あらすじ
ヒーローになっちゃった!?
ハロウィンでにぎわう2020年の東京。動物の中でも「レッド・データ・アニマルズ(絶滅危惧種)」が大好きな日向あんずのクラスには、イケメンでクールな渋谷葵という男子がいた。渋谷のハロウィンイベントに誘われた葵のことが少し気になっていたあんずだが、それ以上に珍しい動物に夢中になっていた。そんなあんずは日向なつめの勧めでイベントに向かう途中で、明らかに正気を失って暴力的になっている男性に遭遇するが、そこをカボチャ頭に仮装していた葵に助けられる。葵と初めてまともに話したあんずは、学校でモテモテな彼が、実は自分に自信を持てずにいるという本音を知る。そんな葵をあんずが励ましていると、白いお化けのような謎の怪物が、街中で暴れ出していた。その場から逃げ出そうとしたあんずが、怪物が落とした鉄骨に巻き込まれそうになった瞬間、猫耳と尻尾が生えた衣装に変身した葵が彼女を救う。自分が別の何かに変身したのを自覚した葵は、状況がよくわからないままであんずと街の人々を守ろうと動き出す。そこに全身ピンクの衣装をまとった美少年の代々木静が現れ、彼もまた変身した葵と似たような能力を持っていることが判明。葵は静、あんずと協力して怪物を倒すことになり、彼女は周囲に落ちているトゲの塊から、怪物の正体が有毒植物のチョウセンアサガオと関係していると推測する。さっそく、植物の弱点である根を集中的に攻撃した静と葵の活躍により、怪物を退治することに成功。そこになつめが現れ、渋谷を襲った怪物の正体がエイリアンに寄生されて凶暴化した「キメラアニマ」だと語る。このキメラアニマに対抗できる戦士を生み出すために、葵はイリオモテヤマネコのDNAを、静はアマゾンカワイルカのDNAを注入されたことで、地球を救う戦士「ミュウミュウ」として目覚めたのだ。こうして、葵はあんずや静と協力しながら、キメラアニマと戦える戦力を整えるために、ミュウミュウとして目覚めたほかの戦士を探すことになる。
謎の男たち
天然お祭り男の神田龍成と、ナルシストな大人気俳優の六本木彩人がミュウミュウの力に目覚め、仲間に加わった。超個性派戦士として集まったミュウミュウたち、そして日向あんずに励ましてもらい、自信が持てなかった渋谷葵は新しい自分に出会い、少しずつ変わっていく。ミュウミュウが東京に出現したというニュースも話題になっていく中、あんずの才能に目をつけた謎の三人組「彼方の三賢者」が彼女のことを狙って地球に侵入しようとしていた。キメラアニマへの対策を練るために日向なつめの研究所に集まっていたあんずは、地球環境を守るためのイベントが学生向けに開催されていることを知り、ミュウミュウのサポーターとして今後の参考にするために参加することになる。だが、その環境イベントを主催するのは、謎の大企業「ダークブルーCorp.」であり、イベントは地球の人類滅亡を狙う彼方の三賢者が、あんずをおびきよせるための罠でもあった。そしてイベント当日、彼方の三賢者は会場に集めた学生を裏で洗脳し、あんずを捕えることをもくろみながらイベントを進めていた。研究者のフリをしてあんずをうまく誘い出したモカは、有毒植物で彼女を眠らせたうえで洗脳しようとするが、そこに心配して会場に来ていた葵が現れる。しかし、葵とのあるハプニングに混乱しながら彼のもとを離れたあんずは、今度はチャイとラテに捕らわれてしまう。さらには謎の球体の形をしたキメラアニマが上空に出現し、洗脳された学生たちが街を襲い出し、その場に来ていた彩人、代々木静、龍成の三人はミュウミュウに変身して混乱を鎮めようとする。一方、意識を奪われて洗脳されてしまったあんずは、ミュウミュウに変身して助けに来た葵に刃を向ける。
光と闇
地球の乗っ取りを狙う「彼方の三賢者」の一人、チャイが目をつけたのは、新たなミュウミュウとしての能力に目覚めた広尾太一だった。一方、街に出現した巨大な球体の正体が、キイロスーム『死印』のコミカライズズメバチのキメラアニマが作った巣だと判明。キメラアニマに洗脳された人々は女王スズメバチの命令で攻撃的になり、渋谷葵たちは弱点を突いて退治することになる。弱点が水と巣にあいた小さな穴だと気づいた日向あんずの指示を受け、代々木静は水の攻撃で敵を撃破する。事件を解決したあんずたちは周囲にケガ人がいないか探る中で、太一と再会。太一は五人目のミュウミュウで、アムールヒョウのDNAと合体した戦士だったと判明するが、彼はクラスメートをビルの外に投げ出すなど、意識が闇に飲まれていた。太一はイジメに遭っていた過去と復讐心をチャイに利用され、人間に復讐して滅ぼすように命令されていたのだ。葵たちは必死に太一を救い出そうとするが彼の俊足とパワーに苦戦し、チャイの能力によって全員が別の世界に飛ばされてしまう。葵たちが目覚めたのは5年前の世界で、彼らは小学生の姿に変わっていた。葵たちはそこで5年前の太一に遭遇し、彼が執拗なイジメに遭った過去や経緯を知ることとなる。太一の悲しい過去を知って行き場のない怒りを覚えるあんずだったが、葵の提案で元の時代に戻って太一の現在と未来を救うことになる。思いを一つにしてチャイの術を破り、元の場所に戻ってきた葵たちだったが、同様に過去の追体験をさせられていた太一は復讐心を増して暴走状態になっていた。葵たちは太一のつらい過去を利用するチャイの陰謀を打ち砕くべく、再び太一の抱える心の闇に立ち向かう。
猫にマタタビ
ついに勢ぞろいした五人のミュウミュウと日向あんずは、人類の滅亡と地球の乗っ取りを狙う「彼方の三賢者」が主催するパーティに潜入し、敵の情報を探ることになった。だが、マタタビの入ったドリンクを飲んだ渋谷葵が酔ったように大暴走してしまい、そのスキにあんずはラテに連れ去られてしまう。その場に駆けつけた六本木彩人によって葵は正気を取り戻したが、マタタビで酔ってあんずを押し倒してしまったことをすべて思い出してしまい、ショックで立ち直れなくなる。一方、何を企んでいるかわからないラテを警戒するあんずだったが、なぜか彼は盾となり忠誠を誓うと言いながら、彼女の手に口づけをするのだった。ビルの最上階に連れて行かれたあんずは、そこでラテたちが作り出したエイリアン式のVR空間に招かれ、絶滅危惧種の生物たちが平和に暮らしている光景を目の当たりにする。仮想空間の中で絶滅危惧種と触れ合うあんずは、ラテから彼方の三賢者の過去と地球の関係、そして彼らを導く謎の人物「ダークブルー」の存在を知らされる。彼方の三賢者はかつて地球に暮らしていた人類の古代種たちの子孫で、ダークブルーの声を聞きながらエイリアンたちを導き、争いを止めて科学技術を発展させたのだと語る。ラテたちの真の目的は、地球を汚す人類を滅ぼし、エイリアンたちがかつて暮らしていた故郷である地球を再び取り戻すことであった。ラテたちの正体と事情を悟ったあんずは、エイリアンと地球を救える唯一のホモサピエンスとして、地球と動物たちの未来を守るための協力を求められる。葵たちが助けに来たことでラテはその場を去るが、ラテの言葉にゆらぐあんずはこの日以来、大きな選択をせまられたことで深刻な悩みを抱えるようになる。
「東京ミュウミュウ」シリーズについて
本作『東京ミュウミュウ オーレ!』は、征海未亜の「東京ミュウミュウ」シリーズの世界観と設定を引き継ぎ、主要キャラクターを女性から男性に変えた作品である。原作は、地球を救う戦士「ミュウミュウ」として目覚めた桃宮いちごをはじめとする少女たちの戦いや、恋愛模様を描いている。
登場人物・キャラクター
渋谷 葵 (しぶや あおい)
さくら坂高校に通う2年生の男子で、年齢は17歳。歩く芸術と評されるほどの美少年。女性からモテるが、人と接するのが苦手なネガティブな性格で、勉強も運動も苦手で自分にまったく自信が持てない。あだ名は「ネコちゃん」「タマ」。渋谷のハロウィンイベントに無理やり参加させられていた中で、キメラアニマに洗脳されていた男性に襲われていた日向あんずを助け、彼女と交流を持つようになる。その直後にキメラアニマが街を襲い始めた時にあんずを守ろうと、とっさにミュウミュウの力に目覚める。これ以来、イリオモテヤマネコのDNAを持つ一人目のミュウミュウとして、あんずや代々木静と共に地球を守る戦いに身を投じる。運動は苦手だったが、ミュウミュウに目覚めたことでイリオモテヤマネコと同等の跳躍力や俊足を身につける。また、鋭い爪で相手を切り裂く攻撃も得意としている。ふだんは黒髪だがミュウミュウに変身すると金髪のメッシュが入り、猫耳と尻尾が生える。この格好を含めて勝手に口から出てくる決め台詞も気恥ずかしく思っている。日常や戦いの中で恥ずかしい出来事が起こるたびに、あんずたちから失踪するのではないかと心配されている。引っ込み思案で人との交流を苦手としていたが、あんずを通してさまざまな人と交流を持つようになり、ほかのミュウミュウの仲間たちとも信頼し合っていく。ネコ科のDNAを持つことから変身していないときも猫っぽくなり、ドキドキすると自分の意思に関係なく猫耳が出てしまう。また、マタタビ入りの飲み物を飲むと酔ったような恍惚状態になり、ふだんの性格からは想像できないほどにポジティブとなって暴走する。いつも励ましてくれるあんずのことを気に入っており、秘密を共有する仲間やクラスメートというだけでなく、異性として好意を抱く。幼少期はヒーローにあこがれていた。特技は特になく、苦手なことは目立つこと。
日向 あんず (ひなた あんず)
さくら坂高校に通う2年生の女子で、渋谷葵のクラスメート。年齢は16歳。ウエーブのかかった明るい茶髪のロングヘアの少女。曲がったことが嫌いな正義感の強い性格をしている。動物全般をこよなく愛し、特に絶滅危惧種とされるレッド・データ・アニマルズが大好き。同居している叔母の日向なつめの勧めにより、幼少期から動物のことを幅広く勉強しているだけでなく、護身術として柔道や空手を嗜む。家では家事全般も担当している。おしゃれや恋愛など女子高校生らしいことよりも動物に興味津々で、身近な人間のイケメンよりもコモドオオトカゲなど動物界のイケメンに夢中なため、友人たちからは変わり者扱いされている。大半のことはそつなくこなし、何事も食わず嫌いはもったいないと考えているために苦手なことにも挑戦しているが、コスプレのセンスはいまいち。渋谷のハロウィンイベントに参加中、キメラアニマに洗脳されていた男性に襲われかけていたところを葵に助けられ、滅多に話したこともなかった彼と交流を持つようになる。そこでキメラアニマが落とした鉄骨に巻き込まれそうになったところを葵に助けられるが、彼がミュウミュウに変身したことで、なつめに話を聞いてミュウミュウやエイリアンの存在を知り、葵となつめに協力するようになる。自らは特別な力を持たずミュウミュウにも変身できないが、葵をはじめとしたエイリアンやキメラアニマに対抗する力に目覚めた少年たちをサポートし、彼らと共に地球を守るための活動を続けている。ネガティブでいつも自信が持てない葵を気にかけて励ますとともに、危険がせまるといつも守ってくれる彼のことが気になっている。ミュウミュウやキメラアニマの騒動にかかわっていくうちに、彼方の三賢者から狙われるようになる。ラテを通して彼方の三賢者の正体や真の目的を知り、彼らが決して悪人ではないと悟るが、ラテに協力を求められたことで心が大きくゆらぎ、悩みと葛藤を抱えるようになる。特技は格闘技と家事全般、苦手なことを考えること。
代々木 静 (よよぎ しずか)
超エリート校「開駒学園」に通う高校2年生の男子で、年齢は17歳。水泳部の部長を務めている。濃い桃色の髪を持つ理知的な風貌の美形で眼鏡を掛けており、口元にホクロがある。あだ名は「インテリピンク」。渋谷のハロウィンイベントでの事件で、渋谷葵と同時期に目覚めた二人目のミュウミュウとして、アマゾンカワイルカのDNAを持つ戦士となった。この時に共闘した葵と敵の弱点を見抜いた日向あんずと知り合い、日向なつめの話を聞いて地球を守る戦いに参加するようになる。仲間が増えたあともチームの頭脳として活躍し、豊富な知識と情報を生かして作戦を考えたり、仲間の戦いをサポートしたりしている。ミュウミュウに変身するとピンクを基調とした衣装をまとい、水をあやつる攻撃ができるようになる。全国模試トップの成績を誇り、いつも理屈っぽい話し方をするインテリ系で、博識なうえに状況の呑み込みも早い。運動神経抜群で特に水泳が得意。ミュウミュウに目覚めてからは水泳の腕前がますます向上し、世界記録を更新するほどの記録を部活動中にうっかり出してしまい、力の加減には苦労している。ナルシストなように見えるが非の打ち所がないため、容姿や知力について事実を述べただけでも嫌みっぽくなってしまう。基本的には常識人で、あんずや葵の代わりにツッコミ役に回ることも多い。五人のミュウミュウがそろったあとは、半ば押しつけるように葵にリーダーを任せる。あらためて葵にリーダーを代わってほしいと言われた時には、責任を取りたくないという理由で断っている。一つの特技に限らず、大半のことをそつなくこなす。苦手なことは特になし。
神田 龍成 (かんだ りゅうせい)
高校生男子で、年齢は17歳。派手な金髪の美形で、ヘアピンとピアスをつけた明るく活発なお祭り男。江戸っ子口調で話す下町っ子で、何事も深く考えることは苦手で先に体が動くタイプだが、少々天然なところがある。あだ名は「龍ちゃん」「トカゲっ子」。出初め式の稽古をしていたところでシロサイのキメラアニマが出現したのをきっかけに、三人目のミュウミュウを探していた渋谷葵たちと知り合う。街と人々を守るために、コモドオオトカゲ(コモドドラゴン)のDNAを持つ四人目の戦士として目覚める。ミュウミュウに変身すると髪が伸びておさげになり、白と金を基調とした衣装をまとい、舌が爬虫類のようになる。もともと高い運動力に加え、鋼鉄の防御力も崩すほどの怪力を生かした攻撃が得意で、重力をあやつることもできる。舌で匂いをかぎ分ける爬虫類と同等の敏感な嗅覚を持ち、4キロ先の食事のメニューを当てられるほどで、戦いでもその能力を生かしている。学ランにも変身後の衣装にも背中に「龍」の刺繡が刻まれているが、微妙に字がまちがっている。また、自らの体内に入っているDNAであるコモドオオトカゲのことは、何度説明されても「コドモオオトカゲ」とカンちがいし続けている。社交的で誰とでも分け隔てなくフレンドリーに接することから、学校や近所の人たちにも慕われている。また、どんな頼み事も聞き入れてくれることから、特に近所のお年寄りからは頼りにされている。当初は友人として接していた日向あんずのことが気になっており、彼女のことになると珍しく苛立ったり嫉妬心を見せたりすることもある。好物は肉類で、イライラすると肉をたくさん食べたくなる。スマートフォンの扱い方が雑で、通話はできると言い張っているが画面にいくつものヒビが入っている。特技は体を張ること全般で、苦手なことは勉強。
六本木 彩人 (ろっぽんぎ あやと)
舞台を中心に東京で活動している大人気の新人俳優で、男子大学生。年齢は19歳。有名な華道の家元の子息でもある。淡い栗色の長髪を持つ。俳優として人気が高く、実力も確かながら重度のナルシスト。過去の世界に移動した時に、鏡で容姿を確認しただけで正確な時系列を言い当てるなど、年齢ごとの自分の容姿を細かく把握している。デビュー後すぐに人気が急上昇した逸材で、「46憶年に一度のスーパースター」を自称している。あだ名は「ヤキトリ」。舞台に出演している最中に巨大な犬のキメラアニマが出現し、見に来ていた渋谷葵と遭遇。自然とこなれたポーズを取って変身し、ヤクシャインコのDNAを持つ三人目のミュウミュウとして目覚めた。変身すると赤と白を基調とした騎士のような衣装をまとい、花びらやハチミツ、植物の香りなどをあやつる攻撃を得意とする。どんなときでも自分の美学を追及するため、葵たちからは変人扱いされることが多い。自分が大好きで、他人との比較は意味がないとすら考えている。ナルシストなあまり空気を読めないことが多く、どんなときでも思うままに行動するマイペースな人物だが、心根は優しく仲間思いで、日向あんずが悩んでいる時も心情を察して励ましていた。ミュウミュウの中では年長者で、冷静に仲間を引っ張ったりサポートに回ったりできる大人っぽさも持つ。実家は和風の豪邸で、ラテの言葉に悩むあんずを励ますための場を提供した。女性ファンのことは「はちみつ」と呼び、紳士的に接する。特技は世界中の人々を魅了することで、苦手なことは早起き。
広尾 太一 (ひろお たいち)
霞町中学校に通う2年生の男子で、年齢は14歳。切りそろえた青髪の短髪で、小柄で中性的な容姿を持つ美少年。小動物のような雰囲気を漂わせた控えめでおとなしい性格で、学校でのイジメに悩んでいる。街中で偶然ぶつかった日向あんずと渋谷葵と出会い、人並みはずれた俊足を持つことから五人目のミュウミュウと推測され、彼女たちと縁を持つようになった。しかし、イジメへの悩みや憎悪を彼方の三賢者に利用され、チャイと共に人類への復讐を決意しながら出現し、アムールヒョウのDNAと合体したミュウミュウの姿に変身する。闇と憎悪に満ちていたことから葵たちを苦戦させるが、彼らの言葉にゆらいで攻撃が止まり、チャイの術で葵たちと共に過去の世界に飛ばされ、小学生だった頃の過去を追体験させられる。かつては走るのが大好きな明るい少年だったが、クラスのリーダー的存在だったクラスメートよりも速く走ったことがきっかけでイジメに遭うようになり、人前で走るのを避けるようになった。これ以来、目立つことや自己主張を避けてどんどん気弱な性格になっていき、中学校でも引き続きいじめられるようになってしまう。これらの悲しい過去の追体験を終えたあとは人間への憎悪をさらに増すが、葵たちの懸命な説得と戦いを通して改心し、この世から絶滅したくないという本音と願いを吐露した。あんずを助けてチャイを退けたあとは葵たちの仲間になり、最年少のミュウミュウとして活躍するようになる。控えめなところは変わっていないが、あんずや葵たちとの交流を深めることで、元の明るい性格を取り戻していく。変身するとヒョウ耳と尻尾が生え、青紫とヒョウ柄を基調とした衣装に変わる。また、ふだん以上にスピードが上がるだけでなく、小柄な見た目からは想像できないほどの怪力も発揮する。特技は走ることと相手の顔色をうかがうことで、苦手なことは自己主張。
日向 なつめ (ひなた なつめ)
生物学者の女性で、日向あんずの叔母。あんずとはマンションの一室で同居している。ロングヘアで眼鏡を掛けた温厚な性格の美人で、あんずからは姉のように慕われている。研究職に就きつつ、個人でも絶滅危惧種の研究を続けている。研究者として非常に優秀で博識だが、研究に没頭すると飲まず食わずになり、床に転がっているところをあんずに発見されることもしばしば。地球がエイリアンに狙われていることを知り、キメラアニマに対抗するための光線を発する機械を作っていた。しかし、機械の誤作動により渋谷葵をはじめとする五人の少年たちに、光線のもとになっていた絶滅危惧種のDNAが注入されてしまう。これを知ったあとにあんずを急きょサポーターとして送り、葵たちがミュウミュウとして目覚めるのを見守っていた。事情を葵たちに話したあとは地球を守るための戦いに協力を求め、あんずと共にさらなる研究を通して、ミュウミュウの戦いをサポートしている。また、葵たちが作戦会議をするための場所として自らの研究所の一部を提供しているが、ほとんど学生のたまり場と化している。ふだんはおっとりしているが辛らつな皮肉や毒を吐くこともあり、実はキレるとかなり怖いという噂もある。特技は研究で、苦手なことは家事全般。家のことや食事作りはあんずに任せている。
ラテ
彼方の三賢者のリーダーを務める、白銀の短髪の美青年。ふだんは白衣をまとった研究者のフリをしているが、スーツ姿で現れることもある。自分が認めた相手以外は雑魚扱いして見下し、完璧主義者で融通のきかない気難しい一面もある。ダークブルーへの忠誠心は最も強く、軍人気質なところもある。何かと対照的でいい加減な性格のモカとは、昔から気が合わない。地球を取り戻すための計画に必要な日向あんずをさらい、彼女に自分たちの事情を話して説得することで、味方に引き入れようとする。特技は上の指示をミスなく実行すること、苦手なことはバカを相手にすること。
チャイ
彼方の三賢者の一人で、黒髪ロングヘアで糸目の美青年。ふだんは白衣をまとった研究者のフリをしている。つねに敬語で話すが慇懃無礼な態度で、嫌みや皮肉も多い。誰とでも一定の距離を保ち、つねに観測者視点で人を見ている。研究や実験をこよなく愛し、最近は人間観察にハマっている。ミュウミュウに対抗するために五人目のミュウミュウである広尾太一の心の闇につけ込み、彼の過去と人間への復讐心をあおって利用しようとする。敵を別の時空に飛ばせる謎の術をあやつり、太一と渋谷葵たちを過去の世界に飛ばして精神攻撃を仕掛けた。特技は研究、実験、誘導尋問で、苦手なことはメロドラマを鑑賞すること。
モカ
彼方の三賢者の一人で、黒髪と白髪が混じった色黒肌の美少年。ふだんは白衣をまとった研究者のフリをしている。気まぐれでいつもいい加減な言動で、かなり適当なつかみどころのないマイペースな性格の持ち主。ラテには不まじめ、チャイには手癖が悪いと評されている。人間を含め、美しいと思ったものをじわじわと弱らせて壊れていくのを見るのが大好きな、歪んだ一面を持つ。当初は任務として日向あんずを狙っていたが、次第に地球以上に彼女を個人的に気に入り、独断で行動してでも手に入れようとする。特技は嫌なことをすぐ忘れること、苦手なことはまじめに行動すること。
ダークブルー
彼方の三賢者たちを指導する謎の人物。過酷な環境の星で息絶えようとしていた幼少期のラテ、チャイ、モカにテレパシーで話しかけ、彼らの祖先の故郷である地球の存在とその美しさを教えた。姿はまったく現さずにラテたちの成長後も導き続け、彼らの星を住みやすい環境に整え、地球にはない科学技術も発展させた。彼方の三賢者にとってはエイリアンを救う救世主や神のような存在であり、特にラテは強い忠誠を誓っている。
集団・組織
彼方の三賢者 (かなたのさんけんじゃ)
ダークブルーという謎の人物に従って行動している、三人組のエイリアン。表向きは大企業「ダークブルーCorp.」に所属する研究者だが、人類を滅亡させようと計画し、地球に侵入してキメラアニマをあやつりながら暗躍している。その正体は、かつて地球に暮らしていた人類の古代種の子孫。ある事件をきっかけに祖先が別の星に移住したため、ラテ、チャイ、モカは共に地球生まれではない。移住先が過酷な環境であったために気力をなくして死にかけていたところ、ダークブルーの声を聞き、祖先の故郷である地球の存在を知る。成長とともにダークブルーの指示に従ってエイリアンの星を統治し、争いを鎮めて科学を発展させる。いずれ祖先の故郷に戻るために地球に潜入し、環境を荒らす人類を滅ぼすことで、昔のような美しい地球を取り戻そうともくろんでいる。それらの計画のために重要な日向あんずのことも狙っているため、ミュウミュウとは敵対関係にあり、彼女と地球の未来を巡って何度も激突している。
その他キーワード
ミュウミュウ
エイリアンがあやつるキメラアニマに対抗する力に目覚めた、五人の戦士。年齢や性格はバラバラで、五人の唯一の共通点は顔がいい美少年や美青年であること。渋谷で起きたキメラアニマの事件がきっかけで、日向なつめにレッド・データ・アニマルズの遺伝子を誤射され、不本意に変身できる能力を得た。なつめの意向でその場に居合わせていた日向あんずが、豊富な動物の知識を生かして、五人のサポート役を務めている。変身すると衣装や見た目の一部が変わるのはもちろん、DNAの基になっている生物と同様の身体能力と戦闘力を得て、それぞれの特技を生かした必殺技も放てる。「ミュウミュウ・メタモルフォーゼ」と唱えることで変身し、戦いの最中でも元の姿をイメージすることですぐに戻れる。しかし、渋谷葵のように感情が昂ると猫耳が出たり、身体能力が異様に上がったりと、変身時以外の日常生活にも変化が出ている。完全にふつうの人間に戻るには、エイリアンに勝利して地球の平和を守り切ることで、宿った能力を退化させる必要がある。決め台詞などは自然に脳内に浮かぶようにゲノム内の情報がコードされているため、本人の意思に反して決め台詞が勝手に出てくるようになっている。地球の乗っ取りを狙う彼方の三賢者とは敵対しているが、あんずが接触したラテを通して彼らの事情がわかったあとは、人類を滅ぼさずに地球を救う手段になりうる神秘の水、ミュウアクアを探し求めている。
クレジット
- 原案
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講談社
関連
東京ミュウミュウ (とうきょうみゅうみゅう)
突如「東京ミュウミュウ」として地球を守ることになった桃宮いちごが、4人の仲間と共に戦う変身バトルラブロマンス。「なかよし」2000年9月号から2003年2月号にかけて連載された征海未亜の代表作で、続編... 関連ページ:東京ミュウミュウ
東京ミュウミュウ あ・ら・もーど (とうきょうみゅうみゅう あ ら もーど)
征海未亜の『東京ミュウミュウ』の続編。エイリアンが去り、残党を倒す日々を送る「東京ミュウミュウ」たち。新たに「東京ミュウミュウ」として目覚めた白雪ベリーも加わり、新たな敵と戦う6人の変身バトルラブロマ... 関連ページ:東京ミュウミュウ あ・ら・もーど
書誌情報
東京ミュウミュウ オーレ! 8巻 講談社〈講談社コミックスなかよし〉
第1巻
(2020-04-13発行、 978-4065192214)
第2巻
(2020-08-12発行、 978-4065206089)
第3巻
(2020-12-11発行、 978-4065208021)
第4巻
(2021-04-13発行、 978-4065228722)
第5巻
(2021-09-13発行、 978-4065244005)
第6巻
(2022-01-13発行、 978-4065267127)
第7巻
(2022-05-13発行、 978-4065279687)
第8巻
(2022-09-13発行、 978-4065289907)
関連リンク
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- 左遷された最強賢者、教師になって無敵のクラスを作り上げる
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- 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部 「貴族院の図書館を救いたい!」