春の嵐とモンスター

春野嵐子は、誰とも関わりを持ちたくない高校1年生の女の子。そんな彼女が唯一安心できるのが自宅だった。そこは、ペットの豚と戯れながらオンラインゲームで遊ぶ安息の地なのだ。しかし、ある日突然自宅が危険な場所に変わってしまう。母の再婚で義父・義弟と同居することになったのだが、再婚相手の連れ子で一つ年下の中学3年生・天峰栢がとんでもないモンスターだったのだ。街でケンカをしては、相手を容赦なく痛めつけるような危険な弟と、心の底から関わりたくない嵐子。しかし、彼と義父が本当の親子ではないことを知らずに、ひどい言葉を吐いてしまった嵐子は反省し、勇気を振り絞って栢と向き合う。そんな嵐子の気持ちが通じたのか、栢は彼女を慕い、好意を寄せるようになる。

栢は鋭い目つきとピアスが特徴の、危険な香りがするイケメン。しかし本当の栢は、見た目や年齢よりもずっと幼い男の子で母性本能をくすぐるタイプ。親戚をたらい回しにされてきた彼は、誰かに置いていかれて一人になることを恐れていた。その反動からか、尖った生意気な態度を取っていたが、嵐子に好意を持ってからは、素直に言うことを聞くかわいい年下男子の一面を見せる。一方、嵐子は元々争い事が苦手な女の子。小学生の時、友人たちの噂話の人物相関図が複雑すぎて脳がショートして卒倒したことがある。そんな経験から、ぼっち女子の道を歩むことを決意した。そんな嵐子だが、栢と暮らすようになり、赤ん坊のように無防備な栢が傷つかないことを願うようになる。「ダメな自分でも、栢の足元を照らすことぐらいはできるのではないか」。そんな思いで栢と接し、関係を深めていく。

南須迅人は嵐子のクラスメート。明るく優しく誰もが認めるイケメンだが、空気のような存在に徹していた嵐子は南須の存在に気づいていなかった。しかし、同じ美化委員だったため、一緒に帰宅したり、遠足で同じグループになったりと接触の機会が多くなる。誰とも関わらないはずの嵐子も、南須の優しさに次第に心を開いていく。そんな二人に栢は激しい嫉妬心を抱き、駄々っ子のように嵐子にまとわりつくようになる。一方、南須は嵐子と接するうちに彼女のことが好きになり、正直な気持ちを栢に話す。南須の宣戦布告ともいえる告白で、波乱含みの恋愛ストーリーが展開されることになる。