朝霧の巫女

朝霧の巫女

天津忠尋は、従妹である稗田柚子ら姉妹が住む広島県三次市に引っ越して来る。その日から仮面の男や妖怪に襲われる日々が始まり、やがて日本を巻き込む、自分達の存亡を賭けた戦いを描いた伝奇漫画。物語には日本神話の内容が数多く盛り込まれている。

正式名称
朝霧の巫女
ふりがな
あさぎりのみこ
作者
ジャンル
怪談・伝奇
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概要・あらすじ

天津忠尋は、母である天津結実の置き手紙を読み、従妹である稗田柚子ら姉妹が住む広島県三次市に引っ越す。しかしその日から、乱裁道宗による妖怪の襲撃を幾度となく受け、主上と呼ばれる敵の主が、自身の審神者としての能力を必要としている事を知る。やがて事態は日本全体の人間達をも巻き込んで、自分達の存亡を賭けた戦いへと発展していく。

登場人物・キャラクター

天津 忠尋 (あまつ ただひろ)

高校生。髪の毛は白く左目が赤い、群衆の中に居ても目立つ外見をしている。幼少から病弱で稀に喘息の症状が出る事がある。父の天津忠寿は生まれてすぐに他界しており、母の天津結実は自ら彼を避けているので、家族の絆に関して疎い。天津家一族に伝わる審神者の力のせいで自身が妖怪を寄せ付けていると知り、周りの皆が傷つくのを恐れていた。 だが、稗田柚子に迫った危機により、その恐れを振り切り彼女を守ると決意を固める。

稗田 柚子 (ひえだ ゆず)

稗田家姉妹の次女。高校生兼、稗田家の巫女。天津忠尋の幼馴染み。男勝りで不器用な性格。1人称はウチ。巫女として高い潜在能力を持つが修行嫌いである為、いまいち真価を発揮できずにいる。またその潜在能力の高さから、主上には熊沢菊里に代わる新たな依代として目を付けられている。 天津忠尋に対して、恋愛感情を抱いている。

稗田 倉子 (ひえだ くらこ)

稗田家姉妹の長女。天津忠尋らが通う高校の教師兼、稗田家の巫女。左目の下にある泣きボクロが特徴。天津忠尋を狙い学校にまで出没し始めた妖怪達に対処すべく、巫女委員会を発足し技術指導を務めた。平田篤瀧とは幼少から交流があり、教授と呼んでいる。

稗田 珠 (ひえだ たま)

稗田家姉妹の3女。稗田家の巫女。幼い割に色恋沙汰には敏感で、天津忠尋と稗田柚子のじれったい関係を見ては頻繁にいじっている。しかし、大きな物音には怯える等、根はまだまだ幼い少女である。

稗田 直範 (ひえだ なおのり)

稗田御幸の夫。婿養子なので、稗田家の持つ巫女の力等は一切持たない、普通の人間。妖怪達の襲撃によるとばっちりを食らう事が多い。娘達を溺愛しており、稗田家に引っ越してきた天津忠尋に娘達を取られまいと、過剰なまでに警戒している。

稗田 御幸 (ひえだ みゆき)

稗田直範の妻であり、稗田家の巫女。天津忠尋の母である天津結実の姉でもある。陰陽寮において非常に重要な地位にいる。現在は出雲に遠征中。物事が上手くいかないと子供のように癇癪を起こす性格だが、仕事をしている時はそんな雰囲気など感じさせない程、理性的な対応をする。こまとは旧知の仲。

天津 結実 (あまつ ゆみ)

天津忠尋の母。天津忠寿に嫁入りした、稗田家の巫女。現在は日瑠子に仕えている。霊崩壊事件の際に主上に依代として体を乗っ取られた。事件が終息した後、天津忠尋に恐怖心を抱くようになり、以降仕事の忙しさにかまけ、彼を意図的に避けている。

天津 忠寿 (あまつ ただひさ)

天津忠尋の父。髪の毛は白く、天津家一族に伝わる審神者の力を宿している。母は妖怪のこま。自身の母が妖怪である事には自身でも触れずにいたが、心の中ではずっと重荷に感じていた。そういった心の隙間を主上に突かれ、霊崩壊事件において審神者の力を利用されてしまう。その後黄泉に引きずり込まれ異形の者と化し、息も絶え絶えの中、こまの手によって息を引き取る。

天津 忠明 (あまつ ただあき)

天津忠寿の父。こまの夫。乱裁道宗の手により片腕と片目を失い、その際両親も殺された。髪は白く、失った左目は眼帯を着用している。天津家一族に伝わる審神者の力が強く、失った左手に天津彦根神を顕現させていた。その後はこまを娶り、天津堂という店を建て、平穏無事に暮らして老衰で息を引き取った。

こま

天津忠明の妻であり、天津忠寿の母。長い年月を生きる猫又。昔は花於と行動を共にして住処を転々としていた。洋菓子や紅茶が好物。普段は人の姿をしているが、感情が昂ぶると隠している猫耳が出る。稗田御幸の手引きにより、孫である天津忠尋と再会し、以降見守るようになる。天津家の人間に対する愛情は異常なまでに深い。 霊崩壊事件の際に黄泉に近づいて危機に陥ったが、天津忠明から貰った首飾りの守護で生き延びた。

花於 (はなを)

下駄の付喪神。幼少期の稗田倉子とは友人だった。昔はこまと行動を共にして住処を転々としており、後に安住の地を見つけ平穏に暮らしていたが、突如として起きた霊崩壊事件の際、黄泉に引きずり込まれた。

日瑠子 (ひるこ)

天皇の地位にある少女。託宣を受けられない出来損ないと天津彦根神に酷評されてしまうが、母親の愛した国を受け継いでいくという志は人一倍強い。人々が増えた影響で厄が溜まり、神が消えつつある日本を憂い、斐伊川計画により日本を救おうと考えている。

平田 篤瀧 (ひらた あつたき)

中年の男性で、神童という部隊を束ねる、陰陽寮の陰陽頭。天津忠尋らの通う高校に教師として赴任してくる。飄々とした性格で、人を食ったような発言をする。戦闘の際は、冠月という馬と会話し共に戦場を駆け、体術と銃を武器に戦う。こまや天津家、稗田家とは旧知の仲。

斉藤 (さいとう)

キノコ雲のような髪型をし、丸眼鏡を掛けた老人。宮内省皇宮警察署長及び、警視庁抜刀隊教導官。現在は日瑠子に忠誠を誓い、彼女からも信頼されている。戦闘の際は、体術や札、十手を武器に戦う。若い頃から、主上の計画を幾度も阻止しており、霊崩壊事件の際も最前線で戦った。

力石 征子 (りきいし せいこ)

高校生。巫女委員会の一員。ショートカットの少女。あっけらかんとした性格で、天津忠尋に想いを伝えられない稗田柚子に喝を入れる良き友人。だが、自身の恋愛事情は連戦連敗である模様。戦闘の際は槍を用いて妖怪を退ける。

百合草 千佳 (ゆりくさ ちか)

高校生。巫女委員会の一員。ツインテールの小さな少女で、物静かな性格。だが、口を開くとかなり毒舌である。カメラを常備しており、他人の恥ずかしい場面のシャッターチャンスは逃さない。戦闘の際は鈴を鳴らし妖怪を退ける。

岬原 いずみ (みさきばら いずみ)

高校生。巫女委員会の一員。眼鏡を掛けたおさげの少女で、知的な性格。怪奇雑誌の愛読者、ロリコン、若干マゾヒストの気があるなど、なかなか複雑な趣味を持っている。戦闘の際は札を用いて妖怪を退ける。

御堂 志津歌 (みどう しづか)

高校生。巫女委員会の一員。ポニーテールのお嬢様。普段は物腰柔らかで天然な性格だが、怒らせるとサディストの片鱗を覗かせ、非常に恐ろしい。戦闘の際は弓を用いて妖怪を退ける。

乱裁 道宗 (あやたち みちむね)

普段は「楠木正志」と名乗り、天津忠尋らと同じ高校に通っている。だが実際は、主上に仕える武士で、命令が下ると刀を携え天狗の面を被り、天津忠尋や稗田柚子の身柄を狙いにくる。主上との契約により、記憶を保持したまま転生を続けており、転生前は鎌倉時代の武士、楠木正成だった。 平田篤瀧や斉藤とは浅からぬ因縁を持つ。

熊沢 菊里 (くまざわ くくり)

天津忠尋らの通う高校に転校してくる少女。だが実際は、主上に仕える巫女で、現世に顕現する際の依代として使われている。主上との契約により、記憶を保持したまま転生を続けているはずだったが、記憶が抜け落ち少々ドジな性格になっていた。だが、徐々に記憶を取り戻し、最終的には何事にも怯まぬ屈強な精神を取り戻す。 転生前は鎌倉時代の武士、楠木正季だった。転生前から性別は女性であり、男装して身分を隠していた。

主上 (しゅじょう)

熊沢菊里の体を依代にしている、乱裁道宗の主君。不遜な物言いをする、古めかしい言葉遣いが特徴的な人物。その正体は日本神話の神、素戔嗚尊。日本を再生する為、黄泉の門を開こうとしており、その計画に必要な審神者の天津忠尋や、新しい依代として使う予定である稗田柚子の確保を目論んでいる。

天津彦根神 (あまつひこねのかみ)

日本神話に登場する神で、素戔嗚尊の叔父にあたる存在。主上の計画を阻止すべく、天津忠尋の右腕に顕現する。普段は天津忠尋の左目におり、自由意思で出たり入ったり出来るため、彼が目として収まっていない時は少々グロテスクな絵面になる。親のような態度で天津忠尋に接し、度々忠告をしてくる。 過去には天津忠明の片腕として顕現をしていた時期があった。

妖怪 (ようかい)

『朝霧の巫女』に登場する異形の者の総称。神の命を受けた伊弉諾尊と伊弉冉尊が、天沼矛を用い八百万の神を生み出した際、現世に固め成されなかった残骸。霊と結びつかなかった魂は黄泉に沈殿していき、ある場に堆積した念は悪霊となる。また、魂と結合し、不安定ながら現世に建言した物は妖怪となる。

集団・組織

巫女委員会 (みこいいんかい)

『朝霧の巫女』に登場するグループ。天津忠尋に襲い来る、乱裁道宗が放った妖怪達に対抗すべく、稗田倉子が学校生徒の間で発足した委員会。学生の中で巫女の適性がありそうな人物をクラスから1人選出し、稗田倉子が技術指導を行う。その甲斐あってか、妖怪達を退ける事に成功するのだが、徐々に力を付けてくる主上達に対抗出来なくなってくる。 それでも最終決戦の場に現れ、稗田柚子を救うきっかけを作る等、活躍の場は多い。

イベント・出来事

霊崩壊事件 (れいほうかいじけん)

『朝霧の巫女』に登場する昭和に起きた事件。稗田の巫女である天津結実の体を依代に顕現した素戔嗚尊が、天津忠尋の審神者としての能力を用いて黄泉の門を開こうとした大災害の事。しかし、天津忠尋の体が黄泉の門を開く前に壊れてしまい、半端に門が開かれた。門は数多の命を引き込んだ末、斉藤やこまらの奮闘により閉じられ、主上の企みは未遂に終わった。

その他キーワード

審神者 (さにわ)

『朝霧の巫女』の用語。能力者の呼び名。現世と黄泉の境界を壊し、行き来が出来るようにする能力を持つ人々を指す。元々は、神を招き託宣を承る為に砂を撒き掃き清めた場所「沙庭」の事を指した言葉である。後に神を祀る斎場の意から転じて「沙庭」において神託を審察する者、『サニワビト』の事を指すようになった。

斐伊川計画 (ひいかわけいかく)

『朝霧の巫女』に登場する計画。斐伊川の水源とされる船通山をねぐらとしていた八岐大蛇。その残骸の胎内に現世の穢れを集約させ、災厄を溜めて他の世界に流し、現世の厄払いをする算段。この儀式を行うためには、八岐大蛇を呼び寄せる生贄を必要とする非人道的な計画でもある。

アニメ

朝霧の巫女

母の伝言に従い、従妹である稗田三姉妹が住む広島県三次市に引っ越して来た高校生の天津忠尋。だが、その駅に着いて早々、正体不明の化物に襲われる。審神者であるが故に正体不明の化物や山の民たちにその身を狙われ... 関連ページ:朝霧の巫女

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