あらすじ
第1巻
火星を本拠地とする自警団組織・鉄華団は新たな少年兵達を受け入れ、組織を拡大しつつあった。鉄華団が名を上げるきっかけを作ったクーデリア・藍那・バーンスタインが起こした革命は、火星と地球との不平等条約の改正を成功させたものの、一方では火星の権益を巡る新たな戦いの火種を生む。鉄華団は複合企業テイワズの傘下にあり、兄貴分の名瀬・タービンが率いる運送業タービンズの下部組織として、テイワズ内での地位を高めていく。しかし火星のハーフメタル採掘場の権利という、テイワズにとっても重要な利益が望める権利を一任された事で、テイワズのNo.2のジャスレイ・ドノミコルスの嫉妬を買う。より明確な力を求め、オルガ・イツカは軍事組織ギャラルホルン内で地位を築いたマクギリス・ファリドと利益目的で手を組む。その頃、アーブラウの軍事顧問を引き受けている鉄華団の地球支部は、タカキ・ウノとアストン・アルトランドを中心に、ラディーチェ・リロトとチャド・チャダーンを監査役に据え、アーブラウの実力者である蒔苗東護之介の警備を担っていた。しかし、他経済圏のテロ行為で蒔苗が負傷し、それを防ごうとしたチャドも重傷を負ってしまう。やむなく監査役の一人であるラディーチェの指示に従うタカキだったが、それはマクギリスの力を削ごうと企むラスタル・エリオンの仕組んだ罠だった。火星から遠く、オルガの指示を随時仰ぐ事は困難だと現場の指示を一任されたタカキは、情報を遮断されたうえで先の見えない戦場へと駆り出され疲弊していく。
第2巻
アーブラウの軍事顧問を務めていた自警団組織・鉄華団の地球支部は、他経済圏との戦いの停戦の条件として地球から撤退する事となる。戦いの中でタカキ・ウノは無二の親友だったアストン・アルトランドをはじめ、多くの仲間を死なせてしまった事から、鉄華団からの退団を決意する。一方、オルガ・イツカはマクギリス・ファリドとの共闘関係をより強固なものとし、マクギリスの掲げる目標の成就ののち、火星のすべての権限を鉄華団に移譲するとの提案に乗る決意を固める。火星の王となるべく、地盤を固める鉄華団だったが、そんな折に彼らが権利を得たハーフメタル採掘場から、300年前の厄祭戦で暗躍した「モビルアーマー」の一機ハシュマルの子機であるプルーマが発掘される。馴染みのない形状をしたプルーマを警戒したオルガは、マクギリスに相談を持ち掛け、それを受けたマクギリスは直ちに作業を中断し、直ぐに現場へ出向くと答えるのだった。発掘の知らせはジャスレイ・ドノミコルスの内通により、軍事組織ギャラルホルンのラスタル・エリオンの知るところとなり、またジャスレイはラスタル預かりの立場であるイオク・クジャンをたきつけ、火星に向かうマクギリスに謀反の疑いありと内乱を誘う。イオクはモビルアーマーにモビルスーツを近づけてはならないとの禁忌を知らず、火星に降り立ちハシュマルを起動させてしまう。火星の一般人へも無差別に攻撃を始めるハシュマルを阻止すべく、イオクを助けに現れたギャラルホルンのジュリエッタ・ジュリス、マクギリス、石動・カミーチェ、それに鉄華団のライド・マッスが同時攻撃を仕掛けるが、ハシュマルは単体でモビルスーツ5機を圧倒する。そこへ、ガンダム・バルバトスをあやつる三日月・オーガスが現れ、未知数の人体への負荷を覚悟でリミッターを外した戦いを挑むのだった。
第3巻
三日月・オーガスは強敵のハシュマルとの戦いでガンダム・バルバドスのリミッターを外し、それと引き換えに類を見ない戦闘力を発揮するが、代償として右半身の自由を失う。自警団組織・鉄華団は軍事組織ギャラルホルン内のラスタル・エリオン預かりのイオク・クジャンに、ハシュマルとの戦いで失った部下の仇として狙われ、その感情に付け込んだジャスレイ・ドノミコルスはイオクに、鉄華団の裏で糸を引いているのはテイワズ傘下の運送業タービンズだと吹き込む。イオクと結託したジャスレイは、テイワズの中で地位を高めつつあり、目障りと感じていた名瀬・タービン率いるタービンズを陥れようと、イオクに総攻撃を仕掛けさせる。ジャスレイの言葉を盲信したイオクは独断で艦隊を動かし、タービンズに攻撃する。鉄華団は兄貴分の危機に駆けつけるが力及ばず、仲間の退路を確保するためアミダ・アルカと名瀬は敵旗艦に特攻を仕掛け、命を落とす。
名瀬はイオクの攻撃を受ける直前に、テイワズの代表のマクマード・バリストンに盃を返し、最後にタービンズの構成員の女性達の受け入れを願い出ていた。マクマードはそれを承諾し、ラフタ・フランクランドやアジー・グルミンに名瀬が築いた流通業に変わらず従事してほしいと提案する。しかし、テイワズの拠点である歳星内で、ラフタは幾度も背中を預けて戦ってきた鉄華団の昭弘・アルトランドと別れの杯を交わした直後、何者かに殺されてしまう。一連の事件の手を下した相手はジャスレイだと知ったオルガ・イツカは、テイワズと絶縁を覚悟で名瀬の敵討ちを決行し、結果、ギャラルホルンのマクギリス・ファリド以外の後ろ盾を失う事となる。マクギリスは目的としていたギャラルホルン創始者のアグニカ・カイエルの機体であるガンダム・バエルを手中に納めるものの、それを得る事でギャラルホルンすべてを掌握できると予測していた目論見は外れ、見込んでいた戦力の増強は成し得なかった。そして時を同じくしてマクギリスが葬ったはずのガエリオ・ボードウィンが姿を現し、マクギリスがガエリオを殺そうとし、アイン・ダルトンを貶め、カルタ・イシューを謀殺した事を明るみに出し、全面対決の構えを見せるのだった。
登場人物・キャラクター
オルガ・イツカ (おるがいつか)
自警団組織・鉄華団の団長を務める青年。銀髪の裾を刈り上げトップ部分を逆立て、一房前髪を左側に流し、褐色の肌をしている。阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けているが、鉄華団が大きくなった事で前線に立ち自ら戦う事は控えるようになった。鉄華団の進む道を決める団長として、みんなが辿りついた場所で笑えるようにと、最善で最短の道を選択する事を目標としている。 三日月・オーガスとは付き合いが長く、信頼している。名瀬・タービンの弟分として複合企業テイワズの傘下に入り、名瀬の導きもありテイワズの中で力を得つつあったが、マクギリス・ファリドから相応の報酬を対価に仕事の依頼を受ける事を重ね、次第にマクギリス寄りの行動を取るようになる。 鉄華団の仲間の居場所を作るとの目的は変わっていないが、組織が大きくなるにつれ重大な決断を迫られる機会も増え、重圧に苦しむ事も多くなっている。
三日月・オーガス (みかづきおーがす)
自警団組織・鉄華団の団員の青年。鉄華団の遊撃隊長を務めており、戦闘時には自己判断を尊重される事が多い。「ガンダムフレーム」のガンダム・バルバトスを操縦するパイロットでもある。黒髪のボブヘアで、あまり感情を表に出さない。鉄華団の団長のオルガ・イツカとは付き合いが長く、信頼している。オルガの掲げる理想を実現したいと願い、共に戦っている。 阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を過去に受けており、感覚的にモビルスーツを操縦する事ができる。アトラ・ミクスタに興味ある事には熱心なところは長所であると思われている。戦わなくても生きていける世の中を目指しているクーデリア・藍那・バーンスタインの活動に対し、そんな世の中になったら、戦いしか知らない自分はどうやって生きていけばいいのかと疑問を抱いていた。 普段は左手を主に使っているが、ガンダム・バルバトスとつながっている状態では両方の手を使える。今まで対峙した事のない強敵の「モビルアーマー」ハシュマルとの戦いで、パイロットに過度な負担を強いる戦い方になると知りながらもリミッターを解除する事を選び、右半身が動かなくなってしまう。 つねに最前線で戦う姿に対し、敵対者からは「鉄華団の悪魔」の二つ名で呼ばれ、恐れられている。
アトラ・ミクスタ (あとらみくすた)
自警団組織・鉄華団の炊事係を務めている若い女性。桜農場での農作業にも従事している。栗色のボブヘアで、仲間を思いやる優しい性格の持ち主。鉄華団の新団員のハッシュ・ミディが阿頼耶識の手術を受けたいと言ったのを聞き、危険を伴う手術は受けない方がいいと強い口調で諫めた。三日月・オーガスにあこがれと恋愛感情を抱いているものの、クーデリア・藍那・バーンスタインの方が三日月に相応しいと劣等感を感じてもいる。 そのためクーデリアに対し、半身が動かなくなるほどの無茶をする三日月をつなぎとめておきたいとの自身の願いを託し、三日月とのあいだに子供を作ってほしいと訴えていた。ところが名瀬・タービンの子供に興味を抱いた三日月に、アトラ・ミクスタは子供を作らないのかと訊かれた時に三日月としか考えられないと本音を口にし、あっさり同意を貰ってうろたえる事となる。
クーデリア・藍那・バーンスタイン (くーでりああいなばーんすたいん)
アドモス商会を立ち上げた若い女性。長い金髪を首の後ろで一つの三つ編みに編んで垂らしている。以前は自警団組織・鉄華団と行動を共にしていたが今は独立し、アドモス商会を経営している。かつて活動家として無名だった時代に、政治の表舞台に出る手筈を整えたアリウム・ギョウジャンの思想の影響を受けていたが、今や「革命の乙女」としてアリウムを凌ぐ名声を得ている。 アトラ・ミクスタとは三日月・オーガスを気にかけている点で共通の話題が多く、よく二人で話し合っている。地球圏の都市アーブラウの指導者である蒔苗東護之介から後継者にならないかと声を掛けられ、その申し出に魅力を感じつつも、まだ蒔苗から学ぶべき事は多く、今は火星で成すべき事があると断っている。
昭弘・アルトランド (あきひろあるとらんど)
自警団組織・鉄華団の団員の青年。寡黙でまじめな性格の持ち主。黒髪のショートヘアで、額の上部の前髪の一部の色が違っている。命を軽く扱われ、被差別的な扱いを受ける事の多い「ヒューマンデブリ」のリーダー格で、三日月・オーガスに次ぐ操縦技術を持つ。感覚的なモビルスーツの操縦を可能にする阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けている。 自分と同じくヒューマンデブリの出身であるアストン・アルトランドを家族同然に気にかけていたが、ガラン・モッサとの戦いでアストンの死を目撃して激怒しガランを討った。ラフタ・フランクランドから好意を寄せられ、飲みに誘われ控えめなアプローチを受けたものの気づかず、ラフタの人柄を尊敬すると答えるに留まるなど、天然で奥手なところがある。
ノルバ・シノ (のるばしの)
自警団組織・鉄華団の団員の青年。短髪で、喜怒哀楽を素直に表に出す陽気な性格のムードメーカー的な存在。白兵戦を得意とする。感覚的にモビルスーツの操縦を可能にする阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けている。新入りの鉄華団の少年達に厳しい基礎訓練を強いているが、それは阿頼耶識なしでも戦場で自分の身を守れるくらいの強さを身につけてほしいと願うからこそである。 白兵戦の先陣を切るノルバ・シノとデルマ・アルトランドとダンテ・モグロの3機を自ら「流星隊」と名付けている。
ユージン・セブンスターク (ゆーじんせぶんすたーく)
自警団組織・鉄華団の副団長を務める青年。ミディアムへアで毛先はランダムな方向に跳ねた髪型をしている。ノルバ・シノが新入りの鉄華団の団員を厳しく鍛えているのを見て、あまりやりすぎると嫌われると意見している。副団長として宇宙海賊団・夜明けの地平線団との戦闘時には自軍を指揮しており、冷静な参謀役を務めている。
タカキ・ウノ (たかきうの)
自警団組織・鉄華団の団員の少年で、阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けている。アーブラウ内の軍事顧問を引き受けている鉄華団の地球支部に所属しており、地球での鉄華団実働部隊のリーダー格でもある。火星の学校に通っていた妹のフウカ・ウノを地球に伴って来て、共に暮らしている。鉄華団の団員のアストン・アルトランドとは、自宅の食事に招くほどの親友関係にある。
ハッシュ・ミディ (はっしゅみでぃ)
自警団組織・鉄華団の団員の少年で、年齢は17歳。結成当初からの団員ではなく、入団したばかり。過去、スラムで暮らしていた時に頼りにしていた兄貴分が鉄華団の前身であるCGSに入団したが、阿頼耶識の適合手術に失敗し半身不随で帰って来た事から、何もできずに死ぬのを何よりも恐れている。三日月・オーガスが阿頼耶識を駆使して活躍するのを見て、三日月を超えたいと強く願うようになる。
デイン・ウハイ (でいんうはい)
自警団組織・鉄華団の団員の少年。年齢は17歳。大柄で髪を刈り上げたショートヘアで、目が細い。結成当初からの団員ではなく、入団したばかり。ハッシュ・ミディが阿頼耶識の手術を受ける事に拘っている事を心配し、声を掛けていた。
ザック・ロウ (ざっくろう)
自警団組織・鉄華団の団員の少年。年齢は17歳。黒髪をリーゼントヘアにしている。結成当初からの団員ではなく、入団したばかり。不良っぽい見た目に反し、鉄華団に入る前に学校で学んだモビルスーツに関する知識は豊かで、ナディ・雪之丞・カッサバに整備機体のシステムログを見つけたと報告した。
ダンテ・モグロ (だんてもぐろ)
自警団組織・鉄華団の団員の青年。テイワズ製の新型モビルスーツ獅電(しでん)を与えられ、アジー・グルミンやラフタ・フランクランドから模擬戦の手ほどきを受けていた。白兵戦では、ノルバ・シノとデルマ・アルトランドと共に、シノが命名した「流星隊」の名のもとに先陣を切って戦っている。
ライド・マッス (らいどまっす)
自警団組織・鉄華団の団員の少年。阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けており、実戦の場に立つ機会も多く与えられている。ハシュマルとの戦闘では火星の農業用プラントを護るために全力を尽くして戦った。
ラディーチェ・リロト (らでぃーちぇりろと)
自警団組織・鉄華団のアーブラウにある地球支部の監査役として、複合企業・テイワズから派遣されている中年の男性。以前は鉄華団の提示してくる意見とかみ合わず、衝突する事が多かったが、最近は意見を戦わせる事が少なくなった。しかし、それは鉄華団の学の無さから理解させる事をあきらめた末の行動だった。アーブラウで指導者の蒔苗東護之介がテロで負傷し政治を執り行う事が不可能になった時に、独断で火星の鉄華団本部への情報共有を遮断し、敵対するガラン・モッサと自分の保身を条件に裏で手を組んだ。 その結果、火星からの指示を仰げず孤立したタカキ・ウノが、鉄華団を率いてガランのいいなりに動かざるを得ないように追い込む。
名瀬・タービン (なぜたーびん)
黒髪のストレートロングヘアの一部を団子状に頭頂でまとめ、ほかは背中に流している中年の男性。スーツをまとい、つば付き帽子をよくかぶっている。女性を多く雇用した運送業タービンズを組織したリーダー。その手腕で複合企業テイワズにおける運送部門を成功させ、トップのマクマード・バリストンに組織内で一目置かれる存在となった。 アミダ・アルカ、アジー・グルミン、ラフタ・フランクランドら複数のタービンズ内の女性と関係を持っているが、それぞれとの関係は良好であり、女性同士の仲も円満。オルガ・イツカの事を弟分として目にかけていたが、テイワズのNo.2のジャスレイ・ドノミコルスの嫉妬を買い、ジャスレイに唆されたイオク・クジャンの攻撃を受けて命を落とす。
ラフタ・フランクランド (らふたふらんくらんど)
名瀬・タービンの複数いる恋人のうちの一人で、運送業タービンズに所属しているモビルスーツパイロットの若い女性。自警団組織・鉄華団の団員に、アジー・グルミンと共に模擬戦を行い戦い方の手ほどきをした。パイロットとしての腕は昭弘・アルトランドに背中を任せられる相手と評されるほど優れている。鉄華団の団員と共に戦ううち、昭弘に対し恋愛感情を抱くようになる。 その気持ちは口には出さなかったものの、アミダ・アルカに勘付かれるくらいあからさまに言動に現れていた。名瀬に先立たれたあと、タービンズの上部団体である複合企業テイワズにより、従来の運送業部門は継続しながもモビルスーツパイロットを使う護衛の仕事は他団体に預けると提案されたため、パイロットを辞める事を決意。 しかし、その直後にジャスレイ・ドノミコルスの差し金で射殺される。
アジー・グルミン (あじーぐるみん)
名瀬・タービンの複数いる恋人のうちの一人であり、運送業タービンズに所属しているモビルスーツパイロットの若い女性。外はねのボブヘアで、あまり感情を表に出さない落ち着いた性格をしている。自警団組織・鉄華団の団員に、ラフタ・フランクランドと共に模擬戦を行い戦いの手ほどきをした。
アミダ・アルカ (あみだあるか)
名瀬・タービンの複数いる恋人のうちの一人であり、運送業タービンズに所属しているモビルスーツパイロットの中年女性。黒髪長髪で、褐色の肌を持つ。もともとはフリーの傭兵で、劣悪で危険な航路での運送業に従事せざるを得ない女性達の輸送船の護衛を積極的に引き受けていた。過酷な仕事に従事していたため、胸から腹部にかけて大きな傷跡がある。 名瀬と出会い、二人で厳しい環境にいる運送業の女性達を救おうとタービンズを立ち上げた。ラフタ・フランクランドやアジー・グルミンを雇用し、公私共に導き育てた。名瀬を敵視するテイワズのNo.2のジャスレイ・ドノミコルスに唆された軍事組織ギャラルホルンのイオク・クジャンが指揮するダインスレイヴ隊の集中砲火に遭い、名瀬と共に宇宙空間で命を落とした。
アリウム・ギョウジャン (ありうむぎょうじゃん)
中年の男性で、眼鏡をかけている。無名状態だったクーデリア・藍那・バーンスタインの活動の支援をし、ノキアスの七月会議にクーデリアを登壇させた事が、革命成功のきっかけになったと自負している。クーデリアに思想家として多大な影響を与えたのは自分だと奢った考えを抱いている。クリュセの思想家として「テラ・リベリオニス」という思想家団体の代表を務めている。 しかし影響力は弱まりつつあるため、アドモス商会を立ち上げたクーデリアの知名度を利用し、自身の名声を高めようとしていた。だがクーデリアはアリウム・ギョウジャンに、今は特定の思想は必要ないときっぱりと拒否した。アリウム・ギョウジャンは次にノブリス・ゴルドンを頼り、アドモス商会の所有地のハーフメタル採掘場を襲撃するよう宇宙海賊団・夜明けの地平線団に依頼。 ハーフメタル採掘場を哨戒していた自警団組織・鉄華団を攻撃するように仕向けた。のちに鉄華団に損害賠償を請求されたが、払えないと要求を拒んだために三日月・オーガスに射殺された。
マクギリス・ファリド (まくぎりすふぁりど)
金髪ショートヘアの若い男性。軍事組織ギャラルホルンの信用を回復させた功績を認められ、新司令の立場を任された。セブンスターズのファリド家当主。カルタ・イシューが束ねていた地球外縁軌道統制統合艦隊の組織改編をし、ギャラルホルン内で最強最大の軍事力を保有するラスタル・エリオンの影響力を削ごうと画策しており、ラスタルの勢力範囲である火星周辺への派兵の機会を窺っている。 自警団組織・鉄華団の団長であるオルガ・イツカと手を組み、マクギリス・ファリド自身の勢力の拡大を目指している。新司令としてギャラルホルン内部の信頼を集めつつあったが、実はカルタを謀殺し、親友のガエリオ・ボードウィンの命を奪おうとしていた。 そして、その事をガエリオに暴露され厳しい立場に追い込まれる。
石動・カミーチェ
黒髪ミディアムヘアの若い男性。軍事組織ギャラルホルンに所属する兵士。マクギリス・ファリドに仕えている。口数が少なく冷静で、あまり感情を表に出さない。
ガルス・ボードウィン (がるすぼーどうぃん)
軍事組織ギャラルホルンに所属している中年の男性。ギャラルホルン内で高位の名家セブンスターズのボードウィン家当主。息子のガエリオ・ボードウィンを戦いで亡くしたと思っていた。娘のアルミリア・ボードウィンはまだ幼いが、ガエリオと親友関係だったマクギリス・ファリドと婚約している。未来の娘婿のマクギリスを信頼していたが、息子のガエリオが生きており、しかもガエリオを殺そうとしたのがマクギリスだと知り激しい反感を抱く。
ネモ・バクラザン (ねもばくらざん)
軍事組織ギャラルホルンに所属している老齢の男性。ギャラルホルン内で高位の名家セブンスターズのバクラザン家の当主。禿頭に眉尻が垂れさがるほど長い眉毛、長い口髭と顎鬚を生やしている。マクギリス・ファリドがギャラルホルンの革命を掲げガンダム・バエルを手にし、ラスタル・エリオンがマクギリスの行動を批判し交戦を宣言した時には、どちらにもつかず中立を選択した日和見的な性格。
エレク・ファルク (えれくふぁるく)
軍事組織ギャラルホルンに所属している中年の男性。ギャラルホルン内で高位の名家セブンスターズのファルク家当主。恰幅がよく、ふくよかな体型をしている。マクギリス・ファリドがギャラルホルンの改革を掲げガンダム・バエルを手にし、ラスタル・エリオンがそのマクギリスの行動を批判し交戦を宣言した時に、どちらにもつかず中立を選択した日和見な性格。
イオク・クジャン (いおくくじゃん)
軍事組織・ギャラルホルンに所属している若い男性。ギャラルホルン内部で高位の名家・セブンスターズの一員。褐色の肌をしており、長い黒髪をセンターで分け、左右に一条ずつ流して背中で大きく三つ編みにしてまとめている。身分はラスタル・エリオン預かりの扱いだが、その反動か功績に拘り、プライドも高い。しかし実力はまだ伴っておらず、ジュリエッタ・ジュリスからは心も身体も脆弱だと評されている。 敵とみなした者へは容赦せず、名瀬・タービンの率いる運送業タービンズへ総攻撃を仕掛け、停戦信号を発し降伏を訴えていた名瀬や、戦線から離脱を始めていた名瀬の妻達へも猛攻をかけている。
ラスタル・エリオン (らすたるえりおん)
軍事組織ギャラルホルン内で最強最大を誇るアリアンロッド艦隊の総司令を務める中年の男性。ツーブロックの短髪で、口周りに髭を生やしている。ギャラルホルン内部で高位の名家セブンスターズに連なるエリオン家の当主。イオク・クジャンの身分を預かり、監督・指導している。マクギリス・ファリドが自身の勢力範囲にも派兵する足掛かりを作ろうとしていると知りながら、真っ向からその勝負を受けるつもりで待ち構えていた。 部下にジュリエッタ・ジュリス、側近に仮面をかぶり正体を隠している「ヴィダール」ことガエリオ・ボードウィンがいる。協力者にガラン・モッサがいるが、ガランはアーブラウでマクギリスの力を削ぐために起こした内乱で敗北したため、追求を逃れるため関係を闇に葬った。
ジュリエッタ・ジュリス (じゅりえったじゅりす)
軍事組織ギャラルホルン内部で最強最大の軍事力を有するラスタル・エリオンの部下の女性兵士。モビルスーツの操縦技術を見込まれ、ラスタルのそば近くに登用された。後ろ盾もなく、パイロットとしての技術のみで重用されたとの自負があり、強敵と戦って勝つ事に強い意欲を燃やしている。正体不明の仮面の男でラスタルの側近になった「ヴィダール」ことガエリオ・ボードウィンに、不信感と嫉妬の混じった感情を抱いていた。 しかしガエリオが、上官への恩と敬意を忘れずに戦い抜いたアイン・ダルトンの意志を尊重し行動していると知り、考えを改める。
ノブリス・ゴルドン (のぶりすごるどん)
複合企業テイワズの代表であるマクマード・バリストンをはじめ、宇宙海賊団・夜明けの地平線団や活動家集団「テラ・リベリオニス」とのつながりもある初老の男性。クーデリア・藍那・バーンスタインの革命により火星の権利は拡充されるようになり、結果的に火星でのハーフメタル採掘場の権限を得る事ができたため、さらなる利権の獲得の機会を窺っている。 テラ・リベリオニスに一時加担したが、クーデリアのように利益を産む見込みはないと知ると、すぐに手のひらを返している。
ナディ・雪之丞・カッサバ (なでぃゆきのじょうかっさば)
自警団組織・鉄華団に所属する整備士の中年男性。唇が厚く顎に八の字に鬚を生やし、褐色の肌をしている。体格のいいベテランの整備士で、若者の多い鉄華団に対し、整備だけでなく処世術めいた内容のアドバイスも与えている。
メリビット・ステープルトン (めりびっとすてーぷるとん)
複合企業テイワズの指示を受け、自警団組織・鉄華団の活動のサポートをしている若い女性。鉄華団がテイワズ傘下の運送業者タービンズと兄弟分になった頃から所属しており、現在はオルガ・イツカに同行し、戦局の伝達をしたりなどの役割を果たしている。鉄華団が名瀬・タービンの敵討ちを決行し、テイワズと決別した時には、鉄華団のために何かしてあげられる事があると信じて寄り添う決断を下し、テイワズ側に辞表を出している。
サンドバル・ロイター (さんどばるろいたー)
マフィアとしてのテイワズも手を焼く、宇宙海賊団・夜明けの地平線団の団長を務める中年の男性。過去にクーデリア・藍那・バーンスタインの活動を支援した、活動家団体「テラ・リベリオニス」の依頼を受けて、夜明けの地平線団を率いて火星に降り立った。目的はクーデリアが社長を務めるアドモス商会の所有するハーフメタル採掘場の襲撃だった。 ハーフメタル採掘場を警備していた自警団組織・鉄華団と交戦し、一回は退却する。神出鬼没で地球圏にも被害を与えている夜明けの地平線団に対し、軍事組織ギャラルホルンのマクギリス・ファリドが今が討伐の好機と鉄華団に討伐を依頼した事で、ギャラルホルンと鉄華団の合同部隊と一戦を交える。その際は自らモビルスーツ・ユーゴーを操縦して三日月・オーガスの前に現れたが、戦いの末に捕縛され、身柄はマクギリスに拘束された。
マクマード・バリストン (まくまーどばりすとん)
複合企業テイワズの代表を務めている初老の男性。短髪をオールバックにし、細い口髭を生やして和服を着ている。テイワズのNo.2の立場のジャスレイ・ドノミコルス、運送業を主に担っている名瀬・タービン、名瀬の弟分のオルガ・イツカを配下に抱えている。新参者でも働きをしっかりと認める公正な面もあるが、一方では組織運営の妨げになるような行動は厳格に処罰する。 感情的には兄貴分の敵討ちを選んだオルガ率いる自警団組織・鉄華団に好感を抱いているが、組織の一員としては使えないとためらいなく絶縁を選んだ、組織の利と私情とを分けて大局を見る能力を持つ。
ジャスレイ・ドノミコルス (じゃすれいどのみこるす)
複合企業テイワズのNo.2の立場にある中年の男性。二連のネックレスを身につけ、柄の入った広い襟のついたジャケットを着て中折帽子をかぶっている。女を使って成り上がったと見下している名瀬・タービンが、テイワズの中で重要な地位を占めつつあるのを疎んじ、軍事組織ギャラルホルンの軍人であるイオク・クジャンと手を結び名瀬を殺害した。 その後、敵討ちに来た鉄華団を、イオクの部隊と挟撃し壊滅させたうえで、マクマード・バリストンを適当な罪状でイオクに逮捕させ、テイワズを乗っ取るつもりだった。しかし、計画を見破ったマクマードに先手を打たれ、勝機がないとわかった途端にさんざん見下していたオルガ・イツカに命乞いをした小心者。
蒔苗 東護之介 (まかない とうごのすけ)
アーブラウの代表を務めている老齢の男性。長く立派な髭を持ち、和装を好んで身につけている。アーブラウに自警団組織・鉄華団を軍事顧問に迎え、防衛軍を発足させたが、その発足式典で蒔苗東護之介が使った卓上の花に爆弾を仕掛けられるというテロが勃発。鉄華団のチャド・チャダーンが咄嗟にかばったために命は助かったが、手当を受けているあいだに鉄華団を巻き込んだ地球経済圏との戦争に発展してしまった。 容態が回復し、意識を取り戻した時には戦争は終わっており、自身の老いを感じた蒔苗は見舞いに来たクーデリア・藍那・バーンスタインに、跡を継ぐ気はないかと問いかけている。
アストン・アルトランド (あすとんあるとらんど)
自警団組織・鉄華団の団員の少年。タカキ・ウノと共にアーブラウにある地球支部に配属された。黒髪のショートヘアで、口数は控えめな落ち着いた性格をしている。タカキと彼の妹のフウカ・ウノといっしょに食卓を囲むほど親密な友人関係を築いている。阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けている、モビルスーツパイロット。 被差別的な扱いを受け命を軽く扱われる「ヒューマンデブリ」として宇宙海賊に買われ酷使されていた過去を持つため、自身の感情を殺し、希望を抱かないようにして過ごしがちだった。だがタカキとフウカに囲まれて過ごした事で感情を取り戻し、生きがいを見出し始めたところで、ガラン・モッサの計略により生じた戦い中でマクギリス・ファリドに討たれて命を落とす。
チャド・チャダーン (ちゃどちゃだーん)
自警団組織・鉄華団の団員の青年。アーブラウにある鉄華団の地球支部で監査役を担当している。元は被差別的な扱いを受け命を軽く扱われる「ヒューマンデブリ」の出だが組織内でよく働き、その功績をきちんと認められている事を、同じくヒューマンデブリの出の昭弘・アルトランドは喜んでいる。
フウカ・ウノ (ふうかうの)
タカキ・ウノの妹の少女。火星の施設で暮らしていたが、兄のタカキが自警団組織・鉄華団のアーブラウ内にある地球支部に配属されたため、兄について来た。地球で学校へも通っており、地球の暮らしを気に入っている。食事を作って兄とその親友のアストン・アルトランドをもてなしたりしているしっかり者。
ガエリオ・ボードウィン (がえりおぼーどうぃん)
ラスタル・エリオンの側近で仮面の男。頭部全体を覆う仮面をつねに着用している。「ヴィダール」との偽名を名乗っているが、その正体はすでに死亡したとされていたガエリオ・ボードウィン。かつて、親友だったマクギリス・ファリドに、軍事組織ギャラルホルンでの力を得る目的で殺害されかけたが、一命を取り留め、ラスタルのもとでマクギリスの行動の是非を世に問う機会を窺っていた。 カルタ・イシューから寄せられた愛情を無碍にし、部下のアイン・ダルトンから向けられていた信頼を裏切り、ガエリオの命も奪おうとしたマクギリスの行動を全否定し、宣戦布告する。マクギリスと決着をつけるため、パイロットとしての力を極限まで引き出す目的で、阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けた。 自身が乗る「ガンダム・ヴィダール」には、アイン自身の脳が阿頼耶識システムと共に組み込まれている。
ガラン・モッサ (がらんもっさ)
センター分けにしたミディアムヘアの黒髪に、口まわりを囲む形に髭を蓄えている中年の男性。地球に駐留していた自警団組織・鉄華団のメンバーであるタカキ・ウノやアストン・アルトランドを使い、アーブラウと他経済圏とのあいだに故意に起こした戦争を長引かせた。また軍事組織ギャラルホルン内で、新指令の座に就いたマクギリス・ファリドを戦地におびき出し、その地位を貶めようと企てた。 ジュリエッタ・ジュリスからは「ヒゲのおじさま」と呼ばれている。
アイン・ダルトン (あいんだるとん)
かつて軍事組織ギャラルホルンに所属していたパイロットの青年。上官のガエリオ・ボードウィンのもとで、ガエリオのために戦う事を誇りに思って戦い抜き、命を落とした。今はラスタル・エリオンが抱える技術部長の「ヤマジン・トーカ」の手により、「ヴィダール」ことガエリオの乗る機体に疑似阿頼耶識ユニットとして、過去己が駆使していた阿頼耶識システムとそれにつながる脳ごと補助ユニット扱いで搭載されている。 それにより、ガエリオは人間の脳の負荷の限界を超えた戦闘能力を手に入れ、三日月・オーガスと互角の戦いが可能となった。
集団・組織
鉄華団 (てっかだん)
オルガ・イツカが団長を務める、青年や少年達で組織された自警団組織。三日月・オーガスが遊撃隊の隊長を、ユージン・セブンスタークが副団長を務めている。ムードメーカーであり戦闘経験も重ねたノルバ・シノや、三日月に次ぐモビルスーツの操縦技術を持つ昭弘・アルトランドが火星に駐留している。アーブラウには地球支部を構えていたが、自警団組織鉄華団の助力を得て軍事組織ギャラルホルンの中で影響力を持ち始めたマクギリス・ファリドの力を削ぐためにラスタル・エリオンがガラン・モッサを使って手を回し、地球から鉄華団を撤退させている。
ギャラルホルン
新指令にマクギリス・ファリドを据える軍事組織。世界の秩序と平和維持のために、300年前に起きた厄祭戦で活躍した人物が中心となって組織された集団だが、内部腐敗が進んでいた。マクギリスは腐敗の一掃を目指し、組織内で上席を占める七つの名家で既得権益に固執するセブンスターズの再編およびギャラルホルンの再生を目標に据えている。
セブンスターズ
軍事組織ギャラルホルン内で、上席を占めている七つの名家。300年前に起きた厄祭戦で活躍した実績を示す七星勲章の数により席次が決まっている。第一席は女性のカルタ・イシューが後継者だったが、戦死したために彼女が担当していた地球外縁軌道統制統合艦隊をマクギリス・ファリドが引き継いでいる。300年間席次は変わっておらず、権力を保ち続けている。
夜明けの地平線団 (よあけのちへいせんだん)
艦艇10隻と構成員2500人を誇る、テイワズも手を焼く大海賊団。活動家集団「テラ・リベリオニス」のアリウム・ギョウジャンがノブリス・ゴルドンの後ろ盾を得て、自警団組織・鉄華団が警護していた火星のアドモス商会が管理するハーフメタル採掘場の襲撃を依頼した集団。地球圏にも出没しており、軍事組織のギャラルホルンからも問題視されていたが、神出鬼没で所在を把握する事が困難だった。 そのため、鉄華団に攻撃を仕掛けてきた機に乗じ、マクギリス・ファリドは鉄華団と組んで夜明けの地平線団を討ち取る事を決断する。
アドモス商会 (あどもすしょうかい)
クーデリア・藍那・バーンスタインが立ち上げた商業組織。小学校の運営や、火星で開発が進められているハーフメタル採掘場の権利を有している。また三日月・オーガスをはじめ自警団組織・鉄華団の団員達の給料の管理も引き受けている。
タービンズ
名瀬・タービンが立ち上げた、流通業を請け負う団体。かつて、フリー傭兵のアミダ・アルカをはじめ、長期航路の輸送業という過酷な仕事に従事せざるを得ない女性達のために立ち上げた。名瀬は女性達の環境改善を目的に、名義上妻として迎え入れ、乗組員にする事で職も与えていた。女達の安全を守るため、複合企業テイワズの傘下に入り、アミダとつながりのあった女達の輸送業者をまとめ上げて、地球から木星のあいだを網羅する大規模な輸送網を作り上げた。 その実務的な手腕を買われ、名瀬はテイワズでの地位を築く事となったが、ジャスレイ・ドノミコルスからは「女を使って成り上がった」と何かにつけて見下されている。
テイワズ
名瀬・タービンが組織している輸送業タービンズや、その弟分の自警団組織・鉄華団を有する複合企業で、代表はマクマード・バリストンが務めている。裏社会には、マフィアとしてその名を知られている。豊かな財力と強い影響力を持つノブリス・ゴルドンともつながりがある。テイワズは野心を抱く者も抱えており、組織のNo.2であるジャスレイ・ドノミコルスは、タービンズや鉄華団の活躍と、それに対しマクマードが与えている高い評価を妬んでおり、隙あらばとテイワズの乗っ取りを狙っている。 本拠地は一通りの都市機能を備えた大型惑星巡航船の歳星にある。組織の一員に迎え入れる時には杯を交わすしきたりがあり、オルガ・イツカは軍事組織ギャラルホルンのマクギリス・ファリドとの連携を深める前に、マクマードにテイワズに害を及ぼすようなら叩き割ってほしいと杯を預けに行っている。
場所
クリュセ
火星上にある、自警団組織・鉄華団が拠点を構える場所。市街にはアドモス商会の本社があり、郊外には複合企業テイワズの傘下にあるアドモス商会が権利を所有しているハーフメタル採掘場や、市民が開拓した農業プラントがある。
アーブラウ
地球にある経済圏のうちの一つ。蒔苗東護之介が代表を務めている。防衛軍を発足させる目的で、軍事顧問として自警団組織である鉄華団の地球支部がアーブラウ内のエドモントン近郊に駐留していた。
歳星 (さいせい)
複合企業テイワズの本拠地にして、一通りの都市機能を備えた大型惑星巡行船。パブやぬいぐるみを扱う店などもあり、買い物客の姿も見受けられる。
その他キーワード
七星勲章 (しちせいくんしょう)
300年前の厄祭戦にて、地球と人類に大きな被害を与えた「モビルアーマー」を倒したものに与えられた勲章。軍事組織ギャラルホルン内で高位の名家であるセブンスターズの席次は、この勲章の数で決められたといわれている。その席次は300年間入れ替わった事はない。
ハシュマル
火星のハーフメタル採掘場から掘り起こされた、「モビルアーマー」と呼ばれる自律型の兵器。鳥のような形をしており、サイズはモビルスーツを5機並べたよりも大きい。厄祭戦の時にモビルスーツと敵対し、人類の数を総人口の4分の1減らしたとされている。コックピットを入念に破壊するよう設定されており、ひたすら人間を効率よく殺すために作られた。 ハシュマル本体を修復する機能を持つ子機「プルーマ」を生産する機能を保有しており、子機のプルーマは燃料や資材を自動で集めて来る機能を持っている。そのため、資材と時間さえあれば、修復・補給を繰り返し、半永久的に活動できる。
モビルスーツ
人型をした戦闘用ロボット。胸部にコックピットがあり、パイロットが乗り込み操縦するシステムとなっている。自警団組織・鉄華団は、テイワズ製のものを格安で卸して貰っている。厄祭戦の頃から存在している「ガンダムフレーム」のモビルスーツである三日月・オーガスが乗るガンダム・バルバトスと、昭弘・アルトランドが乗る「ガンダム・グシオンリベイクフルシティ」の2機の改修費用も、テイワズに持ってもらっている。
ガンダム・バルバトス (がんだむばるばとす)
自警団組織・鉄華団に所属する三日月・オーガスが扱う「ガンダムフレーム」のモビルスーツ。阿頼耶識のデバイスを埋め込む手術を受けている三日月は、感覚的にモビルスーツをあやつる事が可能なため、シミュレーターでの日々の鍛錬や実戦経験の豊富な軍事組織ギャラルホルンの兵士にも「鉄華団の悪魔」の異名で恐れられるほどの操縦技術を持つ。 ハシュマルとの戦いで機体側の出力が上昇したが、その力をすべて出しきれば搭乗者の身体に負荷がかかるために、作動した自動制御を振り切って戦った。ジャスレイ・ドノミコルスと戦う前に呼称を変え、「バルバトスルプスレクス」となった。ちなみに、「レクス」とは「王」の意味を持つ言葉である。
ガンダム・バエル (がんだむばえる)
軍事組織ギャラルホルンの創始者アグニカ・カイエルが操縦していた「ガンダムフレーム」のモビルスーツ。300年前に起きた厄祭戦時に活躍したギャラルホルンの象徴ともいえる機体。マクギリス・ファリドは、創始者の魂が宿るとされるこの機体を蘇らせて手中に収める事により、ギャラルホルンの全勢力を自身が掌握できると考え、ガンダム・バエルを蘇らせ、ギャラルホルンの改革を世界に宣言する。 それを受けて、ギャラルホルン内部で最強の軍事力を誇るラスタル・エリオンは、マクギリスが過去に権力を得るために親友のガエリオ・ボードウィンを葬ろうとしたとの情報を生き証人であるガエリオに発言させ、マクギリスは逆賊であり正義はラスタル側にあると説いた。 その結果、マクギリスが思い描いていたようなギャラルホルン内部の理解と協力は得られず、かといってガンダム・バエルに逆らえないセブンスターズのエリオン家とファリド家以外は、中立の立場を取る事となった。
厄祭戦 (やくさいせん)
300年前に起きた戦い。巨大兵器「モビルアーマー」によって引き起こされ、人類の数は当時総人口の4分の1が失われたと伝えられている。アグニカ・カイエルとセブンスターズの始祖達により、すべてのモビルアーマーは滅ぼされたと思われていたが、火星のクリュセにあるハーフメタル採掘場から300年ぶりにモビルアーマーの一機であるハシュマルが発掘された。
阿頼耶識 (あらやしき)
300年前に起きた厄祭戦の時に使用されたデバイスシステム。人体に阿頼耶識システムのデバイスを手術により埋め込む事で、感覚的にモビルスーツをあやつる事ができるようになる。ユージン・セブンスタークやノルバ・シノら自警団組織・鉄華団の団員は、前身である民間警備会社「CGS」に所属していた時代に強制的に手術を受けさせられた。 ただしユージン達はこの手術を、不明点の多すぎる博打のようなものだと考えており、新団員には施術を勧めていない。