。警察を相手に暴れ回った政宗は指名手配となり、あちこちで警察に追われる身となってしまう。そんな政宗は偶然立ち寄ったラーメン屋で日ノ本の現状を知り、腹心の片倉小十郎が政府に逆らって賞金首として追われているという情報を得る。追ってきた警察をたやすく返り討ちにした、政宗の強さを認識したラーメン屋店員の与一は、彼を小十郎のもとへ案内すると言い出す。政宗は義輝たちによって10年間異国流しにされていたこと、地獄のような環境で残るためにはなんでもやって生き抜いたことを語る。与一はある倉庫に政宗を案内するが、与一の仲間が何者かによって襲撃され、そこには小十郎の姿もなかった。小十郎は伊達成実たちによって捕えられ、拷問を受けていたのだ。後日、仙台で小十郎の行方を探っていた与一は、小十郎の公開処刑が発表されたことを悟る。急いで戻った与一と合流した政宗は、小十郎が公開処刑となることを知り、彼が囚われているジェントルスタジアムに急ぐ。
第2巻
ジェントルスタジアムに乗り込んだ伊達政宗は、片倉小十郎と伊達成実を救出する。政宗はそこに立ちはだかった最上義光と激闘を繰り広げ、彼らから奥州の自由と重臣を取り戻すことに成功する。奥州の仲間たちと合流した政宗は、小十郎や成実から日ノ本を断絶する巨大な「壁」の存在を聞く。さらに現在の日ノ本の各地に君臨する「護国七奉行」の存在と、織田信長が国家転覆を狙っている事実を知った政宗は彼らに対抗すべく、奥州の同志たちと「Team DOKUGAN」を結成。奥州のことを成実に任せ、準備を整えたTeam DOKUGANは関東を目指しながら、日ノ本の自由を勝ち取るために南下を始めるのだった。移動中に北条氏の「相模の壁」に道をふさがれたTeam DOKUGANは、壮絶な厚さと高さを持つ壁の前に立ち尽くしていた。小十郎は部下の高津が囮になって警備を引きつけているあいだに壁を通り抜けるという作戦を立てるが、まどろっこしいやり方を嫌う政宗は一人で乗り込もうとする。政宗は一人で強引に壁を突破し、それを見ていた小十郎たちも一気に壁を突破することに成功。政宗の一団が壁を抜けたという報せは小田原城の北条氏政の耳にも入るが、政宗の噂を聞いて恐れていた氏政は戦うことはせず、政宗たちは城攻めをすることなく相模を突破した。一方、京都御所では足利義輝のもとに、護国七奉行が集結していた。
第3巻
「天下解放」を掲げる伊達政宗によって「Team DOKUGAN」が結成されたことにより、彼らの行く手に待ち受ける足利政府や各地の猛将たちとの、壮絶な戦いの火ぶたが切られた。甲斐の武田信玄と運命の男、真田幸村と出会った政宗は、手合わせを申し出た幸村と戦うことになる。激闘の末に政宗と幸村は互いの力を認め合い、信玄に実力を認められた政宗は、織田信長がおさめる尾張への進行を許される。国家転覆を狙う強敵である信長の待ち受ける尾張で、織田軍に追われている雑賀孫市と出会った政宗は、彼女から信長の悪事と謎の力「婆娑羅」の存在を聞く。しかし、そこに孫市を狙う織田軍の刺客が現れ、政宗は信長の臣下の一人である明智光秀と一騎打ちになる。強力な光秀の攻撃を受けてピンチになった政宗たちの前に、上杉謙信の命令で尾張に乗り込んでいたかすがが現れ、政宗たちを救出。政宗のことをかすがに任せ、その場に一人残った片倉小十郎は、光秀の強力な一撃の前に倒れるのだった。かすがに連れられて光秀から逃れた政宗の前には、空を飛ぶ巨城「安土城」が出現。そのまま気を失った政宗は、異国で出会った老人の藤原秀衡との厳しい修行の夢を見ていた。目を覚ました政宗に孫市と与一がそれまでの出来事を語るが、小十郎は行方不明のままだった。そんな中、かすがが現れ、政宗に織田軍によって甲斐が落とされたという報せをもたらす。
登場人物・キャラクター
伊達 政宗 (だて まさむね)
「独眼竜」の異名を持つ奥州筆頭で、右目に黒い眼帯をした隻眼の青年。異国の言語や文化に興味と関心を持ち、外国語にも堪能で英語を交えながら話すことが多く、口癖は「Let's Party!!」。世間では10年前に死んだと思われていたが、異形の改造バイクと六本の刀を携えて異国より日ノ本に帰還した。実は10年前に足利政府へ反旗を翻していたが、反逆を企てた罪で足利義輝とその部下たちによって異国流しにされていた。少年時代の大半を異国で過ごして成長し、過酷な環境を乗り越えて日ノ本に帰還。しかし、奥州に戻った際に警察相手に暴れ回ったことで指名手配となる。旅中で出会った与一の案内を受け、最上義光に捕えられていた片倉小十郎を救出して仲間たちと再会を果たす。物事や他人に縛られるのを嫌い、日ノ本を自由に走ることを夢見ている。奥州や日ノ本の現状を知り、自由を勝ち取るために現政権に再び反旗を翻すようになる。小十郎を救出して奥州を奪還したあとは、同志たちと共に「Team DOKUGAN」を結成して関東に旅立つ。圧政を強いる足利政府や、国家転覆を企てる織田信長から日ノ本を守り、自分たちや人々の自由を解放するための「天下解放」を目指している。傲岸不遜かつ大胆不敵で、つねに自らの信じる道と生きざまを貫こうとする自由奔放でまっすぐな性格をしている。一見無鉄砲な荒くれ者に見えるが、柔軟な思考を生かした武略や知略にも長けており、部下たちからの信頼も厚い。実在の人物、伊達政宗がモデル。
片倉 小十郎 (かたくら こじゅうろう)
「竜の右目」の異名を持つ、伊達政宗の腹心の男性。政宗の幼少期から絶対の忠誠を誓い、時には彼に対して冷静に厳しく進言する、政宗の右腕であり監視役のような存在。政宗が最も信頼し、安心して背中を預けられる数少ない人物でもある。政宗が異国流しとなったあとは、奥州を制圧した最上義光に反感を持つ奥州の者たちの頭となってまとめていたが、足利政府に逆らった罪人の賞金首として追われていた。政宗の生還を信じながら与一たちと共に行動していたが、伊達成実に捕えられる。義光たちによって公開処刑が決まるが、日ノ本に戻っていた政宗に救出される。その後は再会した政宗と「Team DOKUGAN」を結成し、彼の腹心として再び忠義を尽くすようになる。慎重かつ冷静な行動で政宗や部下たちを支え、彼らからも絶大な信頼を寄せられている。その一方で、自由奔放で大胆な行動を取ることが多い政宗にはたびたび振り回されており、頭を悩ませている苦労人な一面を持つ。政宗たちと共に旅をする中、尾張で織田信長の軍勢と戦い、政宗を逃がそうとその場に一人で残るが、明智光秀に敗北する。その後は生死不明だったが、信長によって安土城に捕えられている。実在の人物、片倉景綱がモデル。
与一 (よいち)
奥州にあるラーメン屋の店員をしている少年。足利政府の圧政に苦しみ、日ノ本の現状を嘆いている。日ノ本に帰還したばかりの伊達政宗と出会い、彼の強さを認識して片倉小十郎のもとへ案内する。元は孤児で、圧政を強いる足利政府や奥州を制圧した最上義光に強い反感を抱く。烏合の衆でしかなかった自分たちを頭としてまとめてくれる小十郎のことを、「アニキ」と呼んで慕っている。政宗が小十郎を助け出したあとはラーメン屋を辞め、自ら「Team DOKUGAN」に加入して彼らに同行するようになる。実在の人物、那須与一がモデル。
伊達 成実 (だて しげさね)
伊達政宗の重臣で、彼が異国流しになったあと、代わりに新たな奥州筆頭となった男性。後ろ盾を務める最上義光をはじめとする、羽州の者の言いなり状態になっているが、義光の支配には心底反感を抱いている。片倉小十郎の捕縛にも協力するが、実は小十郎を利用して義光への反逆を企てていた。それを把握していたかすがたちの妨害を受けて反逆に失敗するが、政宗に助けられ、彼や小十郎と共に奥州を取り戻すことに成功。関東へ向かった政宗たちを見送り、奥州に残った。実在の人物、伊達成実がモデル。
最上 義光 (もがみ よしあき)
護国七奉行の一人で、羽州筆頭の中年男性。細い髭を生やした紳士のような見た目で、フェンシングのような細い剣で戦う。新たな奥州筆頭となった伊達成実の後ろ盾となる形で奥州を制圧し、高額な徴税をはじめとする圧政で奥州の人々を苦しめながら、青葉城で贅沢な暮らしを送っている。片倉小十郎を捕えて反逆の罪で処刑しようとするが、伊達政宗に倒される。実在の人物、最上義光がモデル。
かすが
最上義光に協力する眼鏡を掛けた謎の美女で、「蓮池」を名乗っている。その正体は上杉謙信に忠誠を誓うくノ一で、義光に協力するふりをしながらスパイとして羽州や奥州を監視していた。義光のもとを去り、伊達政宗の帰還を謙信に報告したあとは再び変装しながら政宗を追い、各地でスパイ活動を続けている。謙信に心酔しており、主従を超えた並々ならぬ好意を寄せている。また謙信からも「私の美しい剣」と呼ばれ、寵愛を受けている。尾張で織田軍に襲われた政宗を救出し、そのまま政宗に協力しながら織田軍との戦いに参戦する。
足利 義輝 (あしかが よしてる)
日ノ本の総理大臣を務める、足利家当主の男性。護国七奉行を率いる足利政府の中心として、日ノ本を支配している。足利家が婆娑羅を手に入れたことによって政権をにぎり、国の頂点に立つようになった。実在の人物、足利義輝がモデル。
織田 信長 (おだ のぶなが)
尾張の軍閣を率いる武将で、「征天魔王」の異名を持つ中年の男性。武力によって尾張を支配し、女子供以外をすべて兵力強化のために徴兵し、人々を苦しめている。また、雑賀孫市の属する「雑賀衆」に兵器開発技術の供与を要求し、拒まれたことで孫市の仲間を殺害し、彼女を追うようになる。もともとは国防長官として足利政府に仕えていたが、織田軍が肥大化したことで政府を離脱してからは、国家転覆と恐怖による日ノ本の支配をもくろむようになった。強大な武力や兵力だけでなく、空を飛ぶ巨城「安土城」で他軍を圧倒する。実在の人物、織田信長がモデル。
明智 光秀 (あけち みつひで)
織田信長に仕える重臣で、冷静沈着な長髪の青年。尾張で雑賀孫市を襲撃した際に伊達政宗と出会い、彼や片倉小十郎と激戦を繰り広げる。剣術に秀でており、政宗や小十郎を追い詰めるほどの実力を持つ。実在の人物、明智光秀がモデル。
上杉 謙信 (うえすぎ けんしん)
護国七奉行の一人で、関東管領として関東をまとめる青年。若くして天才的な知略と戦闘力を持ち、護国七奉行の中でも最強を誇る、「神速聖将」とも呼ばれる軍神。懐刀のかすがをスパイとして送り込み、各地の状況を調査および監視している。かすがを通して伊達政宗の帰還を知り、警戒し続けている。実在の人物、上杉謙信がモデル。
京極 マリア (きょうごく まりあ)
内閣府首席補佐官の女性で、司法長官である浅井長政の姉。一人称は「妾(わらわ)」。妖艶な雰囲気を漂わせ、ミステリアスな発言の多い謎の美女。10年前に足利政府に捕えられ、死刑が決まっていた伊達政宗の処刑方法を、賽の目で決めるように足利義輝に提案し、政宗の運命を大きく変えた。しばらくは南島にバカンスに出ていたが政宗の帰還を知り、彼の行く末を楽しみにしながら静観するようになる。一見気まぐれな性格に見えるが観察眼に優れており、常識や戒律などに縛られることなく、つねに自分の信念を貫いている。実在の人物、京極マリアがモデル。
雑賀 孫市 (さいか まごいち)
傭兵や軍需産業を生業とする「雑賀衆」の頭領を務める女性。織田信長に兵器開発技術の供与を要求され、断ったことで国を追われるようになる。信長暗殺の機会をうかがっていたが失敗し、信長に住処を追われた尾張の老人や孤児にかくまわれながら、身を潜めていた。女性でありながら戦闘力が高く、特に銃火器の扱いを得意とする。尾張を訪れた伊達政宗と出会い、信長に対抗するための協力を求め、政宗たちと行動するようになる。クールで慎重な性格で、何事にも縛られないところは政宗と似ている。のちに「Team DOKUGAN」に加わり、織田軍との戦いに参戦する。実在の人物、鈴木孫一がモデル。
武田 信玄 (たけだ しんげん)
「甲斐の虎」の異名を持つ甲斐の国主で、武略に優れた中年の男性。大将としての威厳や貫禄に満ち、仁義に厚く心も広い猛将として知られている。部下たちに「お館様」と呼ばれ、信頼され、敬愛されている。尾張を目指す伊達政宗たちと出会い、忠臣の真田幸村と手合わせした政宗の実力や意気込みを認め、尾張への進行を許可した。実は昔に幼少期の政宗と出会っており、彼のことを「伊達の小倅」と呼ぶ。上杉謙信とはライバル関係。実在の人物、武田信玄がモデル。
真田 幸村 (さなだ ゆきむら)
武田信玄に仕える勇猛な若武者の青年で、一人称は「某(それがし)」。主君としてだけでなく人生の師として敬う信玄に心から忠誠を誓い、何事にもまっすぐに挑む熱血漢。「甲斐の虎」の異名を持つ信玄に仕えていることから、「虎の若子」と呼ばれることもある。尾張を目指す伊達政宗と出会い、彼と手合わせするうちに互いに実力を認め合い、「蒼紅」と称される運命的なライバル関係となった。主従関係にある猿飛佐助とは、互いに信頼し合っている。織田信長の襲撃を受けて信玄を倒されたあとは政宗のもとへ向かい、落ち込んでいた彼を叱咤激励する。その後は協力して信長を倒すために、政宗と共闘するようになる。実在の人物、真田信繁がモデル。
猿飛 佐助 (さるとび さすけ)
甲斐の交易所で焼きそば屋を営む謎の青年。得意料理は甲斐名物のトマト焼きそば。その正体は真田幸村に仕える忍で、一人称は「俺様」。ひょうひょうとしており、忍としてつねに慎重に物事をおもんぱかっている。また、どんなときでも主を思う心と、忍としての実力は本物。同じく忍として活躍するかすがとは知り合いで、彼女の変装をすぐに見抜いた。織田信長の襲撃を受けて武田信玄を倒されたあとは、幸村と共に伊達政宗のもとへ向かい、信長との戦いに参戦する。
藤原 秀衡 (ふじわら ひでひら)
奥州藤原氏三代目の男性で、伊達政宗が異国で出会った師匠。派手な白ひげを三つ編みのように結んだ豪快な老人で、額に大きな傷跡がある。日ノ本から異国流しにされていた少年時代の政宗に剣の修行を施し、自由の心について説いた。剣術では四刀流を使い、これを見た政宗が六本の刀を使うようになるなど、彼の戦い方に大きな影響を与えている。実在の人物、藤原秀衡がモデル。
集団・組織
Team DOKUGAN (ちーむどくがん)
奥州に戻った伊達政宗が、片倉小十郎や与一をはじめとする同志たちと共に作り上げたチーム。奥州奪還後は日ノ本の自由を解放するための「天下解放」を掲げながら、バイクに乗って関東に進出を始める。
その他キーワード
婆娑羅 (ばさら)
支配者が持つとされる摩訶不思議な力。古の民からは「王の力」とも呼ばれ、畏怖されていた。護国七奉行や政府関係者など、ごく一部の者のみが知る公然の秘密となっている。武将同士がぶつかり合うことで徐々に目覚めていくが、目覚めた力の質や強さなどは武将によって個性がある。
護国七奉行 (ごこくしちぶぎょう)
足利政府を守護する国や州の七人の有力者たちの総称。日ノ本を大きく分けた七つのエリアにそれぞれ君臨している。政府から自治や警察権なども認められており、政府に逆らう者を容赦なく処罰することで治安を保っている。織田信長が国家転覆をもくろむようになってからは織田軍を強く警戒し、信長に対抗するための勢力としても活動している。
クレジット
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