春告小町

春告小町

団子屋の看板娘と不思議な聴覚を持つ流れ者の浪人侍が、江戸の怪事件の謎に迫る。なかなか進まない2人の恋愛模様も描かれた、ユーモラスな時代劇ストーリー。作中には、作者の山口美由紀による時代劇用語の解説も掲載されている。

正式名称
春告小町
ふりがな
はるつげこまち
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

町で評判の団子屋の看板娘であるお春は、怠け者と侍が大嫌い。しかし、お春たちが住む長屋に突如として現れた流れ者の浪人・坂崎正之助のことは、なぜだか気になっていた。仕事もせずに毎日寝てばかりいる坂崎に呆れるお春だったが、ある日、町で幽霊が出るという騒ぎを聞きつけ、ひょんなことから坂崎とともに真相に迫ることになる。

登場人物・キャラクター

お春 (おはる)

町の団子屋「団子長屋」の看板娘。元気いっぱいで愛嬌もあるが、色気はまるでない。弟の信吉が赤ん坊の時に母親を亡くしており、自分が母親代わりとなって信吉の面倒を見ている。縁のある嫁ぎ先がなかなか見つからず、もうすぐ20歳を迎えるが、いまだに独り身。基本的に侍は大嫌いだが、坂崎正之助には好意を寄せている。しかし、奥手のため駆け引きが苦手なうえ、不器用な性格も災いし、坂崎に対してなかなか素直になれずにいる。

坂崎 正之助 (さかざきしょうのすけ)

ある日突然、お春が暮らす長屋に転がり込んできた浪人の男性。どこにも仕官せず、その日暮らしで気ままに日銭を稼いでいたが、安定した収入を得るため寺子屋の師匠となる。相当な腕を持つ剣術の達人でありながらなぜか刃物は苦手で、いつも携えている刀は竹光。「人が心の器におさめきれない心の声」が聞こえる、という不思議な聴覚を持っており、この能力を活かしてお春とともに町の色々な事件の謎に迫る。

常磐津の師匠 (ときわずのししょう)

お春の幼なじみ。江戸浄瑠璃の1つである常磐津節教室を営んでいる女性。時々、夜眠れないという坂崎正之助を家に泊めることがある。そのたびにお春をやきもきさせているが、実は男性にはまったく興味がない。美しく色気のある容姿とは裏腹に、心配性で世話焼きの一面もある。

岩龍 (がんりゅう)

風来坊の男性。僧侶ではないのに僧侶の装束をまとっている。人足(にんそく)として山賊まがいの生活を送っており、生きるために役立つ特技をいくつも持っている。以前、訳あって寺で下働きをしていたことがあり、その際に身につけた料理の腕もその1つ。また、その優れた嗅覚は、一瞬にして血の匂いを嗅ぎ分けることができる。

信吉 (しんきち)

お春の弟である男の子。生後間もなくして母親を亡くし、お春が母親代わりとして育ててくれた。お春のことをとても大切に思っている。坂崎正之助が現れたので、お春を取られてしまうような複雑な気持ちを抱くが、弟としては姉の幸せを何よりも一番に考えている。

おみね

坂崎正之助が師匠を務める寺子屋に通う、手習いの女の子。坂崎にひそかな想いを寄せており、お春へのあからさまな嫉妬心を抱いて、子供ながらに女としての一面を見せる。男に夢中になって自分を顧みてくれない母親への寂しさを募らせ、いつしか折り鶴に怨念をこめるようになる。

孝太 (こうた)

お春の幼なじみ。上野山下(うえのやました)にある汁粉屋の人気看板息子。奉公に出ていたこともあってお春とはしばらく疎遠だった。お春の父親が2人の仲をお膳立てしたことがきっかけとなり、数年ぶりに再会する。純朴だった昔とはうって変わって、成長してからは数々の浮名を流すようになった。

筧 弥一郎 (かけい やいちろう)

江戸の大目付(おおめつけ)である筧録蔵(かけいろくぞう)の嫡男。藩中でも名の知れた剣の使い手だった。ほぼ無敵だったが、同じ道場で剣術を習っていた坂崎正之助に敗れたことがある。ある日突然、何かに取り憑かれたように乱心し、今や無差別に人を殺す辻斬りとなり果てている。

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