概要・あらすじ
中学一年生の少年・丹寅朝太郎は、無鉄砲な喧嘩を繰り返す日々を送っていた。そんな彼を心配した元極道の父・丹寅伝三は、刑務所帰りの青年・新照院勘介を息子の教育係とし、寝食を共にさせる。新照院勘介の義侠心や生き方に心を打たれた朝太郎は、自らを磨くため正義のための戦いのみができるようになろうと考えるようになった。
登場人物・キャラクター
丹寅 朝太郎 (たんどら あさたろう)
高知県海南中学一年生の少年。命知らずの勇気と優しさを持ち合わせ、人望を集める性格。喧嘩三昧の毎日を送っているが、自分のルールとして「任侠道訓」を掲げており、基本的にむやみな喧嘩はしないと決めている。父親は極道から足を洗って丹寅海運を興した丹寅伝三。早くに母親を亡くしており、男手ひとつで育てられた。 教育係として呼ばれた青年・新照院勘介とは兄弟の盃を交わし、彼を兄貴分として慕う。自らを磨くためケンカ道を極めようとするうちに、コッテ牛の政、俵星久鬼丸、ドテラの影麿などのライバルたちから一目置かれ、土佐の学生を牽引する存在となる。
丹寅 伝三 (たんどら でんぞう)
丹寅朝太郎の父親。元は極道だったが、息子をカタギとして育てるため、組員共々足抜けして丹寅海運を興した。妻を早くに亡くし、男手ひとつで朝太郎を育てた。義侠心と懐の広さから、従業員たちに厚く慕われている。無鉄砲な朝太郎に対し、このままではヤクザになってしまうかもしれないとの危惧を抱き、旧知の青年で刑務所帰りの新照院勘介を教育係兼従業員として雇う。
新照院 勘介 (しんしょういん かんすけ)
刑務所帰りの青年。元極道で、出所を機会に足を洗いたいと考えていたところに、旧知の丹寅伝三から、丹寅海運勤務への誘いを受ける。また丹寅伝三から丹寅朝太郎の教育を頼まれ、同じ土蔵で寝食を共にするようになった。男を磨きたいという朝太郎の心意気を知り、五分と五分の兄弟分の杯を交わす。
大平山 万五郎 (おおひらやま まんごろう)
日本でも屈指の勢力を誇る極道「大日本帝龍会」の会長。高知県への進出を目論み、地元ヤクザを抱え込もうとした。海で溺れたところを丹寅朝太郎に助けられ、彼を気に入って目をかけるようになる。
コッテ牛の政 (こってうしのまさ)
高知県城西高校の学生組織「黒流会」の番格。巨体が武器のパワーファイター。「黒流会」の下っ端が丹寅朝太郎に負けたことから、朝太郎を倒すために現れるが、返り討ちにされてしまう。そのことから見せしめとして「黒流会」会長・俵星久鬼丸に制裁を受ける。倒れていたところを朝太郎に病院に連れて行ってもらったことから彼に恩義を感じ、朝太郎の部下となるため「黒流会」を抜ける。
永井 久美子 (ながい くみこ)
丹寅朝太郎に思いを寄せる女子高校生。夜はポン太という名前で芸妓をしている。積極的で芯の強い性格。当初は片思いだったが、後に許婚となった。
俵星 久鬼丸 (たわらぼし くきまる)
高知県城西高校の学生組織「黒流会」の会長。圧倒的なカリスマ性を誇り、高知の極道学生たちの大半を傘下に置く男子高校生。鉄製のメジャーを刃のように研ぎ澄まし、先端に刃状の分銅がついた武器を使い、目にも止まらぬ速さで攻撃することから「カマイタチの久鬼丸」と呼ばれている。高知中の高校を配下に置くため、高校を三年留年している。 丹寅朝太郎の持つ、人を惹き付ける明るさに目をつけ、彼を配下にしたいと望む。全国のはぐれ者たちの受け皿となる組織をつくりあげることが目的で、右腕である乾喜一郎と共にその根拠地となる「黒流会館」の建設に力を注ぐ。
乾 喜一郎 (いぬい きいちろう)
高知県城西高校の男子高校生。学生組織「黒流会」会長・俵星久鬼丸の右腕。主に情報集めや分析などを担当するが、配下の統率も行い、いざという時には自らも戦う。女性的な面差しの美形。休む暇のない俵星久鬼丸の体調を心配している。
鉄砲玉の利久 (てっぽうだまのりきゅう)
高知県城西高校の男子高校生。学生組織「黒流会」に所属している。血気にはやり、手が早い。会長・俵星久鬼丸の命令を無視して丹寅朝太郎を襲う。礫を飛ばしての攻撃を得意とする。
ドテラの影麿 (どてらのかげまろ)
高知県大高坂学園の男子高校生。俵星久鬼丸の「黒流会」と高知の学生勢力を二分する学生組織「ひょうたん会」の会長。ホステスの女性との間に子供がおり、彼女に養われている代わりに、育児や家事などをすべて行っている。丹寅朝太郎が子供と仲良くなったことから彼を気に入り、味方するようになる。
俄 大介 (にわか だいすけ)
高知県の極道「俄組」の二代目である青年。学生組織「黒流会」を率いる俵星久鬼丸が作っている「黒流会館」の利権を狙い、俵星久鬼丸、丹寅朝太郎、ドテラの影麿の抗争を利用しようとしている。
大平山 陣内 (おおひらやま じんない)
中学一年生男子。大平山万五郎の孫。素行不良によって東京中の中学校から締め出され、大平山万五郎によって土佐の海南中学に転校させられる。当初は問題を起こして東京に戻ろうとしていたが、丹寅朝太郎と友人になり、次第に心を開いていく。頭がよく、読書好き。女性に対しては極端に弱い。
俵星 九十九 (たわらぼし つくも)
俵星久鬼丸の弟。書生風の外見をした学生。九州の旅先で丹寅朝太郎と出会い、兄の見込んだ男として認める。乾喜一郎の申し出により、俵星久鬼丸亡き後の土佐をまとめるため、帰郷。朝太郎やドテラの影麿たちと協力して大阪から攻め込んできた采女勘十郎と戦う。
采女 勘十郎 (うねめ かんじゅうろう)
大阪の学生を束ねる「夜叉神会」の会長。全国制覇の一歩として、四国に乗り込んでくる。丹寅朝太郎が居ない間に土佐を荒らす。政財界への伝手を持つため、「御前」と呼ばれる人物をトップに据えつつ実権を握る頭脳派でもある。スキンヘッドにウィッグを被り、化粧をしている。