概要・あらすじ
牧瀬紅莉栖を失った事件のショックから、岡部倫太郎は「未来ガジェット研究所」から足を遠ざけていた。失意の中にいた岡部だったが、そんなある日、ATK(秋葉原テクノフォーラム)で出会った比屋定真帆から、生前の牧瀬の記憶を使った「牧瀬紅莉栖(Amadeus)」の存在を教えられる。比屋定の紹介によって出会った牧瀬(Amadeus)は生前の牧瀬そっくりに話すが、岡部が牧瀬(Amadeus)と実際に話してみると、本物の牧瀬とは考え方に差異を感じる。その事に疑問を感じつつも、岡部は二人に礼を言って研究所をあとにする。
一方、橋田至は、未来を変えられずに一人自分を追い詰める阿万音鈴羽のため、何かできる事はないかと独自に行動をしていた。その中で、独自のルートから牧瀬の使っていたノートPCを入手した橋田は、その暗号解読に挑む。そのノートPCの事を相談された岡部は、「中鉢論文」とノートPCの存在を紐付け、タイムマシンの知識を狙って暗躍する者達がいる事に気づく。
登場人物・キャラクター
岡部 倫太郎 (おかべ りんたろう)
かつては「未来ガジェット研究所」で気の合う仲間達と道具の開発などをしていたが、ふとしたきっかけからタイムマシンの理論を開発してしまう。それが大きな事件の発端となって牧瀬紅莉栖の死につながってしまったため、現在の岡部倫太郎は失意のどん底におり、入り浸っていた「未来ガジェット研究所」からも足を遠ざけている。「未来ガジェット研究所」にいた頃は中二病まっさかりの言動とファッションをしていたが、現在は普通の学生として振る舞っている。 親しい仲間達からは「オカリン」の愛称で呼ばれている。ATK(秋葉原テクノフォーラム)で比屋定真帆と出会った事から「牧瀬紅莉栖(Amadeus)」の存在を知り、比屋定や牧瀬(Amadeus)と交流を深めていく。
比屋定 真帆 (ひやじょう まほ)
ATK(秋葉原テクノフォーラム)で岡部倫太郎が出会った小柄な女性。牧瀬紅莉栖とは同じ研究室に所属していた先輩で、牧瀬の知り合いである岡部に、牧瀬の人格をコピーした「牧瀬紅莉栖(Amadeus)」の存在を教えた。研究者としては優秀な人物だが私生活はだらしなく、おしゃれや異性の視線にはいっさい気をつかわず、寝癖頭でラフな格好を気にせずに外出している。 秋葉原を訪れた際にも、PCの基盤を前にテンションが上がるなど、女子らしくない言動が目立ったが、密かに牧瀬が持っていたぬいぐるみをほしがったり、牧瀬(Amadeus)に岡部との関係を邪推された際には慌てたりと、年頃の女性のような面もないわけではない。
椎名 まゆり (しいな まゆり)
岡部倫太郎の幼なじみの少女。おっとりとした雰囲気を持つ天然な性格で、無邪気な振る舞いから周囲の人と打ち解けるのが得意。一人称は「まゆしぃ」で、親しい人からもその名で呼ばれている。友人も多く、趣味のコスプレを通じて阿万音鈴羽の母親、阿万音由季とも知り合っていた。現在は、橋田至と由季の仲を取り持とうと奮闘している。 第三次世界大戦が起きた未来では、年長者として鈴羽達の面倒を見ていた。その際に戦災孤児を娘として引き取っており、「椎名かがり」と名付けて、鈴羽といっしょに育てた。からあげが大好物。
橋田 至 (はしだ いたる)
岡部倫太郎の親友。恰幅のいい男性で、自他共に認める筋金入りのオタク。岡部からは「ダル」というあだ名で呼ばれている。未来から来た自分の娘、阿万音鈴羽とは、周囲に兄妹と偽っていっしょに生活をしているが、何かと気を病んでいる鈴羽を心配し、彼女のために動こうと決心。PC関係の知識に造詣が深く、その知識と伝を活かして牧瀬紅莉栖の使っていたノートPCを入手し、その暗号を解読しようと試みる。
阿万音 鈴羽 (あまね すずは)
橋田至の娘。第三次世界大戦を止めるために未来からやって来た。岡部倫太郎が牧瀬紅莉栖の過去改変に失敗したため、現在は未来に帰る事もできず、橋田といっしょに暮らしている。戦争の中で生まれ育ったため、自分が現在の平和な温かい時間に過ごしている事に罪悪感を感じており、日々自分にできる事を探しながら精神的に自分を追い詰めている。 タイムマシンでいっしょに過去に戻る最中にはぐれた「椎名かがり」の事を探している。
阿万音 由季 (あまね ゆき)
椎名まゆりの友人。優しく気立てがいい女性だが、出会いに恵まれず、今まで恋愛経験はない。料理上手で面倒見がよく、体調を崩した阿万音鈴羽を甲斐甲斐しく世話した。実は本人はあずかり知らぬ事だが、未来では橋田至と結婚し、鈴羽をもうけている。そのため鈴羽からは複雑な感情を抱かれている。
フェイリス
岡部倫太郎と橋田至の行きつけのメイド喫茶「メイクイーン+ニャン^2」の看板娘。猫耳メイド姿の美少女で、語尾に「ニャ」を付け、中二病全開のハイテンションな言動で接客を行う。実は意外にも博識で、初対面の比屋定真帆の名前が沖縄ゆかりのものだと一目で見抜き、比屋定に感心された。
牧瀬 紅莉栖 (まきせ くりす)
脳科学を専攻する才女。比屋定真帆とは同じ研究所に所属し、彼女の後輩として「Amadeus」の研究に協力していた。タイムマシンをめぐる問題で岡部倫太郎と交流を重ねていたが、椎名まゆりを助けるため命を落とした。岡部には「クリスティーナ」と呼ばれていた。「中鉢論文」は生前の牧瀬が書き上げた物で、彼女の残した論文の残滓をめぐって多くの者が暗躍している。
牧瀬 紅莉栖(Amadeus) (まきせ くりす)
8か月前の牧瀬紅莉栖の記憶を組み込んで再現した「Amadeus」。岡部倫太郎が出会う前の牧瀬がモデルとなっているため、言動は牧瀬そのものだが、岡部と過ごした時間の記憶はない。また言動は確かに似通っているが、会話をした岡部には、本来の「牧瀬紅莉栖」とは考え方に差異があるように感じられている。岡部と比屋定真帆の関係に興味津々だったり、生前の牧瀬を「クリスティーナ」と呼んでいた岡部をからかったり、人工知能とは思えない柔軟な思考と豊かな感受性を見せる。 自らが機械である事を受け入れているが、本質的に自分は人間と変わらないという認識を持っている。
桐生 萌花 (きりゅう もえか)
比屋定真帆が所属する研究室に取材に訪れていた女性記者。眼鏡をかけた物静かな人物だが、実は別の世界戦で、タイムマシンをめぐり岡部倫太郎と敵対していた事がある。そのため倫太郎には、陰で暗躍していないかと強い警戒心を抱かれている。
その他キーワード
Amadeus (あまでうす)
人間の脳の電気信号をそのままコピーして保存するシステム。比屋定真帆の所属する研究室が開発した。その人間の思想や感情をそのまま再現する事ができるため、「人工の魂」とも呼ばれる。現在は研究室に所属していた比屋定真帆と牧瀬紅莉栖の「Amadeus」が存在する。ただし、あくまでコピーを基に人工知能を作るだけのため、コピー以降に蓄積した記憶や経験は共有できない。 そのため時間が経てばオリジナルと「Amadeus」の考え方に齟齬が生まれる可能性もあり、実際、岡部倫太郎は牧瀬紅莉栖(Amadeus)と牧瀬本人のあいだには考え方に差異があると感じていた。
中鉢論文 (なかばちろんぶん)
タイムマシンについて書いた論文。本来は牧瀬紅莉栖が書き記したが、彼女の実父であるドクター中鉢が奪い、ロシアに亡命して自分の名前で発表してしまったため、中鉢名義の論文となってしまった。未来に関して知識を持つ岡部倫太郎は第三次世界大戦の引き金になる中鉢論文の存在を危惧しており、論文を狙って暗躍する存在にいち早く気づいた。
クレジット
- シナリオ
-
たきもと まさし
- 企画
-
士倉 千代丸
- キャラクター原案
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huke
- 監修
-
林 直孝(5pb.)
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