概要・あらすじ
青年、村上は、春休みのある日、金儲けをたくらむ友人、倉持に誘われて、東北の無人島、沖の島へ向かう事になる。そこにはいくつもの猫の頭のミイラが打ち捨てられていた。気味悪く思うものの、そのまま金儲けの算段をする倉持。腹を空かせて、おむすびを食べながら、ひと休憩していると、彼のおむすびを猫が奪って食べてしまう。
腹を立てた倉持は、猫が嫌いな事もあいまって、石で打ち据え殺してしまった。奇妙な事に、その猫の尾は2つに分かれており、以降、倉持の様子がおかしくなっていく。
登場人物・キャラクター
村上 (むらかみ)
春休みのある日、金持ちの友人、倉持に誘われて東北へとドライブへ出かける。不可思議な出来事に興味があり、藤原定家の『明月記』や人見必大が著した『本朝食鑑』などを読む。倉持が、沖の島で殺した猫の尾が2つに分かれていたため、これが猫又であることに気づいた。猫又の呪いにかかった倉持を助けようとする。
倉持 (くらもち)
金持ちの学生。春休みに友人の村上を数日をかけたドライブへと誘う。実は、このドライブは東北の無人島、沖の島に戦後放置されていた、軍の要塞からスクラップなどを持ち帰り、金に換えるためのものであった。沖の島で、猫又と知らずにこれを打ち殺し、猫又呪いにかかる。これにより、体から猫の頭が生え、切っても切っても、また生えてくるという状態になった。
猫又 (ねこまた)
『猫又』に登場する妖怪。東北の沖の島に住まう、尻尾が2つに分かれた化け猫。自分を殺した倉持に乗り移り、体のあちこちから生えてくる。骨に食い入っているため、憑りつかれた者が、体の表層に現れた頭などを切り落としても、すぐにまた生えてくる。また、憑りつかれた者は、猫語を介するようになり、猫又と会話ができるようになる。 最終的には、憑りついた相手の意識を乗っ取り、化け猫と変化させてしまう。
場所
沖の島 (おきのしま)
『猫又』に登場する場所。東北のどこかにある無人島。地元では呪われた島とされており、近づく者はいない。戦中に軍の要塞が作られており、くず鉄だけでも1000万を超える量の資材が残っていた。猫又の住む島であり、あちこちに猫の頭のミイラが転がっている。